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2013/09/30
むかし受験勉強をしていたころ、ラジオの深夜放送でキリスト教の番組を聞いていました。新約聖書もプレゼントしていただいてしまった...。

近くにあった教会にも行ってみたのですが、そのとき覚えた祈りがあります。


祈りの言葉

主の祈り」というものでした。

天にまします我らの父よ
願わくは
み名をあがめさせたまえ
み国を来たらせたまえ
み心の天に成る如く地にもなさせたまえ
我らの日用の糧を今日も与えたまえ...

フランスでのお祈りの言葉はどうなるのか調べたら、「日用の糧」の部分は「日々のパン」あるいは「今日のパン」となっていました。

Donnez-nous aujourd'hui notre pain quotidien (あるいは pain de ce jour).

上に書いた日本語の祈りの言葉はプロテスタントのものなのですが、カトリック教会でも「わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください」となっていて、パンは登場していません。

考えてみると、パンを「糧(かて)」という言葉になっているのは当然でしょうね。米が主食の日本で、「我らにパンを与えたまえ」と言ったら変でしょうから。


それでは「食前の祈り」ではどうなのだろう?

日本のカトリック教会では、こうなっているようです:

父よ、あなたのいつくしみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、わたしたちの心と体を支える糧としてください。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

フランス語の食前の祈りには色々バリエーションがあったのですが、最もよく言われるのは次のフレーズのようです:

Seigneur, bénis ce repas, ceux qui l'ont préparé, et procure du pain à ceux qui n'en ont pas.

後半の部分は、「パンがない人々にパンを与えてあげてください」です。 つまり、ここでもパンが登場する!...


ところで、祈りの最後に言う「アーメン」はフランス語でもAmenと綴るのですが、フランス人が言うと「アメンヌ」と聞こえます。それをアメーヌと、「メ」に力を入れて発音して笑わせる友人がいました。手のジェスチャーを入れるので「Amène !」と言ったのだと分かるわけですが、これだと「持って来い」という意味になるのです。

つまり、食べ物を出してよ~、ということになってしまう! この人は、子どもの頃に食前の祈りをさせられた食卓で、お腹の中で「アメーヌ!」とお母さんに向かって叫んでいたのかもしれない。


ミサの最後に登場するもの

キリスト教を身近に感じるようになったのは、フランスに来てからです。旅行していて美しい教会があれば必ず見学するので、そこにあるものの意味を知りたくなる。葬儀や結婚式やワイン祭りなどでもミサに参列することもあるので、風習を少しは知っておかなければならない。

普通のミサに出会ったときに気になるのは、最後に行われる聖体拝受の儀式。


ヴェズレー大聖堂で行われる修道院のミサ 2013/06/25

気をつけたことがなかったのですが、結婚や葬儀のミサにはないような気がする...。

この聖体拝受の儀式は、最後の晩餐が関係しているのでした。

Última Cena - Juan de Juanes

イエスはパンをとって「これがわたしの体である」と言い、杯をとって「これがわたしの血である」と言って弟子たちに与えた。キリスト教では、パンとワインが大切なものになっています。

ミサの最後に信者に与える薄いおせんべいのようなものは、最後の晩餐でイエスが分け与えたパンを象徴しているのだそう。

Église Saint Jacques, Reims

教会を見学していたとき、ミサの準備が整っていたので撮影した写真です。器に入っているのが信者に食べさせるホスチア(聖体)。フランス語ではhostie(オスティー)。日本から持ってきたエビせんを出すと、たいていフランス人から「オスティーみたい」と言われます。

ホスチアは、酵母を入れていないパンなのだそう。何にでも興味を持ってしまう悪い癖があるので、パリのノートルダム寺院を観光したときにミサをしていたので、これをいただいてしまったことがありました。

パンの味がしたかな?... 何にも味がない、という記憶しか残っていません。洗礼を受けていない人はホスチアをいただくのを遠慮すべきなのだと友人から教えられたので、再び味わってみることはできません。

ミサの儀式で最後の晩餐を象徴しながら、パンを聖体として与える意味は分かったのですが、「これがわたしの血である」という方のおすそ分けがないのが分からない。

祭壇の上にいる司祭さんだけがワインを飲んでいるのです。上にリンクした日記で書いたヴェズレーのミサでは、聖体とワインの両方を信者さんたちに与えているのを目撃した唯一の例外でした。

それに、まだ分らないことがあります。

血の象徴なら、赤ワインが自然ではないですか? ところが、フランスの司祭さんは白ワインを飲んでいるそうなので、理解できない。昔のミサでは赤ワインを飲んでいたと聞いたこともあるのですが、もしそうだったのなら、どうして白ワインになったのだろう?...  食事の前にワインを飲むなら、私も白ワインの方を好みますけど。


追記

ミサで飲むのが白ワインではおかしいと書いたことに関して、「カトリック教会内では、特に赤か白か、という決まりはないように思います」というコメントをaostaさんからいただいて、ミサで飲むワインの銘柄をしっかりと指定していた人がいたという有名な逸話を思い出しました。

ご所望されたのはブルゴーニュワインなのですが、何だったっけ?  調べてみたら、格言として簡単に出てきました。お気に入りは、ムルソーでした。

Je dis ma messe avec un grand meursault, car je ne veux pas faire de grimaces au Seigneur quand je communie.

「私は偉大なムルソーでミサをあげます。私が聖体拝受の儀式をするとき、イエス様にしかめっ面をしたくはないですから」

こう言ったのは清く正しい聖職者ではなかった方なのですが、これを飲みたいとワインを指定してしまうお気持ちは分かります。

口に含んだだけで、うへぇ~、と顔をしかめてしまうワインは多いですから!

つい最近に行ったレストランでワインを飲んで、私のデイリーワインとは違って深みがあって、やっぱり美味しいな... と感慨にひたったのが、偶然にもムルソーの白ワインだったのでした。

この言葉を残したのは、ルイ15世の時代にローマ大使を務めたCardinal de Bernisという枢機卿。

ムルソーの赤ワインもありますが生産量が非常に少ないし、ムルソーといえば白ワイン。なので、ご所望されたのは白ワインだと思ったのですが、数百年前は赤と白は同量くらい生産されていたのだそう。

ムルソーについての情報

それで、分らなくなってしまいました。あちこちのサイトで、枢機卿とムルソーのことを書いているのですが、そのワインが赤だったのか白だったのかには触れていないのです。

ミサで飲むワインはこれでなければ嫌だと言った枢機卿のことを検索したら、ミサでどのくらいワインが消費されるかを書いているサイトに出会いました。

フランスに関する数値はないけれど、イタリアのは出ているとのこと。年間に80万リットルがイタリアのミサでは消費されているのだそうです。すごい! でも、イタリアはフランスとは比較にならないほどキリスト教信者が多いので、ミサもたくさん行われているはず。

イタリアで行われるミサでは、1回あたり平均35ミリリットルが使われる。大したことないですね...。聖職者が1年で消費するワインを計算すると、1人あたり27.6リットル。計算に弱いので、多いのか少ないのか分かりません!...


クイズ: これは何でしょう? - 城のダイニングルームにあったもの
クイズの出題
   ⇒ ヒント   ⇒ 解答


ホスチア(聖体)をどのように作るのかなどを見せるフランスの番組があったので入れておきます。材料は小麦粉と水だけなのだそう。


L'hostie - Visites privées

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: パン、パン屋、昔のパン焼き窯など
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
☆ Wikipédia: Notre Père (主の祈り)
☆ Wikipédia: Bénédicité (食前の祈り)
Textes de bénédicités et Actions de grâces
ジャン・シメオン・シャルダン-食前の祈り
Vin de messe (ou vin liturgique)
Définition: Vin de messe
☆ Guide Vert Michelin: Bourgogne Le vin et la table


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コメント
この記事へのコメント
>祭壇の上にいる司祭さんだけがワインを飲んでいるのです。

神父様がカリス(杯)の中のワインにホスチアを浸して信徒に与える場合がおおいのではないでしょうか。結果的に一般信徒が頂くワインは、ほんとにちょっぴり(笑)

アルコールに対する免疫のない人、子ども、病気など様々な事情に配慮してプロテスタント教会では(カトリックの聖体拝領に該当する)聖餐式においてワインではなく葡萄ジュースを用いるところが多いようです。うがった見方かもしれませんが、カトリックの聖体拝領でワインをいただく機会が少なくなったことにも、同様の配慮があってのことかもしれません。


>血の象徴なら、赤ワインが自然ではないですか?

確かに最近は、聖体拝領時に白ワイン、ということが多いですね。
私の子どもの頃は赤ワインでした。
おっしゃられるように、ワインを「キリストの血」とするならば、確かに赤のほうがぴったりしますが、カトリック教会内では、特に赤か白か、という決まりはないように思います。聖体拝領時、ワインを入れた杯(カリス)を清めるために白いナプキンを使うのですが、赤ワインより白ワインのほうが汚れが目立ちにくいという現実的な理由もあるのでは、という気もします(笑)

2013/09/30 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

>ワインにホスチアを浸して信徒に与える場合がおおいのではないでしょうか。
⇒ ミサのときには遠慮して後ろに座るので、どうなっているのか観察できていません。ワインにひたしているのだとしたら納得できます。

>カトリックの聖体拝領でワインをいただく機会が少なくなったことにも、同様の配慮があってのことかもしれません。
⇒ フランスの中年以上の世代の人たちは、学校給食にワインが出たと言います。市場に出ることができないから給食で消費していると思わせるような安物ワインだったのだそうで、そのままでは喉に通らないので水で薄めて飲んでいたと言っていました。強度の硬水よりはワインの方がマシ、という風土があった国なのだろうと思います。私はフランスの水を飲むとすぐにお腹をこわしてしまうので、アルコール度が低い白ワインを水代わりに飲んでいます。スチームアイロンは水道水を入れたらすぐに詰まってしまうので、特別な水を買って入れるくらいなのですから、軟水で育った私がフランスの水を受け付けないのも自然だと思う。アルコールに弱い体質でなくて良かったと思ったりして...。

長い歴史を生き抜いた宗教は、つちかわれた生活の知恵も吸収していると思います。イスラム教がアルコール飲料や豚肉を禁止しているのは、暑い国では危険だったから。キリスト教文化の国では、喉が渇いたときに飲むには水よりワインの方が体に優しかったからではないかな?... と思ったりしています。

>最近は、聖体拝領時に白ワイン、ということが多いですね。
⇒ 白ワインを使うのはフランスだけの傾向なのかを知りたいと思っていたので、ご報告に感謝します。

>カトリック教会内では、特に赤か白か、という決まりはないように思います。
⇒ 逸話を思い出したので追記を入れました。

>赤ワインより白ワインのほうが汚れが目立ちにくいという現実的な理由もあるのでは、という気もします
⇒ なるほど...。それなら、洋服にこぼしてもシミはできないといわれるシャンパンにしたら良いのに~ と思ってしまいました(笑)。でも、用意してから時間がたって泡がなくなり、生ぬるくなったシャンパンをミサで飲むのは辛いだろうな... と想像。
2013/09/30 | URL | Otium  [ 編集 ]
ワインについて
ワインについてですが:
禅宗の僧侶のように、
飲み干した後、白いクロスで聖杯を清めますよね。
皆さんがおっしゃるように、赤ワインではシミがつくから、
と聞いています。
カトリックの国、ドイツ在住です。
2016/11/25 | URL | herbstrose  [ 編集 ]
Re: ワインについて
v-22 herbstroseさんへ

ドイツでも白ワインですか。私もドイツワインを飲むなら白ワインを選びたいです♪(笑)

これを書いた後も、フランスのサイトに書かれている関連記事に行き当たると眺めるのですが、白いクロスを汚さないようにという理由が出てきていました。白ワインも、食事をしていない状態で飲むのに適した甘口を使うケースも多いとか、ヴァチカンやイタリアでは伝統を守って赤ワインだという記述もありました。
2016/11/26 | URL | Otium  [ 編集 ]
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