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2013/09/19
前回の日記「大金持ちが修復した城を見学」で、お金があるとこんなに好きなように建築物を修復できてしまうのだと感心した話しを書きました。

でも、そういう人は例外的だと思う。なまじっか大きな城を相続してしまったために苦労している人たちの方が多いのではないかな?

今日書くのは、大きな城を持っている知り合いの独身女性のお話し。

彼女の祖父は大金持ちだったのですが、だんだん財産が減ってきました。それでも一人っ子の彼女は、町にある家に住んでいて、田舎にある城のほかに広大な農地も所有しているし、羽振りが良かった時代にあった絵画やタペストリーなども相続しています。

それなのに、彼女が口を開くと、お金に困っている話しばかり...。

今年支払う税金は2万ユーロなのだ、と言っていました。300万円近く? 私なんか逆立ちしたって払えない金額です。でも、それだけ税金を払わされるということは、農地約600ヘクタールを貸したりして、かなりの収入があるということではないですか?

でも、彼女にお金がないのは事実のよう。生活費を稼ぐために家政婦として働いているのです。知り合いが集まって噂話をするときは、あんなに財産がありながら、そういう仕事をしているなんて... と、みんなで飽きれてしまっています。


お金がかかるだけの城

彼女が相続した城は19世紀の建物なのですが、長いこと放置していたので、全く住めない状態になっています。

夏の間だけ来ていた母親がいたころも、寝るときは庭園の片隅にある質素な門番の家を使っていました。その母親が亡くなった後は誰も来なくなったので、城の老朽化が進みました。

天井は雨漏りで穴だらけの状態になったので、最近になって屋根を葺き替えました。本物のスレート石瓦は高すぎるので偽物を使ったそうですが、なにしろ大きな城なので、屋根も広い。いくらかかったと言っていたっけかな? 私などには天文学的数字なので忘れました。

屋根がきれいになったので、外観はまともになりました。でも、中は全く住める状態にはありません。庭園の広さは40ヘクタール近くありますが、全くの荒れ野原。昔を知っている村人たちは、庭園には花が咲いていて、城で働く人も30人くらいいた、と話すのですけれど。

時々思い立つらしくて、城を修復しようとしています。もう、あきらめて廃墟にしてしまった方が良いと思うのだけれど。

荒れ放題になっている庭園の邪魔な木々を伐採することにしました。庭園の広さは40ヘクタール近くあります。業者に見積もりをさせたら、150万円くらいと言ってきたのだそう。木材として価値がある木はないので、伐採した木は引き取らないから、その値段。そんなに出せないと別の業者を探したら、半額。

それでも高いと探したら、森林組合のようなものがあって、会員になると5万円くらいで樹木の管理をするということで伐採してくれることになりました。

色々なものを持っていると、苦労があるのですね...。

城に1人で住むのは怖い。それで、男性を探そうとしているのですが、見つからない。それはそうでしょう。「城を持っています」と自己紹介しても、実際に城を見たら、誰でも逃げ出すと思う。それに、彼女はものすごいおしゃべりなので、一緒に生活したら疲れるタイプです。


母親に押しつぶされた人生...

彼女は現在60歳くらいで、結婚もしなかったし、子どもはいません。相続権のある親戚の子とは気が合っていないらしい。それなら財産を全て手放したら余生を安楽に生きられると思うのですが、親の遺言が頭にこびりついていて売れないらしい。

お金がないとぼやいている彼女に、「あなたは私なんかよりずっと財産があるのだから、人生を楽しまなきゃいけない」と言ったのですが、「だけど...」という感じで納得してはもらえませんでした。

彼女の母親は非常にきつい人だったので、娘の人格をゆがめてしまったというのが、みんなで一致する見かた。彼女が若いときに結婚しようとしたら、母親に反対されて破談になったそうです。

彼女の口癖は、「私はpauvre fille(可愛そうな女の子)です」。母親から、「なんて貴女は馬鹿な子なの」という感じで、ため息交じりで繰り返されたのではないかな...。

彼女は顔立ちが良いので、普通の家庭で育ったら、普通の人生を歩めたと思う。ちょっと歯車が狂っているのは認めるけれど、決して頭が悪い人ではないのです。彼女の母親は娘をしいたげることに喜びを感じていたのだと思う。 そんなことをされても、娘の方は母親にひれふしてしまう。親子関係では、そういう不公平も成立してしまうものだと思います。


この夏には、城の中を全部見せてもらいました。地下室には入りませんでしたが、屋根裏部屋まで見学しました。部屋は40か50くらいあるかな。でも、どこも物置状態なので驚きました。



むかし、彼女の母親が来ていたときにお茶に招待されたときには、ちゃんとした状態の部屋が幾つかはあったのに...。

食前酒でななくて、お茶に招待されるというのは、私にはフランスで初めてした経験なので、強烈な印象が残っています。お上品にイスに座って、お茶をいただく。フランスも、ブルジョア階級の人たちの生活はこんななのだ... と感心したのでした。

思い出せば、今は孤児となった彼女は、そのお茶の席ではほとんど口をききませんでした。怖いお母さんの前では、小学生のように黙っている...。 当時の彼女は50歳くらいだったはずなのですけど。

タペストリーや絵画など、価値があるものは銀行に預けている様子。でも、異常に荷物が多いのです。話しを聞いたら、昔からあったものだけではなくて、彼女が買い込んだ品々が入っているからなのでした。 母親がいなくなって自由になった彼女は、安物を買いまくる趣味を増大させたようです。

先日も、閉店特別セールで買った、イスの置くクッション百個を城に運び込んでいました。その類いの、何の必要もない買い物を色々しています。ただし、イスも百個はあるだろうと見えたので、全く無意味ではないのでしょうけれど。でも、そのイスを何に使うの?...
 
天井には穴があいているので、とても住める状態ではないのですが、8つある寝室の数、ベッド、マットレス、ランプ、テーブルなどを揃えています。修復前に入れるものを買ってしまうというのは異常...。

城の中は骨董品として価値がありそうなものと、彼女が買い集めたガラクタであふれているのですが、住んでいる町にある家の中も物置状態なのだそう。

買い物で払えるお金があるから良いけれど、なかったら、万引きをしてしまう病気ではないでしょうか?

彼女は、食費も節約するために、いつも大量に買って冷凍庫に入れてある牛肉のミンチ・ステーキばかり食べているのだそう。大量に買うのが癖らしくて、ミンチ・ステーキも一度に30個とか、そんな量を買っているそうです。

少し前、彼女が家に立ち寄ったので、どうせ彼女の城には何も食べるものがないだろうと思って昼食に誘ったら、その後なんども、あんなご馳走を食べたのは久しぶりだった、と感謝されました。突然だったので、残り物を日本料理風にアレンジして出しただけだったのですけど。

色々な人生があるものですね...。
断罪したいのは、彼女をゆがめた母親だけど...。

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コメント
この記事へのコメント
はじめまして。
古い日記へのコメントですみません。昔フランスにしばし住んだことがある者の立ち寄りです。
昔、知人の家の城を訪ねたことはありましたが、こちらの方のお城と比べたら小さなもの。お部屋数が4~50ってなかなかですね。
お友達、お城を格安で貸しアトリエにすればよいのにって思いました。暖房費などがかかりそうだから夏場だけとかになってしまうかもしれませんけれど。ボザールの学生とかに無料滞在つきボランティアつのれば片付けや手入れもやってくれるんじゃないでしょうか?

興味深い日記ありがとうございました。

また立ち寄らせていただきます。
2014/06/29 | URL | neige  [ 編集 ]
Re: はじめまして。
v-22 neigeさんへ

コメントありがとうございます。

>知人の家の城を訪ねたことはありましたが、こちらの方のお城と比べたら小さなもの。
⇒ お城が大きいと維持費の負担が大変なので、特別に美しい城でない限りは、小さいお城の方住みやすいので不動産価値が高いだろうと思っています。

>お城を格安で貸しアトリエにすればよいのにって思いました。
⇒ フランスには城と呼ぶ広い建物はいくらでもあるので珍しくはないし、ここのように住めない状態になっていると借りてくれる人はいないと思うのですけど...。借りてくれる人がいたとしても、水道や電気の具合が悪くなったときの修理費は大家として負担しなければならないので、お金がかかり過ぎてやっていけないだろうとも想像します。

でも、偶然にしても不思議なご提案。この城の持ち主は、最近、絵を描き始めて、少し絵が売れるようになってきたのです。でも、町中にある家で描いています。コンクールで優勝した絵を300ユーロで売りに出したら、買い手がたくさん出たのだそう。友人たちと、「もっと高く売らなければいけない」と言ってしまいました。どうも、お金が入ってくるのには縁がない人みたい...。
2014/06/30 | URL | Otium  [ 編集 ]
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