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2014/04/12
フランスでは2009年に自動車につけるナンバープレートのデザインが変わり、こんな風になりました。



左側の青い部分に、欧州連合マーク、その下にFranceの頭文字のF。
中央のアルファベットと数字が登録番号。
右側の青い部分では、下に県のコード番号、その上に、その県が所属する地域圏のロゴマーク。

左側の地域圏を示す部分に入るロゴ:
http://www.seven-passion.com/info/nouvelles-plaques-d-immatriculation
plaque immatriculation, région, france

地方を示すロゴマークの中は、見ただけでどこか分る特徴があるものもあります。シンボルマークとしては、北のブルターニュ地方と、南のコルシカ島のデザインが最もはっきりしていて好きです。

どうしてこんなにつまらないデザインにしたのか、と思ってしまう地方が半分以上あると感じてしまいます...。我がブルゴーニュ地方は、紋章にBを組み合わせているので、そう悪くはないと思う。


どこの県かを示すかどうかは自由。としたら、どうする?

このプレートの右側の地方を示す部分には、何も入れなくても良いことになっているのですが、ないのはめったにフランスでは見かけません。

どこの地方の車かを示すのは、車の持ち主が住んでいるところだと思うでしょう? ところが、不思議なことに、どの地方を入れても良いのです。 自分の故郷にしても良いし、好きな地方にしても良いし。

でも、たいていの人は、住んでいるところの県を入れているように感じます。パリ・ナンバーなどというのは、田舎にヴァカンスに出かけたら、生意気なパリっ子だと思われて意地悪されてしまう可能性があるので、パリの人は故郷の県を入れるのではないかと思っていました。でも、パリナンバーでも全く躊躇しないようだと感じています。


友人が、どの地方のマークを入れるのに人気があるか知っている? と聞いてきました。へぇ、やはり好きな地方を入れる人たちがいましたか?

人気があるのは何処なのか、お分かりになりますか?

いつものクイズにしたくなったのですが、これはフランスでは話題になっているようなので、ニュースですぐに答えが分かってしまうので止めておきます。

答えを聞いてみたら、なるほど... と納得しました。


こちらのような車なのでした。

http://www.lefigaro.fr/automobile/2014/04/09/30002-20140409ARTFIG00321-pourquoi-les-plaques-d-immatriculation-corses-font-fureur-sur-nos-routes.php
Pourquoi les plaques d'immatriculation corses font fureur sur nos routes


コルシカのシンボルを入れるのが人気

2Aの上に入っている地方を示す部分にあるのは、「tête de Maure(ムーア人の頭)」と呼ばれるコルシカ島のシンボルマークです。

コルシカ島には2つの県があって、2A(Corse-du-Sud県)と2B(Haute-Corse県)がこのムーア人の横顔を入れられることになります。どちらの県コードを入れるかは問題がなく、つまりはムーア人の顔が入れば良いとことらしい。

ナンバープレートにどの県をつけるかは自由なので、統計はなく、コルシカ地方のナンバープレートが幾つ付けられているのかは分らないのだそう。でも、プレートを販売している業者によると、トップ10に入っていることは間違いないらしい。

それは異常なことなのです。なにしろ、コルシカ島の人口は少なくて、フランスの県人口からいくと、Corse-du-Sud県は下から5番目、Haute-Corse県は8番目というランキングなのですから。 フランス本土の人口に占める割合は、2つの県の合計で0.5%似すぎません。それで上位に入っているということは、コルシカとは全く関係がはい人たちがプレートに入れているということでしょうね。

コルシカ島を示すナンバープレートに人気があると聞いて、どう思われましたか?

ムーア人の横顔マークがカッコいいとか?...

理由を聞いた私は、賢い~! と感心してしまいました。それは全く考えていなかった!

フランスでのコルシカ島に対するイメージを知らないと理解できないことだと思います。

マフィアがいるとか、爆発事件があるとか、県知事が暗殺されたとか、指名手配の犯罪人が長いこと灌木の森に隠れて生きていられたとか(警察なんか怖くない地元の人たちがかくまってあげたので可能だったのだそう)などという話しがあって、とても物騒な地方なのです。

コルシカ島に旅行する前には少し怖かったのですが、行ってみると、みんな親切だし、食べ物は美味しいし、自然は素晴らしく美しいので、すっかり気に入りました。怖い雰囲気なんて、全く感じませんでした。また行きたいけれど、旅行費がかなりかかるので、おいそれとは行けないのが残念...。

でも、コルシカ島の人は血の気が多い、ということで通っています。気に入らない人がいると、法律なんか無視して自ら裁いてしまう。

コルシカ・ナンバーに人気があると報道している記事では、コルシカ島の人たちのことを、こう表現していました:
Prompts à réagir et peu enclins à se laisser marcher sur les pieds.


そもそも、コルシカのシンボルマークには威圧感があります。

この「tête de Maureムーア人の頭)」がコルシカのシンボルとなったのには諸説があるそうです。12世紀くらいから使われていたこの図柄をコルシカの国旗としたのは、コルシカの英雄パスカル・パオリ(Pascal Paoli 1725~1807年)なので、彼との結びつきも強いようです。

でも、それを音で聞いただけの私は、長らく「tête de mort(死者の頭)」だと勘違いしていたように思います。絵は白黒で、何となく不気味ですから。

勘違いするのは私だけではないようで、Wikipediaの「Drapeau de la Corse(コルシカの旗)」のページには、tête de Maure(ムーア人の頭)をtête de mort(ドクロマーク)と混同しないようにと書いてありました。


これを車のナンバープレートにつけると、「オレはコルシカ人なのだぞ~」という脅しになる、というのでした。

まず、車に傷をつけたりする悪戯をしたり、車の中にあるものを盗もうとする人を躊躇させる効果がある。 コルシカ人の仕返しは怖いぞ~、というわけ。

これは私も思いついたのですが、もう1つ、大きな理由がありました。

警察官が免許証を出させたりする行為を回避できる、というもの。最近のフランスは、酒飲み運転やスピード違反の規制が厳しくなっているのです。

警察官から何か言われたら、絶対にヘタなことを口走らないようにと、フランスでの親代わりのような友人から固く注意されています。侮辱罪だか何かで、即座に1日は刑務所に入れる権利が警察官にはあるのだそう。どんなことを言ったら侮辱したことになるのかと聞いたら、音楽を鳴らしているのを止めろと言われたとき、「あら、音楽はお嫌いですか?♪」なんていうジョークだ、と言われました。

でも、コルシカ人だとアピールしたら状況は逆転する。余計な尋問をしたら、「イチャモンをつけた」と激情して、ピストルを出して撃たれてしまうことを警察官は心配しなければならないではないですか? だとすると、横柄な態度で尋問はしないように気をつかってくれるはず。

それから、夏の休暇をコルシカ島で過ごす人がコルシカのマークを付けて、旅行から帰ったら元のプレートにする、というケースもあるのだそう。そうそう、コルシカ人同士は殺しあわないのだ、と言われたような。

う~ん、フランス人たちは賢いですね...。悪知恵が働く、と言うべきだろうけど。

私は田舎を旅行するときにパリのナンバーを付けていない方が被害が少ないだろうなんてことしか考えなかったのだけど、コルシカ・ナンバーをつける方が実用的です!

そう言われてみると、こんなところを走っているのかと驚くコルシカナンバーの車には時々出会っていたように思いました。な~あんだ、海の向こうから来た車ばかりだったわけではなかったのだ...。

コルシカとは関係ないのにモール人の横顔マークのプレートを注文するのは、男性ばかりなのだそう。車の特徴は、4輪起動車のようなな排気量の大きい車で、薄く色をつけたガラスであることが多いのだそう。こんど見かけたらチェックしてみようっと。

ブログ内リンク:
フランスでは、車の新しいナンバープレートが登場 2009/08/24
フランスの新しい車ナンバーは楽しくない! 2010/12/22
★ 目次: 乗り物に関して書いた記事(自動車、自転車、船など)

☆ Le Figaro: Pourquoi les plaques d'immatriculation corses font fureur sur nos routes
☆ 20minutes.fr: Plaque d'immatriculation: «Les clichés régionaux ont la vie dure sur la route»
☆ TF1: Immatriculation corse moins de contrôles de police
メリメの暴力論--『マテオ・ファルコーネ』、エトス、神話
コルシカ、トリコロールの見えない島 移民国家フランス番外編
L'origine de la tête de Maure
コルシカの旗「テスタ・モーラ」とパスカル・パオリ


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コメント
この記事へのコメント
メリメの「マテオ・ファルコーネ」は確かコルシカが舞台でしたね。仲間を裏切った息子に死の制裁を与える父親。
短編ながら息詰まるような緊迫感に貫かれた作品。私は「カルメン」をしのぐ傑作だと思っています。

コルシカ気質とななんぞや・・・・
お巡りさんに、万が一本物のコルシカ人の車だったらと思わせようという魂胆なんですね(^^ゞ
2014/04/14 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22aostaさんへ

>メリメの「マテオ・ファルコーネ」は確かコルシカが舞台でしたね。
⇒ aostaさんが「カルメン」をしのぐ傑作とおっしゃるので、どんな話しなのかを調べてみました。私がコルシカ島を旅行したときに最も長く滞在したのはポルト・ヴェッキオの灌木地帯の中にあるホテルだったのですが、その地域が舞台と知って読みたくなりました。

この時代の文学作品はインターネットで原文が公開されているはずだと思って検索したら、テキストだけではなくて朗読もダウンロードできました。文章を目で追いながら朗読を聞き、短編なのでいっきに読破できました。
http://www.litteratureaudio.com/livre-audio-gratuit-mp3/merimee-prosper-mateo-falcone.html

私がメリメを知ったのは、有名な口述筆記があるということからだったように思います。ナポレオン3世が75、アレクサンドル・デュマ・フィスが24の間違いをし、最優秀者はオーストリア大使で3つだけだったという難解なテスト問題の作者。フランスで観光していると、「この建物は歴史的建造物の視察官だったメリメによって救われた」というお話しで頻繁に登場します。

でも、「マテオ・ファルコーネ」を読んだら、すばらしい文章を書く人だったのだと改めて知りました。何をして生計をたているのか分からないコルシカ島の人たちの呑気さをユーモラスに語りだし(朗読はコルシカ風の訛りで語られていたので余計に伝わってきた)、追いつめられていく少年、そして父親が裏切り行為をした息子を射殺するという展開が見事です。メリメは文学作品にローカル色を出した初めての人と言われますが、心理描写も素晴らしいですね。私はフランスの文学作品で好きなのはこの点です。

サイトのリンクにあった、ギュスターヴ・フローベールが14歳のときに書いた『マテオ・ファルコーネ』も読みました。非常に短い文章なので無理もないのでしょうが、メリメのような心理描写や緊迫した画面展開も少ないストーリーでした。メリメの作品の方では、父親が銃殺する前に息子に最後の祈りをさせる場面がクライマックスになっていると思うのですが(祈りを終えた息子に「他に、できるだけ長い祈りをしろ」などと言うところに父親の思いが見えます)、フローベールの方は、母親が遠くで銃声を聞いて事を悟った翌日、息子が川から引き揚げられて、彼の手がロザリオで結ばれていて祈りのポーズだった、というだけ。棺が運ばれてきたとき、集まった群衆の中に「まちがっている。棺は2つ必要だ」と言う人がいた、と結ばれています。少年フローベールはメリメの小説を読んで、父親の行為が許せなかったということでしょうか?

コルシカ人の生き方、コルシカ独特の宗教心の強さと死に対する観念、父親の権力など、大いに考えさせられるテーマを扱っていますが、私はメリメの文章美しさと短編小説の仕上げ方の見事さに気を奪われてしまいました。少したつと、ジワジワと考えるようになるのだろうと思います。

ところで、私が見つけた朗読が入っていたのは、目が不自由な人たちのためのボランティア団体のサイトで、4,000冊以上が収録されているのだそうです。目で文章をおいながら、感情がこめて文章を読んでくれるのを聞くと理解しやすいので、私には非常に助けになります。同じくコルシカ島を舞台にしたメリメの『コロンバ』も聞きたいと思いました。良いサイトに出会う機会を与えてくださったことにも感謝します。
2014/04/15 | URL | Otium  [ 編集 ]
「マテオ・ファルコーネ」において語られる父と子は、荒々しく彫琢された身体性を感じます。
その展開に巻き込まれ、急転直下の物語を息つぐ暇もなく読み切ったあとの放心。
メリメという作家の並々ならぬ筆力に圧倒されるばかりですね。カルメンにせよコロンバにせよ、ほとんど原始的としか言いようのない熱情の物語ですが、Otiumさんがおっしゃるように「マテオ・ファルコーネ」の心理描写の見事さに圧倒されてしまいました。
ラファイエット夫人をはじめとする、フランス心理小説の伝統のなかでもメリメは異色の存在だと思います。

メリメが歴史的建造物の視察官だったとは!!
Otiumさんに教えていただき始めて知りました。

追伸 私が初めてメリメの作品を手にしたのは高校生の頃。岩波の文庫で★がひとつ。つまり短編集なら50円で買えたからです(笑)
2014/04/22 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

「マテオ・ファルコーネ」の魅力をずばりと表現なさっているので、さすが文学に造形が深いaosataさんと感心しました。

>ラファイエット夫人をはじめとする、フランス心理小説の伝統のなかでもメリメは異色の存在だと思います。
⇒ フランス文学の分岐点の作品だからということで『クレーヴの奥方』を読まされたときは、フラストレーションがたまってしまいました。私も悟りの境地に至るときがあったら理解できるようになるかもしれないとは思うのですが。でも、確かにこれは方向性を築く傑作で、その後のフランスの心理小説は、普通の人も持つ心理を表現することを求めて発展したように思います。

>メリメが歴史的建造物の視察官だったとは!!
⇒ 彼が幼馴染だったという関係で抜擢した無名で若かった建築家ヴィオレ・ル・デュクとともに、この時代に修復して保存しなかったら消えていたであろう建造物の保存に名を残しています。ヴィオレ・ル・デュクの方は、修復にとどまらずイマジネーションで付け加えてしまった部分が多いとして今では批判する人も多いのですが(パリのノートルダム大聖堂に尖塔をつけ、中世をイメージさせるガーゴイルを勝手に付けてしまったなど)、メリメの歴史的建造物に対する業績についての批判は聞いたことがありません。

メリメは歴史的建造物の保存に貢献し、その仕事やフランス各地を視察し、数カ国語に精通していた語学力で外国も旅行して見聞を広めて文学作品を後世に残ながらし、美しきフランス語のお手本としても評価され、デッサンまで描けたというのですから、そんな人生がおくれたことを羨ましく思ってしまいます...。
2014/04/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
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