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2015/06/18
フランスの観光スポットとしては、見事な庭園や野菜畑に対して「Jardin remarquable」というラベルがあります。

Logo des jardins remarquables文化省が2004年に作った認証ラベル。

2015年1月現在で、全国にある396カ所の庭園が選ばれているのだそう。

例えばヴェルサイユ市に何があるかというと、ヴェルサイユ宮殿の庭園と、少し離れたところにあるPotager du roi(王様の野菜畑)が入っていますね。もちろん見学したことはあって、観光スポットとして推薦するに相応しいと思います。それから、市内にある市民農園もラベルをもらっているのですって(こちら)。

「みごと」と言っても、ちょっと差がありすぎる... というのが私の感想。

私は造園法とか植物の品種に興味があるわけではないので、このラベルが付いているからといって見学してみようと思うことは余りありません。行ってみて、どうってことないよ、これで入場料を取るの?、と思うときもあるし...。


少し前、文学と歴史の勉強会のようなサークルが企画したお出かけでは、ここなら入場料を払って見学する価値があるな、と思う庭園に出会いました。

城の保存活動をしているボランティア団体の人たちに城を案内してもらってから、その近くにある見事な庭園を2カ所見学するというスケジュールになっていました。

庭園見学で行ったのは人口が300人もない小さな村なのに、「Jardin remarquable」に入っている庭園が2つあるとのこと。1つが道路を挟んで2つに分かれているので、地元の人たちは3カ所あると言っていました。

そのうちの2カ所の庭園を見学したのですが、始めに行った民家のお庭がとても気に入ったのです。


◆ 見事な庭園を見学

Jardin de Silièreという名の庭園。普通の家のお庭なのですが、お城にありそうなほど見事に手入れされているフランス式庭園なので驚きました。

ここに住んでいるご主人が私たちを案内してくださいました。



周りにある森が背景になっているのが気に入りました。京都などにある日本の庭園も、裏山をバックに使って自然な感じをだしているのを思い出させました。

館が建てられたのは1659年。かの有名なアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre: 1613年~1700年)がヴェルサイユ宮殿の庭を設計する直前の時期。ご主人は、この庭はル・ノートルが設計したと思っていらっしゃるのでした。

あり得ないこともないと思いますが、すでに名声を博していたル・ノートルが、こんな田舎にあるお屋敷の庭園を設計するという仕事をしたかな?...

でも、ご主人はそう信じているらしくて、ここの庭園がル・ノートルのフランス式庭園の特徴を持っているという例を見せながら話してくれました。



フランス式庭園は、自然に逆らっていて、人工的すぎると思うので私は好きではない。でも、フランス式庭園というのは庭を歩く楽しみのためにできているのではなくて、城の2階の広間から見るようにできているのだそうです。そう言われれば納得。少し高い位置から、眺めるための遠近法が活かされた庭園なのですね。

ここのお家は2階から眺めるという風には見えませんでしたが、遠景の部分が坂を登るという風になっているので遠近感が出るようになっていました。

フランス式庭園は、フランス各地にあります。ここでは普通のお屋敷の庭だというのを考えないと、別にどうということはない...。
コンパクトな規模で、まわりの自然に溶け込んでいるのが美しいと思いました。こんなお庭がある家に住んでいたら、庭園の中を散歩するのは楽しいだろうな...。なにも、ル・ノートルを持ち出さなくても美しい庭園ですよ...。

家の前から庭園を歩く道が続いているのですが、登りつめてから振り返ると、こういう眺めになっていました。




左に見えているのが、この庭園を持つお家の建物。庭はすごく立派なのに、家の方はどうということもないのが面白い。

庭園を歩いていると、景観に邪魔なものが何もないのも幸運でしたね。田舎にいると、向うに高速道路ができてしまったり、電気の高圧線がそびえてしまっていたりすることが多々あるので。


一番気に入ったのはロマンチックな散歩道

下の図面は、19世紀半ばに描かれたこの家の庭園の図面。フランス式庭園の周りに散歩道を作るにあたって描いたもののようです。


Jardin de Silière

私が気に入ったのは、中央に作られたフランス式庭園より、こちらの森に沿った散歩道でした。図面の下に描かれている小道を歩きました。

この土地は湧き水も豊富なのだそうで、散歩道の横にはきれいな水の小川が流れていました。

水分が多い緑というのは、日本を思い出させます。



一面に咲いているのはラムソンという名の自然に生える草。花が咲く前の葉は食用になるので、朝市などでは束にして売っていることがあるのですが、このくらいたくさん生えていたら商売ができてしまうではないですか?

フランス語の名前はail des ours。直訳すると「熊たちのニンニク」。まさにニンニクの匂いがするので、散歩道には相応しくないかも知れませんが、自然に生えたのを放置したのだと思います。

この植物については過去にも書いていました:
レストランで出されたラムソンという山菜 2010/05/21


わざわざ道を少しくねらせていて、滝などもできている。



歩きながら、日本にいるような気分になってきました。案内してくれたこの屋敷の持ち主は「イギリス式庭園」と呼んでいるので、私には日本的に感じると話しました。でも、日本式庭園に興味を持って調べた様子はない。フランス人にとっての日本式庭園というのは、まず第一に龍安寺にあるような枯山水なのですよね。

幾何学模様のフランス式庭園でなければ、みんなイギリス式庭園と呼んでいる感じがします。などと言う私も、イギリス式庭園と日本式庭園の違いは全く分かっていません。



水が段々畑のように作らせた石の上から滝になって落ちてくる。日本では、自然にできたこういう滝がありますよね?

やっぱり、私には日本的な風景に見えるのだけれどな...。


地元のツーリストオフィスが作った、この庭園を紹介する動画がありました。フランス式庭園の部分しか見せていない!


Jardin de Silière à Cohons

フランス人は、フランス式の庭園の方に価値を認めるのでしょうね...。そもそも、彼らは家の普通の庭でも、芝生で広々させておくのが好きだと感じます。特に田舎の人にはその傾向が強い。木を植えるのさえ、落ち葉で汚くなるから嫌いだと言う人もいる。

フランス式庭園が誕生してから200年以上の歴史があるので、そういうのが最も美しいという感覚が育ったのか、あるいは、もともとフランス人は自然を不自然にしてしまうのが性にあっているのか?...


変な村の名前

この庭園がある村の名前はCohonsですが、「コンス」と発音するのだそうです。これを書きながらGoogleやワードでCohonsを発音させたら、やはり「コン」とか「コーン」とか言っていました。

「コン」では困るのですよ。フランス語では、馬鹿を意味する言葉として「con」が使われているのですから。

で、コンス村の住民はどう呼ぶのですか? と、私が質問しました。

フランスの行政区分(地方、県、市町村)には全て、そこに住んでいる人の呼び名(gentilé)があります。パリに住む人をパリジャン/パリジェンヌと言うように、たいていは語尾を変化させて作られています。でも、中にはかなりかけ離れた呼び名もある。例えば、Besançon(ブザンソン市)の住民はBisontin(ビゾンタン)。

日本は余り使わないですよね。江戸っ子とか、道産子などしか思い浮かびません。使わなければならないなら、〇〇県人と言うしかないので面白味がありません。

コンス村の住民は何と呼ばれるのか?

外国人なのに良い質問をしたと、フランス人たちも興味を持った様子。ひょっとして、conard(connard)かな、と思ってしまうわけなのです。これは、バカ、間抜けの意味がある俗語!

ブルゴーニュ地方にはPoil(ポワル村)があるのですが、村の住民はPictiens(ピクシアン)かPoilu(ポワリュ)と呼ばれるのだそう。「私はパワル村に住んでいます」とフランス語で言うと、「私は裸で生活しています」に聞こえたりする変な名前の村なのですが、「ポワリュ」と言うと、もっと笑ってしまう。第一次世界大戦のときの兵隊さんを呼ぶ愛称でもありますが、「毛深い」という意味があるのです。

「みなさんがご想像なさった呼び名ではありません」と、まず答えられました。

コンス村の住民は、Cohonssois(コンソワ)と呼ぶのですって。
な~んだ、つまらない!

ブログ内リンク:
★ 目次: 珍しい植物の食材 (野菜、穀物、ハーブ、山菜など)
★ シリーズ記事目次: フランスの市町村について
ヴェルサイユ宮殿: 噴水と音楽のショー  2008/09/25

外部リンク:
Comité des Parcs et Jardins de France
☆ フランス文化省: Label Jardin remarquable
☆ Wikipédia: Jardin remarquable
habitants.fr - Le nom des habitants des communes de France
往還する日本庭園の文化史
イギリス式、日本式ガーデニングの違い
英国式庭園と日本庭園の違い


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