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2015/07/02
近所に住む友人が、パリから友達夫妻がやって来て家に泊まるのだと言ってきました。私の和食も食べさせてあげたら喜ぶだろうな... と言いたいのだと分かる...。

私には直接の友達ではありませんが、パリに行ったときにはお世話になることもあるし、彼らのブルゴーニュにある別荘にも行ったこともある仲になっています。それで、私も和食を出す食事会を1回するからと申し出ました。

ところが、数日前になったら、彼らは2週間の休暇でスケジュールが詰まってきたので、友人宅には1泊しかしないことになったと言ってきました。つまり、彼らがここに来てから食事する回数は、朝食を除けば2回しかない。

今回は私の和食はパスということになるかと思ったら、そうは言い出さない。私が刺身などを作ると言ったので、期待されてしまっているようなのです。

それで、友人の家で昼食を食べた後、その夜には私のところで和食を出す、ということになりました。

そういうのって、困る! ブルゴーニュ地方で友人を食事に招待するときは、すごいボリュームの料理が出るのです。昼食を食べたら、もう夕食は抜いても良いくらいの感じになります。昼食に招待されたら真夜中過ぎまで食卓を離れない、というのも何度も経験しています。

私がせっかく和食を作っても、みんなが食べてくれなかったら、張り合いがないではないですか?!

しかも、少人数だからと軽く考えていたのに、和食を食べたいとほのめかす人たちが加わってきて、結局、総勢11人分を作る夕食会になりました。

私の料理能力は、8人が限度だと思っているのです。フランス人は、20人くらい集まるホームパーティーは軽くやってしまうのですけど...。

日本料理が得意なわけではない私は、日本から持ってきた色々な小皿をたくさん出したり、ハーブなどで飾り付けでゴマカスのが最大のテクニック。人数が多いと、それをやるのが大変...。私が今までした和食パーティーでは、最高記録は18人でした。

私がフランスで日本料理を作ると、やたらに時間がかかります。人を招待したときには、前日から準備を始めて、当日は朝から台所に立ちずくめで、夕方に招待客が到着する頃には足が棒になっています。

今回は、そんな時間の余裕はないのですから、困った...。
そもそも、お腹がいっぱいのときに料理を作るのは辛いですよ~!

日本人に食べさせるときは気楽なのです。何を出しても、「美味しいわ」と言って喜んでくれますから。

でも、フランス人が相手だと緊張します。下手な料理を出したら食べてくれない。お腹がいっぱいにならなかったら、チーズをたくさん食べれば良いという魂胆があるからです。ごく親しい友人だと、不味くて食べられないという意思表示をされてしまう!


準備をどうするか?

パリに住む夫妻は裕福な人たちなので、パリ市内にある高級日本料理店にもよく行っています。それで、何か驚かせるような料理を作りたいと当初は考えていたのですが、予定を変更して、簡単に作れるものにしました。

昼食でご馳走を食べ終えてから消化する余裕もないはずなので、みんなもお腹いっぱいの状態でやってくるでしょうから、軽い夕食で良いはず。

まず、みんなが期待しているはずのお刺身をどっさり出す。それに、幾つか小鉢の料理とご飯とスープを添えれば良いや、と思いました。でも、念のために、まだ食慾がありそうだったら出せるように、牛肉のたたきの材料も用意しておくことにしました。

昼食は私のことを考えて早めに切り上げてくれるでしょうが、それでも帰宅してから2時間か3時間で夕食を準備しなければならないだろう、と計算しました。刺身と牛肉料理は当日作ることにして、それ以外は前日のうちに大半が下ごしらえできる料理を考える。

ダブルの食事会になるのは土曜日。前日の金曜日は朝市に行って、食材を調達。そして、昼食をとった後、さっそく料理の下ごしらえに着手。

その日の夕食は別の部屋か庭ですることにして、ダイニングルームにテーブルセッティングをしてしまいました。家の中に飾っていた花瓶を全部引き下げて、庭に咲いている花を取ってきて、生け花を飾る。

場所ができたら、これで準備ができたような気になって、安心して寝ました。

食事会当日は早起き。庭に出て、野菜、ハーブ、小さな果実3種類を収穫。それから、調理の準備作業。

正午に、昼食会をする友人の家に向かいました。ほとんど同時にパリから来た夫妻も到着。彼ら、パリから車を走らせてブルゴーニュまで来て、その足で2回もご招待を受けるというハードスケジュールだったのですね。その翌朝には、また車を300キロくらい走らせて次の目的地に行くというのですから、体力がある...。

昼食は、たくさんのおつまみが出た食前酒タイムがいつものように延々と続き、テーブルについたのは午後2時頃でした。デザートが終わった午後6時ころ、私はおいとまして、家に帰って夕食の支度を再開しました。

簡単料理にしておいて良かった。みんなが到着した午後8時には、盛り付けた刺身を冷蔵庫に入れて、準備は完了していました♪ 食事はゆっくり進むので、あとは合間をみて台所に立てば良いのです。


メニューも作って印刷

フランス語のメニューを作って印刷し、各人のお皿の上にナプキンと一緒におきました。お腹はいっぱいでしょうから、好きなものだけ食べてもらえるように。

小さな料理も入れて、全部で9品。もう少し増やしたい気はしたのですが、準備の時間がないのですから、思いとどまりました。

そんなことをしている時間があったら料理をすれば良いのですが、パソコンをいじるのが好きなのです。フォントやレイアウトに凝って印刷物を作るのが楽しい。面白いように、日本語の文字も入れてしまう。食事会を開くときには、たいてい作っています。

メニューの題名は「Dîner de la Saint-Fernand 2015」にしました。夕食会の日はカレンダーではSaint-Fernand の祭日になっていたので、日付をそのまま書くよりも見た目が良いかと思ったのです。

メニューの用紙に何か入れたいと思ったら、友達がロマン・ロランの小説『コラ・ブルニョン』の中の1節をくれたので、それを下に入れて印刷しました。

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À bouère !  À bouère !  À bouère !
Nous quitterons-nous sans bouère ?
Non !
Les Bourguignons ne sont pas si fous
D’se quitter sans boire un coup !

- Romain Rolland, Colas Breugnon  

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この文章は、こちらに入っている部分ですね

ロマン・ローランが生まれたクラムシー周辺地域が舞台の小説なので、ブルゴーニュの方言が入っています。「bouère」という単語は、普通のフランス語なら「boire(飲む)」。3回続けて言っているので思い出したのは、ブルゴーニュの民謡「C'est à boire qu'il nous faut」。ロマン・ロランは日本語でしか読んだことがないので、彼の作品にブルゴーニュ地方の方言も入っていたとは知らなかった...。

小説の題名は、どこかで聞いたことがあるような気がしたのですが、カバレフスキーが小説と同じに『コラ・ブルニョン』と題してオペラを作曲していたのでした。

『コラ・ブルニョン』の序曲を、ブルゴーニュの風景を見せながら聞かせる動画があったので入れておきます:


Overture from "Colas Breugnon" (歌劇「コラ・ブルニョン」より序曲)


簡単メニューだったけれど、みんな喜んでくれた

私の夕食にやってきたのは、友人宅で昼食をとったのと同じメンバーの11人でした。

刺身は、こんなに食べられるはずはないよ~、と思いながら2皿に盛ったのですが、出したら、たちまち、きれいになくなってしまったのでした。牛肉料理も準備しておいて、本当に良かった!

手抜き料理を作ってしまったわけなのですが、みんな感激してくれました。

ブルゴーニュの人たちが嬉しくなるとやる「バン・ブルギニョン(Ban bourguignon)」も、何回も歌ってくれたのです。

歌詞は「ラ・ラ・ラ」しかなくて、ジェスチャーをつけてやります。
YouTubeに入っていた動画でお見せすると、こんな感じ ↓



私が料理にとりかかろうと立ち上がったとき、料理を運んできたときなどにバン・ブルギニョンが飛び出しました。何回やってくれたかな?... それから、「ブラボー!」と言って、みんなで拍手してくれたりして、大騒ぎにもなりました。

昼食のときには、そんなのは全然なかったのです。私はフランス人に比べれば遠慮がちで自信がなさそうに見えるので、みんなが励ましてくれた、というのもあっただろうと思います。

褒める言葉も色々並べてくれました。フランス人は料理を褒めるのが本当に上手だと思う。特に、始めて私の和食を食べた人、めったに来たことがない人たちは、極端なくらいに感激してくれました。私にお礼を言うためというのだけではなくて、彼ら同士でも、日本に旅行できたみたいだとかなんとか、喜びを語りあっていました。

幸せそうな人たちを見るのは嬉しい。おだてられると張り切る私なので、また作ってあげたくなる。それが彼らの狙いであったかもしれない!


昼食をまだ消化しきっていないでしょうから、少し食べるだけかと思ったら、みなさん大いに食慾がありました。多すぎると思いながら作った料理でちょうど良い分量でした。

まさに、ガルガンチュアの世界...。

食後酒を飲んで、お開きになったのは午前2時過ぎ。疲れましたが、皆が喜んでくれたので楽しい1日になりました。


その翌日は、昼食会をした家が、別の友人たちを招待して残った料理を昼に食べるから来ないかと誘ってきたのですが、パスしました。片づけをしないで寝てしまったので、食卓の上や台所に散乱している食器を片付けなければならなかったからです。

食器洗い機は便利ですが、日本の食器には向いていないですね。漆器は入れられないし、小皿を入れたら場所を取りすぎてしまう。フランス料理を大勢で食べるときには、下げたお皿を食器洗い機に入れて、食事の最中に回転させておけば、食事が終わるときには殆ど片付いてしまうのですけれど...。


今回は準備の時間に余裕もなく作ったという特別な食事会だったので、何を用意したのかメモしておこうと思います。次回の参考になるでしょうから。

でも、こういうハードスケジュールは2度とやりたくないな...。

続きへ:
簡単に作った和食を食べる会のメニュー

ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ カテゴリ: フランスで作る和食
ブルゴーニュの作家ロマン・ロランの足跡をたどって 2013/06/26

外部リンク:
☆ Google Livres: Dictionnaire amoureux de la Bourgogne
☆ Wikisource: Colas Breugnon
"Univers et terroir" dans Colas Breugnon de Romain Rolland
Paul DUCHON - Grammaire et dictionnaire du patois bourbonnais (1904)


シリーズ記事: 日本料理の夕食会を開いて(2015年夏)  目次


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