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2015/06/05
フランスのレストランが自分の厨房で料理しないで出すところが多くなったので、政府が「ホームメイド(Fait maison)」などという認証マークを作ったことを書いています。

シリーズ記事目次 【フランスの外食事情とホームメイド認証】 目次へ


前回の日記「フランスのレストランにできたホームメイド認証ラベル」を書きながら、フランス政府は優秀なレストランに与える「Maître Restaurateur」という認定も作っていたことを知りました。

レストランに行ったら、そのマークがあるかどうか見ようと思っていたら、出会ったのでした。

寒い寒いと嘆いていたら、突然、灼熱の暑さになった日。こういうときは広い庭があるレストランに行って、涼しそうなテラスで食事をするのが一番だと思って選んだレストラン。

できたばかりの時に行って、悪くない料理を出すという印象を持っていました。

お屋敷を買い取ってホテル・レストランにしたという感じのお店。広い庭は青々としていて、非常に感じの良い雰囲気です。暑さから解放されてほっとしました。

そんなことを思いながら立派な表紙のついたメニューを開く。まず、私が見たいと思っていたマークがあるのが目に飛び込んできました。



(1)が、優秀なレストラン経営者の称号の「Maître Restaurateur」のマーク。

ほう、こういうところがもらっていましたか。

さらに、ホームメイドのマークもある(左下の2番)。

ちょっとしつこくないですか? (1)の金色マークの下にも、新鮮な素材から調理をしており、レトロ食品を温めて出しているのではないと書いています。

鍋の上に煙突がある屋根が乗ったホームメイドのロゴの下には、「完全に」ホームメイドの料理なのだと書いてある。

インターネットで調べた情報では、パリのレストランがこのマークを料理ごとに入れているのを見ていました。つまり、ホームメイドのもあるし、そうでない料理もあるので、そうなる。ここは全部ホームメイドなので、料理ごとにはマークを入れていませんでした。

まあ、そう書いてくれていると安心はしますね。


ホームメイドだから素晴らしい料理ができる、というわけでもない...

暑さに疲れていたので、それほど食欲はない。それで、一番安い平日限定ランチ(20ユーロ)を選びました。前菜、メイン料理、デザートのコース。

さっそく、おつまみが運ばれてきました。こういうのが出てくると、高級レストランで食事しているみたいなリッチ気分になれて嬉しいのです。

回りを見ると、地元の人たちや、この町で働いている人が多いという雰囲気。このレストランは、お金持ちが多く住んでいる小さな町の中にあるのです。こういうところなら、普通レベル以上の料理を出せばお客には困らないだろうな...。

そんなことを思っていると、前菜が運ばれてきました。



サーモンのタルタルステーキに、アボガド、トマトなど。

ちょっとつまらない料理ですが、安いランチなのだから文句は言えない。それに、ホームメイドなんだと言っていたので評価してあげなければいけない。一般家庭でも難なく作れる料理ですけどね...。

次の料理は、普通は煮込みにする牛肉の部位、つまり安い肋骨部分(バス・コート)のビーフステーキ。強火で焼いているので、肉は少し硬いものの、まあ美味しかった。

食べ残しの肉を猫のために持ち帰ってあげたのですが、誰も喜んではくれなくて、ちょっと味見して立ち去られてしまったのは象徴的だったかもしれない。フランスのレストランで食べ残しを持ち帰るというのはハシタナイ行為なので(パリのレストランでは、犬のために持ち帰るドッグバックが始まっているそうですけど)、誰も見ていない瞬間を狙ってパックしたという私の努力も、私のグルメ猫たちは感謝してくれなかった...。

別に感激するほどのおいしさではないレストランだと評価したので、前菜から先は食べた料理の撮影を止めました。


フランスはマジックの国!

緑いっぱいの庭での食事は気持ちが良かったし、料理も悪くはない。ところが、このレストランではびっくりすることがありました。お給仕をしているマダムの不愛想なことと言ったら、かなりのレベルだったのです。

口のきき方がすごい! 私たちのテーブルに来たときもそうだったし、他のテーブルに行ってかけている言葉もすごい。文章そのものは不愛想なフレーズでは全くないのですが、その言い方はお客さんに対するものではないのでした。

恐いお母さんが、イライラしながら子どもに発するような物の言い方にそっくりなのでした。「ワインは何にしますか?」というときには、「あんたたち、ぐずぐずしていないで、さっさと欲しいものは何なのか言いなさいよ」みたいに聞こえるのです。面白いので、他のテーブルで何を言っているか聞くために耳をそばだててしまいました。


有名なフランスの笑い話を思い出しました。
バリエーションは色々あるようですが、私が教えられたのは純朴な気質があるフランス語圏ベルギー人を茶化したストーリーです。

飛行機に乗ったベルギー人は、スチュワーデスから飲み物はいかがですかと聞かれる。
- Puis-je vous servir quelque chose à boire ?
それで、ウイスキーを注文する。
- Oui: un whisky.
すると、スチュワーデスはこう聞き返してくる。
- Un whisky comment ?
慌てて彼はこう答える。
- Un whisky, s'il vous plaît, madame.

チュワーデスが「comment ?」と言ったのは、ウイスキーをオンザロックにするか何かで割るかなどの注文を聞くためだったはずなのですが、この言葉は、子どもが礼儀正しく話すように言い直させるために親が発する言葉でもあるのです。それで、「ウイスキー」とだけ言って注文したことで叱られたのかと思ったベルギー人が、「ウイスキーをお願いします、マダム」と言い直したというわけ。

この日のレストランのマダムから「なに~?」ときつい口調で聞き返してこられたら、私も「お願いします、マダム」を付け加えて言い直してしまったかもしれない!


料理を下げるときには、「お気に召していただけましたか?」などと声をかけながらするようにと専門学校では教えているのだろうと思うのですが、マダムはひと言も声をかけないで皿を下げて行く。

そういうのって、すごくマイナスだと思うのですよね。同じ料理を食べても、楽しくなるようなお給仕をしてくれたら、実際よりも美味しく感じるものですから。

それでも、お客さんたちには常連さんが多いようなので不思議。この日はウエートレスが休みをとってしまって、いつもは帳場に座っていれば良かったシェフの奥様がお皿などを運ぶのでご機嫌が悪かったのかな?... そこまで私が心配してあげる必要はないのですけど。

ただし、優秀なレストラン経営者に与える国家認定の「Maître Restaurateur」は、サービスの良しあしは審査の対象にはされていないのだろうかと気になりました。


先日会ったお医者さんが言っていた言葉を思い出します。

彼の診療所にあるクレジットカードの機械がこわれたので、修理を依頼しているのに、1カ月たった今も直してもらえていないのだそう。故障したときのためのメンテナンス料も支払っているのに直してくれない、と憤慨していたのでした。

フランスでは、お金を払うのは客なのに、なんだか逆のような気持ちにさせられる、と言います。それで、リヨンに住んでいた日本人女性が言っていた言葉を教えてあげました。

「フランスでは、お客様は奴隷です」
その通り、全くその通り! と言って、彼はこのフレーズが気に入っていました。

そんな働き方をしていながら、フランスの経済は何とか持ちこたえているのは不思議だ、という話しになりました。
するとお医者さんは、これを3回繰り返して言いました。
C'est magique ! 

消えると思ったら消えなかった、という手品のイメージ?

このフレーズがすっかり気に入ってしまいました。今後、感じが悪いお店の人に出会ったら、「セ・マジック」現象だと思って笑って切り抜けることにします。口に出したって、相手には意味が通じないから叱られないだろうし。


ところで、このレストランでの食事では、選んだワインがとても気に入ったので、次回にそれをメモしておこうと思います。いつか行ってみたいドメーヌなので。

続き:
やたらに美味しいブーズロンに出会う

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