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2015/04/19
フランシュ・コンテ地方で今の時期にしか食べられない蛙を食べに行くことにしました。Grenouille rousse(ヨーロッパアカガエル)という種類の蛙で、春先の2カ月足らずの期間しか捕まえることが許可されていないのです。

ここには必ず行きたいレストランに電話してみると、今年最後の5,000匹を仕入れたところで、日曜日にはなくなっている可能性があるとの返事。予定を少し早めて出かけました。

この蛙については、以前に書いていたので省略:
フランシュ・コンテ地方を旅行して、貴重なカエルを食べる 2012/03/30

シリーズ記事目次 【フランシュ・コンテへの小旅行(2015年4月)】 目次へ
その5



アンティークカー

カエル料理を食べるために予約していたホテル・レストランに到着して車を降りると、調理場の近くにこんな車が止まっていました。



アンティーク車として人気があるシトロエンの2CVを改造したのでしょうか? 比較してみますね。

後部座席の部分を改造したら荷台が取り付けられますか...。

止まっていた車の色はアオガエルを連想させました。これで蛙を仕入れに行ったら面白いだろうな。このレストランでは生きたカエルを買って、自分のところで下ごしらえします。始めて行ったときには、蛙が入っている大きな黒いネットが倉庫に保存しているのを見学していました。

出迎えてくれたオーナー兼シェフに挨拶したときに車のことを聞くと、本当に蛙を仕入れに行くために改造したのですって。

この車は今年で40歳の誕生日を迎えるとのこと。何かお祝いするのかと聞いてみたら、シャンポワンをかけてあげるかな、と返事されました。シャンパーニュ(シャンパンのこと)ではなくて、シャンポワン(シャンプーのこと)だ、という冗談だろうと思って笑いました。


本物を示すカエル養殖組合のマーク

建物に入った入り口のホールには、「フレッシュの蛙を食べられる最後の週なので、ご利用ください」ということが書いてありました。



この黒板に下に張ってあるのが、Grenouille rousseという種類、つまり地元の蛙を扱っているレストランであることを示す許可書です。この表示がないレストランでは、どんなカエルの料理が出されるか保障はないという目印になります。

カエルが郷土料理になっている地域では、1年中カエル料理を出すレストランもあります。フランシュ・コンテ地方内で消費されるカエルの3分の2は輸入物だそうです。



「Syndicat des ranaculteurs de Franche-Comté」と書いてあります。

ranaculteurとは、なに? 「フランシュ・コンテ地方の○○組合」となれば、養殖者の組合なのだろうな、と想像がでいますが、確認してみました。

仏和辞典には入っていない単語でした。インターネットで検索すると、「raniculteur」の間違いではないかと出てきます。ranaか、raniか、どちらが正しいの?...

Wiktionnaireには「raniculteur」で入っていました:
Formation récente à partir du latin rana (« grenouille »), par ajout du suffixe -culture (qui élève ou cultive).


フランスで食べる蛙はgrenouille(グルヌイユ)と呼ばれるのですが、ラテン語では「rana」なのだそう。だったら、「ranaculteur」で良いではないですか? でも、ここからリンクされている名詞形も「raniculture」となっていました。

「ranidés」という単語は仏和辞典に入っていて、「【動物】アカガエル科」となっていました。とすると、raniの方が正しそう。この単語が文献に初めて登場したのは1904年なのだそう。

でも、今回食べに行ったカエル「Grenouille rousse」の学名はRana temporaria。それを扱っている人たちは、やはりranaを使いたいのではないかな?... とはいえ、新しくできた単語なので、どちらも使われているようでした。

いずれにしても、こんな単語は、フランス人でも業界の人しか知らないでしょうから、私がどちらが正しいのか調べてみる必要もないと判断しました。


カエル定食 38.90ユーロ

レストランはカエル料理で知られています。シェフと話したら、その日の朝はカエル1,000匹を下ごしらえしただけだけれど、翌朝は週末用に4,000匹をさばくのだと言っていました。

カエル定食というのがあったので、そのメニューをご紹介します。

1皿目はカエルをシンプルに調理して、カエルそのもの味を堪能する料理。ここで、カエル12匹。


Cuisses de grenouilles nature

下ごしらえしたカエルの脚に、塩コショウを振りかけて、ほんの少し小麦粉をまぶす。それをたっぷりのバターを高温にしたフライパンで揚げるように調理する。バターは、スーパーで売っているようなものはダメで、近所のミルク工房で作っているものを使っているとのこと。

この地方でGrenouille rousseを使ったカエル料理を出すレストランに相談すれば、誰でも、迷うことなく、このシンプルな調理法が一番だと答えます。普通のカエルは鶏のササミのように味がないのですが、このカエルはヘーゼルナッツのような風味があるのです。


カエル定食の2皿目は、シンプルな調理法か、ニンニクとパセリを入れた調理法を選べることになっています。ここでまたカエル1ダース。

私はニンニクとパセリを使った料理を注文しました。カエル本来の味は消えてしまうのですが、食べなれたカエル料理の調理法も好きだし、風味が薄れてもやはり美味しいと思うからです。


Cuisses de grenouilles persillade

これが12匹のカエルの脚がのった皿の写真。

少し多めに入れてくれたのではないかな、という気がしました。養殖で無理に太らせたわけではないので、少し小さ目の蛙です。他のレストランで食べたときは、6ダースくらい食べられてしまうと思ったのですが、この日はこれで十分だと思いました。

フランス人には物足りないからなのでしょうね。この後には、3皿目として、サラダを添えた手作りハムが出ました。



かなり大食漢でないと全部は平らげられないボリューム。でも、こういう風味のある自家製ハムは日本では絶対に食べられないと思うと、残すのがもったいない...。

チーズを追加注文しなければデザートになります。

バシュランというさっぱりしたアイスクリームでした。見た目は極めて味気ないのですが、自家製なので添加物の味は全くなくて美味しかったです。



これで、38.90ユーロのコースでした。日本円で5,000円くらいですか。

カエル12匹の1皿を注文する場合には、14.90ユーロ(約2,000円)となっていました。


フランス人は蛙食い?

イギリス人がフランス人を貶すときには、蛙を食べることを持ち出すと言われます。フランス人のことをFroggyとかFrog-eaterと呼ぶらしい。日本では、フランス料理にカエルが登場しているというのは知られていないのではないでしょうか?

そんなにフランス人が食べているとも思えないのですが、データを見たら、かなり消費しているようです。フランス人は、1年間にフレッシュなカエルを800トン、冷凍したものを4,000トン消費しているのですって。

フランシュ・コンテ地方で味わえるカエル「grenouille rousse」は、ほぼ自然の環境で育てられているので、年によって収穫量は大きく異なるようです。この蛙を養殖する人たちの組合の発表によれば、養殖する人は100人くらいいて、合計100万匹くらいが販売されるとのこと。捕まえた蛙は選別して、母親蛙は逃がし、大きく育った雄だけを市場に出すのだそうです。

最近は、大規模に蛙の養殖を始めた人が出現したというニュースがありました。魚屋さんだった人が蛙の養殖を思い立ち、10年かかって許可を取得して(2000年)、年間2.5トンを生産するようになったのだそう。温室のような建物の中で大量生産しているので(写真はこちら)、いくらフレッシュと言っても味は落ちるのではないかと思いました。

追記:
今回一緒に旅行した友達に、Grenouille rousseを食べたことをブログにしたと言ってリンクを教えたら、このブログは日本語だけで書いているので何も分からないはずなのに、フランスで唯一のカエルの養殖工場があるという情報に目がいったようです。

その工場ができた町が何処だか知っているの? 原発カエルじゃないの?、と言う。

フランス人なみの常識はない私。この近代的な蛙養殖所ができたのがPierrelatte(
ピエールラット)という町だというのは全く気にとめていませんでした。トリカスタン原子力地区があるところなのでした。調べてみたら、この蛙の養殖工場は原発から排出される熱を利用して実現されていたのが分かったので情報リンクを追加しました。放射能が入っている排出ではないから危険はないのでしょうが、やはり食欲は落ちますね...。そんなことは考えなかった私ですが、写真で出てきた蛙の養殖工場の施設はやたらに近代的で、こういうところで無理に養殖されたカエルは食べたくはないとは直観したのですよね...。


フランスで消費されているカエルは、フレッシュなものの大半はトルコから輸入されていて、冷凍ものはアジアから入っているのが普通なのだそう。蛙の種類も違うのではないでしょうか。冷凍だとまずいという以上の違いがあると感じます。

フランスから輸入したカエルの脚が日本のネットショップでも売られていたのですが、お高いのですね...。


12匹で1万円近くしてしまうとしたら、日本のフランス料理屋さんが使うとしたら、1人あたり3つなどとお上品に出すのかな? 画像を検索してみたら、足を2つに分けて、つまり1匹で2つにした料理がありました。その方がグロテスクでなくて良いかもしれない。

フランスでもカエルの脚は高級食材ですが、スーパーでは安く冷凍のカエルの脚を売っています。日本でも同じようですね:
食材としてのカエルを楽天市場で検索



蛙の種類について気になったので、少し調べてみました。こういうゲテモノを食べるときには、動物の姿などは知らない方が良いのではありますが...。

フランスの蛙には、グルヌイユとクラポーがある


シリーズ記事: フランシュ・コンテ地方への小旅行 2015年4月  目次





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★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
★ 目次: アンティーク、蚤の市などについて書いた記事

外部リンク:
Grenouilles : exigez les rousses de Franche-Comté
Serge Valladont, vice-président du syndicat des ranaculteurs de Franche-Comté
"C'est de la grenouille naturelle, elle a un goût de noisette"
☆ 英辞郎 on the WEB: フランス人
Un élevage industriel de grenouilles, unique en France
Raniculture : naissance du premier élevage industriel de grenouilles


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コメント
この記事へのコメント
先日、たまたまワインが好きな知人と話をしていた際、カエルの話になりました。

彼「フランスでは、食用のカエルはグルヌイユって言うんですよね。」

おお、さすがにお詳しい!!
私はotiumさんのブログで教えていただいたばかりだったので、すぐに反応しました。
でも話をしているうちに、聞いたことのある話が出てきて、おやおや?

私「もしかしてotiumさんのブログご存知ですか?」

彼「えっ? aostaさんもご存知なんですか?僕も時々覗いてるんです。ブルゴーニュの情報がいっぱいでよね!もしかしてお友達ですか?」

私「いえ。お目にかかったことはないんですが・・・」

彼「なんだか時々長野にも来ていらっしゃるようですよ。一度お目にかかってお話をしてみたいなぁ♪」

私「いいですねぇ。きっと楽しいでしょうね。」

って、勝手に盛り上がってしまいました(^^ゞ



2015/05/01 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

あら、まあ、嬉しいご報告、ありがとうございます♪

このブログでは思ったことをストレートに書いてしまうことも多々あるので、嫌う方も多いだろうな... と、時々は反省しているのです。でも、日記代わりにメモしておくことを一番の目的にしているから、誰も読んでくれなくてもいいや... などとも思ったりして...。

長野県は広いので、よく行くのはaostaさんのところからは遠い地域なのです。ブログを拝見しながら、行ってみたくなる場所もたくさんあるな... と夢見ております。いつか、コンサートに行って、その後でご一緒にワインでも飲みながらおしゃべりできたら素敵だな...。
2015/05/01 | URL | Otium  [ 編集 ]
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