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2015/05/04
フランスの家族のあり方をみると、1970年代から、どうしてこんなに変化できたのか不思議に思います。カトリックの国ですから、日本に近い感覚があったのですが、今ではかなりしがらみから解放されているのです。

結婚をしないで男女が一緒に住むなどとんでもなかったのだし、法的な結婚をあえてしないカップルが多いです。親との同居も普通だったのに、今では親の方も子どもと一緒に暮らすなどというのは煩わしいと思っている。

信仰心が失われたというのもあるのかも知れません。今でも経験なカトリック信者の家庭だと、子どもは5人いるのが典型的なタイプで、「良妻賢母」を絵に描いたように見える母親の姿もあります。


フランス語で「専業主婦」に相当する「femme au foyer」の定義

夫婦共働きが普通のフランス社会では、日本でいう「専業主婦」という言葉を耳にすることがありません。「彼女は専業主婦だ」とか、「私は専業主婦です」というような分類の仕方は普通はしないからです。

でも、職業を持っていない妻は存在するわけなので、無職の妻であるなどとは言わずに表現する言葉が存在しないはずはない。それで調べて書いたのが、こちらです:
「専業主婦」に相当するフランス語を探してみた

和英・英和辞典に比べると遥かに充実していない和仏・仏和辞書。どれが適訳なのか曖昧だった「「専業主婦」という日本語は、フランス語では「femme au foyer」とすれば良いと結論しました。フランスのINSEE(国立統計経済研究所)が、まさに職業を持たない妻についての報告書を出していて(2013年)、そこでこの文字を使っていたからです。

その調査で対象とした「Femmes au foyer」の定義は、フランスでの「専業主婦」の定義として受け取れるはず。

以下のような女性であると既定されていました :
  20歳~59歳の女性
  学生ではない
  カップルで生活している
  仕事をしていないが、失業中ではない

まず、フランスでの調査であることがに現れていることを指摘しておかなければなりません。法的に結婚しているか否かは問題にせずに、一緒に生活している男女をカップルとして扱っています。フランスでは夫婦関係と同様のカップルとして公的に認められる形態は4種類あります。

調査の対象としているのは、カップルで生活している女性であり、しかも働いておらず、仕事を探しているわけでもない女性と言えると思います。

で年齢を60歳未満にしているのは、それ以降になれば老齢年金生活に入れるので、あえて仕事を持たないことを選択しているわけではないからでしょう。

で学生、で失業中の女性を除外しているのも、仕事を探しているわけではない、という同様の理由からと推測できます。

「失業(chômage)中」というのは曖昧だと思ったので、INSEEの定義を見ました。15歳以上で、仕事がなく、求職中である、となっていました。しかし、emploi、chômage、inactivitéの境界線を引くのには難しい、とあります。

ともかく、フランスでいう専業主婦とは、仕事を持たないことを自ら選択している(あるいは、仕事を探すことは諦めている)主婦、ということなのだろうと思いました。

日本との違いは見えます。日本の場合は、60歳過ぎていても専業主婦と呼ぶし、仕事を探している場合でも「今は専業主婦をしている」と言うと思うのです。結婚している女子大生は、さすがに専業主婦とは呼ばないでしょうけれど。

従って、「Femmes au foyer 専業主婦」とはできないのですけれど、非常に近いとは言えると思います。


フランスの男女カップルでは、2割が専業主婦

ちなみに、この2011年の実態調査では、フランスには仕事を持たない主婦は210万人いる、となっていました。これは、フランスのカップルの5組に1組に相当。

フランスの既婚女性の殆どは働いているという印象を受けます。でも、5人の既婚女性が集まったときに、そのうち1人は働いていないとしたら、けっこう多いではないか、と思いました。

ただし、無職の妻は1991年の調査では350万人いたそうなので(カップルの3組に1組)、大きく減少したとは言えるのでした。

最近のフランスは不況で、工場閉鎖などのニュースをよく聞きます。仕事を持てない主婦は増えたのではないかと思うが、調査では失業保険をもらっているような女性は対象から外しているせいか、数値には余り響いていないように見えました。

それでも、1991年と2011年の調査結果の比較では、不況の影響が垣間見られました。

今は無職の妻が、過去に働いた経験があるかどうかの比較。

2011年の調査での専業主婦は、その79%が過去に働いていた経験があり、その割合は1991年には76%。数値は大して変わっていないのですが、彼女たちが仕事を辞めた理由は大きく変わっているのでした。

個人的理由で仕事を辞めた人の割合は1991年には59%だったのだが、その20年後には21%しかいない。CDD(期限雇用契約)が切れたことが理由なのは、1991年の10%から2011年には35%と増加しています。雇用解雇されたことが理由とする人も、4%から11%に増加していました。

子育てが働かない理由かというと、そうでもないらしい。専業主婦の43%は、未成年の子どもがいないか、同居しなくなったケースでした。働く妻の場合でも、未成年の子どもがいる割合は45%。

ただし、3人以上の子どもがいる家庭を見ると、専業主婦の中では18%を占めていますが、共働きカップルでは8%に過ぎません。子どもが多いと職業との両立が難しいというのもあるでしょうが、フランスでは多子家族に対する経済的支援があるので、妻が働かなくてもやっていけるというケースもあると思います。

過去にも働いた経験がない専業主婦が2割いるわけですが、特殊な姿が浮かび上がていました。彼女たちは、仕事を持っている人たちより学歴が低い。専業主婦に占める高学歴者の割合は、1991年には58%でしたが、2011年には33%となっています。

さらに、専業主婦の2人に1人は移民女性なのだそう。となると、学歴がない、人種や言葉のハンディーがあるので、仕事を持ちたくても見つけられない、という環境もあるのだろうと見えてきます。


INSEEの調査を受けて作られたFrance 2のテレビニュースの動画を入れます。


Le nombre de femmes au foyer a chuté d'un tiers en vingt ans

タイトルは「20年間に専業主婦の数は3分の1に減少」となっています。働く主婦が「増加している」ではなくて、専業主婦が「減少」という言い方をしたのには意味があるのかどうか、私には判断できませんでした。


フランスでも専業主婦のイメージは変わってきた

ところで、INSEEは、1968年と1990年の専業主婦についての報告書も出していました(1995年)。

専業主婦の数は、1968年には550万人で、1990年には330万人。最近の調査では、210万人でしたね(2011年)。

ここですでに専業主婦が減少したことを述べているのですが、「femme au foyer」は相変わらず同じイメージを持っていると書いています。

今から20年前の専業主婦の典型的な姿は、こういうものなのだそう:

法的に結婚している場合が大半で、少なくとも3人の子どもがいるmère de famille(ファミリーの母)。上層階級か、ブルーカラーの家庭の妻。

というのも、女性も学校を卒業すると職業を持つのが普通で、子どもが2人になるまでは家庭と仕事を両立する。専業主婦になる理由が子どもが3人以上になったからというケースは、1968年当時よりは1990年の方が多いのですが、多子家庭は少なくなってきているのが理由。

裕福な世帯だから妻は働かない(接待などの場で主婦としての役割があって充実している)、逆に貧しい家庭の妻が仕事を持っていない、という両極端がフランスの専業主婦像にあるのは、今も変わっていないと感じました。

シリーズ記事: フランスの専業主婦の実態 2015年  目次



ブログ内リンク:
★ 目次: フランスに結婚に関する風習、夫婦・家族関係、生き方

外部リンク:
☆ INSEE: Huit femmes au foyer sur dix ont eu un emploi par le passé, Insee Première, n°1463, août 2013
☆ INSEE: Huit femmes au foyer sur dix ont eu un emploi par le passé
☆ Challenges: L'Insee dresse le portrait-robot de la femme au foyer en France (2013年8月)
Chômage (Insee - Définitions et méthodes)
☆ INSEE: Femme au foyer . un modele qui disparait (1995年)
Femme au foyer, le plus beau métier du monde et pourtant… les mères qui travaillent sont moins stressées (1994年)
Femmes au foyer de toute éternité ? (1994年)
☆ 『母親の社会史―中世から現代まで』 筑摩書房


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カテゴリー: フランス人 | Comment (2) | Top
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コメント
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2015/05/09 | | -  [ 編集 ]
Re:
ここで素晴らしいコメントをいただいている、とメモだけはさせてください。そうでないと、後で自分自身で探し出せなくなってしまうので。

お気持ちはよく分かります。私もブログを書きながら自分に言い聞かせて気をつけていることなので。

そうなのですよね...。そこまで突っ込んで考えてみたら、ものすごく面白いだろうとは思っているのです。

コメント、本当にどうもありがとうございます!!!!!
2015/05/09 | URL | Otium  [ 編集 ]
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