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2014/03/21
今回の旅行ではモンベリアールの町(Montbéliard)に行ってみたのですが、有名な観光地ではないので大したものはないだろうと思っていました。それで、ガイドブックも読まずに出発。


ガロ・ロマン時代の遺跡

モンベリアール市の近くに古代の劇場が残っているとのことでした。Epomanduodurumという古代都市があったところで、現在はMandeure市。

訪れる人は少ないらしく、観光案内の標識は近くまで行かないと出ていませんでした。探し出すのに苦労しましたが、ようやく発見♪


Théâtre gallo-romain de Mandeure

古代ローマ帝国に支配されていたフランスが、ガリアと呼ばれていた時代の遺跡は、フランス各地に点在しています。この劇場が建設されたのは1世紀のこと。

立派な大きさの野外劇場なのですが、ここにあった石は後世に再利用されてしまったので、観客席があったことが分かる程度にしか残っていません。ここからの出土品はモンベリアールの博物館に少し陳列されていました。


モンベリアール町にあるフランス最古のタンプル

モンベリアールの町には、フランスで最も古い「temple(テンプル)」がある、と聞いていましたので、それを見学するのを楽しみにしていました。

そのTemple Saint Martinは、モンベリアール市のど真ん中にありました。


Temple Saint-Martin de Montbéliard

「タンプル(英語式に発音したらテンプル」と聞いたら、ギリシャ神殿や仏教の寺院、つまりキリスト教ではない宗教建築物を私は思い浮かます。

それで、モンベリアールにあるタンプルも、古代ローマ時代の神殿か、それを改造して教会にした建物なのだろうと想像していました。

近くに古代劇場があるのですから、古代の神殿が残っていてもおかしくないではないですか?

古代ローマ時代の神殿はフランスにも残っています。 例えば、南仏のニーム市には、La Maison Carréeと呼ばれる神殿があります(右の写真)。


モンベリアールのタンプルはドアは閉ざされていて中に入れません。
仕方なないので、建物の周りをぐるりと歩いてみました。



あまり神殿らしくないけどな... と思いながら、建物を眺めてみる。
窓の上に三角の飾りが神殿風かな?...

でも、私は大きな勘違いをしていたのでした!


プロテスタントの教会は「テンプル」と呼ぶ

フランスでは、一般的な教会(つまり、カテドラルやバシリカなどではない普通の教会)は、「église(エグリーズ)」と呼びます。でも、それはカトリック教会にだけ与えられる名称であり、プロテスタント教会は「templeタンプル)」と呼ぶのでした。

この聖マルタンの名を掲げたタンプルであるTemple Saint-Martinは、始めからキリスト教の教会として建てられていたのです。

宗教改革がドイツでおこり、フランスでもプロテスタントが勢いを持った時代には、たくさんプロテスタントの教会が建てられたそうですが、ほとんど破壊されてしまったとのこと。

このモンベリアールのサン・マルタン教会は、フランスに現存する最も古く、最も大きなプロテスタントの教会で、1601年に建設が始まって、1607年に完成したのだそうです。

このプロテスタント教会の名前は、ただTempleとなっていたのですが、この教会の説明では、宗派はProtestant luthérien、教会のタイプとしてはÉglise évangélique luthérienne、となっていました。

つまり、マルティン・ルター(Martin Luther)の教えに従ったルター派の教会ということですよね。それで、日本では「ルーテル教会」と呼べるものなのだろうと推測します。

日本語だったら、このタンプルはサン・マルタン教会としておけば良いのではないですか? 詳しく言うなら、サン・マルタン・ルーテル教会とか...。


英語だったら、カトリックでもプロテスタントでも「Church(チャーチ)」で、「Temple(テンプル)」といったら日本と同じようにギリシャの神殿や仏教の寺を指すときに使うのではないかと思います。 モルモン教では、ChurchではなくTempleを使うようですが。

フランスのプロテスタントは、教会を「タンプル」と呼ぶのに抵抗がないのでしょうか? カトリックと同じ呼び名を使いたくなかったのは分る。でも、ギリシャの神殿や仏教寺院などと混同されない全く別の単語を作り出さなかった理由が分かりません...。

フランスのプロテスタント関係のサイトの説明をみたら、「タンプル」と呼ぶ理由がつけられていました。

タンプル(temple)の語源は、ラテン語のtemplum。これには「神の家」という意味があるのだそう。キリスト教のルーツに戻ろうとした宗教改革では、新約聖書にもある 「temple de Dieu(神の家)」という表現を使ったのだそうです。となれば、タンプルでも違和感はないのでしょうね。

同じキリスト教の建築物なのですから、外から見ただけでは大きな違いが見えません。カトリックかプロテスタントかの見分けがつかなかったら、一般的な単語になっている「église(エグリーズ)」を使って呼んでしまうのではないかな?...  正教会の教会堂は、フランスでも「église orthodoxe」と呼ぶのが普通だと思います。


Wikipediaにフランスにあるプロテスタント教会のリストが入っていたので眺めてみました:
CatégorieTemple protestant en France

名称は色々なのですね。教会堂の名前は、Templeだけではなくて、Temple protestantという名称になっているところもありました。観光ガイドなどではそう表記してくれれば、私は混乱しなくて助かるのですけれど...。

ところが、リストの中には、Églises(エグリーズ)となっているプロテスタント教会もありました。

カトリック教会がプロテスタント教会になったのか、あるいはその逆なのかと思いながら確認してみると、Église réformée(改革派教会)から来ているようです。

このréforméeの文字がついているのは、カルヴァン派ではないかと勝手に推測。ところが、さらにフランスのプロテスタント教会のリストを眺めると、Temple réforméという名称の教会もある。

ややっこしいのでお手上げ...。気にするのは止めることにしました!


日本語になった呼び名も色々...

フランスで見かけるカトリックの宗教建築物には色々な名があります。

カテドラル(Cathédraleというのは司教座がある教会。巡礼地の重要な教会であるなどの理由でランクが教会より上のものは、バシリカ(Basilique)として教会(Églises)より上のランクにされる。そのほか、参事会教会と訳すべきCollégialeもあります。修道院関係は、また別にあるので複雑...。

プロテスタントやロシア正教の方では独自の決まりに従った呼び名が異なるものの、カトリックの場合と同じようなランク付けがあるように見えます。

ブログに訪問した宗教建築物の日本語を書くときには、日本での呼び名がどうなっているのかを調べなければならないのですが、日本語の定番になっている名称で見ると、そういうランク付けの区分は無視している訳語があります。

日本にあるキリスト教の施設には「寺院」という語は用いないのではないかと思うのですが、ヨーロッパの建築物には与えているのですが、何を寺院にするかは決まっていないようです。

日本語で定訳ができているような有名な宗教建築物を拾ってみました。

種類仏語名称/日本での通称/場所建物外観
カテドラル
(旧教)
Cathédrale Notre-Dame

ノートルダム大聖堂
ノートルダム寺院


場所: パリ
カテドラル
(ロシア正教)
Cathédrale Saint-Basile-le-Bienheureux
英語: Saint Basil's Cathedral

聖ワシリイ大聖堂


場所: モスクワ(ロシア)
バシリカ
(旧教)
Basilique du Sacré-Cœur

サクレ・クール寺院

場所: モンマルトル(パリ)
バシリカ
(旧教)
Basilique Sainte-Marie-Madeleine

サント=マドレーヌ大聖堂

場所: ヴェズレー(フランス)
バシリカ
(旧教)
Basilique Saint-Pierre
伊語: Basilica di San Pietro


サン・ピエトロ大聖堂
サン・ピエトロ寺院


場所: ローマ(バチカン)
大修道院
(イングランド
国教会)
Abbaye de Westminster
英語: Westminster Abbey

※教会部分は仏語でéglise、英語でchurch。

ウェストミンスター寺院

場所: ロンドン(イギリス)
カテドラル
(旧教)
Cathédrale de Westminster
英語: Westminster Cathedral

ウェストミンスター大聖堂


場所: ロンドン(イギリス)
大修道院
(旧教)
Abbaye du Mont-Saint-Michel

モン・サン=ミシェル修道院


場所: モン・サン=ミシェル
教会
(旧教)
Église de la Madeleine

マドレーヌ寺院


場所: パリ
教会
(旧教)
Église Saint-Sulpice

サン=シュルピス教会


場所: パリ
教会
(新教)
Temple du Marais

パリ・プロテスタント日本語キリスト教会
※日本語でも礼拝が行われる

場所: パリ
神殿Temple de Jérusalem
英語: Temple in Jerusalem、Holy Temple

エルサレム神殿


場所: イスラエル

(仏教)
Temple de la Mahabodhi
英語: Mahabodhi Temple

ブッダガヤの大菩提
マハーボーディ


場所: インド


何か見えてくるかなと思って並べてみたのですが、眺めてみても法則は見つけられませんでした。

一番初めに使った日本語の名称が残るのかもしれない。でも、建物の外観の雰囲気から大聖堂とするか寺院とするかを決めたのではないか、という気がしてしまう命名もありました。


フランスには、カトリック教会ばかりがあるのではない

ともかく、フランスで「タンプルがある」と言われたら、プロテスタント教会のことなのだろうというのを1番始めに考えてみるべきなのでしょうね。

歩いていてプロテスタントの教会だと言われたときがあったのを思い出すので、前にもタンプルという単語の1つの意味を覚えたのかも知れない。でも、フランス語が母国語ではない私に「タンプル」と言っても通じないだろうと思って、「プロテスタントの教会だ」と言ってくれたような気もします。

フランスには45,000くらいのカトリック教会があるのに対して、プロテスタントの施設は3,000くらいしかない、という記述がありました。 ちなみに、フランスにあるイスラム教の礼拝堂は2,400、ユダヤ教のは280、仏教関係の施設は150とありました(2011年現在)。

教会めぐりをするとして、カトリック教会が15に対して、プロテスタント教会が1つという割合ですか。

観光していて、そんなに頻繁にプロテスタント教会には出会わないので、なんとなく腑に落ちません。でも、教会を見学すると、装飾を鑑賞するにはカトリック教会の方なので、プロテスタントの教会があっても観光ガイドブックなどには出てこないからだろうとも思います。


フランス最古のプロテスタント教会の中は?

地元で出会った人の誰もが、サン・マルタン教会の中に入ることができると答えます。でも、私が教会の前を何回通ってみても、入口の門は閉ざされたまま...。

プロテスタント教会は装飾が簡素でしょうから、見られなかったのはそれほど残念ではありませんでした。それでも、フランスで観光する価値があるプロテスタント教会は少ないので、入れなかったのは心残りではあります。それで、インターネットで内部の様子を見せる画像や動画を探してみました。

Wikipediaに入っている「Temple Saint-Martin de Montbéliard」には写真が何枚も入っていました。

Temple SaintMartin Montbliard 02 

確かに質素ですが、おごそかですね。さすがに17世紀初頭の建築物だけに趣があります。パイプオルガンは18世紀半ばのもので、歴史的建造物に指定されているのだそう。

 シリーズ記事: フランシュ・コンテ旅行記 (2014年3月)  目次


ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ 動画: TEMPLE ST-MARTIN MONTBELIARD - 400e anniversaire de son élévation
Paroisse Protestante Montbéliard
Valeurs des temples protestants en France - Observatoire du Patrimoine Religieux
Temple : définition (Les temples protestants de France)


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