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2014/10/30
だいぶ前にブルゴーニュのワイン農家に行ったときに見学した作業は何だったのかを調べて、前回の日記で書きました:
ワインを作るために足でブドウを踏む作業 (1) フラージュ

そのとき撮ったのが右の写真です。

この作業をフランス語ではなんと呼ぶのかを調べていて、見つけたのは「foulageフラージュ)」という言葉でした。

でも、そう呼ばれる作業ではないように思うのです。
では、何なのか?...


私が見たのはフラージュ(破砕)ではない...

「foulage au pied(足でするフラージュ)」という言葉が出てきたので、私が見たのもフラージュという作業だったのだろうと思ったのでした。

でも、ブログに書いているうちに、それとは違う感じがしてきたのです。

読んだ情報によると、フラージュは発酵する前に行う作業だ、とありました。

でも、私が見学した作業では、ブドウはもう明らかにかなり発酵した状態だったはずなのです。作業をしていた男性たちは、ガスが立ち込めている桶の中では長い時間の作業はできない、と言っていましたので。

フランスのワインのことだからフランスのサイトで情報を見つけなければと探して読んでいたら、頭がゴチャゴチャになってきました。

むしろ、ワインとは縁のない人が多い日本人に説明する方が、単純に分かりやすく説明してくれるのではないか?

それで、日本語情報を調べ始めました。

foulageという単語は、仏和辞典にも入っていました。

☆ ロベール仏和大辞典の訳:
① (穀類などを)圧し(踏み)つぶすこと; (ブドウの)破砕
※ 他にも、繊維のフエルト化、印刷のプレスなど、色々意味がありますが省略

☆ クラウン仏和辞典の訳:
圧搾
※ foulage du raisin: ブドウの圧搾

辞書によって「破砕」か「圧搾」と訳語が異なるのですが、日本のワイン業界では、foulageの訳語は「破砕」で統一しているようでした。

実は、foulageを「圧搾」と訳してしまうと困るのです。前回の日記に書いたように、日本のワイン用語では「pressurage(pressage)」が「圧搾」と訳されていますので。

作業の工程は色々な方法があるし、昔ながらのやり方でするか、機械でするかによっても違うのですが、単純にブドウからワインになるまでの工程がわかる絵を探してみたら、日本のサイトで見つかりました。

http://www.suntory.co.jp/wine/series/knowledge/knowledge_07.html
サントリー ワイン スクエア|基礎知識|07. ワインのできるまで

フラージュ(破砕)は省略してしまうこともあるようなのですが、ちゃんと入っていました。今は足で踏んでいたりしないで機械でやってしまうにしても、「フラージュ(破砕)」は始めに行う作業です。

その後に、「圧搾」と呼ばれる作業があるのですが、赤ワインと白ワインで工程が少し異なります:
  • 赤ワインは、発酵させてから圧搾。
  • 白ワインは、圧搾してから発酵させる。
つまり、破砕圧搾は違う作業なのは明白だと確認しました。

こちらのサイトの説明図も分かりやすいです:
☆ ワインミニ知識: ワインはこのように造られる

なあんだ、なあんだ、初めから日本語情報を探せばよかったのだ...。

でも、です!

私が見た作業は、上に入れた図には入っていない...。

赤ワインの場合は、発酵してから「圧搾」するわけですが、これは液体を搾り出す作業です。足で踏み潰して液体を絞り出すはずがありません。

となると、その圧搾の前にしている作業でしょう?
それを何と呼ぶのか?...


圧搾は、「ピジャージュPigeage

ようやく出てきました♪

クロ・ブジョーの作業という動画が出てきました。ブルゴーニュですね。私が見たのと同じ作業に見えます。


Pigeage de Pinot Noir 2 Clos-Vougeot, France

動画のタイトルに「Pigeage(ピジャージュ)」と付いているので、それが作業の呼び名のようです。

赤ワインで行われる作業。発酵過程で浮上してきた果皮や果肉を沈め(マールをムーに沈める)、色素やタンニンを抽出するという作業。表面に浮上したものを「マールのchapeau(帽子)」という呼び方をしていました。

1回やれば良いというわけではなくて、1日に何回も行ったりもするのだそう。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/voyage-du-vin/sub12-lexique.html

上に入れた動画もそうでしたし、私が見たのも四角い風呂桶のようなところに入って作業していましたが、違う地方ではやり方をするのかもしれません。

南フランスのドメーヌの動画:
☆ Dailymotion: Pigeage au pied avec Morvane Cellier de la Maison Boutinot

棒で突っつくやり方もあるようです:
☆ YouTube: Pigeage manuel - Vinification en rouge

ピジャージュは大変な重労働のようです。現代なので、もちろんピジャージュをする機械もある:
☆ YouTube: Pigeage mécanique - Robot pigeur - Vinification en rouge


pigeage(ピジャージュ)という単語

ところで、「pigeage」という単語は、仏和辞典はもちろん、仏仏辞典にも入っていませんでした。動詞形はpigerが使われていましたが、その意味での単語も入っていない...。

Wikipediaでは「Pigeage」としてページが設けられていましたが、リンクされていたのは英語だけ。Grape stompingというタイトルになっていましたが、pigeageとして知られているとありました。古代ローマ帝国時代にも行われていたそうなのですが、フランス語で残ったのでしょうね。

日本語訳としては、「櫂入れ」とされていることもありました。日本酒の醸造で使う名前で、これは完全に棒でする作業なのでしょうね。

このブログを時々見てくれているブルゴーニュの友達が、前回の私の記事を眺めて、トップに入っている写真に驚いてしまった様子。日本語が分からない人なので、男性二人が裸でいるポルノ写真のようなものを入れて、私が何を書いたのかと思ったらしい。

フラージュと呼ぶ作業かと思って書き始めたのだけれど、実は別の作業だという続きを書いているのだ、と返事しました。

「何の作業だと思う?」と聞いてみると、「なんて言ったっけかな...」と少し間をおいて、「ピアージュ」と言ったのでした。足で踏むなどというのは今ではやらない作業なのに、どうしてそんな単語を知っているのだろう?...

ともかく、指摘された写真は確かにどぎつかったので、サイズを小さくしました。


ワインの作り方は奥が深いです。今回はフラージュとピジャージュという言葉を覚えましたが、これらを調べているうちに、もっと色々な専門用語が出てきました。この作業と、この作業は、どう違うの? と気になることもあったのですが、今回はこの辺でストップしておきます。




追記 (2915年3月):

BIVB(ブルゴーニュワイン委員会)のサイトでは、ワインの製造過程を示す図をダウンロードできるようになっていました。フランス語で書かれたPDFファイルですが、ご興味ある方のためにURLを入れておきます。

☆ 赤ワイン: Poster - Vinification - Rouge -
☆ 白ワイン: Poster - Vinification - Blanc -
☆ クレマン・ド・ブルゴーニュ: Poster - Vinification - Crémant -

ブログ内リンク:
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
vendémiaire 葡萄月: pigeage
Remontage, délestage, pigeage
Les mots du vin : pigeage, délestage, remontage, vous avez pigé ?
Wikipédia: Foulage
Wikipédia: Pigeage


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