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2015/05/09
前回の日記(「聖母マリアのハート」の不思議)で、日本ではケマンソウ、タイツリソウなどと呼ばれる植物について書きました。

フランスでは「聖母マリアのハート(Cœur de Marie)」と呼ばれて親しまれている植物です。

ところが、英語圏では「Bleeding heart(血を流す心臓)」というドギツイ名前になっていると聞いて、何を意味するのか気になってしまったのでした。


ケマンソウは東洋が原産地で、19世紀にヨーロッパに入ったようです。

それをフランスでは聖母マリアに例えてしまうのは突飛ですが、フランスを旅行していると古代のケルト文化の時代のものに十字架を立ててしまうというのはよく見るので、それは気になりません。

このブログでも、2つの例を紹介していました。

 

フランスではマリア様を引き出しているのですから、英語の命名もキリスト教的な発想なのだろうと思ったのですが、そうでもないような... ということで前回の日記を書き終えたのですが、どうにも「Bleeding heart」という命名が気になる...。

それで、また少し調べてしまいました。


Bleeding heart とは?

英語で「Bleeding heart」といったらケマンソウ、というわけではなくて、色々なものに使われていました。その一覧がWikipediaのこの項目に入っています

音楽関係で使われていたり、犯罪小説の題名だったり...。単数でも複数でも使われる。

鳩の中にも、「Bleeding heart」と名を付けられた種類がいるのも発見。例えば、学名はGallicolumba luzonicaという学名が付いている鳩。



怪我をして血を流しているみたいに見える、変な鳥ですね~。でも、動物には信じられないくらい突飛な姿のがいるので、気にしないことにする。

英語の名前はLuzon bleeding-heart。鳩の心臓って、ここら辺にあるのでしょうか?

Wikipediaでは日本語にもリンクしていて、フィリピンのルソン島固有種のヒムネバトとなっていました。ヒムネって何だ? と思ったら、韓国語では「頑張れ」の意味があるらしい。それと関係しているのかどうかは分かりません。

いや、胸が緋色でヒムネかな?... だとしたら、日本では胸と捉える部分が、英語圏だと心臓になる?...

この鳩に与えられているフランス語の名前はGallicolombe poignardéeとなっていて、短刀で刺されたイメージを付けています。つまり、こちらは、心臓とも、キリストや聖母マリアの心臓とも無関係な命名。でも、短刀でさすのは、やはり心臓の場所なのかな?...

たとえこの鳥がフランスに多く入って、ペットとして親しまれたとしても、ケマンソウのようにキリスト教とは結びつけないだろうという気がします。赤い部分はハート型ではないのですから。でも、英語圏では心臓にしてしまうのだ...。


「Bleeding heart」は、地名でも使われていました。

ロンドン市内に、Bleeding Heart Yardと呼ぶ地名があるのです。建物に囲まれた中庭のようなところの名前が「Bleeding Heart」。

その命名は、この場所で、イギリスの貴族の女性Lady Elizabeth Hattonの死体が心臓から血がしたたる状態で発見された場所だった、という言い伝えがあるからとのこと。

そこにフランス料理店が建っていて、地名をとってBleeding Heartという、食欲を失いそうな名前が付いていました。


それで思い出したフランス映画があります。

『天井桟敷の人々(Les Enfants du paradis)』に、「Le Rouge gorge」という名で呼ばれる居酒屋が登場していたのです。

「rouge(赤)」と「gorge(のど)」を組み合わせた単語ですが、フランスによくいる鳥の名前として知られています。

さすがに変な名前の店なので、説明をしている場面がありました。

店の先代の主人が喉を切られて死んだから、そういう名前になったのだ、とのこと。

rouge-gorgeは、スズメくらいの大きさで、可愛い姿をしているのですけどね...。



この鳥は、日本語ではヨーロッパコマドリ。英語ではrobin(ロビン)で、喉から血を流しているようなイメージのあだ名は付けられていないように見えました。

分からないことを調べているときりがない! この辺で止めておきます。


ともかく、ケマンソウはBleeding heartと呼ばれるのだと教えてくださったaostaさんとコメントのやりとりをして、欧米人は血に対する感覚が我々日本人とは違うのだろう、という点で意見が一致しました。

日本でも、植物や動物の名前に血のイメージを入れている例があるのかな?... あぁ、また疑問がわいてしまった!

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化
★ 目次: 文学、哲学、映画、テレビ番組
★ 目次: 色について書いた記事

外部リンク:
☆ Almanart: la couleur rouge


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カテゴリー: 動物 | Comment (2) | Top
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コメント
この記事へのコメント
Bleeding heartという名前の鳩がいるんですか!
画像を見ると、本当に怪我をして血を流しているとしか思えません。不思議な鳩ですねぇ。

ヨーロッパコマドリについてはいろいろ思い出しました。
まず思い出すのがバーネットの「秘密の花園」に出てくるコマドリ。ひねくれっこだったメアリの唯一の友達であり、秘密の花園の鍵を見つけてくれます。それから「ニルスの不思議な旅」を書いたセルマ・レーゲルレーヴの「キリスト伝説集」に出てくるコマドリ。この子は確かムネアカドリと訳されていました。「幸福の王子」のオスカー・ワイルドの童話集にも出てきたような・・・・恋する薔薇のために何度も胸を棘に突き刺して死ぬコマドリの物語でした。そうそうマザーグースにもありますね「誰がクック・ロビンを殺したか」という文句が有名ですが、漫画家の萩尾望都さんの傑作「ポーの一族」の中でも大事なキーワードとして使われていました。
思い出すままにつらつら挙げてみましたが、結構ありますね!それだけ身近な鳥だったということかしら?でもフランス以外の国ばかりなのは不思議です。

胸の色が血を連想するほど赤いとは思えないのですが、愛のために自ら胸を刺して(血を流して)死ぬ、と言うパターンが重複している一方で、「秘密の花園」のコマドリのように、陽気で人懐っこく、幸せを運ぶ鳥、と言うイメージもあるみたいです。
いつも芋づるのような連想コメントですみません。
Otiumさんの記事には、私の記憶を刺激するスイッチが仕込まれているみたいです(*^^)v
2015/05/14 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

この鳩、出来過ぎていて薄気味悪いと思いました。中央部分は深い傷みたいに色が濃くなっている...。

そんなにコマドリが登場しますか...。

rouge-gorgeは赤くはなくて、濃いオレンジ色(Wikipediaではそう表現しました)なのに、ルージュと呼ぶのが理解できません。でも、フランスでよく使うオレンジ色は信号の色(日本で言う黄色)と天気予報の要注意マークを呼ぶ名前なので、フランス人から見ると色が濃すぎるから「赤」に分類してしまうのかな?...

ヨーロッパに転勤した日本人の子どもが、学校で太陽の絵を描いたら赤いので、先生にこの子は何か異常がある、と言われた話しを思い出します。フランスでは太陽は黄色にすべきなのですって。色のことを考えるときりがない...。

これを書きながらrouge-gorgeの謂れを探してみたら、フランス人のブログで紹介されていました。3つのお話しのうち、2つはキリストにまつわるもの。フランス人って、結びつけるのが好きなのですね~。

でも、血を流すのではなくて、キリストを助けたからご褒美にもらったという感じのお話しでした。 「陽気で人懐っこく、幸せを運ぶ鳥、と言うイメージ」というのは、フランスのお話しでも現れていますね。いつか時間があるときに訳しましょうか?

フランスで陽気と言われる鳥はPinsonと呼ぶ鳥です。「パンソンのように陽気」という言い方もあります。いつだったか、庭でうるさいほど元気に鳴いている鳥がいたので、なんという鳥かと聞いたら、パンソン。なるほど... と思いました。仏和辞典では「アトリ」と出てきたのですが、聞いたことがない名前...。
2015/05/15 | URL | Otium  [ 編集 ]
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