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2015/04/03
少し前の日記「マスコットの語源はプロヴァンス語だった」にコメントをいただいて、そこに書いた「ゆるキャラ」のことをまたまた考えてしまいました。

ゆるキャラは「フランス人は好きになるかもと思ったのですが...」とあったので、フランス人たちも真似して作っているのかもしれないと思って検索してみたら、フランス語で歌っている「くまモン」の曲が入った動画が出てきました。


ハッピーくまモン ~フランス語 French ver. - HAPPY KUMAMON French ver.【公式】

動画の説明:
くまモンが東京国際フランス学園(Lycée français international de Tokyo)を訪れ、「ハッピーくまモン~フランス語 French ver.」を園児と一緒に踊り、交流を深めました。

東京国際フランス学園と聞いて、むかし日本でフランス語を勉強していたときにアルバイトをしたことがあるリセ・フランコ・ジャポネのことかと懐かしく思ったのですが、東京の北区滝野川にあるとのこと。他にフランス語の学校があったのかと調べてみたら、2012年に学校名も変えて移転したのだそう。

以前は、この学校があった飯田橋にはフランス文化に触れることもできる東京日仏学院もあって便利だったのですが、在日フランス人たちは通学に便利な地域に住むようになったのかな?...

それはともかく、ゆるキャラをフランス人にも好いてもらおうと思ったら、こういう風に子どもを相手にアピールすると思うのですよね...。

なぜ「ゆるキャラ」が、こんなにも日本で人気があるのだろう?...
コメントの返事を書きながら、またまた気になってしまいました。

ところが、それを分析した本が出ていたことを発見♪


ゆるキャラは無表情だから好かれる?

キャラクター・パワー
― ゆるキャラから国家ブランディングまで

(NHK出版新書 426)


2014/2/6
青木 貞茂著

おもしろい指摘がありました。

日本人に好かれるキャラクターは、無表情であることに特徴があるのだそう。

そう言われてみると、ゆるキャラのどこが可愛いのだろうと私が感じたのは、その無表情さにあったかもしれないと思いました。

私が初めて見た「ゆるキャラ」は「くまモン」なのですが、ちっとも可愛くないと思ったのでした。

熊の縫いぐるみと言ったら、私が知っていたのはテディベア。

子どものときに縫いぐるみを可愛がった記憶は私は皆無なのですが(買ってくれなかったのではないかと思う)、テディベアの純真無垢のような表情は幼い子どもが愛着を持ったとしても当然かな... とは思います。

それに比べて、くまモン。
ちょっと理解できないのです...。

くまモンも、動くと、可愛い。でも、動作が愛らしいのであって、あの中に下手な役者、つまり私みたいな人間が入って不器用に動いてみせたら、全然可愛く見えないのではないかな?... あるいは、あの体形だと、ちょっと「こんにちは」とお辞儀しても、可愛く見えるのでしょうか?...


著書の紹介を続けます。

「くまモン」や「バリィさん」など最近ヒットしたキャラクターは、無表情で設定もそれほど精緻ではない。そういうのを「ムヒョキャラ」と呼ぶらしい。

すでに「ハローキティ」にもその傾向があって、キティちゃんには口がない!

気がつかなかった...。

本当にキティちゃんには口がないのですね。

フランスが「ゆるキャラ」を真似したかどうかは知らないのですが、キティちゃんはかなり入ってきていて人気者だと感じます。

フランスのアマゾンで「hello kitty」を検索 (人気アイテム順)

アイテムは33,000余りもヒットしました。玩具に限定しても、5,000を超えます。

考えると不思議。フランス人って、口から先に生まれてきたと思ってしまうくらいおしゃべりなのですから。でも、自分がしゃべりたいから、相手には黙っていて欲しいかな?... あるいは、私のようにキティちゃんには口がないことに気がついてはいないのか?...

日本のアマゾンで「キティ」を検索

さすが日本では81,000余りがヒットしました。でも、フランスでは子ども用グッズばかりなのに、日本では大人向けのもあるという差が見えます。

思えば、しゃべりすぎだと嫌われるのは日本の特徴だから、キティちゃんに口がないのかもしれない。でも、最近はちょっと違ってきたのではないかとも思うのですけど...。


日本人は心の安らぎを求めている?

本の紹介を続けます。

http://ddnavi.com/news/193450/
なぜ日本人は「ゆるキャラ」が好きなのか | ダ・ヴィンチニュース

キャラクター・パワー ―ゆるキャラから国家ブランディングまで』を書いた青木貞茂氏は、ゆるキャラのブームがおきた要因として、こんな風におっしゃっているのだそう。

東日本大震災と地方経済の苦境を挙げている。東日本大震災発生後、人々が感情的・精神的な絆を欲するようになった一方で、地方自治体の経済は困窮した。

このような時代情勢の中で、合理性や機能性を超えたエモーショナルな温かさを持つ戦略を考えた時、最も有効だったのが、「ゆるキャラ」という存在だった。


この本は読んでいなくて、解説を眺めただけ。ですので、どんな風に分析したのかはよく分かりません。でも、少し前にブログで書いたこと(ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム)とも通じるものがあるのではないかと思いました。

苦しいときには、自分を暖かく包んでくれるものに癒してもらって乗り切る?...

強いストレス社会だから、自分のそばで見守ってくれるようなキャラクターが求められる? 確かに、最近の日本人は苛々するようになったと感じています。それが可愛いキャラクターくらいで癒されるなら大歓迎だけれど...。

でも、本当に考えなければいけないことをそらせる流れというのは、怖い気がするのです。

古代ローマ帝国で、なぜ庶民が無料で観戦でいる立派な競技場が各地に作られたのか?... ついつい、それを考えてしまうので。


考えすぎ?

日本の文化は「出る釘は打たれる」。
でも、その先があって、「出すぎた釘は打たれない」というのがあったのではないか?...

フランスは、その反対なのですよね。みんなと同じだと馬鹿みたいに扱われるけれど、出すぎたことをすれば、やっぱり、叩かれる。言論の自由がある国なために、政治家たちはマスコミから批判されるためにいるような感じのニュースばかりです。日本の現首相とすることがやたらに似ている前大統領のサルコジ氏などは、叩かれ方が凄まじくて痛快なほどでした。

もしもサルコジ氏が日本のニュースを追っていたら、「俺にはできなかったのに、あんであいつにはやれるのだ」と地団駄を踏むのではないでしょうか? もっとも、今の彼は、同じように政権に返り咲けるという思いを強めているのでしょうけど。

少し留守にして日本に戻ると、ずっといたら見えないものが目につきます。

強烈な記憶に残っているのは、東京の路地がペットボトルだらけになっているのを見たときでした。

http://matome.naver.jp/odai/2134002038168530201
猫よけペットボトルに群がる猫 - NAVER まとめ

庭がないので家の前に植木鉢をたくさん置いて花などを咲かせている路地など、植木鉢が隠れてしまうくらいペットボトルが並べられていたのです。丸い電信柱の足元に、ぐるりとペットボトルを並べて、それをどうやって縛ったのかと感心するほどしっかり縛ってあったりもしました。

ぞ~っとしました。どこに行ってもあるのですから、だんだん恐ろしくなりました。日本人は狂っちゃった、と思ったのです。

1週間くらいたってから見たテレビで、これが猫のおしっこ除けのためにしているのだと分かったのです。でもね...。植木鉢で花を咲かせているのは、美しいためでしょう? それをペットボトルで台無しにしてしまったら、植木を置く意味もないではないですか?

そういうのがブームになっていたのだとは分かったのですが、やはり日本はおかしくなっているぞ、という気持ちは吹ききれませんでした。

その後にフランスに戻ったわけですが、間もなく地下鉄サリン事件という、とんでもないことが起きたのを知りました。それで、やっぱり日本はおかしくなってきていたのだと思ってしまったわけです。あれは1995年でしたか...。

その後、不気味に感じてしまったのは東京スカイツリーでした。オープンする少し前に帰国したときわけなのですが、みんながやたらに喜んで騒いでいる。

私には美しい建築物だとは思えなかったのですが、そんなことを言ったら叱られそうなので黙っていました。なんだか薄気味悪い建物に見えたのです。イメージが重なるのはバベルの塔以外にはありませんでした。スカイツリーの形をした大きな煎餅をくれた友人もいたのですが、口に入れる気にもならないほど強い拒絶反応があったのは不思議。

そして、その後にフランスに戻ったら仰天するニュース。福島原発事故は、東京で見たバベルの塔と結びついてしまいました...。

小出裕章さんは、日本がおかしくなったのは東京オリンピックの後だと言っていました。1964年ですね。確かに、それまでの東京には空地もあったりして長閑だったのに、あの頃から殺伐としてきた、と言えるかも知れない。

それを思うと、また2020年に東京オリンピックがあるというのも不吉に感じてしまいます。


最近の日本は大きく変わってきている、と感じているこの頃。社会がある方向に向かうとき、どういう兆候が出てくるものなのか、興味を持ってしまっています。

ヒットラーは、クーデターではなくて国民投票で独裁政権を誕生させたというのが理解できなかったのですが、こういうのは案外、簡単にできることなのかも知れないと思えてきました。

Assemblage de quatre photos noir et blanc de 1930, montrant des poses, de face et de profil, d'Adolf Hitler, typiques de sa gestuelle d'orateur survolté.

こんな怖い顔をして腕を振り回さないでも、ほんわかムードの中でも国民は動かせてしまえるのかも知れない...。

外部リンク:
なぜ日本人は「ゆるキャラ」が好きなのか
日本人がキャラクターを好む理由が意外と深かった
「ゆるキャラ」成功の秘訣要因分析
ゆるキャラは、地方創生に役立っているのか - 「地域活性化」という曖昧な言葉に騙されるな
ゆるキャラの経済効果は1000億円!?
外人にゆるキャラは解らない~ゆるキャラブームはオタク文化の成熟?
Le Monde: Le Japon connaît sa plus grave crise morale
伊丹万作: 戦争責任者の問題

ブログ内リンク:
最近の東京は怖い... 2014/02/13
ちょっと怖いな... 最近の日本礼賛ブーム 2015/03/01
マスコットの語源はプロヴァンス語だった 2015/03/24


シリーズ記事: 最近の日本 ~ 「日本礼賛」から「ゆるキャラ」のブーム



カテゴリー: 日本 | Comment (8) | Top
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コメント
この記事へのコメント
くまもんフランス語バージョンにはびっくりしました!日本語バージョンも聞いたことがなかった…。
確かにゆるキャラに踊らされている間に、本質がずれていることはあるかもと感じました。政治家や議員にうまく利用されるのが一番イヤですね…。
(ちなみに、ゆるきゃらは近くでみるとまったくかわいくないです!)
2015/04/03 | URL | chiaki@静岡  [ 編集 ]
Re:
v-22 chiaki@静岡さんへ

くまモンの歌を知らないのは私だけかと思ったので、chiakiさんもご存じなかったと聞いて安心しました(笑)。

>ゆるきゃらは近くでみるとまったくかわいくないです!
⇒ わぁ、やっぱり、そうですか! だとすると、ゆるキャラの分析では、無表情なだけではなくて、可愛くは見えなくするというのも成功の秘訣とすべきかな?...

このブログを書いているときに来た人に、動画を見せて反応を見ようとしました。そしたら、「なに、それ?」に続けて「Moche(醜い)」と冷たく言っただけ。すぐに立ち去ろうとするので、フランス語で歌っているのだと気を引いてみたのですが、全く興味を持ってもらえません。サッカーのチームにはマスコットがいて、試合の前に踊っているからと、珍しくも思わない様子。でも、政治家がマスコットを持ち出すことはないのだろうな、とは思いました。
2015/04/04 | URL | Otium  [ 編集 ]
お久しぶりです
こんにちは。
今は、くまもんよりもふなっしー。
2013年、1億の経済効果だったのが、
2014年には8000億円(爆)
2015年は・・・?

ちなみにくまもんは1200億円♪
2015/04/13 | URL | じゃむおじさん  [ 編集 ]
Re:
v-22 じゃむおじさんへ

お久しぶりのコメント、どうもありがとうございます♪ じゃむおじさんはこの分野にもお詳しいのでしたね。

今は「ふなっしー」がトップですか。ゆるキャラは美しくないほど人気が出る、ということでしょうかね...。

ゆるキャラに経済効果があるのが最大の利点として取り上げられる理由が私にはよく理解できないでいます。それに食われてしまう弱者も当然いるはずですが、そちらの方は問題にならないような...。本当は守るべき、その地方の伝統が築いてきた工芸品や食材など、キャラクターなんか付けたくないと頑なに思う作り手のものの売り上げに響いているとしたら、むしろ憂うべきだと思います。

日本ですっかり定着した「ゴミはお持ち帰りください」というのに通じる発想だな、と感じます。持ち帰っても隣の国に捨てに行くわけにはいかないので、いずれにしてもゴミは日本のゴミになるのですから、自分の自治体さえよければ良いと考えるのだろう、と思ってしまうので...。
2015/04/13 | URL | Otium  [ 編集 ]
長文(駄)
>>ゆるキャラに経済効果があるのが最大の利点として取り上げられる理由が私にはよく理解できないでいます。

説明しましょう

>>それに食われてしまう弱者も当然いるはずですが、そちらの方は問題にならないような...。

ここで大きな誤解が生じているようです。
まず、ゼロサムではありません。
ゼロサムとは、儲かる人(プラスになる人)と損する人(マイナスになる人)がいて合計するとプラスマイナスゼロになることです。
たとえば車の市場を考えましょう。全世界で100台車が欲しい人がいたとしましょう。
日本車50台、アメリカ車30台、ドイツ車15台、イタリア車5台(合計100台)今のところこんな感じで売れているとします。
「よーし、かっこいい車をつくって日本車を70台売るぞー!」
すると世界全体で100台しか車の欲しい人がいないので
プラスになる人(強者)→日本車70台、マイナスになる人(弱者)→アメリカ車20台、ドイツ車8台、イタリア車2台。

こういうのをイメージしてるんじゃないでしょうか?

これが大きな誤解です。
もう一度言いますがゼロサムではありません。

経済波及効果とは「波及」の字のごとき物事の影響が波のように徐々に広がる こと。つまり水面に石を投げると波紋のように徐々に広がっていく様子を表します。
市場に「くまもん」という石を投げ込むと、今まで100人しか車が欲しい人いなかったのに、車に興味がなかった人も興味を持ち始めて100人が200人に増え、「何?くまもんのカーナビ、くまもんのタイヤ、くまもんのドリンクホルダー?」そうやってどんどん100人が200人、200人が1000人に増え続けていくと日本車が50台→70台に増えても、アメ車、独車、伊車は減りませんよね?むしろ車がほしい人が増えれば他国の車も売れます。

現実に、オートメーション化された大量生産のトヨタ車が世界中で売れたとしても、一台ずつ頑なな職人による手作りのフェラーリもあいかわらず売れてますよね。

だからくまもんを冠していない商品とくまもん関連商品は別物(トヨタ車とフェラーリ)と考えていいと思います。むしろ今まで消滅寸前だったくまもんを冠していない地方の伝統が築いてきた工芸品や食材なども潤っております。
100をみんなで奪い合うのではなく、100を1000に増やすことでみんなでハッピーになりましょう。争いあうのではなくゆるーいキャラクターを使って楽しみながらね♪

できるだけ、くだいて説明したつもりなのですが乱筆失礼(ぺこり)
2015/04/17 | URL | じゃむおじさん  [ 編集 ]
Re: 長文(駄)
v-22 じゃむおじさんへ

またまた私の素朴な疑問を分かりやすく解き明かすお返事をくださり、どうもありがとうございます♪

私の頭が描いたのは、金銭的な限界があるから何に出費するかを選ぶということでもあったのですが、ご教授を受けて考え直してみると、日本人にはそれが余りないのですよね。フランスにいると不況の時代であることを強く感じますが、日本ではそれほど深刻な状況にはなっていないような印象を受けます。先進国ではありえないような貧困も存在しますが、社会問題としてはほとんど取り上げられない。

フランスで受けたカルチャーショックで最も大きかったのは、フランス人は「住」の部分に最もお金をかけることでした。すると貧しい階層はそれしかなくなりますが、傍から見れば日本より生活水準が高いという感想を持ちます。でも日本人には、必要ではなくても、モノを所有することで豊かさを感じる傾向があるので、消費を煽れば消費するでしょうね。ゆるキャラのようなブームがあると、その経済効果は大きいのだろうと思いました。
2015/04/17 | URL | Otium  [ 編集 ]
駄2
>>日本人にはそれが余りないのですよね。

その通りですね。

価格は需要と供給で決まります。
「これは美しい!おいしい!」と思うものを皆が欲しがると、すごく高い価格になります。
投機目的もありますが、ゴッホの絵は高い(数億円)
そこまでいかなくてもカッシーナの家具は高い(数百万)
もう少し安くて海外旅行(数十万円)。
これはみんなが欲しがるから高いですよね?

でも、ある程度お金のある人じゃないと買えません。
日本では高齢者が個人金融資産の6割を持っているという現実があります。
それでもだいぶ偏在は解消されたほうです。
数年前は、全人口の2割しかいない高齢者が金融資産の8割以上持ってたんですから(怒)

じゃー、そもそもお金のない若い人たちはどうすればいいの?

ゴッホのかわりにくまもん(数千円)
カッシーナのかわりにイケア(数万円)
海外旅行のかわりに東京ディズニーランド(数千円)

だから高齢者にはくまもんもイケアもディズニーランドも人気ありません。
お金持ってますからw
でも、消費欲求の高い若い世代には安くて満足の得られるものとしてこれらのものは大人気です。

問題なのは、先進国なのにくまもんやイケアも買えず、ディスニーランドにすら行けない層が増えているということ(格差社会)です。
それでも日本に住んでいる限り餓死するようなことは、まずありえません。

>>先進国ではありえないような貧困も存在しますが、社会問題としてはほとんど取り上げられない

その逆です。
ありえないからこそ、ニュースになります。
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASDG27054_X20C13A5CC1000/


>>フランスにいると不況の時代であることを強く感じます

フランスの不況の原因は一目瞭然です。
記事読みましたがその後made in france(内需喚起)はどうなったんでしょう?
ちょっと小難しい話になるので省略しますが、
それでもフランスは他国に比べれば、とーってもゆたかですよ~♪

2015/04/21 | URL | じゃむおじさん  [ 編集 ]
Re: 駄2
v-22 じゃむおじさんへ

>消費欲求の高い若い世代には安くて満足の得られるものとしてこれらのものは大人気です。

⇒ なるほど…。私は子どものときから変人で、モノを所有したいという欲望は全くなく、まれに欲しと思ったのに持てないときにはあっさり諦めていました。今になって思うと、ないものねだりはしないという、きわめて便利な性格。でも、代用品で喜ぶというのも、同じように便利な性格かもしれないですね。

日本とフランスを行き来していて目につくことの1つに、日本の若者は、どうしてこんなにお金があるの? というのがあります。東京の賑やかな界隈で歩いているのは若者ばかり。若者向けの用品を売っている店舗が林立しているのですが、商売がなりたっているということは、売れているのだろうな、と思っていました。

日本の場合は、親が子どもにお金を与えるので、それほど倹約しなくても生活できるというのもあるのではないか、という気もします。最近はフランスでも中国人の爆買いが話題になるので、日本人の私としては矛先がそれたので非常に居心地が良いのですが、ひところは日本人のそれが話題になっていました。フランスの友人たちから、「日本人って、すごいお金持ちなのね」と言われていました。パリにたくさんの日本人の若者が旅行に来ているのが異常に見えるらしいのでした。収入がないはずの若者が海外旅行などをしているということは、彼らの親は億万長者なのだろうと思わせるのでした。でも私は、日本の知り合いの家庭のことを思って、日本では子どもを大切にするから、親は海外旅行などする余裕がなくても、子どもにはさせるのだ、などと返事していました。

来日したトマ・ピケティ氏も、日本経済で必要なのは若者の救済だと言っていましたね。彼の理論は良いですが、土台にしているのはヨーロッパ社会で、日本には彼の方程式は当てはまらないと思ってしまいます。日本では文句を言わずに悪条件でも働く貧困層が多いのだから、高齢者がお金を持っているという指標の他にも目を向けるべきだと思いました。資産がなくて年金では生活できない高齢者、母子家庭などは、フランスでは考えられない苦境にあると感じます。

>それでも日本に住んでいる限り餓死するようなことは、まずありえません。
>ありえないからこそ、ニュースになります。


⇒ 「先進国ではありえないような貧困」と書いたのは、リンクをくださったような日本のニュースのことでした。死亡した高齢者夫婦が見つかって、胃袋にも冷蔵庫にも何もなかったので、餓死した「らしい」という日本のニュースを2つか3つ見ていていましたので。ニュースにはなりますが、援助の手を差し伸べなかった自治体は責められないし、その後に何か政策上のアクションもとられない。普通の先進国で、こういう事態が1つでも起きたら、貧者救済の上で問題があるはずだと大騒ぎになるのではないかと思うのですけれど…。アメリカは日本と同じやり方なので、問題化されないのは同じだろうとは思いますが。

フランスでは、寒さが来ると必ず、冬の風物詩のように、ホームレスの人たちを心配したり、救済の手を差し伸べたりしていることがニュースで流れます。日本では、ホームレスの人たちが寝る場として利用している地下道を夜に閉鎖した、などというニュースが普通に報道されるのとは対照的です。ニュースを見ている友人たちが「フランスのようなお金持ちの国にホームレスがいるなんて、とんでもないことだ!」と息まくのを聞くと、日本のGDPはフランスよりずっと上なのだけれどな… と思ってしまう私です。

>日本では高齢者が個人金融資産の6割を持っているという現実があります。それでもだいぶ偏在は解消されたほうです。

⇒ フランスでも、少し前までは生活が最も安泰なのは高齢者たちでしたが変わってきたようです。年金で毎日ヴァカンスの生活ができる階層だったわけですが、最近ではアルバイトをする年金生活者が現れたので驚いております。それでも、自律できなくなったら、所得に応じた料金を払えば良い公営の高齢者施設に入れるので、日本の貧しい高齢者ほど辛い環境はないだろうと思いますが。

>その後made in france(内需喚起)はどうなったんでしょう?

⇒ このキャンペーンをおこしたモントブール氏の愛嬌があったから話題になったのであって、彼が失脚した後はパタリと「Made in France」という言葉は聞こえなくなりました。フランスは働く人を厚く保護している国なので、フランス製品のコストは必然的に高くなり、国際的には競争力がありませんので、みんながフランス製だけを買うのは無理だと思います。ただし、フランスの農産物に関しては、「地産地消」と呼べるような機運が高まっていて、フランス産は高くても買って守り抜こうという動きは大きくなっているとは感じます。もっとも、最近の店舗分類には「ディスカウント・スーパー」というのができて(主流はドイツ企業)、味は落ちても安く買える食材はシェアを伸ばしてきていますが。

>それでもフランスは他国に比べれば、とーってもゆたかですよ~♪

⇒ そう見えるのですよね。不況になる前から、これで経済がなりたつのかと思うほど働かないのに、それでも国がつぶれないのだから良いな、と思っていました。日本と同じように敗戦から立ち上がって工業国になったドイツも、日本人ほどには労働時間が長くしないでやってこれたので、羨ましいです。

フランスには不況で失業している知人がたくさんいますが、倹約生活で切り抜けられるらしく、少なくとも餓死の恐れは全くありません。行政のお金の使い方は個人の生活の仕方と同じで、根本的に必要なところにお金を使うので、これほどの不況になってもやっていけるのだろうな、と思います。

フランス人は、ともかく政治には文句を言うし、税金の使い方にもシビアです。この不況でブーブー言うフランスの友達に、日本はもっと酷いよと、例を挙げて言ってしまうのですが、自分たちはまだマシなのだという気休めにはならないらしくて、私が言うことは完全に無視されます。
2015/04/22 | URL | Otium  [ 編集 ]
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