| Login |
2015/05/31
ここのところ長々と書いてしまっているレストランでの食事ですが(お話しの始まりは、こちら)、食事も終わりの頃、向うの方にあるものが目に飛び込んできました。

右に入れた写真で、黄色い矢印を付けたものです。

これについては、去年はニュースで賑わっていたのですが、レストランで見かけたことがないな... と思っていたところなのです。

意識していなかったから、あるのに気がついていなかっただけなのかも知れませんが。

レストランが厨房で調理した料理を出しているということを示す認証マークで、「Fait maison(ホームメイド)」と呼んでいます。何をもって「ホームメイド」とするかで話題になったのでした。



お勘定を終わって店を出るとき、お給仕の人に、このマークをどう思うか聞いてみました。

印刷するメニューには、どうやってパソコンで入れたら良いか分からないので、練習して自分で書いたのだそう。そう言われてみれば、線がぎこちないですね。

ここのようにシェフが情熱だけで料理を作っているところは、こういうマークを付けるのはお遊び感覚かもしれない。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ



レストランのホームメイド認証マーク

レトルト食品を加熱して出すだけのレストランも多い。見た目は美しいけれど、偽物料理。それで、レストランでは自分のところで調理していないレストランを見分けられるようにと、「ホームメイド」であることを区別しようと政府が乗り出したのです。

この政府認証マークができることになった昨年は、テレビで盛んに取り上げられていた(というより、片手落ちの基準だと批判されていた)のを横目に見ていたのですが、その後はすっかり忘れていました。でも、去年の7月から、フランス政府はこの認証を実施されていたのでした。

気がついてみると、その後、このマークを付けたメニューを私はレストランで1回も見たことがなかったと思うのです。初めて見たら、面白がって写真を撮っていたはずですから...。

正式のマークは、これです ↓



鍋の上に屋根を乗せたデザインですね。

検索してみたら、日本でもかなり報道されていました:
フランス、低水準のレストラン食に対抗策 「ホームメード」認証  (AFP 2014/07/14)

実は、この認証の規制内容は今月初めに少し変更されたのですが、それについての日本語報道は見つかりませんでした。


ホームメイド認証は2014年7月にスタートしたけれど、失敗...

当然ながら、外食産業界は政府法案成立に圧力をかける。何を持って「ホームメイド」であるかを規定する基準はおかしくなりました。「ホームメイド」と呼んでOKという料理も、消費者がイメージするホームメイドの料理ではない。

政府が変なことをするのは、フランスも同じ。でも、日本と違うのは、大統領を始め、政府や政治家が変なことをすると、報道機関はこぞって批判することでしょう。最近の日本では、内閣官房長官が「放送法に違反する」と脅してテレビで首相の批判をする発言をやめさせようとしたのとは大違い。

フランスで大手の報道機関は一般国民のサイドに立っているので、盛んに批判していました。

例えば、インゲン豆とかニンジンの冷凍食品は使ってもOK。でも、小さく刻んだ野菜ミックスの冷凍食品はダメ。でも、ファーストフードに対抗するためか、フライドポテトにするジャガイモの冷凍食品はダメ。ともかく、例外がある限り、レストランには抜け道がある。

このマークが付いていれば最悪ではないと見分けられるという程度の、変な認証マークだ、と私も思いました。

片手落ちな認証にしないためには、レトルトや冷凍食品を使った料理に警告マークを入れることを強制する法律だと思います。でも、これはホームメイドであることを示したいレストランがマークを付けて良い、というものなのです。

しかも、ホームメイドであることを強調する意思がないなら、マークは付けなくても良いわけです。従って、マークがなければレトルトだと決めつけるわけにはいかないし、マークが付いているから生鮮食料品を仕入れて厨房で調理という証明でもない。こんなマークには全く意味がないと批判されても仕方がないと思う。

パリのような大都会にある庶民的なレストラン、つまりレトルト食品が出てきても仕方ないと思いながら入るようなレストランでないと、こういうマークは付けないのではないかと思いました。それで、先日行ったレストランでホームメイド認証マークを飾っていたのが面白いと思ったわけです。

レストランでホームメイド認証マークを見たことがないのは私がしっかり見ていなかっただけなのかも知れない。調べてみたら、法律ができてから半年以上たっても、このマークを付けているフランスのレストランは1割程度に過ぎなかったそうです。

メニューに認証マークを付けたら、DGCCRF(競争・消費・詐欺防止総局)が抜き打ち検査に来て余計な迷惑もあるので、レストランは避けたいというのもあるようです。それに、あれだけテレビでいい加減な基準だと言われた認証ですから、マークがあることによる利益はレストラン側にも少ないと思われたのではないでしょうか。

認証マークができたころのアンケート調査では、このマークは「安心させる」と答えた人が52%。でも、それを「信頼できる」とした人は27%となっていました。

メニューにマークが入っているのを私は見たことがないので、それが見える動画を入れます。


Label fait maison : une mesure pour rien ?  (2014/09/23 に公開)

ホームメイドと言ったって、出来合いの商品を組み合わせればできてしまうので、全く意味がない認証マークだ、と批判していますね。


ホームメイド認証の内容は、2015年5月からシンプルで厳格になった

抜け道がありすぎて信頼できない認証マークだと批判されたのを受けたらしく、デクレが施行された2014年7月15日から1年もたっていないのに、何をもって「ホームメイド」とするかの基準が変わったそうです。

昨年の規定だと、材料として使うのは「produit brut(未加工のプロダクツ)」だったので、冷凍食品の一部も入ってしまっていました。これを「produit cru(生のプロダクツ)」を使っていなければホームメイドとは呼ばないことに制限。つまり、野菜などは生鮮野菜を仕入れて、自分で切らなければホームメイドとは言えないことになったわけです。


Le label "fait maison" devient plus strict 11/05/2015

私が2番目に入れた動画に登場していた、1から10まで厨房で料理を作っているパリのレストランがここでも登場しています。去年の段階では、「Fait maison(フェ・メゾン)」なんていう認証は「Fake maison(フェイク・メゾン)」、つまり英語に置き換えて「捏造メゾン」だなんて言って、マークを使うのを拒否していたレストランの経営者が、新しい基準には満足したのか、店の前に認証マークのシールを張っています。

この動画の中には、隠しカメラで取材したレストランが登場しています。冷凍食品などを使っているので、ホームメイド(Fait maison)とは言えない。それで表示しているのが消費者が誤解しそうな「Spécialité maison(ホーム・スペシャリティー」という表示を使っています。いくらでも抜け道はあるでしょうね...。


フランス経済省のサイトに、新たな基準になった「Fait maison(ホームメイド)」認証とはどういうものか、詳細な情報が入っています。




Le site d’information de la mention « fait maison » | Le portail des ministères économiques et financiers

このマークは、普通の飲食店だけではなくて、ファーストフード店、仕出し屋、イベント会場の仮設レストランなどにも適用されるのだそう。新しい基準になる前は、冷凍食品の一部やパイ生地などを使ってもホームメイドになったのですが、今度は生の食材から作らないとホームメイドとは言えなくなりました。

ただし例外は認めています。パン、チーズ、ハム・ソーセージ類(テリーヌとパテは自家製でなければ認めない)、ビスケット、ドライフルーツなど、それは自分で作らなくても許されるだろうなという食材が並んでいます。イタリアだったら、パスタは自家製でないといけないことにしたと思いますが、それは既製品を認めているようですね。同じく、シュークルート(ザワークラウト)に使うキャベツも、生のものを仕入れるのならOK。

ざっと眺めたところ、新しい基準ならホームメイドと呼んで良いかなという感じがしましたが、調味料やソースなどのあたりで手抜き料理の抜け道はあるだろうなとは思いました。

これでホームメイド認証マークの人気があがるのでしょうかね...。批判する種がないと面白くないせいか、テレビのニュースでも全く話題にはなっていないような気がしました。

はっきりと、工場で生産された料理を電子レンジで温めているだけだとか、冷凍食品を使っている飲食店が表示する義務を作って区別してくれた方が消費者には分かりやすくて嬉しいですけれど、そこまではできないのしょうね。

フランスの「パン屋」という呼称に関しては、自分のところでパン種を作って焼かないと「Boulangerie(パン屋)」と名の入った看板は掲げられないという法律があります。日本でも評判の良いパン屋のチェーン「ポール(Paul)」は、自分のところでパンも焼いているブティックもなくはないそうですが、「Boulangerie(ブランジュリー)」と看板に掲げるのはやめて「Maison(メゾン)」を使っています。

このくらい有名な店になれば、工場で作っているかどうかなんて全く問題にはならないでしょうね。私はやはり、小さなパン屋で、薪を入れる窯で焼いている店の方が好きですが。

レストランも、店の名称で区別してもらいたいと思ってしまうのですが、飲食店のフランス語の呼び名には、レストラン、ブラスリー、ビストロ、カフェなどと色々あるので、名前で統一することは不可能だろうとも思います。


その他の、ホームメイドを強調したレストラン認証マーク

「Fait maison」のマークを付けるには、事前に認証審査や申請手続きがあるわけではないとのこと。

同じく政府のレストラン認証としては、優秀なレストラン経営者に対する認証として「Maître Restaurateur」というのもありました。こちらは2009年に作られた認証で、厳しい審査に合格しないと付けられないのだそう。


Le titre Maitre restaurateur - Maîtres Restaurateurs - AFMR

ホームメイドの料理を中心に出していて、調理人は調理の教育と長年の経験があること、衛生的なレストランであることなどが認可の基準のようです。4年ごとに審査して更新。現在、約2,700人が認証されているのだそう。

この認証を持っているレストランのリストを見たら、こういうところは与えられるだろうなというのもありましたが、ここが? というのもあって、これではレストラン選びの基準にはならないと思ってしまいました。いくら良い料理を出していても、小さなレストランは取りにくいという批判もあるようですね。

ホームメイド認証の話題で出てきた情報では、上の認証とよく似ている「Restaurant de qualité」というのも出てきていました。クオリティー・レストランとでも訳しますか?


Restaurant de Qualité

2011年に、レストランのシェフたちが作った認証でした。会長は、アラン・デュカス(Alain Ducasse) とジョエル・ロブション(Joël Robuchon)。ホームメイドとホスピタリティが認可の目玉。現在、350のレストランが入っていて、選考中が250軒。

でも、これも何だかシェフたちの商売っ気を感じて好きにはなれないな...。

こういうプレートを気にしたことはありませんでした。レストランの入り口には色々な認証プレートやシールがあって、それがいちいち何なのかを考えていられないからです。

ここで紹介した3つの認証マークができてきたのは数年前からのこと。フランスでレトルト食品を使うレストランが多くなってきたのが目だってきたからなのでしょう。

続く

ブログ内リンク:
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ
クイズ: フランスのパン屋さんを見分ける方法 2006/11/13

外部リンク:
Le site d’information de la mention « fait maison » (フランス経済省)
Restauration : tout comprendre sur le label « fait maison » Le Monde 2014/07/15
Nouveau label "fait maison" : metronews vous propose sa carte "fake maison"
le livre blanc du fait maison
Ifop: Le label « Fait maison » - Regards croisés grand public - Professionnels (2013年アンケート)
Label fait maison - Définition
Xavier, restaurateur, plus de 800 000 euros par an
Restaurants qui font à manger cuisine maison
Restaurants : l'échec cuisant du label "fait maison", qui sera remplacé 15/03/2015
Le label "fait maison" serait remplacé 2015/03/14
Le « fait maison » pose ses conditions 2015/05/07
Restauration : s'y retrouver entre les différents labels
Le label «fait maison» des restaurateurs fait peau neuve 07/05/2015
Une appellation "Restaurant de qualité" pour défendre le fait maison 2013/04/15
フランス、低水準のレストラン食に対抗策 「ホームメード」認証 (AFP 2014/07/14)
フランス「ホームメードマーク」の失敗 2015/03/17


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: レストラン | Comment (0) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する