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2013/12/21
百年前にシャンパーニュ地方のオーブ県でおこったブドウ栽培者の暴動について少し調べてみようと思って書き始めただけなのに、いつまでたっても書き続けてしまっています。

1911 autodafé de feuilles d'impots


Champagne ! : Histoire inattendue
シャンパンには謎が多いので、調べ始めると次々と新たな謎が浮上してきてしまうのです。

暴動から百年ということでオーブ県の各地でイベントが行われたのですが、そのときに講演をした人の中に歴史家がいたので調べてみたら、『シャンパーニュ! 意外な歴史』と題された本を出版していました。

地理的な問題や歴史に関する著作があるブルゴーニュ大学教授なので、シャンパン/シャンパーニュの問題は大きな研究テーマになるくらい奥深いものがあるのだろうと思います。

私の浅い探究は、いいかげんに終わりにしなければならないので、先を急ぎます。 


ガメ種のブドウがいけなかった

害虫フィロキセラがフランスのブドウ畑に壊滅的な被害を与えたあと、シャンパンの産地でもブドウを植えかえました。マルヌ県ではピノ種とシャルドネ種のブドウを植えていましたが、オーブ県で植えられたのは育てやすいガメ種(Gamay)でした。

オーブ県では誰か、ワイン産業を立ち直らせるにガメを植えることを思いついた人がいたのかもしれません。それで県内のワイン産業が成功をおさめていたら、その人はオーブのブドウ栽培者たちを救った英雄になれるところでした。でも、そのアイディアは、結局はブドウ栽培者たちをを苦しめることになってしまった...。

1911年にブドウ栽培者たちは暴動をおこしてから16年後、ようやくオーブ県は正式にシャンパン産地として認めてもうことができました。 現在では、この地域の畑はコート・デ・バール地区となっています。

晴れて収穫したブドウからシャンパンを作って売ることもできるようになったのですが、厳しい条件を言い渡されます。

シャンパン用のワインにするなら、ガメ種のブドウは徐々にやめて、マルヌ県と同じようにピノを植えること!

害虫フィロキセラにやられたブドウを植え直して(シャンパーニュ地方に害が出たのは1890年頃)、ようやく新しい株からブドウが収穫できるようになったのに、また植え替えをしなければならないことになったのです。

15年の期限でガメ種がすっかりなくなるようにとのことでしたが、それは1960年まで、とことに延期されています。

前回の日記「シャンパンにできるブドウの品種は7種類」に、シャンパンを作れると認可されているブドウの品種を書きました。現在のオーブ県は、ランス周辺地域と同じように、ピノ・ノワール種が圧倒的に多く植えられています。忠実に言われたことを守ったのですね...。

ただし、植え替えには苦難を伴ったようです。フィノキセラから立ち直りそうになったときの不作が続いた時代、もう失うものは何もないという覚悟で貧しさの中から暴動をおこしたのですから、ブドウの苗を買う資金にも困っただろうと想像します。

1960年頃まで、次々とブドウ栽培をやめる人が出たのだそうです。それはそうですよ。めげますよ...。ようやくブドウの実がつき、生活を支えられるという希望が見えてきたとき、株を引き抜けと言われたわけですから。余りにも辛かっただろうと思う...。

1970年代になって、ようやくブドウ畑が増えてきました。でも、 暴動がおきた当時のオーブ県内のブドウ畑は2万ヘクタールもあったのに、現在では8,000ヘクタールに減っています。

それでも、今のオーブ県にとって、ワイン産業は大きな位置を占めています。頑張った甲斐があったというわけです。


ガメは高貴なブドウの品種ではない?

ガメ種という、私にはなじみのあるブドウの品種が出てきました。 それがシャンパンになっていた時期があったとは想像もしていなかった...。

Gamay

ガメ種はのブドウは、ボージョレーワインになる品種として知られています。 ブルゴーニュ南部でも多く栽培されているし、安いブルゴーニュワインにはピノ・ノワールとガメをブレンドしたものがあります。

つまり、ガメ種は高貴なワインになる品種のイメージはないのです。

ボージョレーが売上を測るために「ボージョレー・ヌーボー」を売り出したのは、素晴らしいアイディアだったと思います。ワインを余り知らない日本人から、「フランスワイン、知っている」と言われるとき、たいていシャブリとボージョレー・ヌーヴォーをあげてきます。

ボージョレーが偉大なワインだと思っているような言い方をされると、キョトンとしてしまいます。でも、それほど成功できているのだ、とも感心しますが。

ガメ種のワインと、気取ったシャンパンの組み合わせというのは、私は違和感を感じました。ガメでは許可できないと言われたのは無理なかった、と思いました。

でも、そうなんだろうか? ガメでシャンパンを作るとおいしくないのかどうか、私には分りません。従って、ガメ種を栽培しているからシャンパンの産地に入れないと言うのが、あてつけなのか、本当にシャンパンの味を下げてしまうから言っていたのかも判断しかねます。

YouTubeに入っていたオーブ県の人がブドウ栽培者の暴動について語りながら、こう言っている場面がありました。

「もしも、あの時、ガメでも良いことになっていたら、ガメで、こんなにおいしいシャンパンができますよ、と言えたのに...」


高貴なブドウの品種でなくても、美味しいワインはつくれる

ガメがダメと聞いて、ガメで驚くほど美味しいワインをつくっている農家があったのを思いだしました。もう何年も買いに行っていなかった...。
 
ブルゴーニュ南部、マコネ―と呼ばれるワイン産地の農家です。 もちろん無農薬。小さな区画も、別々の樽に入れて醸造するという、すごいこだわり。

【ポイントセール】【10倍】【6本〜送料無料】マコン クリュジーユ レ ジュヌヴリエール ブラン... 
始めての出会いは、忘れもしない、シャルドネー村に行ったときのことでした。

右に入れた美しいラベルの白ワインです。
ラベルを変えないでくれたのですね。懐かしいな...。

ここのワインは買いたいと思ってドメーヌに行ったのですが、色々と試飲した中で、ガメの赤ワインが美味しいのには特に驚きました。

次に行ったときには、3つ星レストランで評価して入れてくれるようになったと聞きました。

そういうところで入れたがるワインですね。「これが本当にガメ?!」と驚かせるのには、もってこいの興味深いワインですから。

遠くから来た招待客に飲ませて、この辺りでも凄いワインができるのですよと言える絶好のワインですから、幾ら高くても注文する人がいると思う。

それからお値段がどんどん高くなっていると感じたので、しばらく買いに行っていませんでした。

初めてドメーヌを訪問したときの写真が出てきました。何年前だったかな。デジカメ前なので、撮影した年が分かりません。

 

兄弟で小さなドメールを経営していますが、お相手をしてくれたのは、まだ結婚していない若者時代の彼。今では、自分でボトル詰めするなんてことはしていないでしょうね。

ワインの味を上手に表現できない私なので、このドメーヌのガメの赤ワインの素晴らしさを書いていらっしゃるブログをリンクさせていただきます:
☆ Macon-Cruzille "Beaumont"2005 Guillot-Broux 

ギヨ・ブルーというドメーヌなのですが、今みたら日本にずい分入っているみたいです。ずっと前に探したときは2種類くらいしかなかったと思うのですが。

どんなドメーヌなのかを紹介していたショップのリンクを入れます。しばらく行っていないけれど、相変わらず頑張っているらしいのが嬉しいので。

ドメーヌ設立以前から有機栽培の歴史をもつ生産者ドメーヌ ギヨ・ブルー ブルゴーニュ・ルージュ [2011]

マコン・クリュジーユ・“レ・ジュヌヴリエール”[2008]年・ドメーヌ・ギヨ・ブルー元詰・オーク樽・限定品

どうしちゃったの? 安すぎるくらいの値段で売っています。 ブルゴーニュの高級ワイン産地と同じくらい高い、と記憶しているのだけれど...。1年前から予約して、やっと1ケースわけてもらえるようなワインが高いだけだったのかな...。あるいは、3つ星レストランなどに売れるようになったので、おごり高ぶって値上げするだろう、と私が勝手に想像しただけだったかもしれない。

ビオのマークを付けるようになったのですね。私が行っていたころは、有機栽培だけれどABマークをレッテルにはつけないのだと言っていたのだけれど。

去年、ギヨ・ブルーをお気に入りにしている友達が買い付けに行くからと誘われたのに行かなかったのは残念。この次誘われたら行こうっと。  

リンクを入れておきます。日本で買うときは試飲して飲めるわけではないので、飲んだことがあるワインを探したくなる私なので、見つけたときにはメモすることにしたのでした。

ギヨ・ブルーのワインを楽天市場で検索

このドメーヌを思い出したのは、ガメの赤ワインのことだけではなくて、ロゼが今まで飲んだロゼの中で最高だと思うほど素晴らしくて、そのくせ驚異的に安かったからでもありました。ロゼは日本に入っていないみたいなので残念。もう作っていないのかとドメーヌのサイトを見たら、ロゼはセニエ方式で作っていると説明して売っていました。


ガメ種のワインはピノ・ノワールより下がるというのは偏見だ、と思った出会いでした。

オーブ県のブドウ栽培者たちが作っているガメ種のブドウではシャンパンの仲間に入れないというのは、その真偽は別にしても、彼らを排斥する効果はあったでしょうね。 オーブ県はシャンパーニュ地方ではなくてブルゴーニュ地方だ、などというのより、説得力がありますから。

でも、私はブルゴーニュにいるからピノ・ノワールとシャルドネを上にランクするだけのこと。シャンパンできると認められているブドウの品種は、この2つのほかに5種類あります。私は知らない品種ばかりですが、別に高貴なワインになるというイメージは全くないありません。だから、なぜガメだけ落とされたのか分からない...。というか、やっぱりマルヌの嫌がらせではないかと思ってしまう。

それに、ここまで書きながら思い出しました。この夏、シャンパンを作っている農家に行ったとき、シャンパンの規制はそんなに大らかなのかと驚くことを聞いて仰天していた私なのです。
 
つづく...

 シリーズ記事: 百年前、なぜシャンパンの産地で暴動がおきたの? 【目次


内部リンク:
★ シリーズ記事目次: プレ・フィロキセラのブドウ畑 2011/07/31
おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18

【ボージョレーワインについて】
ボージョレー・ヌーヴォーのアイディアはすごい! 2005/06/07
ワインの醸造法は進歩したと言えるのだろうか?... 2013/07/24
葡萄ジャムからワインを作るなどという醸造法があったの?! 2011/07/28 ガメは暑さに弱いことについて

外部リンク:
A.O.C. Champagne : Définition et loi


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コメント
この記事へのコメント
ギヨ ブルー
ギヨ ブルー、私もお気に入りの造り手です。
ガメイからのワインもピノノワールからのワインもどちらも飲みましたが、どちらも良かったです。
2013/12/24 | URL | 徒然わいん  [ 編集 ]
Re: ギヨ ブルー
v-22 徒然わいんさんへ 

実は、ドメーヌのことを書こうとしたとき、片仮名でどう書くのかを徒然わいんのブログで確認させていただいておりました。コメントをいただいたら、このドメーヌのガメがどういうものかをお上手に表現なさったブログをリンクすることを思いついて書きくわえてしまいました。ご迷惑でしたら下げますのでおっしゃってください。
2013/12/24 | URL | Otium  [ 編集 ]
リンク大歓迎です
もう、見られてたのですね。
Otiumさんの参考になって、嬉しい限りです。
2013/12/24 | URL | 徒然わいん  [ 編集 ]
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