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2013/08/30
友達仲間での夏のビックニュースは、来年から農業に転向する人がいたことでした。

50代後半の男性なのですが早めに年金生活に入れるらしく、来年の夏になる前に故郷のブルゴーニュに戻って父親の農業を本格的に手伝うのだそう。仕事を引退したら住むようにと家も買っていたのですが、まさか農業を始めるとは思っていなかった。

すでに農業研修を終えて、農業者資格試験にもパスしたとのこと。「君はペイザン(百姓)になるの?」とからかう人がいたら、「僕はずっとペイザンだったよ」と返事していました。確かに、穀物栽培農家なので、夏には3人の兄弟たちは総出で収穫を手伝っていたので、全く知らない世界に飛び込んだわけではない。

彼のお父さんは、今まで以上に頑固になって手に負えなくなったと聞いていたのですが、いよいよ農業は無理になったらしい。力仕事ができないというよりは、数字がからむ仕事が無理になったようです。それで、彼は特に、雇人には任せられない経理などの事務をする責任者になるようです。

それほど大きな土地を持っている農家ではありません。せいぜい、200ヘクタールくらいしかないのではないかな。

彼の農場の近くに穀物栽培農家の実家がある別の友達の場合は、1人いる男の子が農業を継いでいます。かなりの大規模農家のよう。最近、父親が財産わけのために、他の2人の女の子が共同経営者のような形で農業収入を与えるようにしました。私の友達は医者なのですが、入るようになった農業収入は本業の2倍近い収入になると話していました。フランスの農業者の所得格差は、企業の社長と平社員の差よりも大きいと言われています。本当に、収入が多い農家があるのだな... と思うエピソードでした。

3人の子どもたちに公平に財産を分けようとしたお父さん、何か予感を感じていたのかと思ってしまう事件が起こりました。

干し草を納屋に積んでいたとき足を踏み外して、大きな干し草に押しつぶされて急死してしまったのです。

大きな干し草は1トンくらいあるのだそうですから無理もない。 病院に運ばれたときには外傷もなくて、意識もはっきりしていたのに、翌日にはあっさりと息を引き取ってしまいました。

農業は、一国あるじの良い仕事だと思うのですが、危険も伴っているのですよね...。 でも、長く生きれば良いというものではないのだから、誰にへつらうこともない人生を過ごせた友達のお父さんは幸せだったと思う。

でも、昔は人が動かせる大きさの四角い干し草を作っていたのに、今は機械で1トンもある巨大なロール状の干し草を作ってしまうからいけないのだ、などとも思ってしまったのですが...。

話しを戻して、農業者の資格を得た彼の場合。

広大な農場でもなくて、子どもたちの中に後継者がいなかったら、土地を売ってしまったら子どもたちの老後が少し潤うと思う。農業国フランスは生産過剰なくらいなのですから、これ以上農地を広げなくても良いと思うのだけれど、畑にあった木々まで切って、どんどん農地を広げています。農地を売ろうと思ったら、いくらでも買い手がいるはず。

でも、農業者としてのメンタリティーがあって、農業者になる彼の家族は、土地は絶対に手放したくないのだろうと思いました。

ともかく、彼は兄弟の中で自分が農業を継がなければならなかったという悲壮感は全くなく、農業を仕事にできるのが幸せそのもののようでした。先日、近くで農業祭が行われるので行くと言い出したので、友人仲間も行くことにしました。


小さな町の農業祭

田舎のあちこちで開かれる小さな農業イベントなので期待はしていませんでした。 でも、行ってみると、農業高校の敷地を使っていたので広い会場になっていました。

開催された町の人口は5,000人くらいで、まわりは過疎地で農業なんか珍しくない環境にあるのに、近郊の人たちは皆来たのではないかと思ってしまうほど人が集まっているので驚きました。

入場無料だったせいもあったのでしょうけれど、フランス人は農業に関心が強いのだと思ってしまう例。



顔を突っ込んで記念写真をとるためのパネル。「ファームへようこそ」と書いてあります。

110という数字が気になりませんか?

「110 Bourgogne」と書かれた看板をブルゴーニュの穀倉地帯でよく見かけるのですが、これを見ると、どうも110番を連想してしまう私。でも、こちらはブルゴーニュの穀物関係の組合かなにかの名前なのです。このパネルも、この組織が立てたらしい。


昔の農業を懐かしむコーナー

会場に入ったら、馬の蹄の音が聞こえてきました。作業馬が馬車をひいています。



フランスには色々な種類の作業馬がいますが、どれも美しいと思う。けなげに働いているのが感動的...。

馬車に乗りたいと思ったのですが、子どもたちと、子ども連れの大人しか乗っていないように見えたので諦めました。

昔の農業の様子を見せるアトラクションも幾つかありました。

高校の畑らしいところでは、昔のトラクターを使って穀物を収穫するデモンストレーション。



今と違って、この時代のトラクターでは行ったり来たりで大変だったろうな...。


巨大なトラクター

この日の会場には、数えきれないくらいのたくさんの最新型トラクターが展示されていました。



中でも一番大きそうに見えたトラクターから、男の子が降りてくる。乗ってみてしまって良いらしい。

ということで、私も次に乗りました。梯子のような階段を数段登って、でんと運転席に座ってみる。



いろんなボタンがあります。前だけではなくて、横にも、訳が分からないボタンがたくさん並んでいる!



口の悪い友達が、「今の農業者からトラクターをとりあげたら、彼らは作物なんか作れない」と言っていたのですが、こんなマシーンを操縦できる技術は大変だと思いますよ~。

素晴らしい乗り心地です。こんなのだったら、まる1日乗っていても楽しそう。冷暖房完備だし、音楽もガンガンかけられるし、もちろんトラクターが外に出す音なんて自分は聞こえないのだから。工場で働くより、ずっと労働条件が良いだろうな...。



ここには誰も説明する人がいなかったので、後で会ったトラクターを売っている人に聞いてみました。こんな大型トラクターの値段は、400,000ユーロは下らないだろうとのこと。

「すごい! お家が買えちゃう値段じゃない?!」と私が言ったら、「この辺にある家なら、お城だって買えてしまう値段だよ」と言われました。

円に換算すると、5,000万円か...。フランスの農家では、こんな大きなトラクターを1台持っているなんてものではなくて、何台も置いてあるのです。みんなが、農業者に嫉妬心を抱いてしまうのも無理がないと思う...。


私はトラクターが好きなので、もう少し小さなタイプのにも乗ってみました。安いタイプだと、操縦席のボタンも少なくて、運転は簡単そう。

乗ってみても動かせるわけではないのですが、 フロントガラス越しに見える人間たちが小さく見えるので、優越感を味わえる♪

それにしても、フランスの穀倉地帯で使うトラクターって、すごい大きさ...。



400ヘクタールも耕したりするときには、このくらい翼を広げないと、往復するだけでも大変なのだろうけど...。

気になったトラクターがありました。 車体が傾いているのです。 どうして?...



傾斜地で、斜面に合わせて車体を傾けて地面との高さを同じにして、穀物を収穫できるタイプなのだそうです。なるほどね...。


家畜コーナー

もちろん、家畜もたくさん集まっていました。



以前から気になっていた羊の品種が陳列されていました。牛の品種で知っている「シャロレー」という名のヒツジ(Mouton Charollais)。かなり大きめな感じがしました。



シャロレー種のヒツジが気になったときに書いた日記:
ブルゴーニュにあるシャロル町を散歩 2010/08/01

ヒツジたちの横で、羊追い専門の犬の子どもが売りにでていました。連れて帰りたくなるほど可愛い!



子どもたちのためには、トラクターの玩具などのほか、子どもサイズの作業着も売られていました。

 

左側にある牛の絵がついたTシャツには、「プチ・ペイザン(小さな百姓)」なんて書いてあります。

フランスの子どもたちは早く大人になりたがるので、こんなツナギなんかを着るのが大好きなのだそう。  玩具の方もそうだけれど、こちらの作業着の方も、かなりのお値段でした。

毎年パリで開かれる農業祭は、一般の人たちも楽しめるアトラクションの要素が強くて、日本では想像できないくらい盛大なイベントです。今回行ったのは田舎のイベントなので大したことがなかったのですが、それでも見学を楽しんで帰ってきました。

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