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2013/08/05
前回の日記「見学したのはシトー会修道院だったのだけれど...」で書いたように、オーナーが変わってから見学できるようになったのは良いけれど、歴史を感じさせてくれない修道院にがっかりした私。

でも、ここに来たのはコンサートが目的でした。

最近、あまりコンサートに行かなくなりました。理由は以下の通り:
  • フランスでは、やはりパリのような大都市でないと、素晴らしい演奏家は来ない。ディジョンでベルリンフィルの演奏を聴けたときは感激しましたが、音響効果が優れたホールだと褒めてもらったそうなのに、その後は2度と来てくれていません。
ブルゴーニュで大きなコンサートがあるのは行政中心地のディジョン市なのですが、メインの音楽家が来なかったということが3回続いたので、がっかりした。
  • オペラは現代的な演出ばかりになってしまったので、全く行く気にはならない。
  • テレビにクラシック音楽専門チャンネルが2つあって、そこでは毎日、歴史に残るような名演奏を流している。
それを聞くためにホームシアター用の7台くらいのセットのスピーカーを設置したので、かなり良い音でコンサートが見れるようになった。


修道院のチャペル

今回は、やはり生演奏を聞きたいと思って行くことにしたのでした。田舎のコンサートには懲りたことがありますが、今回のは60人くらいで編成された楽団なのだそう。

会場は修道院のチャペル。プロの演奏ではないので、音楽は大したことがなさそうですが、雰囲気があるコンサートだろうと期待していました。

でも、チャペルとは名ばかりの建物だったのです。 鐘楼もなくて、どこにでもある納屋のような建物。



それもそのはず。ここは修道院を刑務所として使っていた時代、囚人たちのために建てたチャペルだったのです。礼拝堂の役割だけではなくて、食堂としても利用していた、という変な施設...。

オーケストラはオランダから来ていると聞いていました。チャペルの横には、オランダナンバーの乗用車がずらり。

普通、こういうときはバスで来るのじゃないの?...

一緒に行った友人は、彼らは演奏旅行に来たのを利用して、フランスでヴァカンスを過ごすのだろうと言っていました。何カ所かで演奏するようなのですが、それが終わってから各人が行きたいところにに行って休暇を過ごすとしてら、自分の車で来ていた方が便利ではあります。

チャペルの門を開けるために立っていた人とおしゃべりしたら、オランダ人たちはキャンプ場に滞在しているのだと知りました。キャンプしていると聞いて、「やっぱり~!」と笑ってしまいました。

なぜだか知らないけれど、オランダ人はキャンプが大好きなようなのです。フランスのキャンプ場は、オランダ人たちにボイコットされたら経営していけなくなるのは確実だと思う。

夏にフランスの高速道路を走っていると、オランダのキャンピングカーをやたらに見かけます。車の後ろにつけるキャンピングカーをつけるというトレー型。

フランスやドイツ人は、一体型のキャンピングカーです。

なので、オランダのキャンパーは目立つ。オランダでは大半の人がこれを持っているのではないか、という気もしています。


素人の演奏...

囚人たちのために建てられたチャペルなので、内部も質素でした。でも、かなり広いので、ちょっとしたコンサートには適している。でも、オーケストラが演奏するには無理ですね。



素人の楽団だとは聞いていたのですが、ここまで酷いとは思わなかった...。間違った音がやたらに飛び出してくるのです。リズムも、音の構成も悪い。

1曲目の『エグモント序曲』が終わって拍手があがったとき、私は隣にいた友達と顔を見合わせて、む、む、む~、口と肩をすくめて苦笑いをしました。

なんじゃ、これは~???...


音響効果が悪いにもほどがある...

他の曲も聞いている間に、そもそも、この会場の音響効果の悪さったらない、と耐え難くなってきました。コンサートホールの音響効果の良しあしはあるけれど、こんなに悪いところもあるのだな... と、感心してしまう。

音が響いてこない、というのではないのです。変に混ざり合ってしまっている。生演奏なのに、昔の質の悪いモノラルのラジオで聞いているみたい...。

自分の音楽を持って旅行できなかった昔は、ザーザーと雑音が入ったラジオでクラシック音楽を聞いても、涙ぐむくらいに感動したりしたのだけれど... と思い出す。

昔に建てられた教会は、何でもない小さなところでも素晴らしい音響効果に驚くことがあります。お説教がよく聞こえるように、歌えば天使の声に聞こえるように、という工夫があったのだと思う。

このチャペルは新しくて、建てられたのは19世紀。しかも、囚人たちのチャペルなので、いい加減な建築物だったのかもしれない。でも、19世紀の石造建築物はコンクリート造りではないのだから、そのままでコンサートに耐える教会もあります。

ここは屋根がなくて壁だけになっていた建築物で、それをいい加減に修復したのが原因ではないかな?... そう思いながら天井を眺めると、鉄柱が支えていて、確かに奇妙...。 モルタルなんだろうか?...

でも、この修道院のアクティビティーとして定期的にコンサートを開くのですから、壁に何か工夫して音響効果を整えたって良いではないですか? それをしないなら、コンサートなんか開かない方が良いと思う、と腹がたってくる。

生の演奏が好きなのは、特に弦楽器の音がステレオなんかでは聞けない音だからです。ビロードの立った毛の1本1本が音を出しているような響き...。それが、全く聞こえない。

そもそも、置く場所がなかったからなのか、ティンパニが前の方にあるのでした。なので、一番聞こえてくるのはティンパニ。それから、吹奏楽器の音。最前列にいる弦楽器の音は、それらに消されてしまっていました。

指揮者は、予行練習をしたときに、こんな具合になってしまっているのには気がつかなかったのだろうか?...  あるいは、フランスに来たのはヴァカンスで、報酬なんかももらっていないからいい加減にやっていたのか?...



演奏された曲目のうち、2つは知らない曲でした。これは救われる。間違った音を出されても、よほど突拍子もない音でない限りは気がつかないですから。

ベートーヴェンとかメンデルスゾーンとかを演奏するのは無茶だったと思う。バロックかモーツアルトだったら、心地良い音楽ということで、耳障りではなかったはずです。どうして大それたことをやってしまったのかな?...

昔だったら、こういう演奏ではブーイングになったのではないかと思います。ロマン派の作曲家たちが新作を発表したとき、聴衆から非難されたという話しをたくさん聞いていますので。

でも、その当時の演奏というのは、今のように質は良くないものが多かったはず。こんな感じの演奏にされてしまっていたのかもしれない、と思いをはせることができました。

モーツアルトは子どものときにディジョンに来て演奏しているのですが、そのとき彼の父親は、「ディジョンの楽員はみんなロバだ!」と憤ったという逸話が残っています。 フランスの作曲家ベルリオーズも、お金がなくて、楽譜の写譜をさせる費用がなかったり、質の高い演奏者を集められなくて苦労したそうだし...。

でも、みなさん、ちゃんと拍手していました。熱狂的にというのではないけれど、パラパラの拍手ではない。

家族と旅行してきた楽員も多かっただろうし、彼らがキャンプ場に滞在して親しくなったオランダ人たちも来ていたかもしれない。もしかしたら、こんな僻地で開催されたコンサートに来ていた人たちの半分はオランダ人だったかもしれない、という気もしました。


文句たらたら...

帰り道、車の中でCDをかけました。 良い演奏を聞いたコンサートの帰りには、余韻を残したくて、おしゃべりをする気にもならないのですが、このときは耳に残っている音を消したいという思いだけ!

この日に聞いたメンデルスゾーンの『スコットランド』を聞きました。クラウディオ・アバド指揮、ロンドンフィルの演奏。同じ曲だとは思えない! やはり、これは、弦楽器がロマンチックに、感動的に響く曲だったではないですか...。

あのレベルで演奏会を開くのは無茶だ、あんな音響効果が悪い場所でコンサートなんか開くべきではない、と文句たらたらの私たち。

そもそも、と友人が言います。
フランスでは、素人のオーケストラがコンサートを開いたりしない。

いや、素人のコンサート、フランスで聞いたことがありますけどね。

でも、修道院なんかを使って、本物のコンサートのように開くことはない、と友人は断言する。確かに、思い出してみれば、そうですね...。仲間うちの、和気藹々としたコンサートだし、60人も集まってオーケストラなんかはやらない。

思い出せば、世界遺産に指定されているフォントネー修道院のコンサートは素晴らしかったな...。 今はもうやっていないらしいのですが。

ブルゴーニュの美しい街ソミュール・アン・オーソワで毎年行われていたオペラも良かった。ヨーロッパで最も小さいオペラ座があって、東欧から演奏家を招いて、町の人々がボランティアで家に泊めて開くというもの。

演奏は大したことはないのだけれど、アットホームな雰囲気でモーツアルトのオペラが聞けるのが楽しかったので、毎年のように行っていました。町長さんが変わってからだったかな、このイベントをやめてしまったのは本当に残念。

あの時は、コンサートが終わると、外でワインを並べて待っていてくれたのでした。ブルゴーニュではよくある習慣だけれど、今回行ったシャンパーニュ地方では思いつきもしないことかな。下手な演奏でも、最後に1杯なんてやったら、気持ちよく帰れたのに。

でも、この日のコンサートは15ユーロ。疲れるために2,000円払うのは高い? でも、文句は言えない価格ではあります。

そもそも... と、友人はまだ文句を続けてる。
オランダ人は音楽が苦手なんだ。オランダ人の作曲家、知ってる?

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団があるじゃない、と私。昔は素晴らしかったけれど、今はレベルがガタ落ちした、と返事されました。そうですかね?...

でも、オランダは、音楽より絵画に優れた国かもしれない...。

ともかく、この日の演奏は酷かった。音楽学校の生徒の発表会だって、もっとマシだったと思う。

でも、そういうのを聞くのも興味深いです。素晴らしい演奏ばかり聞いていると、難なくあんな風に演奏できるのだと思ってしまうもの!


余計なことまで思い出してしまった

何年も前、友人たちとミニコンサートを開いたことがありました。ピアノを弾ける人、ヴァイオリンが弾ける人などがいたからです。

歌を習いだしたという友達が、とんでもない声でベルリオーズの歌曲を歌う。ベルリオーズの歌曲は、プロでも歌える人が少ないと言うのに。私も勇気を出してピアノに向かい、モーツアルトのソナタを弾いてしまった..。

皆の演奏が終わると、さぁ~、食前酒を始めようや、ということになりました。結局、みんなで食事をするためのアトラクションだったミニコンサートなのでした。

あのときに比べたら、今回のオランダ人のオーケストラは遥かにまともでした。 友人たちと集まって楽しくやったのですが、その後、誰ひとりとして「また、やろうよ」とは言いません! 身のほどをわきまえるのは大切なことだと思う...。

続きへ: フランスの美しい女の子

ブログ内リンク:
フォントネー修道院のコンサート (2)  2008/07/13
★ 目次: 宗教建築物に関する記事

外部リンク:
☆ Weblio辞書: オランダの作曲家の一覧


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