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2013/08/14
夏になってから、フランスのニュースでは盛んにヴァカンスのことを話題にしています。

フランスは福祉国家。ヴァカンス旅行(統計上は、連続4日間以上の楽しみのための旅行を指す)を1年間に1回もしない人が30%もいるとか言って、全ての人がヴァカンスを過ごせるように、と政府は対策を考えています。 高齢や病気で動けなかったり、旅行なんかしたくない人たちもいると思うのですけど...。

フランス人の長期休暇は、光を観る「観光」とは違って、たいていは田舎に行って、のんびりと過ごします。田舎の広い家に住んでいたら、都会の人たちがヴァカンスを過ごすような環境で生活しているのですから、わざわざ出かける必要はないではないですか? 

私は、夏はブルゴーニュに留まっていたいです。だって、一年で最も美しいシーズンなのですから、住んでいるところを離れるのはもったいない。夏に旅行すれば、どこにも人がたくさんいて不愉快なので、家にいる方がよっぼど居心地が良い。逆に、冬には太陽を求めて南に旅行したくなりますが。

でも、フランスはヴァカンスの国。ヨーロッパの中でも、ヴァカンス旅行する人の割合はトップレベルです。

この春先には、深刻な不況なので、ヴァカンス旅行に行けない人が多くでるだろうと言われていました。アンケート調査では、夏にヴァカンス旅行をする予定だと答えた人は62%で、前年より8%の減少しているという結果がでていました。 それでも、同じ調査のヨーロッパ平均は54%なので、フランス人は依然としてヴァカンス旅行が好き。

夏になったら、やはりフランス人たちは工面して夏の旅行をしているらしくて、高速道路の渋滞の映像が出てきています。
 
サラリーマンにはヴァカンス手当なんてものまであるので、旅行はしやすいと思う。

裕福でない家庭の子どもたちのためには、自治体などが林間学校をオーガナイズしています。知り合いの貧しい家庭の女の子から、ギリシャのクレタ島で1ヵ月の夏休みを過ごすのだと話されたときにはギャフンとしました。私が子どものときは、そんな恩恵を与えられたことはなかったし、自分で稼げるようになった今でも、フランスから遠いギリシャで1ヵ月も過ごすなんて夢の世界です。


ヴァカンスの国、フランス

フランス人には休暇が多い。雇っている人に与えなければならない有給休暇は、年に最低5週間とされていますが、週35時間労働が進んでからは休暇が増えました。残業を余儀なくされる管理職、出張などによる超過勤務、休日出勤がある職種の人たちは、振替休日をもらうからです。年に8週間の休暇がある、などという人も珍しくはありません。

戦後のフランスの歴史をみると、左派政権が誕生すると労働時間が短くなってきました。去年からまた社会党政権になったのですが、労働時間をこれ以上短くするようには見えませんが。

フランスは日本以上に経済不況。というか、日本では虐げられた人たちが頑張っているから、不況を乗り越えているとも思います。こんなに働かなくてもフランスは国が破たんしないでいるのですから、おみごと! と思ってしまいます。

フランスは、バカンス法が世界で初めてできた国だと言われます。1936年、年に15日の有給休暇を与えるという法律ができたことを指します。

現在の日本のでは、年次有給休暇の平均支給日数は16日間で、その取得率は47%なのだそう。フランスでは、年次休暇が与えられるようになったときから、もらった休暇は全部消化するものだと受け取られていたのですけどね。


数年前、パリで行ったことがないミュージアムということで行った郵便博物館(Musée de La Poste)で、興味深い特別展「Les Vacances... Quelle histoire !」を見ました。

ひと昔前のフランスのヴァカンスがテーマ。1936年にバカンス法ができたときの庶民の喜びは大きかったそうで、その当時の熱狂ぶりの写真などは見たことがあったのですが、そこに登場していたものの実物も展示されていました。

二人乗り自転車タンデム。



こんなのでヴァカンス旅行に出かけてしまっていたのでした。 疲れたでしょうけど、なんだか楽しそう...。


庶民が夏休みを過ごせる海辺

戦後のフランスは、庶民も有給休暇を過ごせる施設が作られました。人々が求めたのは、それまでは裕福な人たちしか行けなかった海辺のリゾート地。

今では、インテリや社会的地位の高い人たちは、芋を洗うような海水浴場は避けて、静かな農村で休暇を過ごす傾向が強いのですが、相変わらず海水浴場には人気があります。

私は、泳げないという理由だけではなくて、海水浴場で休暇を過ごすのには魅力を感じません。好きなのはリアス式海岸で、砂浜が続く風景は美しいと思えないのです。 第一、こんなに人口密度が低いフランスなのに、夏の浜辺には人がウジャウジャいるところに身を置くのは耐え難い!

憧れる日本人も多いニース。その浜辺です。ニースも裏手の山の方に入ると、素晴らしく魅力的な村々があるのですけど...。

http://www.lexpress.fr/actualites/1/economie/vacances-d-ete-plus-courtes-le-oui-conditionnel-des-professionnels-du-tourisme_1009166.html

私が夏に旅行しているとき、海水浴場に車が入り込んでしまって、慌てて逃げ出すことがあります。フランスでは、どこにカメラを向けても美しい写真が撮れるのに、こんな醜い風景のところもあるんだ... と、感心はしますけど。

高度成長期につくられた庶民的な海辺のリゾート地の代表例を見せる、興味深いビデオを入れたページがありました:
Comme un été toujours "popu" à Saint-Jean-de-Monts

フランス西海岸にあるSaint-Jean-de-Monts(サン・ジャン・ド・モン)という町のルポルタージュ。海水浴場として使える浜辺が8キロ続いているのが魅力なのだそう。

日本でも海岸線の長さで海水浴場を評価するのでしょうか? Wikipediaの「海水浴場」を見たら、浜辺の長さが少し書かれていました。静岡県の土肥海水浴場は「700mの長さを持つ西海岸一大きな砂浜を持つ海水浴場」なのだそう。日本は山が海岸に迫っているので、そのくらいでも広い海水浴場になるのでしょうね。

モン・ジャン・ド・モンのように、人々の生活水準が低い時代に作られてしまった、安く過ごせるのが最大の魅力という宿泊施設は消滅しているところが多いのですが、ここの海浜リゾート地の近代化を図ったそうで、今でも安く過ごせる場所として健在。滞在する人の数からいうと、フランス第2位の海浜リゾート地なのだそうです。

私などには、無料で1週間滞在をプレゼントされても、迷うことなくお断りするタイプの海水浴場なのですけど...。


日本でフランス語を勉強するために片っ端からフランス映画を見ていた時代(今のようにインターネットでフランス語を聞くことができなかったので!)、海辺でのヴァカンスを描いた作品がありました。

エリック・ロメール(Éric Rohmer)監督の『海辺のポーリーヌ(Pauline à la plage)』。フランス人って、こんな退廃的で退屈そうなヴァカンスを過ごすのかと思ったので、記憶に残っています。



その後、フランスの友達にエリック・ロメールの映画を日本で見ていた話しをしたら、あんな退屈な映画を作る監督はない、と言われました。日常生活を描いていて、なんにも面白くないと、こき下ろす。

でも、外国人には、フランスの日常生活がどんなものなのかに興味がある。しかも、登場人物は淡々と、台本を棒読みするように、つまり私でも聞き取りやすいようにしゃべるのが良い。フランス語の勉強をするには最適な映画だと思って、ロメールの作品がテレビの二重音声放送されるときには、いつも見ていました。


海水浴場でヴァカンスを過ごすかどうか?

夏が近くなると、「ヴァカンスはどこに行くの?」というのが挨拶になります。相手にそう質問しながら、自分が何処に行くのかを自慢したいのだろうな、という気もしますが。

どんなヴァカンス旅行をするのかを聞くと、その人がどんな人であるか、かなり特定できます。

Charles-Augustin Sainte-Beuve(シャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴ) が言ったのが始めかな? 彼が残した言葉に、こんなのがあります。

Dis-moi qui t'admire et je te dirai qui tu es.
どんな人に感嘆するか言ってごらん。君がどんな人であるか言うよ。

前半の部分はどうにでも代えられるので、色々に言われています。何を食べているか、誰と付き合っているか、等など。 なので、このパターンのフレーズは誰が言いだしっぺなのかは分らない。

ヴァカンスをどう過ごすか、というのもフレーズになると思います。ヴァカンスを海辺で過ごすという人たちには、かなりはっきりしたパターンがある、と観察しています。

人がゴチャゴチャいても平気、というか、そういうのが好き。クラシック音楽なんかより、ディスコ音楽で踊るのが好き。みんなが「いい」というと、それを求めようとするタイプ。昔の価値観から抜け出せない...。

そんなことを考えたのは、先日行った友人の家で、一緒に旅行しようよ、という話しが持ち上がったからでした。その場のなり行きで私も参加するような感じになったのですが、翌日、それはマズイ! と思って、仲間の1人に「私は参加しない」と告げたのです。

旅行を提案した夫婦は、毎年夏には南仏の海沿いにあるコンドミニアムで夏休みを過ごしているのでした。つまり、私とは全く趣味が合わない人たちのはず。

彼らは、ずっと前から、いつも同じコンドミニアムを利用しています。休暇を過ごしに行くのは夏だけではないので、別荘を買ってしまった方が安上がりのはずだ、と友人仲間が言っているのですが。彼らが海辺の貸別荘マンションで夏の1ヵ月も滞在して何をするかといえば、ただダラダラと日常を過ごしているらしい。名所旧跡や博物館なんかには行かない。時々レストランに行くのがアクティビティー。 だから、いつも同じところに行っても満足するようです。

このタイプはフランス人には多いのですが、私は旅行したら美しい風景や歴史的建造物を眺めないと気がすみません。彼らと旅行すると、レストランで長々と食事をしながらおしゃべりをする時間が1日の大半になるのではないかと懸念したのでした。

そんなのは、私には時間とお金の浪費としか思えない。彼らとは親しいので、一緒に1日か2日の旅行をする程度なら楽しいだろうけど、3泊か4泊になったらたまらないな... と思ったのでした。


豪華な海辺での休暇

ヴァカンスを海辺で過ごす人たちには特徴があると書いたのですが、海がある地域で長期休暇を過ごす人たちは、大きく2つに分かれます。

まず、上に紹介した庶民的な海水浴場など、長期休暇ができる海浜部に行く人たち。それから、すごいお金持ちで、海辺に別荘を持っているか、法外な値段で別荘を借りるか、豪華ホテルに滞在する人たち。

イタリアの海岸の方が豪華な滞在をできる美しい場所がありますが、豪華な貸別荘はフランスにもあります。

南仏コート・ダジュールの高級貸別荘:


物件情報: Luxury villa on Cap d'Antibes rental with pool and tennis court in the South of France

こういう物件はいくらでもありますが、ここは絵に描いたような美しい村が丘の上にあるAntibes(アンティーブ)なので選んでみました。

どのくらいの値段で貸しているのかと思って情報を覗いたのですが、利用料金は問い合わせないと教えてくれないのでした。それはそうでしょうね。こういうところは有名人が利用するでしょうから、他人に滞在費が分かったら問題が発生する。

こういう成金主義の人が好みそうな家は好きではないですが、浜辺の喧騒とは無縁に静かに過ごせそう。こういう豪邸の滞在をプレゼントしてくれると言われたら断らないかな?... 海を眺めるのは好きだし。でも、プレゼントしてもらえるはずなんかないので、どうするか悩む必要はない!



情報(外部リンク):

アラン・コルバン(Alain Corbin)の著書:

浜辺の誕生―海と人間の系譜学

レジャーの誕生 〈新版〉 (上)

Les vacances... quelle histoire ! - EXPOSITION (Musée Poste Paris)
Les Français partiront moins en vacances cet été mais dépenseront plus 2013/05/30
[インタビュー]元城西国際大学 飯田芳也教授「フランスと日本の休暇制度」
☆ All About: 「有給休暇」の平均日数って、どれくらい?
☆ KINENOTE: 海辺のポーリーヌ

内部リンク:
★ 目次: フランスの美しい村々について書いた記事


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