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2013/10/19

旅行記 目次 【ブドウ収穫シーズン、シャロレー牛産地】 目次へ
その5


先日の日記でクイズを出しました:
クイズ: これは何でしょう? - 城の門

城の入口の門の上にあった建物(左の写真)は何でしょうか、というのがクイズでした。

4名の方からコメントをいただいたのですが、「これのはずはない」として書かれていた答えも含めれば、全員の方が正解を出してくださいました。

いただいたコメントは全て公開せずにお返事だけ入れていたのですが、この記事を転送する前に全て表示されるようにしました。

簡単すぎたために、かえって考え込まさせてしまった方々もあって申し訳なかったです...。


クイズの建物

小屋の部分を大きくした写真を入れます。城の中から見た角度です。


窓に穴があるのが特徴。さらにアップするとボケますが、こうなっています。



この穴は、鳩が出たり入ったりするためのもの。つまり、これは鳩小屋でした。

鳩小屋のハトが出入りする窓は、上の方に作っています。鳩を食べてしまう動物がもぐりこんでしまわないようにという配慮。

でも、人が通るところに鳩を住まわせるのは変だ、というコメントがありました。考えてみれば、そうですよね。門をくぐるときに、小屋に出入りする鳩から糞をひっかけられそうに思えてきます。

鳩を住まわせるには高い所が良いわけですが、門柱の上に作ってしまえば、下の部分はそのために作らなくても良いからだったのだろうと想像するのですが、大丈夫だったのでしょうか?...


フランスの立派な鳩舎は城で見かけます。こういう場合は、鳩舎は城からかなり離れたところにあるのが普通です。



この写真を入れた日記:
これは何のために使われていた建物?  2006/05/25

実は、この写真を使って、すでに鳩小屋が正解だったクイズを出していたのでした。なぜか私は鳩舎が好きで、色々な形があるものですから、珍しいタイプに出会うと喜んでしまうのです。

始めのクイズで使ったような鳩小屋のための塔か、母屋の横に建っているのが見慣れたタイプなので、今回使った鳩小屋は門の上に乗っかっているのが面白いと思いました。

鳩舎が好きな私は別に変わっているわけではなくて、フランス人も鳩舎に愛着があるように感じます。昔の鳩小屋が家にある人たちは自慢に思っているようですので。


Saint Hilaire 2ところで、鳩舎/鳩小屋は、フランス語ではpigeonnier(ピジョンニエ)、colombier(コロンビエ)と呼ばれます。

ピジョニエが最もよく使われる単語という気がします。

その他、fuie(フュイ)という単語もあります。 これは、既存の建物の一部(屋根裏部屋など)を鳩小屋として使うタイプに使われているものに対する用語のようです。右の写真(修道院)がその例。クリックすると原画が開きます。

また少し鳩舎について調べてみました。


鳩舎には色々な形がある

人が通る門の上にある鳩小屋というのは、数が少ないように思います。似たような形をワイン農家の建物で見ていました。



ドングリのようなのが鳩小屋です。これをクイズの写真にした方が、正解が出にくかったかな?...

家にくっついていると、鳩の鳴き声がうるさくてたまらないと思うのですけど。

今回のクイズ「クイズ: これは何でしょう? - 城の門」の初めに雑談風に書いて写真を入れた家(右の縮小写真)にも鳩舎があります。

これは、ブルゴーニュの農家などでよく見かける形。

この家のハト小屋の部分を拡大して入れます↓



鳩が出入りする穴がありますね。この入口のところには、鳩が離着陸に使う棚がついているはずです。

この家の場合、下の部分は住居として使っているようです。昔は塔全体が鳩舎だったのを、使わなくなった今はスペースがもったいないと改造して窓を開けた可能性もあります。でも、上に鳩小屋を作り、その下は納屋として使う、という建て方も多いようでした。

フランスの鳩舎について詳しいサイトがあります。サイトを作った人は地質調査が仕事なので、フランス各地を歩いて鳩舎に興味を持ったのだそう。

鳩舎の特徴を下のように分類していました(リンクは例を示す写真集)。
  1. アーケードの上に小屋がある: Pigeonniers sur arcades
  2. ハーフティンバー型(木組みの間を石材、戸壁、レンガで埋める): Pigeonniers à colombage
  3. ドーム屋根: Colombier à coupole
  4. 4本柱で支えられた小屋: Pigeonniers sur 4 piliers
  5. 多数の柱で支えられてた小屋: Pigeonniers sur piliers
  6. 門の上にある: Pigeonniers porche
  7. 異形タイプ: Pigeonniers "atypiques"
この分類によると、今回のクイズで使った門の上にある鳩小屋は、(2)と(6)に分類されるタイプですね。


城にある別棟の鳩舎は、丸い壁面の塔、四角い塔など、色々な種類があります。

別のサイトでは、鳩舎を別の呼び名で分類していました:
☆ Les pigeonniers en Périgord: Les différents pigeonniers

ペリゴール地方の鳩舎に関するサイトなので地域は限られるのですが、分類名と一緒に写真を入れ、さらにクリックすると説明が出てくるので、こちらの方が分かりやすいかもしれない。ここでは、上にかいた分類にはない、洞窟の中に作った鳩小屋というカテゴリーもあるのですが(フランスの一部の地域では洞窟住居もあります)、これは1つのタイプとして区別すべきでしょうね。


立派に修復した鳩舎の場合は、中を学できることがあります。

ハトのつがいが入れる穴ができているわけなのですが、城にある場合には、この巣穴が数千もある巨大な鳩舎もあります。

内部の巣穴も、四角い穴、丸い穴とがあり、材質も色々です。

右に入れたのは四角い穴を石で作っている例。


鳩小屋がなぜ必要だったのか?

昔のフランス人たちにとって、鳩は大事な動物のようでした。

17世紀末には、フランス全土に42,000の鳩舎があったのだそう。中世に鳩舎が作られたのは少なく、17世紀、18世紀に多く建てられました。

貴族たちは、領土1ヘクタールほどに対して、鳩の夫婦1組持てるということになっていました(つまり、巣穴の数に相当)。 立派な鳩小屋は権威の象徴でもあるからでしょう。非常に装飾性が強い建築物もあります。

フランス革命の後には、誰でも鳩小屋を持てるようになります。それで、現在田舎でよく見る昔の農家にある鳩小屋の多くは19世紀につくられたものが多いようです。

鳩を買う理由は幾つかあると言われます。
  1. 食用にする。現在でも、フランスでは今でも鳩を食べます。中世には、特別なときに食べるご馳走だったのだそう。


  2. 鳩の糞は優れた肥料になる。ブドウ、麻、野菜の畑などで重用された。


  3. 狩猟で使うハヤブサを調教するのに鳩を使う。


  4. 伝書鳩。第一次世界大戦でも鳩兵士(Pigeon-Soldat)と呼んで使われていました。大災害が起きたときには鳩が有効な手段だと見直されて、現在はフランス防衛省の通信センターに約150羽の伝書鳩が飼われているのだそう。


  5. 鳩の糞や血なのには薬効効果がある。頭の毛が薄くなった人は、鳩の糞を塗ると良いなどというのがありましたが、そんな臭いものは塗りたくないですよね。でも、日本にもウグイスの糞に美白効果がある、などというのがあった!

文化財となった鳩舎

食べるものはハト以外にもあるので、肥料に使う目的が大きかったのではないかという気がします。化学肥料が使われるようになってから、大きな鳩小屋は使われなくなっています。

昔の大きな鳩舎では、真ん中に柱を立てて、それに梯子をとりつけました。梯子がグルグルとまわるようになっていて、巣穴に人間が手を差し伸べることもできます。床は、糞を採集しやすいように石畳になっています。


この写真を入れた記事:
フランス革命前の鳩舎は特別扱いだった 2006/05/27

今は、食用のハトを飼育するにしても、梯子で登る必要があるような鳩舎を使う農家はないのではないでしょうか。

美しい鳩小屋も、使い道がなくなってからは崩壊していきました。

人口600人足らずのMairé-Levescault村にある修道院の敷地にあった鳩舎の修復記録です ↓



こんな状態になった鳩小屋も、郷土資産として村が修復しているのでした。


都市のハト公害

今日では、鳩は町の公害扱いにされていますよね。



Pigeonnier contraceptifパリ市はハト対策に乗り出しています。

2003年から「pigeonniers contraceptifs(避妊ハト小屋)」という変な呼び名の巣箱を市内に幾つも作っています。

鳩を殺そうというのではなくて、数を減らすのが目的。

鳩小屋にハトたちを住まわせ、餌をあげたり掃除をしたりしています。病気になったり怪我をした鳩は、ただちに取り除いて獣医学校に送って手当させているのだそう。

ただし、鳥が2番目以降に生んだ卵には細工して、雛がかえらないようにする。

鳩の糞が優れた肥料なら、それを利用すれば良いのに、パリ市では掃除した避妊ハト小屋の糞は捨てているようでした。

パリ市では、公道やマンションの中庭でハトに餌を与えると罰金をとるという法律もできていました。罰金は450ユーロ。5万円強。すごいですね...。ただし、鳩が好きな人は、市が設置した鳩小屋に餌を持って行って、世話をしたりすることができるそうです。
 
現在、パリ市には5万から10万羽ものハトが生息しているとみられているそうですから、鳩の数を減らす作戦の成果が出るのはいつになるのか...。

1961年のパリの鳩公害を見せる映像がありました。



今の方がマシかもしれないな...。 今は、パリ市が頻繁に清掃車を出しているからなのかもしれませんけれど。


鳩舎のことを書いていて、思い出した建物があるので次回に書きました:
牧場に建っている気になる小屋

 シリーズ記事: この建物は、鳩小屋? 穀物倉? 【目次


ブログ内リンク:
★ 目次: 鳩小屋について書いた記事
★ 目次: フランスで食べる鳥肉と卵(鶏、鴨、ウズラ、鳩、卵など)
★ 目次: クイズを出した記事一覧

外部リンク
☆ 鳩舎の写真アルバム: Petit Patrimoine / les pigeonniers
☆ Amis des Mées: Pigeon et médecine  Le pigeon et la chirurgie
Balade en Lauragais A la découverte des pigeonniers du Lauragais
Histoire des pigeonniers
☆ パリ市サイト: Propreté le cas des pigeons
恐怖!ハトの執念 専門家が解説するハトの習性・対策
VIDEO. Des pigeons voyageurs élevés pour devenir pigeons soldats


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カテゴリー: 建築物 | Comment (6) | Top
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コメント
この記事へのコメント
鳩舎と鳩に関する詳細な解説、有り難うございます。分類まであるとは知りませんでした。避妊鳩小屋は残酷なのか優しさなのか微妙な感じですね。
2013/10/19 | URL | をやぢ  [ 編集 ]
フランスの鳩舎についてのサイト興味深いですね!私もこの中から見たことがあるノルマンディーのCrevecoeur-en-Augeの写真を見つけ出しました。
パリの巣箱の事も初めて知りました。とても興味深いので次回の渡仏の際には実際に見てこようと思います。
(パリ市のHPに住所が載っていました)

とても勉強になりました。ありがとうございます。

余談)
フランスの昔の「洗濯場」が大好きです。
変わった面白いところがありましたら、ご紹介していただけると嬉しいです。
2013/10/19 | URL | かてきん  [ 編集 ]
Re:
v-22 をやぢさんへ

>分類まであるとは知りませんでした。
⇒ ここで紹介したサイトを作った人が、見た目の特徴で分類しただけで、正式な分類があるかどうかは分かりません。訪問した幾つのサイトでは、別の分類をしていましたので(1例を書き足しました)。

>避妊鳩小屋は残酷なのか優しさなのか微妙な感じですね。
⇒ 先日は牛市のセリの話しを書いて哀しい思いをさせてしまったばかりなのに、また変な話しを書いてしまいました...。パリ市長のドラノエさんは環境保護に力を入れていて(もうすぐ退任する予定ですが)、子どもたちにもパリに生息する動植物に敏感になるようにと教育しているので、鳩公害対策でもこんな感じにしかできなかったかな、と思いました。でも、パリ市のサイトの長い説明では、卵が孵化しないとは知らないハトの母親は卵を温めるなんて書いているので、そこまで説明してくれなくても... と思いました。あぁ、また残酷なことを書いてしまった!
2013/10/19 | URL | Otium  [ 編集 ]
Re:
v-22 かてきんさんへ

>私もこの中から見たことがあるノルマンディーのCrevecoeur-en-Augeの写真を見つけ出しました。
⇒ 手っ取り早くGoogleで検索したのですが、ノルマンディーの建築らしさがあって、素晴らしく美しい鳩舎ですね~。説明なしに私が見たら鳩小屋だとは思わないかも知れない。

>パリの巣箱
⇒ 私も近くに行ったら見たいなと思いました。

>フランスの昔の「洗濯場」が大好きです。
⇒ 私もlavoireは大好きなので、通りがかりにあったら必ず中を覗いています。美しいものがたくさんあるのですが、写真が撮りにくいので、ブログではあまり紹介していません。いちおう目次は作っているのですけど:
http://otium.blog96.fc2.com/blog-entry-1340.html

洗濯場は鳩舎以上にファンがいるかなという気がします。上のページの「外部リンク」で充実したサイトを紹介しています。

最も凄いと思うのはTonnerreの洗濯場ですが、小さなところもフランス革命以前に作られた美しいのは好きです。
2013/10/19 | URL | Otium  [ 編集 ]
やった~!
鳩の小屋で正解だったんですね!ほっ。
フランス人には鳩はとても大切な動物だったんですね。
食べることや伝書鳩しか想像できませんでしたが糞は肥料になるんですね。他にもいろいろ。
でもハト対策ですか~。。。確かに鳩を見ない日はないくらいいっぱい居ますよね。
リヨンに居た時には鳥インフルエンザもあったし鳩も生きていくのは大変ですね~。



2013/10/19 | URL | pepe犬  [ 編集 ]
Re: やった~!
v-22 pepe犬

正解おめでとうございます♪

リヨンでも鳩がたくさんいましたか。田舎では余り見かけないのです。tourterelleと呼ぶ小型の鳩は適度な数がいるのですけど(こちらが喘息になりそうな声で鳴くので、減ってくれた方が嬉しいですが)、パリで見るpigeonsと呼ぶ鳩はいないような...。どうしてピジョンは都会が好きなのかな、と気になっています。
2013/10/20 | URL | Otium  [ 編集 ]
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