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2013/10/21
もう何年も前から、これは何のための建物なのだろうかと気になっている建物があります。

ブルゴーニュ南部にある牧場の、少し高台の丘の上に、ポツンと建っているので目立つのです。矢印を入れたのが、それ。



車で走っていると見えるので、何度も車を降りて眺めたり、写真をとったりしたのですが、建物があるところまで歩いていってみたことはありません。


何のための建物?

望遠で撮影すると、建物の様子はかなり見えます。



太い柱で支えられているのが変わっている。小さな窓が意味ありげ...。

これを見ると、穀物を入れる倉庫か、鳩小屋か、と想像できますよね。

建物の中に入れば、何のための小屋なのか分るのですけど...。でも、近くに建物はないので、誰かに聞いてみるわけにはいきません。たとえ建物の足元まで行ったにしても、中には入れるはずはない。

この写真を見て目につくのは、窓の下に少しでっぱった帯のような微分があること。これは鳩舎の特徴の1つなのです。
Randière, bandeau, cordon ou larmier

この帯状の部分(10センチくらい)は、2つの目的で付けられているのだそう。まず、外敵(特に、ネズミや蟻)の侵入を防ぐ効果がある。これでアリがはい登れないことになるのは理解できないのですが...。それから、これが屋根代わりになって、雨が降ったときには、雨が外壁をつたわずに少し遠くに落ちるので、壁を侵食するのを防ぐ。つまり、ガーゴイルの役目ですね。

でも、穀物倉でも、同じ配慮が必要でしょうから、これで鳩舎だと特定するわけにはいかない。

外から見て判断するには、窓が最も注目すべきところではないかと思います。
Lucarne et ouvertures d’envol

望遠でとった写真の窓は、ぼけていました...。



窓は木でふさがれているように感じます。鳩小屋だったら、鳩が出入りできるようになっているはずですが、いまは使っていないでしょうから、風化を避けるために窓は塞いでいるでしょう。

ところで、鳩小屋として使っていた時代でも、小屋の窓を閉める扉も存在していたようです。夜には閉める、畑に種まきをする時期には鳩が外に出ないように窓を木戸で閉めることが義務付けられていた、という記述もありましたので。鉄柵を閉めたり、小屋の外で操作できる雨戸があったのだそう。

鳩小屋なら、窓の入口のところに飛び立ったり、戻ってきたときに止まることができるように、台座が突き出ていることが多いようです。でも、写真を見るとくぼみがあるので大丈夫そう。もっとちゃんとした台が、昔はついていたのに無くなっているかもしれない。

それでも、鳩小屋ではないような気がします。

写真では、建物の2つの面に窓がついているのが見えます。写真を撮った裏側にも窓があるかかもしれない。鳩小屋だったら、普通は風の方向を考慮して、1つの面だけに窓をつけることが多いはずなのです。

鳩小屋として、こういう風に円柱の上に乗った小屋の形というのはあります:
Pigeonniers sur 4 piliers
Les pigeonniers sur colonnes

でも、ここに入っている写真を見ると、壁は1面にハトが出入りする窓があって、他の1面に人が出入りするドアがある、というのが普通のタイプだと分かります。

穀物を入れる小屋だったら通風を良くするでしょうから、穀物を入れていた小屋ではないかな...。


インターネットに写真を入れている人たちはいるのだけれど...

前回の日記「クイズの答えは鳩小屋でした」を書きながら鳩小屋のことを調べていて、この牧場にある小屋を思い出してしまいました。また、誰か地元の人がこの建物について書いていないかと思って調べてみる。

珍しい建物なので、この小屋の写真をインターネットに入れている人たちはいます。時々思い出しては検索してみるのですが、この建物が何であるかを説明しているページは未だに見つかっていません。

写真をのせている人たちは、この小屋がある場所は特定しています。ソーヌ・エ・ロワール県のクリュニー町(Cluny) の外れで、場所は Argerotという名で呼ばれる地域。これが見える道路の名前はRoute de Donzy-le-Petuis。

クリュニー町には、ローマにサン・ピエトロ大聖堂が建てられる前は、ヨーロッパで最大規模だったクリュニー修道院があります。修道院から歩いて行けば、30分くらいで行ける場所にあります。修道院が豊かだった時代には、この牧場には何か立派な施設か何かがあって、その付属の建物としてこの小屋があったのかもしれない。


インターネットに入っていた小屋の写真をリンクします:
写真1  |  写真2  | 写真3  | 写真4

「写真1」の方は拡大できるので、窓がよく見えます。正面の窓をアップにすると、人の顔が描かれているように見えるけれど、木目でしょうね...。

みんな私と同じ方向から写真を撮っているようで、他の面にも窓があるのか分かりませんでした。

写真の説明として最も多いのは、これはpigeonnier(鳩舎)だとするもの。 でも、grenier(穀物倉)としている人もいるし、「鳩舎か穀物倉」としている人もありました。

地元新聞のサイトで、この小屋の写真を入れているページ(こちら)があり、写真の説明は「円柱の上にある奇妙な穀物倉」となっていました。記事はクリュニーでのハイキングについて。写真を入れているくせに、その建物についての説明はない。でも、新聞はそういい加減なことを書かないはずだし、みんなが鳩小屋だと言っているのに穀物倉としているとことから見ると、それが正しいのではないかという気もしてくる...。


穀物倉だと思ったときに思い出したのは、奈良の正倉院が柱で地面から離れて建てられていたこと。

昔のフランスにあった穀物倉(grenier)が建物として持っていた特徴を調べたかったのですが、この単語は屋根裏部屋の意味もあるし、フランス語でガレージセールにもこの単語を使うので、インターネットで検索しても関係ないものがたくさん出てきてしまうので、情報収集ができませんでした...。そもそも、こういう形があったのだろうか?...

円柱と穀物倉をキーワードにして検索したら、スペインではよくあるようでした。Wikipediaの「穀物保存」の項目には、スペインの倉についての記述があって、トウモロコシ、ジャガイモ、ソラマメ、農機具などを保管したと書いてありました。

他のサイトでも、スペインの伝統建築として写真が出てきました。
☆ スペインの穀物倉: Greniers des Asturies | Hórreos et Espigueiros

ポルトガルで撮影した円柱で支えられた穀物倉の写真もある:
写真5  |  写真6

その他に画像が出てくるのは、アフリカ諸国のもの...。

これが穀物倉だとすると、フランスでこういう姿の穀物倉を他に見たことがありません。普通の建物の中に保管していたケースしかなかった。フランスでこういう小屋を見たら、鳩小屋だと思うのが自然だと思う...。

やっぱり、分らない...。


前回のクイズを出したら、入れた写真を見てずばりハト小屋だと答えられたので、この私が気になっている建物が何のためのものなのか、お分かりになる方があるのではないかと思い、写真をお見せしたくなりました。

お分かりになる方があったら、教えてくださると嬉しいです。気になって仕方ないので!


追記

色々なことをコメントで教えていただきました。

この可愛らしい小屋は鳩小屋と見えてきたのですが、穀物倉の方はどうだったか記憶が曖昧。それで、穀物を貯蔵する建物のことについて後日調べてみました。

昔のフランスにあった穀物倉って、どんな建物? 2013/11/05


追記(2015年6月)】

インターネットで調べものをしていたら、偶然にも、この気になっていた小屋とそっくりの建物の写真が目に飛び込んできました。

ミディ・ピレネー地方タルン県Labastide-de-Lévis村にある鳩小屋で、18世紀末の建築。歴史的建造物にも指定されていました。


Pigeonnier du Pradinas


 シリーズ記事: この建物は、鳩小屋? 穀物倉? 【目次


ブログ内リンク
★ 目次: 鳩小屋について書いた記事
★ 目次: フランスで食べる鳥肉と卵(鶏、鴨、ウズラ、鳩、卵など)
★ 目次: クイズを出した記事一覧

外部リンク
☆ Wikipédia: Stockage des céréales
風通しの良い住いのカギは「窓」


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カテゴリー: 建築物 | Comment (6) | Top
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コメント
この記事へのコメント
ふむ〜 一見すると鳩小屋以外には考えられませんね。その理由は。
1ネズミ返しが付いておりイタチや狸、キツネが進入しないようになっている。
2穀物倉庫であればご指摘の通り通風への配慮が皆無。
3他の写真を見ても4面とも小さな窓しか無く、人の出入りは床下の一部を跳ね上げて行うように見える(糞の搬出などもここから行うか、屋根にウィンチアームらしきものが見て取れるので、それを利用するのか)。
よってクリュニー修道院が豊かだった時代の鳩小屋に一票を投じたいと思います。
2013/10/22 | URL | をやぢ  [ 編集 ]
Re:
v-22 をやぢさんへ

鳩小屋と見ますか。をやぢさんにおっしゃられると、そうなのだろうと思えてきました。

>1 ネズミ返し
⇒ 「ネズミ返し」とは知らなかったので調べてみました。柱の頭についているお皿みたいな部分のことですね。フランス語では何というのかと調べようとしたら、自分でリンクしておいた「Randière, bandeau, cordon ou larmier」のページに写真入りで説明がついていたのに気がつきました。フランスでは「石の頭巾(coiffes de pierre)」とか「きのこ(champignon)」と呼ぶそうで、やはり外敵避けだと書いてありました。日本語の方が端的で良いですね。

そうなると、この小屋は、ネズミ返しと建物の真ん中にある帯とで侵入を2重に防いでいるわけで、かなり贅沢な鳩小屋ということになりますね。

>2 穀物倉庫であればご指摘の通り通風への配慮が皆無。
⇒ 「皆無」と言い切れますか。それは大きいなヒントになりますね。

>3 人の出入りは床下の一部を跳ね上げて行うように見える
⇒ 私も他の人がとった写真で、床下が木になっているようなのが気になっていました。穀物倉だとすると、そこから通風しているのかな、とも思ったり。ここから入るというのもあり得ますね。

ところで、私が入れた写真では屋根の上に何かがあるように見えたのですが、撮影した他の写真には無いので、このときは鳥が屋根の上を横切っていたようでした。

鳩小屋ということで落ち着くことにします。どうもありがとうございました!!!
2013/10/22 | URL | Otium  [ 編集 ]
何だか無理強いしたので無ければ良いのですが。通風というのは空気の入り口と出口か無ければ得られませんし、出口と入り口は対角線上に配置されると効率的です。この鳩小屋らしき建物の開口部は同一平面上に4カ所あるだけのように見えたので「皆無」と判断しました。もし床がスノコになっているとしても小さな四カ所の開口は通風上は不自然ですし、こんどは虫害の恐れも出てきます。元鳩小屋を改造した穀物倉庫なんて言われたら参りますけどね。
2013/10/23 | URL | をやぢ  [ 編集 ]
Re:
v-22 をやぢさんへ

これが穀物倉ではないかと思ったのは、鳩小屋にしては窓が多すぎると思ったからでした。大きな塔の鳩舎でも上の方に小さな鳩の出入口があるだけなので、小屋の中に空気の流れができていると鳩が落ち着かなくていつかないのだろうと推測していたのです。この小屋は通風が皆無に等しいと建築のご専門家から指摘されたので、鳩小屋で問題ないと納得したのでした。

>出口と入り口は対角線上に配置されると効率的です。
⇒ 対角線上というのが私には理解できなかったので、「通風」と「対角線」をキーワードにして検索してみました。家を建てるときの注意がド~っと出てきて、図まであって、これは日本の家には重要ポイントなのだと知りました。非常に興味深かったです!

実は、通風について非常に気になっていたのです。フランス人は「courant d'air(空気の流れ)」と呼ぶものを非常に(!)嫌うのです。日本では、「通風」という言葉には良いイメージしかないように思うのですが。

清々しく晴れた日などに、窓を複数あけて、気持ちが良いな… と喜んでいると、空気の流れができてしまっているから早く閉めろ、と叱られます。窓は1カ所しか開けてはいけないという常識があるのに、それを私は知らないのか、と批判されるわけです。親しくない人はじっと我慢するでしょうから、窓を開けても良いかと聞くようにしています。

日本語の検索エンジンで検索したあと、同じことをフランス語でやってみたら、家の中の通風をどうやって防ぐかとか、買った家の中に空気の流れができてしまっているので困っている相談のフォーラムとかが上位に並んでしまいました。日本のような通風への配慮のアドバイスが見つからないので、検索は中止。日本は湿度が高い国なので、通風に気をつけるのでしょうね。

フランスで最近建てた家は換気を全く配慮していないそうで(断熱効果を高くすると、エネルギー節約に協力しているとして補助金がもらえるためもある)、エコロジー関係のサイトでは、換気扇をつけるようにとか、1日に一回(夏は30分、冬は10分で良いから)窓を開けて換気するのが健康に良いとか、書いていました。

フランスの昔の家には各部屋に暖炉があって、煙突が窓と対角線をなして通風の役割をしていたかな、と思いました。田舎にある古い家では、おそらく近年になって、暖房費節約のために天井を低く改造していることが多いです。冬などは息苦しくて、こんな家には住みたくないと思ってしまうことが多々あります。

>元鳩小屋を改造した穀物倉庫なんて言われたら参りますけどね。
⇒ そういうのもありえるでしょうが(フランス人は既存建築の再生が好きなので)、もともとの用途を建物の呼び名にすべきだと思うので、良いのではないでしょうか。
2013/10/24 | URL | Otium  [ 編集 ]
日本の住まいは「夏を以て旨とすべし」が原則ですから通風問題は重要です。そこで、対角線上に窓を配置することで効率よい換気・通風が得られるというのが重要なポイントになるわけです。この鳩小屋らしき建物に限って言えば窓のある平面だけには通風が起きますが窓レベル以下では空気は淀んだままです。床下がスノコになっていれば別ですが、穀物倉庫の窓として考えるには無理があると思います。
北ヨーロッパの住まいは「冬を以て旨とすべし」が原則ですから開口部の気密性は高く、熱損失の大きい窓は出来るだけ造らないようにするわけでしょうね。
「換気を全く配慮しない」とは凄いですね。我々の生活財からは多くの有毒性の揮発物質が出ているので一定量の換気は必須です。ビニールコーティングされた雑誌の表紙、印刷インク、包装紙、パソコンやテレビに使われているコンデンサーなどの電子部品、クリーニングされた衣類、塗料などからは微量といえども健康を害する物質が放出ています。日本では最近法律が改正され、居室の換気は義務化されました。
2013/10/25 | URL | をやぢ  [ 編集 ]
Re:
v-22 をやぢさんへ

またまた日ごろから気になっていることに触れていただきました。ありがとうございます♪

>日本の住まいは「夏を以て旨とすべし」が原則ですから通風問題は重要です。
⇒ 夏の暑いときには、日本では窓を開けて風を通しますよね? 私にはその習慣があったのですが、フランス人は窓をぴったりと閉めてしまうのです。鎧戸も閉めるので、夏の暑い日には家の中が真っ暗になるのが辛いです。鎧戸を閉めたときには、窓を少し開ける(3~5センチくらい)ことも行われますが(それを固定できるように両開き窓の取っ手ができている)、風を感じるほどにはなりません。

フランス人の真似をして、夏の日差しが強いときには、私も窓と鎧戸を閉めきるようになったのですが、確かに格段に涼しいのです。結局のところ、日本で暑いときには空気が暑くなるのに対して、フランスでは太陽の暑さしかないのではないか、と思ったり...。でも、考えれば、パリは大都会の宿命で、耐えがたい暑さになりますね。

地球で、よほど北か南でない限り、家は夏を考えて建てる伝統があったのかな... と私は思っていたのでした。フランスの昔の分厚い石壁の家は、夏は非常に涼しくて過ごしやすいからです。35度を超すような日が2週間くらい続くと、さすがに石も熱せられるので家の中は暑くなりますが、そうでなければ、外から家の中に入ると冷蔵庫のドアを開けたみたいに涼しいです。秋も深まれば、暖房しないと寒くていられませんが。

フランスでも、コンクリートの近代建築は、夏に涼しいということは全くありません。2003年には猛暑があったのですが、死者が出たのはコンクリートの建物に住んでいた人ばかりだったのではないかと思いました。クーラーが普及していない国なので、コンクリートのマンションに住んでいた友人は、耐えられない暑さなので田舎に逃げたと話していました。

>この鳩小屋らしき建物..... 窓のある平面だけには通風が起きますが窓レベル以下では空気は淀んだままです。
⇒ なるほど...。家を新築した友人が、地下にワインセラーを作ったのですが、大工さんが空気抜きをつくるのを忘れていたと怒っていたのが気になっていました(仕方ないので、換気扇を取り付けていました)。

ワインセラーに通風が必須だとは私も知らなかったし、ワインボトルに風があたったら良くないではないかとも思いました。自分の家のセラーを眺めてみたら、上の方の壁(地面の上にでる部分)に小さな空気抜きの穴があって、それが北と南で同じ位置にありました。この程度だと、空気の流れはワインボトルの上を通るだけなので良いのだろうな、と気がついた次第です。

>微量といえども健康を害する物質が放出しています。
⇒ なるほど、息詰まるように感じるのはそのせいですか。東京のマンションに滞在するときは、夏はもちろん、多少寒くても窓を開け放ったままにしているのですが、外の悪い空気が入ってくるのだし... などと思ったりしておりました。でも、家の中の悪い空気を出すということでは意味があるのですね。
2013/10/25 | URL | Otium  [ 編集 ]
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