| Login |
2013/08/10
ここのところ何回も行っている城で行われるイベントがあったので、また行ってしまいました。ブルゴーニュ地方にあるビュッシー・ラビュタン城(Château de Bussy Rabutin)です。

この城について書いた前回の日記:
ビュッシー・ラビュタン城にある17世紀の風刺画 2013/06/01

夏のフランスでは、色々なイベントが開催されます。個人が所有する歴史的建造物も、夏の間だけは見学できたりもします。行きたいと思うところに行っていたら、きりがないので選ばなければなりません。

今回ビュッシー・ラビュタン城に行ったのは、ショパンのコンサートのあと、城の中庭でピクニックをするという珍しい企画だったからでした。昔のピアノを使うという以外にはコンサートは珍しくはありません。最近のフランスは、古典楽器を使う演奏が流行っているような気もします。かなり頻繁に古典楽器を使った演奏会があるのです。確かに、うずもれさせてはもったいない音色があります。

最も惹かれたのは、城でピクニックをするという企画。自分で食べ物を持って行くのだから美味しいに決まっている。ロウソクで照らし出した城でピクニックとは、愉快で楽しいではないですか♪

そんなわけで、オマケのつもりだったコンサートなのですが、予想以上に素晴らしいものでした。少し前に、修道院で行われたコンサートに幻滅したのが覚めないでいたところなので(そのときの日記)、余計に嬉しくて感動してしまったのかもしれません。


ショパンの時代のピアノで演奏するショパンを聞く

ショパンの作品に限っての演奏会でした。始めに、演奏者が、使用するピアノについて簡単に説明してくれました。 実を言って、この人がピアニスト? という不安を感じたのですけど...。



演奏者はDaniel Rassinier という人。肩書きはピアニスト、作曲家、ビデオグラファー、音楽学校の教師だそうです。

古典ピアノのコレクターでもあり、所有するピアノの中から2台持ち込んで、ショパンの作品を演奏してくれました。

両方ともプレイエルのピアノ。左側のピアノはスクエア型ピアノ(piano carré)で1843年製で、右のグランドピアノ型(piano à queue)は1836年製。

このようなスクエアピアノは、裕福な家庭でピアノのレッスンをするために使われたのだそう。その後、これはアップライト・ピアノPiano droit)に発展して消えていきます。

19世紀のピアノの進歩は目覚ましく、7年の違いでも相当違うというのを両方を演奏して聞かせてくれました。

調べてみたら、ショパン(Frédéric Chopin: 1810~1849年)は晩年に、プレイエル、ブロードウッド、エラールの3台のピアノを持っていると語っていた、と書いているサイトがありました。1807年に創設されたプレイエルのピアノの素晴らしさを広める役割も果たしていたらしい。彼が所有していたプレイエルのピアノは1839年製で、現在も保存されているとのこと。


19世紀のピアノの音色は感動的

下は1936年製のピアノの鍵盤。写真を眺めてみると、黒い鍵盤のところで線が入っているような...。



グランドピアノの方が音が良いという先入観を持っていたのですが、7年の進歩の差が大きいらしく、スクエア・ピアノの方がまろやかで美しい音色でした。

スクエアピアノの鍵盤です。



始めはスクエア・ピアノの演奏からで、音色が響いてきたときには、ぞくっとするくらい優しく、美しい音でした。

この時代のピアノのフレームは木製だったでしょうから、そこからくる違いでしょうか? チェンバロを触らせたもたったときにも感じましたが、ただキーを叩いたときに出てくる音からして、温かみがある心地良い音なのでした。

それに比べると、7年前に作られたグランドピアノの方は音には尖っていて、深みがないと感じました。でも、何曲も聞いているうちに慣れてきたのか、その音も魅力的だと魅了されました。

現代のピアノは繊細な音を出す演奏ができますが、19世紀半ばのピアノも、また違った魅力があるのでした。

今回は演奏者から10メートルも離れていない席に座ったので、ピアノを演奏する指の動きがしっかりと見えたのが嬉しかったです。ショパンの演奏って、指の動きがすごいので見事! 迫力がある演奏でした。

2年前にも、パリで、古典ピアノを使ってショパンを演奏するコンサートに行っていたのですが、そのときより感動は大きかったです。

そのときのことを書いた日記:
美しいチャペルでのピアノリサイタル (サント・シャペル) 2011/11/02

やはり、昔のピアノというのは、大きなホールで聞くより、間近で聞くのに適しているのではないでしょうか?

それと、今回のピアニストは古典ピアノのコレクターだけあって、特殊なピアノに慣れているというのもあったのではないかと思います。パリで演奏した人は、鍵盤の感覚が現代のピアノとは少し違うので演奏しにくいと言っていましたので。

古典ピアノは、鍵盤の幅が狭いだけではなくて、鍵盤を叩いたときの深さが浅く、弦の張力も弱いので、弾きこなすには相当な技術が必要なようなのです。

ピアノ写真は休憩時間に何枚も撮ったのですが、入れるのは省略。

ピアニストの別の演奏会を紹介したサイトに、同じと思われるピアノの写真が入っていますので。
- Pleyel n° 5507 de 1836
- Pleyel n° 10524 de 1843

入っている写真をクリックすると拡大します。プレイエルの制作年が同じなのですが、私が見たものとは少し違っている感じもします。サイトの写真を撮影した後、修復したのかもしれないとも思います。今回のコンサートでは、古典ピアノの修復専門家も来ていて、幕間には質問をしている人たちがいました。


ピアニストとは思えない風貌だったのですが、素晴らしい演奏を聞かせてくれました。2台のピアノの音色が全く異なるのを聞き比べるのも非常に興味深かったです。

主催者の予想以上に観客が多く、用意した小さな会場には座れない人もいたようです。

コンサートが終わると、熱狂的な拍手。アンコールとして、ショパンの本格的な曲を2つも演奏してくれました。もちろん、両方のピアノで1回ずつ!


ショパンが現代のピアノで自分の作品が演奏されるのを聞いたら、どう思うのだろうか?...

もちろん下手に演奏されたら死んでも死にきれないでしょうけど、そういうのではなくて、私たちが素晴らしいショパンだとうなる演奏を聞いたときのこと。

繊細な、強弱もはっきり出る音も出て、こんな風にもなるのだ、と喜ぶだろうか? あるいは、自分が表現したかった音とは違う、と腹をたてるか?...


すっかり満足した演奏会の後は、お城の中庭でピクニックをするイベントが待っていました。午後9時を過ぎていたので、少し寒くなってきたけれど、お天気は大丈夫そう♪

続きへ:
ブルゴーニュのお城でキャンドル・ピクニック

ブログ内リンク:
★ 目次: クラシック音楽
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
ショパンの葬儀ミサを再現したコンサート (マドレーヌ寺院) 2011/11/10

外部リンク:
むかしむかしの素敵なピアノ展 - 展示楽器のご紹介 [動画入り]
ピアノの19世紀
☆ ヤマハ株式会社: ピアノ音楽の隆盛 - 19世紀の音楽
ショパンの時代のプレイエル ピアノとスティマーザール所蔵ピアノ
ピアノの歴史
ショパンの時代のピアノ
Chopin, ambassadeur de la marque Pleyel


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する