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2013/12/02
ここのところフランスでの果物貯蔵法について書きながら、日本でも同じようにする伝統があるのか知りたいと思っていました。

食べ物にこだわるフランスならではの伝統?」でお見せしたリンゴや洋ナシを並べて貯蔵した棚は、長野に行ったとき、古民家を買われた方のお家を見せていただいたときに見たものを連想させていました。



家を買われたばかりのときなので、物置には片付けていない色々な小道具がありました。前に住んでいた方が、いらないからと置いていかれたのだそう。こんな貴重なものを惜しげなくあげてしまうの?... と、羨ましくなった見学。

これは蚕棚(かいこだな)だそうです。 リンゴをのせて貯蔵棚に使うということができるのかどうか? フランス式に木の部分が多くないと適さないようにも見えます。果物保存棚に木を使うのは、適度に湿気があるのが良いらしいので。


日本では果物をどう保管していたの?

さらに日本の保存方法を考えたら、素晴らしいものがあったことを思い出しました。

台所の床の木を持ち上げると、そこが貯蔵庫になっているというシステム。

フランスでは、少なくとも昔の家には存在しないのではないかな?...

台所の床は、厚さ10センチくらいある大きな石畳みだったりすることも多いですから、そんなものを持ち上げるわけにはいかない。

ともかく、日本の昔にもフランスのような果物貯蔵棚があったというのは見つけられませんでした。

そもそも、リンゴが普及するようになったのは明治時代に入ってからだった。

現代の日本では、どうしているのかとみると、リンゴは新聞紙に包んでからビニール袋に入れ、それを冷蔵庫で保存するというものが目立ちました:
りんごを長持ちさせる方法

日本らしいリンゴ保存法にも行き当たりました。

まず、雪の中に埋めてしまうというもの。そうやって保存したリンゴを今の時期に売っているはずはありませんが、どんな風にしているのかを写真入りで説明しているショップを入れておきます。

雪に埋めて保管したリンゴは、雪室倉入りだし、などという名を付けて市販されていました。 おいしそうに聞こえる命名ではありませんか?


氷温貯蔵というのもありました。食品の氷結点ぎりぎりの温度で、凍結していない状態を保った貯蔵法なのだそう。


果物だけではなくて、色々な食品の保存に使われているようです:
「氷温」をキーワードにして食品を検索


CAりんごの発想はフランスで生まれていた

去年の夏、長野に行ったとき、前年の秋に採れたというリンゴを出されたとき、やたらに美味しいので驚きました。1年近くたっているとは信じられない新鮮さだったのです。

フランスの伝統的な果物貯蔵室で保管したリンゴは、味が濃厚になって、香りも凝縮されるので、採りたてよいかえっておいしくなるのだ、と書かれていました。そういうリンゴを食べたことはないので分らないのですが、長野で食べたのは少し違っていたのではないかと思う。1年前のだから美味しくなったというより、採りたてのときのような新鮮さを感じたのです。

そのリンゴを出してくださった方に聞いてみると、農協の特別な装置で保管しているリンゴなのだと説明されました。

何か特別な技術があるのだろうと思ったのですが、今回フランスの果物貯蔵法について書きながら、その特別な装置というのはCA貯蔵技術と呼ばれるものだったのではないか、と思いました。

私は初めて聞いた言葉。よく知られているのかも知れないけれど、「CAりんご」なるものが何であるか詳しく説明している店もありました。

CAとは、controlled atmosphere storage の略語でした。

ハイテクといえば日本。日本で開発された技術なのかと思ったのですが、そうではなかった。

なんと、このコンセプトはフランスで生まれたのだそうです。果実の熟成とアトモスフィア(雰囲気と訳すとピンとこないのだけれど)に関係があることを発見したBérardが、1821年、モモ、洋ナシ、リンゴなどを1カ月~3カ月保存できたという研究発表をして注目を集めたのだそう。

なるほど、ルイ14世もヴェルサイユ宮殿の一角に果樹園を持っていて、シーズンより早く収穫する技術を開発したし、各地の城には大きな果物保存室を持っていた国だから、そういう研究が発達しても無理ないですね。

フルーツとして食べるブドウも長期保存できる方法があった」で書いた特殊なブドウ貯蔵法は19世紀半ばに考案されて、地域の産業を発展させていました。19世紀には鉄道も登場していますから、遠くまで農産物を運ぶことができるようになったので、貯蔵法も工夫される時代だったのでしょう。

CA貯蔵は、イギリス、アメリカなどで研究が進められ、20世紀半ばに普及していました。一般的には、低温で、二酸化炭素濃度を2~8%に高め、酸素濃度を2~7%に下げ、温度は0~3℃、湿度80~95%にする方法がとられているのだそう。フランスの伝統的な 果実保存室も、結局はそいういう環境に調整していたわけではないですか?

それにしても、雪に埋めて保存したリンゴに「雪室」とか「倉」とかいう言葉を使っているのに対して、「CAりんご」という命名は味気ないと思ってしまいます。遺伝子組み換えをしたリンゴみたいなものを私は連想してしまいました。

何か美味しそうに感じる名前はなかったのかな?...

日本では「ら・ふらんす」などという飛んでもない名の洋ナシがあったりするのだから。

CAも化学的に調整してしまったという不気味さは出さずに、フランスの伝統的な方法です、などというのを強調した命名のが美味しそうに感じるのではないかな?...

フランスの伝統的な貯蔵法で使われていた単語を使って、フルイティエ貯蔵りんご、シャンブルりんご、とか...。ダメかな?...

 シリーズ記事: フランスの伝統的な果物貯蔵方法 【目次




外部リンク
Fraîcheur des pommes 2 à 4 fois plus longue en AC-ULO
CA貯蔵の現状とCA装置の開発
☆ りんごミュージアム: 日本の歴史 | 世界の歴史
☆ くだもの・科学・健康ジャーナル: 果物の貯蔵技術
☆ シリーズ記事目次: 商品にフランスのイメージを持たせた命名 2013/08/01

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