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2015/03/08
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 」を書いたのですが、少し前に、フランスでも「フランス礼賛ブーム」みたいなのがあったことを思い出しました。


「メイド・イン・フランス」キャンペーン

Arnaud Montebourg, en janvier 2013.
Arnaud Montebourg, en janvier 2013
2012年、社会党のフランソワ・オランド(François Hollande)氏が大統領になったとき、Ministre du Redressement productif(生産再建大臣)という変な名前のポジションができました。

生産再建大臣になったのはアルノー・モントブール(Arnaud Montebourg)氏。

危機的状況にあるフランス経済を建て直すために、彼はフランス製品を買いましょうというキャンペーンを行ったのでした。

使ったのは「Made in France」という英語。

フランス製品は優れているのだから、少し値段が高くても買いましょう、というわけなのでした。

工場の閉鎖がニュースを賑わせている昨今。国民がフランス製のものを買うようになれば、フランス企業が存続できる。それはそうかも知れないけれど、なんとなくユーロラスでした。

テレビでも、ひんぱんに、「ボクはフランス製を着ていますよ」と見せるモントブール大臣が登場ていました。


Arnaud Montebourg pose comme un mannequin pour défendre les produits français

この動画の始めに出てきているのは、モントブール大臣がフランス製品を着ている姿が写ったパリジャン誌の表紙。この白地に青のストライブ模様のシャツはブルターニュ地方のメーカーのもので、見るとメイド・イン・フランスと分かるらしいのでした。

私が夏にブルターニュ地方を旅行したときには寒かったので、こういう模様のセーターを買ったので持っていました。それを着ていたら、友人たちから「メイド・イン・フランスを着ている~♪」と茶化されました。

確かに、そのセーターは暖かくて質が良いと思っていました。でも、フランス製だから優れている、とは私は思わないけどな... と、思っていました。電気製品とか、すぐに壊れてしまうメイド・イン・フランスも色々ありますから! 壊れるのは仕方ないとしても、サービスが悪いフランスでは、それを直してもらうのに苦労するのです。

第一、フランスの人口は日本の半分しかないのです。フランス製品は優れていると思ったにしても、高いから買えないという人たちを差し引いたら、どのくらい残る?...


あのブームは、いつだったか?...

「メイド・イン・フランス」でかなり盛り上がっていたので、ブログに書きたいと思ったはずですが、ちゃんと書いていなかったようです。

「Made in France」という流行語については、次の日記でちらりと触れただったようです:
「仔羊の腿肉の七時間煮込み」という料理  2013/05/06

偶然にもモントブールさんの出身校を見学したことは、次の日記で書いていました:
公立高校の敷地内にある城を見学  2013/08/28

つまり、2013年のブームだったかな?...

フランスにも、流行語大賞のようなものがあります。「Mots de l'année(今年の単語)」というもの。日本とは少し違って、政治で騒がれた単語が選ばれています。でも、「Made in France」は流行語としては挙がっていませんでした。英語だから審査対象にならなかったのかもしれませんけど。

モントブール氏が生産再建大臣を務めたのは、2012年5月から2年弱。その後には、経済・生産再建大臣(Ministre de l'Économie, du Redressement productif et du Numérique)になって地位を上げたのですが、半年もたたないうちに大臣の座を降ろさせてしまいました。政権に批判的なことを発言したことや、その後に首相になったマニュエル・ヴァルス氏から嫌われたりしたのが原因らしい。

「Made in France」キャンペーンがあったのは、2012年から2年余りの時期だったはず。でも、いつだったか調べてみたら、動画がでてきました。この時期、フランス政府は、フランスの工業がいかに素晴らしいかを見せるビデオまで作っていたようです。

↓ このスポットらしいです。



こんなのをフランス政府は作っちゃっていたの?! と驚きます。

余りにもオーバーなビデオなので国民はバカにした、と書いてある新聞記事もありました。

そりゃ~、笑っちゃいますよ~。

ドラマチックな音楽を流して、のっけからルイ14世の時代に重商主義政策を遂行した財務総監のコルベールを出してきているのですもの。

その後に、次々とフランスが発明したものが並ぶ。う~ん、今のフランスは全然ダメだな~、という印象しか持てないではないですか?...

その後、モントブールさんは、『メイド・イン・フランスの戦い』という題名の本まで出していました。張り切っていたのですね...。失脚してしまって、お気の毒...。


日本礼賛ブームとは全く違っていた

「Made in France」と、英語でやったのが愉快で受けたのかもしれません。

「マッド・アン・フランス」などと、変にフランス風に発音してみたりして面白がっている友人たちもいました。

フランス語で「Fabriqué en France」と言えるのですけれど、フランス語は間延びして英語にはかなわない単語が色々あります。例えば「Stop(ストップ)!」などは、英語で言うしかないような単語ですよね?

前回の日記に書いた最近の日本礼賛ブームというのと、メイド・イン・フランス・ブームは全く違っていました。

決定的に違うのは、日本では外国人に日本は素晴らしい! と言わせているのに対して、フランスのはフランス人がフランス製品は素晴らしいと自覚するブームだったことでしょうね。

もっとも、みんなでフランス製を買えばフランスの経済は立ち直るかもしれないけれど、フランスの経済はもうダメだよ、と苦笑しているフランスの友人は多かったですが。

「メイド・イン・フランス」が流行っていたころ、インターネットには愉快な動画が流れていました。

自分が使っている物が何処の製品なのか調べてみたら、世界各国で作られたものばかり。それで、メイド・イン・フランスのものだけにしようとやってみた、というジャーナリストの愉快なお話しです。

外国製の衣服を脱ぎ捨てて、フランス製の洋服を買って着る。住んでいるマンションでもフランス製でないものは片付けてしまったので、部屋の中はほとんど空っぽになった。それで、フランス製を求めてあちこちを探し回ります。最もフランス製が見つからなくて苦労したのは冷蔵庫だった、というのを覚えています。

この愉快なビデオを見たいと探してみたら、最近入れ直したらしき動画が見つかりました。フランス語がお分かりになる方がご覧になったら大笑いしてしまうと思うのでリンクを入れておきます。

☆ made in france
partie 1  ⇒ partie 2 ⇒ partie 3 ⇒ partie 4

この動画を入れた人はクイズにしているので、画面に文字を入れているようでした。

そんなにメイド・イン・フランスをフランスで見つけるのは難しいでしょうかね...。ここでは、いくらフランスのブランドでも、50%以上がフランスで生産されていないと認めないということにしていました。専門家に彼のマンションにあるものを判定してもらったら、フランス製として残ったのは、わずか4.5%。

ビデオにはモントブール氏も登場していて、フランス企業がフランス国内で生産を行い、消費者もフランス製品を購入すれば良いのだ、なんて言っています。

ともかく、どのくらい効果があるかは分からないけれど、フランス製品は素晴らしいのだと自覚しようという程度のキャンペーンは可愛かったと思います。

この1月にあったシャルリー・エブドのテロ事件の後、言論の自由を守ろうというデモに参加した人が370万人もいたというニュースを聞いて、少し背筋がぞっくっとしました。もちろん言論の自由は守られるべきことですが、一致団結するのが難しいフランス人が心を一つにしてしまったのが危険な兆候だと感じたのです。真っ先に思ったのは、このテロ事件のすぐ後に大統領選挙があったら、極右政党の候補者が当選してしまっただろうな、ということでした。

実際、今月末に行われる県議会議員選挙前の世論調査では、トップは極右政党の国民戦線(FN)になるだろうというニュースが出てきていました。不景気になると、そうなるわけで、日本も御多分に漏れないのだけれど、暗いな...。長生きはしたくないと思ってしまう...。


元経済相モントブールは、アメリカで「スーパーマン」と呼ばれていた

モントブール氏が経済相を解任されたのは2014年8月。それから、ぴたっと「メイド・イン・フランス」という言葉は聞かなくなりました。

どうしているのかなと思っていたのですが、この2月、ちょっと変わったニュースで彼は登場していました。

20日、モントブール氏がニューヨークの有名レストラン(こちら)で食事していたとき、壁にかかっていた大きな鏡が外れてきたのでした。それに気がついた彼は、とっさに鏡を支えた。鏡の重さ500キロはあると言われる巨大な鏡でしたが、他の人が気がついて助けるまで、彼一人で支えてしまったようです。

http://www.nydailynews.com/new-york/mirror-crashes-customers-trendy-bathlazer-cafe-article-1.2122829
Huge mirror at Balthazar Cafe comes crashing down - NY Daily News

巨大な鏡が揺れだしたので、地震かと思った従業員もいたらしい。

起こるのではないかと思うことは、ある日、突然おこるものですね。レストランの壁に絵や鏡がかかっているというのは見かけますが、鏡が落ちてきて、テーブルにおいていたワインボトルが倒れて割れてしまったという話しを友達がしたことがあるのを思い出しました。ワインが飲めなくなってしまったので注文し直したら、飲めなかったワイン1本の代金もしっかり払わされたと言うので、日本では絶対にありえない話しだな、と聞いていました。

ところで、巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏は、火事場の馬鹿力がでたのかもしれない。この時の彼は、半年くらい前に週刊誌ですっぱ抜かれた彼女と一緒に食事していたのです。

お相手は、元文化大臣のオレリー・フィリペティ(Aurélie Filippetti)さん。彼女は鏡が落ちてくるのに気がついていなかったので、もしもモントブール氏がアクションをとっていなかったら大怪我をしたはず。

フィリペティさんは、日本で最近は話題になっているトマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏と生活していたとき、彼に暴力を振るわれたと訴訟をおこしたことがありました(その後に訴えは引き下げたので不起訴)。その話しを知らなかったはずはないモントブール氏は、身の危険を顧みずにカッコいいところを彼女に見せようとしたのかもしれない。

モントブール氏は病院に運ばれたものの、2時間で出てこれて、無傷だったのだそう。その週明けには、予定されていたプリンストン大学での講義をこなしていました。彼は英語をかなり流暢に話す人だったことも、フランスでは話題になっていました。つい最近は、オランド大統領が酷い英語を話してしまったのとは対照的だし。

倒れてきた巨大な鏡を支えてしまったモントブール氏を、アメリカ人たちはスーパーマンと呼びました。でも彼は「僕はスーパーマンではありません。フランスの経済を建て直せなかったくらいなのだから」と言ったとのこと。

モントブール氏は若くてなかなか男前だし、押し出しがある発言をする人なので政治家としてもアピール度が高いと感じていました。彼はブルゴーニュの議員さんなので、我がブルゴーニュでは人気があったからかもしれませんが。政治家としての技量がどのくらいあるのかは知りませんが、もしも彼みたいに明るい人が大統領になっていたら、フランスの未来も明るく見えるだろうと思うけど...。

外部リンク:
☆ Wikipédia: Fabriqué en France
今年の単語大賞(Mots de l'année)は、透明と嘘
フランスビジネススクールINSEADとArnaud Montebourg
☆ L'Express: Arnaud Montebourg, ce French superman héros de l'accident du miroir géant 2015/02/20
☆ Paris Match: Sa conférence à Princeton - Arnaud Montebourg Je ne suis pas Superman 2015/02/24
☆ NY Daily News: Huge mirror at Balthazar Cafe in SoHo comes crashing down on customers, saved by former French politician 2015/02/20
☆ Libération: Le génie français la fête du clip version Montebourg 2013/09/12
☆ Le Monde: Montebourg le made in France est son combat 2013/09/19
Arnaud Montebourg: “The American and European Crises in Comparative Perspective”
Aurélie Filippetti : Piketty, Saint-Sernin, Montebourg... Love stories médiatiques 12/09/2014
県議会選の第1回投票ではFNが首位か


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム


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