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2014/01/28
昨年の秋のこと。近所のお屋敷の庭の手入れのアルバイトを請け負った友人が、庭を見に来るように誘ったので見学に行きました。

門戸開放デーのとき、ご自慢の庭園を見学させてもらったことがあるのですが、持ち主は留守で、友人夫妻がいるだけという日。それで、広い敷地を遠慮なく歩き回ることができました。

大きな家が何軒も建っていて、つまりは親戚の人たちで作った別荘地帯のようなところなのでした。



ハンティングが趣味の人たちなので、皆で集まることが多いのだそう。

庭には川も流れていて広いわけですが、専門の庭師が1人雇われていて、仕事が多い時期には別の人も使うということなのだそう。お金持ちって、何でもできちゃうのだな... と感心する例。


悪くないアルバイト

友人夫妻は2人で庭の手入れをしていました。ご主人の方は1時間40ユーロ、奥さんの方はその半額ということで仕事を受けたのだそう。

ご主人は自分の家でもちょっとした農家くらいの家庭菜園を作っているので、ほとんどプロ。トラクターなども持ってきて本格的な作業をしていました。なので、時給が6,000円近いのも当然かと思う。

でも、奥さんの方は、庭の落ち葉を集めたり、落ちた果実を収穫したりする仕事をノンキそうにやっていたのです。

右の写真を入れた「食べ物にこだわるフランスならではの伝統?」に入れた果物保存棚は彼女の担当でした。

木から落ちたリンゴを拾って棚に並べるくらい、私でもできますよ~! そんなに払ってくれるなら、私だってやりたいと思ってしまった!


フランスの最低賃金は、日本の2倍?

フランスには「SMIC(Salaire minimum interprofessionnel de croissance: 業種間一律スライド制最低賃金」と呼ばれる法定最低賃金が定められていて、どんな仕事でも人を雇うときにはその基準以上を支払うことになっています。

この最低賃金しか払わないケースも多いわけで、フランス人たちは少ないとぼやいています。

例えば、ブドウの収穫時期のときには季節労働者を雇うのですが、大変な重労働なのに最低賃金で雇っています。ブドウ園の経営者は、人が集まらないので苦労すると言いますが、もっと払ったら働き手には困らないはずだ、などと友人たちは言っています。

でも、フランスの労働者保護は徹底しているので、賃金以外にも雇い主の経済的負担は大きいので、そんなに季節労働者に賃金を払っていられない。ブドウ収穫に来た季節労働者の例でいえば、農家で昼食を食べさせた後に畑に送るのにはマイクロバスをチャーターしなければなりません。昔はトラクターに乗っかっていけたけれど、今は禁止。農家に宿泊させるとすると、収容人数に応じてトイレの数などを整えなければならない。

大変な肉体労働のときには、定められた最低賃金は安いと文句を言う気持ちは分かるのですが、どうということもない仕事なら最低賃金は高いと思ってしまいます。

1ユーロが170円くらいしたときには、どんなに楽そうなアルバイトを頼むにも最低賃金は払う必要があるので、やたらに高いな... と思ったものでした。

今年、2014年のSMICは、去年より1.1%アップで、時給9.53ユーロ。今のレートを1ユーロ=142円として計算すると、時給1,353円。月収のSMICは、週35時間労働で1,445.38ユーロ(205,244円)。

これが人を雇うときに支払わなければならない最低賃金。悪くないと思われませんか?

日本の場合はというと、地域によって最低賃金は異なっていて、平成25年度地域別最低賃金を見ると、全国平均で時給764円ですが、600円台の地域も多いです。東京都が最も高いですが、それでも869円。東京の物価は世界でも高い水準にあるのだから、貧しい人は非常に苦しい生活を強いられます。

しかも、日本の場合は、最低賃金は支払わなければならないと厳格になっているわけではないでしょう?

20年くらい前のことですが、日本の田舎で高齢者に仕事を与える施設を見学したフランス人が仰天していました。ワラで雪靴をつくるなど、昔ながらの仕事を伝承するための公共施設で、お年寄りたちは時給500円をもらって働いていたのです。

役場の説明によると、1日働いたあとは、カラオケをやったり、温泉に入ったりできるので、とても人気があって、雇ってもらいたい人の順番待ちができているほど人気がある事業だとのこと。

日本人なら、なんとなく想像できますよね。作ったものは売っていたのですが、たぶん役場にとっては赤字の福祉事業。みんなと集まって楽しめるうえに、孫に何かプレゼントできるくらいのお小遣いがもらえたら、悪くないではないですか?

でも、フランス人は、老人虐待以外の何ものでもないと感じたのでした。当時の為替レートでのフランスの最低賃金がどうだったのかは忘れているのですが、時給500円というのは、とてつもなく低いと受け取っていました。しかも、本来なら老齢年金で悠々と過ごせる身分の人たちを、そんな低賃金で働かせてしまうのは許しがたいと怒ってしまったのです。

カラオケと温泉のオマケにひかれた高齢者を働かせるのは許されるのではないか、と私は思うのだけれど、そんなのなしで低賃金で働かされるという話しも日本では聞きます。定年を迎えた友人が、嘱託か何かの身分で会社に止まったのだけれど、給料はガタンと下がって、生活保護よりも低い金額なのだと言っていました。

 
図録▽最低賃金の国際比較


日本って、差別が大きい国...

ひところ、日本人の大半が自分は中流家庭だと思っていると言われていたのですが、あれは気が良いから生まれた感覚だったのだろうか?

 
図録▽相対的貧困率の国際比較


ついでに、男女賃金格差もみてみました。 フランスでは、職業上での女性差別が問題視されているのだけれど、日本に比べれば随分ましではないですか?

 
図録▽男女賃金格差の推移(国際比較)

結局のところ、日本は、弱い者はいくらでも虐げられる体制がある国なのだと感じました。


追記(2014年7月):

日本の最低賃金が引き上げれるというニュースがありました。それでも、フランスの約6割という金額です。



 シリーズ記事: 「奴隷のように働く」という例え


外部リンク:
☆ 仏政府サイト: Salaire minimum de croissance (Smic)
☆ INSEE: Salaire minimum interprofessionnel de croissance (SMIC)
Smic 2013 et 2014 : montant mensuel et taux horaire
最低賃金制度
最低賃金制度/フランス - 主要先進国で最高の水準
図録▽最低賃金の国際比較
図表で見る社会 2014 日本OECD社会指標
6人に1人が貧困の日本。解決策は?
豊かな国なんて大嘘! 日本の子どもは6人に1人が貧困状態との驚愕データが!

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスのホームレス、貧困者について書いた記事


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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コメント
この記事へのコメント
最低賃金と物価
わたしはフランスの給与が低いと思っているので、賃金の比較で為替レートを 用いてフランスの給与が悪くないと言っても、あまりピンときませんでした。1ユーロが80円になれば? その国の給与はその国の物価、税率などを考慮しなければ、正しい判断は出来ないと思います。

一般的な給与はフランスは日本よりも半額。そもそも専業主婦という概念がないフランスは、女性が自立しているというよりも働かなければ一気に貧困層になってしまいます。ウーマンリブはさておき、税金を取るために専業主婦になる自由を与えず、夫ひとりの給与では生活できないとしたフランスは、ある意味、税金の取りはぐれないようなシステムつくりには成功していると思います。そもそもなにを豊かかと考える価値が日仏で相違するので一概には言えませんが、働きたい自由、働きたくない自由を国が認めないのもどうかと思います。
2014/07/13 | URL | MG  [ 編集 ]
Re: 最低賃金と物価
v-22 MGさんへ

私も昔は、日本の賃金はフランスより遥かに高いと感じていたのですが、最近の日本では、先進国としては考えられないくらい低い賃金と悪条件で働くケースがあるのが気になってきていました。

>一般的な給与はフランスは日本よりも半額。
⇒ そこまで差がありますか? 検索して出てきた統計を見たら、日本人はフランス人より年収(平均賃金)が1割高いだけでした。

平均年収 国別ランキング統計・推移:
http://www.globalnote.jp/post-10401.html

スイスやルクセンブルグが上に並んでいますが、国境近くに住む知人たちがこれらの国に通勤していて、フランスと比較して賃金が格段に高いのだと話していたので、この統計が全く間違っているとも思えません…。

日本とフランスには労働時間には大きな差がありますから、もしも平均賃金の差が1割程度しかないのだとしたら、日本人の時給は哀れなくらいに低くなってしまうはず…。つい最近話題になったマルセイユとコルシカ島を結ぶ連絡船SNCMのストで、同社の船員は、1年のうち6カ月働いて、6カ月が休暇と聞いて、国が投資しているそんな会社が存在しながらフランス経済が沈没しないのは凄いと思ってしまいました。

>その国の給与はその国の物価、税率などを考慮しなければ、正しい判断は出来ないと思います。
⇒ 物価の差は大きく影響しますよね。日本では、なくても良いものは非常に安く買えますが、生活に最低限必要なものは高いと感じます。何を豊かさと考えるかによるわけですが、日本人は「なくても良いもの」で豊かさを感じているように思えます。

フランス人たちは、税金と社会保険の支払いが高すぎると不満を言いますが、雇用者もたくさん払っているわけで、それらが日本よりは有効に使われていると感じるし、社会福祉は日本とは比べものにならないくらい良いと思います。

>そもそも専業主婦という概念がないフランスは、女性が自立しているというよりも働かなければ一気に貧困層になってしまいます。
⇒ あぁ、女性が専業主婦でいるのを理想と考えていらっしゃるのですね。サラリーマンの夫がいるフランスの友人に、日本には「サラリーマンの妻」という優遇措置があり、日本の男性は妻を働かせたがらないので有閑マダムが存在するという話しをしたら、「私だって、働かなくても良いなら、働きたくない」と言っていたので、おっしゃることはごもっともだと思います。

>ウーマンリブはさておき、税金を取るために専業主婦になる自由を与えず、夫ひとりの給与では生活できないとしたフランスは、ある意味、税金の取りはぐれないようなシステムつくりには成功していると思います。
⇒ ドイツ人と結婚してドイツに住んだフランス人の友達(女性)が、ドイツは主婦が働ける体制になっていないと憤慨して、ついに夫を連れてフランスに移住しました。言われて気がついたのですが、男性が働いて、女性は働かなければ、失業者の軽減にもなるわけなので、ドイツや日本が経済大国になった強みはそこにあったのかと思いました。日本における女性の賃金格差は、結婚しない女性は存在すべきではないと無視なさいますか…。

「税金の取りはぐれないようなシステムつくり」は、日本とは比較できないほど凄まじいですね。近所の人に家の修復などを手伝ってもらったお礼としてお金を払うと、闇で働かせたことになる(つまり、税金と社会保険を払わなかった罪になる)というのは、行き過ぎだと思います。妻が働かなければならないのも、このシステムに入るかな?…

>働きたい自由、働きたくない自由を国が認めないのもどうかと思います。
⇒ 日本は、主婦の「働きたい自由」には非常に冷たい国に分類されますね。フランスでも、夫の収入が多い家では妻は専業主婦でいるケースが多いし、最低賃金しか得ていない夫を持っていても、貧困でも良いというのでしょうが、専業主婦でいる知人もいますので、妻という身分の女性が働くかどうかは本人の自由であって、国が主婦が働くようにしているとは私には思えないのですけど…。ただし、パリの生活は、それ以外の地域とは国が違うくらいに厳しいので、私が見ているフランスの地方の生活とは別世界でしょうから、同じには扱えないとは思います。

専業主婦になった場合は、夫が嫌になったときに離婚に踏み切るのが難しいという足かせができます。日本の男性は、妻にしたら最後まで面倒を見る優しさがあるのが普通ですが、簡単にカップルが解消するフランスでは、やはり女性はいつでも自立できるように仕事を持っていようとしている、と私は感じます。女性解放後の世代の女性は、自由を得たのとは引き換えに、厳しさも強いられるようになったわけで…。とは言っても、幼い子どもを3人引きとって離婚したら、フランスでは働かなくても家族手当で生活ができるそうですが。

フランスが素晴らしいと言いたいのではなくて、この国にもおかしなところが無数にあると思っています。
2014/07/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
続けて失礼します。
お返事ありがとうございました。

同じフランスに住んでいても、おそらく見ている世界が違うのかもしれません。わたしはまだ移住年数がないので、知らないことも多いと自覚しています。が、統計と実感はイコールではないとわたしは思っているので、お互いにお互いの意見がしっくりこないのではないでしょうか。

誤解されているようなので再度書き込ませていただくことにしましたが、わたしは専業主婦がいいと思っているわけではなく、ただし、離婚を想定しながら仕事を持つことや、健康な方々と同じように働くことができない人間も世の中にはいるわけで、そこに違和感を覚えているのだと思います。福祉に手厚いというフランスですが、父は労災で両肩を壊し3度も手術を余儀なくされましたが、月に出る障害年金はわずか250€です。不具合を抱えいる友人も(障害者手帳取得)、フランスは病者も障害者も差別をしないという建前に則り、禁忌がありながら配慮されない現実があります。そうした日常がわたしのすぐ傍にあるため、このような意見となるのだと思います。

医療費も追加保険であるミチュエルに加入しなければ、3割負担のままでは高額で医療にはかかれません。日本にもたくさん問題があるのでそれを棚にあげるつもりは毛頭ないのですが、福祉に手厚いというなら、なぜエレベーターやエスカレーターは常に壊れて使用できないのか。福祉を利用する人たちの視点には立っていないと思うのはわたしだけではないと思います。もちろん、それだけで福祉を語ることはできないことは承知していますが。

給与に関しては一般的な正社員の給与を論じているので、日本での非正規社員のそれと比較して・・・では論点が相違してしまいます。わたしもパリではなく地方都市に住んでいますが、物価はさして東京と変わりないのに給与は日本の半額、生活は決して楽ではありません。周囲の日本人妻は夫が働いていても(正社員)日本に出稼ぎに一時帰国している状況です。

日本人男性が妻を働かせたくないというのも違和感があります。日本では普通に務めていれば、夫だけの給与でやっていける(すでに過去形だと思いますが)でしょうし、妻を養うという発想がある無いの文化的な違いが大きいと思います。フランスの官僚が産後1週間で復帰した方がいましたが、性差を無視し、それが男女平等の行き着く先なかのかと思うと考えさせられます。労働時間も日本とは比較できないほど少なく、豊かだと言われているフランスで、うつ病や自殺者の多さ、犯罪率、DVや麻薬問題などの高さがわたしの中では疑問として居座り続けています。

ブログの場をお借りしこのように意見交換させていただける光栄に感謝します。ありがとうございます。同じフランスでも違う視点、世界を見ている方の意見はとても貴重です。
2014/07/16 | URL | MG  [ 編集 ]
Re:
v-22 MGさんへ

再度のコメントありがとうございます。前回の返事は書き方も悪かったので、ご気分を害されたのではないかと心配しておりました。

>統計と実感はイコールではないとわたしは思っているので
⇒ 私も、公式機関の統計でさえ、ほんの少ししか実態を表していないと思っています。意図的な操作ができる統計は全面的に信じません。いつも統計を引用するときは「統計は信じられないけれど」と前置きしているのに、今回は書きそこなっていたことに気がつきました。

>福祉に手厚いというフランスですが、父は労災で両肩を壊し3度も手術を余儀なくされましたが、月に出る障害年金はわずか250€です。
⇒ まともに働けない状態になったのに、それだけとは驚きです。私の知人関係では、事故や病気で自律できなくなった人たちがいるのですが、少なくともお金の心配はなしに人並みの生活ができるのは良いと思ってしまっていました。友人関係には、働かない妻をしている女性がいるのですが、障害者手当をもらっているので働かない方が賢いのだとのこと。どこが障害なのか全く見えないので不思議なのですが、何か言いたくない障害なのだろうと思って聞かずにいます。働くより失業保険をもらって生活した方が良い、というケースも多い。結局、完全に福祉に頼る人が最も得だ、というシステムなのでしょうね。

>福祉に手厚いというなら、なぜエレベーターやエスカレーターは常に壊れて使用できないのか。福祉を利用する人たちの視点には立っていないと思うのはわたしだけではないと思います。
⇒ あぁ、「障害者のために」という機運が盛り上がって、壊れたものをすぐに直してくれるようになったら!… フランスで修理が必要になったときは悲劇で、仕事を発注しようとすると、問い合わせを完全に無視されるか、とんでもなく遅い時期にやってくれるか、すぐに壊れるようにいい加減にやってくれるか、が大半のケースだと感じています。これだけ働かない国なのに、経済が破綻しないで済んでいるのは不思議でなりません。

>日本では普通に務めていれば、夫だけの給与でやっていける(すでに過去形だと思いますが)でしょうし
⇒ 本来なら夫だけの給与で生活できるはずなのに、と思いながら働くのは辛いでしょうね…。日本で子育てをしながら会社勤めしている妻たちは、もっと大変なのではないかと思ってしまいますが。

>フランスの官僚が産後1週間で復帰した方がいましたが、性差を無視し、それが男女平等の行き着く先なかのかと思うと考えさせられます。
⇒ ラシダ・ダティのことですか? 私のまわりでは、彼女独特のパフォーマンスだと無視した人ばかりでした。MGさんがUMP支持者だったらお許しください。

>労働時間も日本とは比較できないほど少なく、豊かだと言われているフランスで、うつ病や自殺者の多さ、犯罪率、DVや麻薬問題などの高さがわたしの中では疑問として居座り続けています。
⇒ フランスの友人・知人の中には自ら命をたった人たちが余りにも多いので、フランス人の自殺問題は私も考えさせられるテーマです。3つの理由を考えました。① 生きている意味がないと感じたら自殺に踏み切る気丈さがある、② 我慢強くない(食べ物の影響かもしれない)、③ 自殺手段が身近にある(猟銃、太い梁、絶壁など)。犯罪や麻薬に関しては、移民問題や若者の失業率の高さも大きな問題だと思っています。普通の人でも、悪いことも平気でやってしまうラテン気質も影響しているのではないかしら?

同じフランスに住んでいても、見えている社会は全く違うのを私も自覚しております。今後もおかしなことを書いているのに気づかれましたら、コメントを入れてくださると嬉しいです。
2014/07/18 | URL | Otium  [ 編集 ]
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