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2014/05/04

シリーズ記事目次 【屋根裏部屋にあった彫刻の解読】 目次へ
その3


以前に書いた日記にいただいたコメントで色々なことを学んだメモの続きです。


キリスト教における5の意味

キリストが十字架にかけられた負った傷は五つ。両手首、両足、わき腹。これをフランスでは「Plaies du Christ」と呼ぶ。

Sacré-Coeur Köln.jpg
Plaies du Christ, Cologne(15世紀)


5つの花弁のバラ

聖母マリアの受胎告知の絵画でい百合が描かれるのは知っていたのですが、赤い薔薇も聖母の純潔を表すシンボルなのだそう。

コメントに入れてくださった記事のリンク( 「モンテフェルトロ祭壇画」 (1) 卵をめぐるあれこれ)で、バラの花のモチーフを知りました。

ピエロ・デラ・フランチェスカが描いた「聖会話」です。


La Conversation sacrée, Piero della Francesca (1472)

注目したのは、画面上の左右にある5枚の花びらがあるモチーフ。ここの部分です

5つの花びらがある花のデザインは、よく見かける模様なのです。

Rose BVA紋章にも、「rose héraldique(紋章の薔薇)」と呼ばれるデザインがあります。

紋章に描かれる花としては、「Fleur de lys(フルール・ド・リス)」と呼ばれる百合の花の次に多いかもしれない。

キリスト教では、薔薇に意味があると言われて気がつきました。フランス語でroseという薔薇にまつわる単語がある。

フランス語日本語
rose薔薇
rosaceバラ窓
rosaireロザリオ

「バラ窓」という日本語は、何となくは気になっていたのです。なぜ薔薇に例えるのかと。ロザリオ(rosaire)というのは、中世ラテン語でrosarium、(聖母マリアの)バラの冠のことだったのでした。

薔薇の花が宗教画によく描かれている、というのは気にしたことがありませんでした。でも、検索してみるたくさん出てくる。Mikipediaにも「Madonna of the roses」というカテゴリーができていました。そこには入っていない絵画も多いので、マリアと薔薇の花の組み合わせは無数にあるように感じます。

Martin Schongauer Madonna in Rose Garden
La Vierge au buisson de roses, Martin Schongauer (1473)


花びらが5枚のバラの花?

5という数字はキリストの傷の数。

そこから、5枚の花びらがあるバラの花が描かれる。

でも、普通に薔薇と聞いて思い浮かべるのは、花びらがたくさん重なったバラの花ではないですか?

観賞用の薔薇でも存在はしますが、私が5枚の花弁があるバラと聞いて思い浮かべるのは野ばらです。

でも、そうすると困るのです。

バラの花は、フランス語でrose(ローズ)。野原に自生している「野ばら」の花は、églantine(エグランティンヌ)と呼ぶのです。聖母マリアのシンボルとされる薔薇はどちらなのかと思ってしまう...。

聖母マリアと薔薇の組み合わせの絵画を眺めてみたら、花びらが5枚以上あるバラの花の方が多いように感じました。マリアのシンボルとするときは「rose」の方を使うことが多いようです。églantine(野ばら)もバラ科の植物であるので、バラを特定するときにはroseで良いのかもしれません。

それでも、題名に「églantine(野ばらの花)」の文字を使って、マリアに野ばらを添えた絵画も見つけました。

http://www.pba-lille.fr/spip.php?article150 
La Vierge à l'églantine, Bastiano Mainardi - Palais des Beaux Arts de Lille

疑問は残ります。

キリストの5つの傷を現すには5枚の花弁がある赤い薔薇らしい。5枚の花びらがあると聞いたら、私には野原で見かけるéglantine(日本ではイヌバラと呼ばれる種類)なのですが、フランスで見る野生のバラは色に濃い薄いはあっても、血を現すほど真っ赤な花にはならないように思うのです。

とすると、やはりroseと呼ぶべきないのだろうか?...

églantineは清楚で美しいと思うので、好きな花です。マリア様にはこちらの方が相応しいとさえ思ってしまう。疑問を解くためにも、エグランティーヌを調べてみたら、新たな疑問が生まれてしまいました...。

続き:
エグランティーヌと呼ばれる野バラ

ブログ内リンク
フランス王家の紋章はユリの花 2012/06/11
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ Wikipédia: Plaies du Christ
☆ Wikipédia: Rosaire
☆ Wikipédia: La rose en héraldique
☆ Wikipédia: Plaies du Christ
☆ Wikipédia: Rosa Mystica
聖母マリアと薔薇のシンボリズム
薔薇にまつわるお話
『薔薇の中の薔薇』 / 聖母マリアのカンティガス
ロザリオの祈り


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カテゴリー: 植物 | Comment (5) | Top
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コメント
この記事へのコメント
あらら、予想外の展開!
こう来たか!という感じです(*^^)v
聖母と薔薇の関係、続きが楽しみです。
本文にありましたéglantineは、葉っぱに林檎の香りがするあの薔薇ですよね。淡いピンク色の一重。可憐な花ですが、すごく丈夫だと聞き、いつか我が家の庭にも植えたいと思っています。
フランスでは野薔薇でもこちらでは苗を購入しなければなりませんが(笑)
原種の薔薇のほとんどは花びらが5枚の一重咲きのようです。受難の象徴としての五弁の薔薇以外にも、薔薇にはいろいろな意味が込められているはず。
エグランテーヌの新しい疑問、気になります(^^♪
2014/05/06 | URL | aosta  [ 編集 ]
あらら、昔のブログの記事がリンクされている・・・・
以前お読みいただいたことがありましたかしら。


薔薇は薔薇でも、今回の記事に直接関係がある内容ではありませんが、薔薇つながりということで、勝手に喜んでおります。ありがとうございました。
2014/05/06 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

>本文にありましたéglantineは、葉っぱに林檎の香りがするあの薔薇ですよね。
⇒ 葉っぱの匂いを嗅いだことがありませんでした。こんど出会ったら嗅いでみます。

>可憐な花ですが、すごく丈夫だと聞き、いつか我が家の庭にも植えたいと思っています。
⇒ あの茂り方からすると丈夫でしょうね。私は挿し木にして植えたことがあるのですが、日当たりが悪いところだったので育ちませんでした...。

>原種の薔薇のほとんどは花びらが5枚の一重咲きのようです。
⇒ そうなのだろうと想像していました。

>受難の象徴としての五弁の薔薇以外にも、薔薇にはいろいろな意味が込められているはず。
⇒ そうなのでしょうね。百合と薔薇を覚えておけば良いのだろうと思ったら、ほかにも色々な植物が意味を持っているのが見えてきて、もうお手上げ状態です!

>あらら、昔のブログの記事がリンクされている・・・
⇒ 勝手にリンクを入れてしまって失礼しました。最後に入れる外部リンクは、「後でゆっくり読もう」というのも含めて自分用にメモしてしまっています。今回のは、種明かしすると、「この曲聞いてみたいな」というのが理由でした。私が知らない曲をaostaさんが解説しているのを読むと、みんな聞きたくなるのですけど。
2014/05/06 | URL | Otium  [ 編集 ]
エグランティーヌの葉っぱは指でこすると、林檎の香りがよくわかります。
葉っぱより指の方が香りが移ってわかりやすいかもしれせん。
「薔薇の中の薔薇」昔のブログを思い出していただきとてもうれしいです。
ぜひ一度聴いて見てください。
2014/05/06 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

葉っぱを指でこするのですね。林檎の香りがするというのはとても不思議です。

とりあえず、友人が香りが良いからとお土産に持ってきてくれた庭に咲いたバラの一枝があるので、葉をこすってみたのですが、なんにも! 匂いませんでした。

今はスズランの季節ですが、森に咲くスズランはとても強い芳香があるのに、花屋さんのスズランは香りがない。やはり私は野生の花の方が好きです...。
2014/05/07 | URL | Otium  [ 編集 ]
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