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2014/02/18
偶然、奇妙なニュースに行きあたりました。嘘~! と思ったのだけれど、本当らしい。

少し前に、日本のクリスマスにはケンタッキー・フライドチキンを食べる人たちが大勢いると知って驚いたと書いていた私。フランスも?!...  世の中は狂っちゃった、と即座に思ったのですが、よく記事を読んでみると、想像したのとは少し違っていました。


バーガーが、フランスで人気急上昇なのですって!


「美食」フランスでバーガー人気、バゲットの消費減退 (CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース

このニュースは、フランスのマスコミも、Gira conseilという外食産業を対象としたコンサルタント会社の発表を大きく取り上げていました。

どうして一斉にバーガーの話題をクローズアップしているのかと思ったら、この2月5日と6日に、サンドイッチとスナックショー見本市(Salon Sandwich and snack show)というのがパリで開催されていたのでした。インターネットに出てきたニュースは、みなその時期に出たものでした。


ファーストフード店でなくてもバーガーを出す

フランスでは、驚異的にバーガーがフランスで売れるようになってきているのだそうです。

ここ2年の間に、バーガーの売り上げは4割のアップ。

2000年には、販売量はサンドイッチ9個に対してバーガー1個の割合だったのに、2007年には7個に対して1個、そして2013年には2個に対して1個の割合にまでなったとのこと。

バーガーを食べる人がそんなにフランスにいるとは、信じられない思いがしました。 フランス人の4人に1人はパリ首都圏に住んでいるので、その人たちの動向が全体を動かしているのだろうとは想像しますが。

目に飛び込んできたのは、この数字。

国民1人あたりのバーガー販売量 ヨーロッパ諸国の比較
1年間に食べる数
(販売数 ÷ 人口)
イギリス:
フランス:
ドイツ:
スペイン:
イタリア: 
17個
14個
12個
 8個
 5個

イギリスがトップというのは納得できる。でも、フランス人がドイツ人より多く食べるというのには驚きです。 食べる人は頻繁に食べるのでしょうから、フランス人の誰もが年間に14個のバーガーを食べている、という数字ではありません。

イタリアでの消費量が少ないのは、この国には安くておいしいピザがあるからでしょうね。 スペインにはタパスがあるからかな?...

この調査によると、普通の伝統的なレストランでも、その75%がメニューに、少なくとも1種類のバーガーを入れているとのこと。信じられないけどな...。

とはいえ、フランスでは昨年、9億7,000個のハンバーガーが売られ、そのうち6億6,500万個はマクドナルドとクイック(Quick : ベルギー生まれでフランスに普及しているファーストフード店)となっていました。

やはり、7割近くは、純然たるファーストフード店で消費されるということですね。でも、内訳を見ると、社員食堂やホテルで出るのは少なくて、普通のレストランのバーガーは25%を占めているのでした。

さらに、バーガーをメニューに加えているレストランの3分の1では、バーガーが、フランスで人気メニューだった肩ロース肉のステーキなどを抜いて、最もよく出る料理になっているとのこと。


フランス式サンドイッチは?

フランスの伝統的なサンドイッチと言えば、バゲットを使ったものです。何を挟んでも良いのですが、ハムとバターが最もポピュラーなのだそう。

だいいち、私は、1年か2年に1度くらいしか、サンドイッチを食べる機会がなかったと思います。私が付き合っているブルゴーニュの友人たちは食いしん坊な人たちばかりなので、お腹がすいていないからサンドイッチを食べたい、と私が言ったとしても、反対されますから。

フランスで普通にあるバゲットのサンドイッチの写真を入れようと思ったのですが、私の写真アルバムには、こんなのしか入っていませんでした。



これは、イベントで直売農家が生産物を使って作ったものを売っていたときのもの。2009年の撮影です。イベントでバーガーが売られているには、私はまだ出会っていません。いや、気をつけていなかっただけかもしれない。第一、パリの流行なんかは、ずっと後れてやってくる田舎にいるのだし...。

バゲットがおいしくて、挟んでいるものも美味しければ、フランス式サンドイッチも悪くはありません。記憶の中では、やたらに美味しいと思ったサンドイッチには3回出会っています。

でも、冷たい食べ物なので、サンドイッチしかないときでもないのに昼食として食べるには、やはり寂しいかもしれない。バーガーの方が色々挟めて面白いだろうか?...  挟むハンバーガーは暖かいのが普通なので、いちおう冷たい料理ではないわけです。

イタリア式サンドイッチらしき「パニーニ(Panini)」がフランスに入ってきたのは、ずいぶん前でした。

始めてパニーニに出会ったときには、フランス語でホット・サンドイッチという言い方をされたので、普通のフランス式サンドイッチを温めたものだと思いました。それは面白そうだと喜んで注文したのですが、店の人が変な白いパンを取り上げる。それなら、いらない、と断ったのでした。

パニーニは注文があってから焼くらしく、白いパンを並べて売っています。生焼けみたいなパンは美味しそうに見えないので、まだ一度も食べたことがありません。

画像を探してみました。こんな風に焼きあげるようです。 グリルに挟んでトースト、という感じなのですか?

Panini

Wikipediaのフランス語ページに入っているパニーニの写真をいただきました。そこにリンクしている日本語ページの「パニーノ」 に入っている写真は、フランス式サンドイッチに見えてしまう。それでは、とイタリア語ページを見たら、日本のと同じ写真が入っていました。

panini(パニーニ)はイタリア語のpanino(パニーノ)を複数にしたのでしょうが、イタリアのpaninoはトーストしてあるサンドイッチを意味するものではないらしい。ということは、フランスで売っているパニーニって、フランスでできたものなのかな?... ちなみに、paniniがフランス語の辞書に入ったのは1990年代なのだそう。

ともかく、パニーニはフランスでよく見かけるようにはなりましたが、バーガーほどには成功しなかったようです...。


なぜバーガーに人気が集まるの?

バーガーの人気は、ここ5年足らずのうちに急激に伸びたわけなので、何かきっかけがあったのか知りたくなりました。でも、幾つか眺めた記事には、ずばりとした答えは書いてありませんでした。

大きな要因は、最近は不景気なので、安上がりの食事が好まれるからのようです。レストランでも普通の料理より安く食べられて、しかもフランス式サンドイッチとは違って暖かい料理なのが魅力とのこと。

それと、バーガーはインターナショナルな食べ物なので、フランスに多く訪れる外国人も安心して食べる。

確かに、不景気という要素は非常に大きいと思う。非常に質が高くて、それなのにリーズナブルプライスで食べられるレストランでさえも、ほとんど閑古鳥が鳴いているのは見慣れてきたので、まあ何とかなるのかと経営者のことを心配しなくなりました。

でも、フランスで外食すると非常に高くつきます。安そうなところに行っても、そう安いわけではない。下手すると、ミシュランの星を持つような平日ランチメニューより高くなってしまう。私などはたまにレストランに行く程度だから良いけれど、サラリーマンなど、頻繁に外食する必要がある人たちはどうしているのかと、前々から不思議でした。

フランス人に聞いたら、会社が食事代援助のクーポンを出したりしているとか、さらには労働者向けの安いレストランなども大きな町にはあるのだと返事されましたけれど...。

それから、外国人が喜ぶというのは、知っている食べ物だから安心というだけではないような気もします。あちこち観光したいと思っているとき、昼食に2時間もかけるなんて時間がもったいないと思う。

となったら、しゃれたレストランで「フランス式」なるバーガーをさっと食べるのも楽しいのではないのでしょうか? 時間の節約といったって、冷たいフランス式サンドイッチをかじるのは寂しいですから。


バーガー・ブームの火付け役がいたのかな?

実は、昨年、かなりハイレベルの料理を作るシェフのレストランで、バーガーがメニューに入っているのを目撃していました。

そのときの日記:
フォアグラのハンバーガーなんか作らないで! 2013/05/04

客を呼び込むために、シェフがプライドを捨てて作っていたのだと私は思って、もう閉店に追い込まれているのではないかと心配してしまっていました。でも、このシェフはブームに乗っていただけだと、今回のニュースで理解できました。

流行に疎い私...。この際なので検索してみたら、フランスに住む日本人の方々が、食べた色々なバーガーの報告していらっしゃいました。

思い出せば、もっと前にミシュラン3つ星を持つシェフがバーガーを出しているのを知ったことがありました。リンクをとっておかなかったのが残念。もう探し出せませんでした。

マルク・ヴェラ(Marc Veyrat) という1950年生まれのシェフです。山菜を使った料理を出すことに興味を持って、どんな料理を出すのかと調べていたら出会いました。彼のレストランに食べにいらした日本人がブログに写真入りで紹介していて、そこで出された料理の中にバーガーが入っていたので仰天したのでした。

「21世紀の料理」とか題されたメニュー。なので、21世紀になる少し前の時期だったはずです。このときも、料理の腕があるシェフがバーガーなんか作って欲しくないと私は思ったのですが、あの頃にはバーガーがフランスで注目されていた、ということになるのでしょうね。

マルク・ヴェラは、バーガーの作り方もインターネットで出していました。

Hamburger au Reblochon

ルブロションといチーズのバーガーというレシピ。

トウモロコシ粉で作ったクレープをパンの代わりにしているので独創的。
ちなみに、この動画は2006年にアップロードされていました。

バカふざけしていて長々しく続く動画なので見ている気がしません。

手っ取り早く出来上がりの写真と書いたルブロション・バーガーのレシピを見るなら、こちら:
Hamburger au Reblochon de Savoie, Recette du chef Marc Veyrat

彼はバーガーによほど思い入れがあったらしく、バンズ(buns)というバーガー独特のパンを使った彼の色々なレシピもインターネットで紹介されていました。

このシェフがバーガーブームの火付け役だったのではないかと思うのですが、これは私の単なる憶測にすぎません。

ところで、マルク・ヴェラは、夏用と冬用にレストランを2軒持っていたのですが、山のリゾート地にある方を売却したのに続いて、2009年には健康上の理由からとして活動を辞めると宣言していました。2008年にアヌシーにオーガニックのファーストフード店を開いたのですが、それからも閉店した様子。

3つ星を返上したとはいえ、活動を辞めたわけではないようです。私にとっては、ひところは一番気になる3つ星シェフだったのですが、その後は好きではなくなったので、彼の消息は追っていません。


フランス式のバーガーは違う、と強調するフランス

最近のフランスでは、バーガーも立派な料理になるとしようとしているシェフたちがいるようです。3つ星シェフのYannick Allénoは、New York Timesのバーガー世界一を決めるコンクールで優勝したのだそう(2010年)。

フランスのニュースでは、バーガー人気を明るく受け止めようという意図からか、その点を強調している報道が目立ちました。


Les burgers ont la cote en France

フランス人の美食術はユネスコの無形遺産にもなっているので、フランス式バーガーはちょっと違うのだ、と言いたいのでしょうね。

少し前には、いい加減な食材を売ったりする企業が、この世界遺産というのを利用しているのが問題になって、ユネスコが登録を取り消すという噂も流れたこともありました。となると、バーガー・ブームも肯定的に報道しなければいけない、というわけ?

バーガーに限らず、貶されているジャンクフードだって、フランスタッチが加わると美味しくなる、と報道しています。


"Junk food" n'est pas malbouffe

フィッシュ・アンド・チップスまで出てきたので驚きました。フランス人なら誰でもけなすのだろうと思っていたイギリス料理まで受け入れられていましたか...。

むかしは頑なに伝統的なフランス料理しか評価しい傾向にあったフランス人も、ずいぶん変わったのですね。

最近のフランスでは、日本食が大変なブームでもあります。初めのうちは、フランス人も日本食の良さを認めるようになったと大喜びしていたのですが、最近は、彼らの味覚の乱れが大きな原因ではないか、とさえ思うようになりました。

海苔巻せんべいを食べさせた女の子が、そのまま洗面所に直行されてしまったのが懐かしい。海藻と聞いただけで顔をしかめていた方が、フランス人としては自然だと思う。今では、初めて口にした人まで、「おいしい」などとおっしゃるのです。異常じゃないかな?...

それに、本物の日本料理を評価してくれるなら嬉しいけれど、私たち日本人からみれば偽物と言いたくなる日本料理を出す店があちこちにできてきていて、それがフランス人たちに喜ばれているのも楽しくはありません。

日本料理も世界遺産になりましたね。日本人は、もっと大らかかな。カレーライスやラーメンも、世界に誇る立派な日本料理だとおっしゃる方々があるので。


バーガーには、上手な食べ方がある

バーガーに関するフランスのニュースを読んでいたら、日本人科学者が上手に食べる方法を教えている紹介している記事が幾つかありました。

食べ方なんて大げさではないかと思って、どういう食べ方なのかを探してみました。普通に食べると中味がはみ出て落ちてしまうので、それを避ける方法を見つけた先生のお話しなのでした。

その理論をアメリカ人が実験してみた動画だそうです:


How to Eat a Hamburger, According to Science

なるほどね...。日本のテレビ番組が話題になったのが世界に広まったようですね。伝授されたのは、東洋大学の望月修教授で、「ハンバーガーの理想的な食べ方」なのだそうです。

日本の科学者は、何でも研究なさいますね。フランスのニュースで、シャンペンをグラスに注いだときの泡の数を日本の先生がちゃんと数えた、というのも聞いたことがあります。

本当にハンバーガーって、食べ方に気をつけないとグシャグシャになってしまうものなのでしょうか? 学生時代には食べたことがあったはずですが、どんなだったか思い出しません。

上にいれた2つの動画で「フランス式」といっているバーガーを出すレストランでは、ナイフとフォークで食べるようでした。 あのパンを、普通のナイフで切れるのかな?... そういうのをアメリカ人が見たら、さすが美食の国フランスと感心するのかな? あるいは、滑稽だと笑ってしまうのか?...

こちらのフランスのバーガー・ブームの紹介では、食べ慣れているであろうオバマ大統領がバーガーを食べている写真を入れているのですが、法則どうりの手つきでなくても、中味がはみ出たりはしないように見えますけど...。


色々とバーガーについて書いたのですが、フランス式のを食べてみたい、という気にはなりませんでした。何にでも好奇心を持つ私なのに、なぜなのかな?...




外部リンク:
☆ CNN: 「美食」フランスでバーガー人気、バゲットの消費減退
☆ Figaro: En France, un sandwich vendu sur deux est un burger 05/02/2014
☆ Le Monde: Le burger, petits secrets à tous les étages 06/02/2014
☆ Libération: Les ventes de burgers en forte hausse en France
Hamburger végétal
☆ フランス美食村: タグ「ハンバーガー」
パリのハンバーガー
Scientists Found the Most Efficient, Groundbreaking Way to Hold a Hamburger
マルク・ヴェラ(Marc Veyrat)も、健康上の理由で三ツ星返上、そして閉店
Le chef savoyard Marc Veyrat se lance dans les food-trucks
Les français dingues du burger : effet de mode ou tendance de fond ?
Le buzz du burger - Les nouvelles tendances de la gastronomie

内部リンク:
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: パン、パン屋、昔のパン焼き窯など
日本の人気クリスマス料理はファーストフード?! 2014/01/09
簡単に食事したいときのお勧め、アシエット・グルマンドという料理 2006/06/30
★ シリーズ記事目次: フランスの外食事情とホームメイド認証 / 2015年4月
★ 目次: フランスの日本食ブーム
総目次: テーマおよび連続記事ピックアップ


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