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2015/07/05
今朝入ってきたニュースは、「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」がユネスコの世界遺産に登録されたというものでした。決定したのは昨日でしたが、出かけていたので知らなかった。

情報を検索してみたら、ブルゴーニュ地方のブドウ畑だけではなくて、シャンパンの産地のシャンパーニュ地方も認められて登録されていました。

同じようにブドウが栽培されている地域ですが、世界遺産に登録されるに至ったコンセプトは多少異なるようです。

ブルゴーニュ地方:ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ
Les Climats du vignoble de Bourgogne
人類が2千年をかけて育み、世界に伝播した他所にはないブドウ栽培のモデル」として立候補。黄金の丘と呼ばれる地域を中心に開墾されたブドウ畑は、キリスト教、とりわけブルゴーニュ地方を核とした修道院制度とともに発展した。確固たる地位を確立したワイン造りはビジネスモデルとして世界各地で踏襲されている。

シャンパーニュ地方:シャンパーニュのメゾン、丘陵、酒蔵
Les Maisons, Côteaux et Caves de Champagne
農工システムにより組織化された地域の領土と社会、ならびに祝祭の彩りとしての世界的認識に立候補。石材を切り出した後の地下空間がシャンパーニュの熟成庫として利用されるなど、人々が土地と結びつき、自然に働きかけて作り上げてきた景観がある。

※ フランス観光 公式サイト「2015年は当たり年? 二大ワイン産地が世界遺産登録へ(2015年1月記事)」を基にして作成。


ブルゴーニュのぶどう畑のクリマ

「クリマ(climat)」というのは気候、風土のことなのですが、ブルゴーニュワインでは特別な意味を持っています。ブドウ畑の地理的条件や気候というテロワールの要素やブドウの品種の違いだけではなくて、歴史やノウハウなども含めて細分化された区画のこと。

アペラシオンがさらにクリマに分かれている、と思ってしまっても良いのかな?...

7世紀にはすでに「クリマ」という言葉が使われていたのだそう。

「ブルゴーニュのクリマ」に関しては、行政も肩入れしていたらしく、地元ブルゴーニュではかなり活発にPR活動が行われていて、否応なしに知らされていた立候補でした。

このブログでも少し触れていました:
ブルゴーニュのブドウ畑を世界遺産にする運動 2012/01/28

この運動のオフィシャルサイトもあるので(Les climats du vignoble de Bourgogne)開いてみたら、「世界遺産に登録されました。みなさん、ありがとう」という感じのメッセージがトップに入っていました。

色々なイベントで「世界遺産に登録させよう」という趣旨のブースを設けていたので、無料でもらえるバッチはもらっていたけれど、私は登録されると良いと思っていたわけではないのです。

正直言って、すでに有名なブルゴーニュのブドウ畑が世界遺産に登録される意義は私には全く分かりません。ユネスコの世界遺産に登録された後に観光地に行くと、観光バスなどがたくさん入っていて、登録前に行ったときの感動は全くなくなってしまうのをあちこちで見てきているからです。

自分も観光客なので人のことは言えないのですが、世界遺産というステータスがつくと、文化財には全く興味がない人たちがたくさん来るようになるので雰囲気が壊れるのが残念だと思ってしまいます。

観光関係で働いている人たちには訪問客が増えるのは喜ばしいことでしょうし、自治体に観光収入が入るのも喜ばしいことかもしれない。でも、失うものも多いと思うけれど...。

ユネスコの世界遺産というのは、お金がない発展途上国で指定して、文化遺産の保存のために補助金を回すべきだと思う。それと、このままでいたら放置されて文化遺産が崩壊してしまう危険があるところをクローズアップするために指定して欲しい。

今回フランスで登録された2つのワイン産地は、アルコール産業ビジネスがうまくいっていて、超お金持ちがいる地域なのです。なぜ保護してあげる必要があるのだろう?...

ブルゴーニュのクリマを世界遺産にしようというNPO組織の会長さんは、ロマネ・コンティの醸造元として知られるド・ヴィレーヌ氏(Aubert de Villaine)。世界遺産に登録されたって、何のメリットもなさそうな人なので、会長として頑張ったのが理解できmせん。

ブルゴーニュのブドウ畑が観光地化して、ロマネ・コンティの畑に人が押し寄せたら迷惑をこうむるだけではないかと思ってしまうのです。なにしろ、これだけ世界的に有名なロマネ・コンティなのに、その畑は無防備なのです。昔は行く人がいなかった静かなブドウ畑だったのですが、なぜか最近は観光客が増えてきて、ついに数年前には「畑に入らないでください」と書いたプレートが付けられました。

それに、ロマネ・コンティは知名度をあげる必要は全くないのですよ。ロマネ・コンティのブティックなんかはないので観光収入なんかは入りません。ド・ヴィレーヌさん自身は、ブルゴーニュ地方のワイン造りの歴史を世界遺産として認めて欲しいという純粋な気持ちだけで会長になったのかもしれない。

それにしても、なぜブルゴーニュのブドウ畑を世界遺産にさせたかったのか不思議...。経済と政治の世界がやることには、どこの国でも不思議がいっぱいなので、気にしないことにします。


◆ 「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマとは何処のこと?

世界遺産にブルゴーニュのブドウ畑が登録されたと聞いたら、ブルゴーニュ地方にあるブドウ畑の全部が指定されたのだろうと思いますよね?

ところが、そうでもないらしいのです。

Wikipediaの「ブルゴーニュワイン」に入っていた「ブルゴーニュワインの産地」の地図を入れます。もっと北にある「シャブリ」と「シャティヨネ」の地域は外してしまっている地図ですけれど。



フランスワインの2大産地とされる、もう1つのボルドーに比べたら、ブルゴーニュのワイン産地は遥かに小さいです。でも、北から南まで、かなりの地域に広がっています。その全体が世界遺産になるというのは無理な感じがしますよね。

いわゆる高級なブルゴーニュワインが生産されている、ディジョン市からボーヌ市を少し過ぎたマランジュ村あたりが「クリマ」として登録された、ということでした。

上の地図でいうと、灰色の部分(コート・ド・ニュイ)と、ピンク色(コート・ド・ボーヌ)の部分が世界遺産に登録された地域ですね。詳細地図はこちら

オフィシャルサイトの情報によれば、ブルゴーニュ地方の2県にまたがる60キロにわたる地域で、市町村連合体の数で5つ(市町村数は140)が指定地域なのだそう。クリマの数にすると、1,247区画。

ブルゴーニュワインの「クリマ」は、数千もあるのだとか。



Les Climats du vignoble de Bourgogne - Terroirs d'histoire et d'excellence - Trésor pour l'humanité


「ブルゴーニュのクリマ」を世界遺産にしようと張り切っていた時期に制作されたビデオもあったので入れておきます。動画公開は昨年、2014年の12月。


Candidature des Climats de Bourgogne au Patrimoine mondial de l'UNESCO



追記(2015/07/06)
ディジョン市も世界遺産に入った


世界遺産としての登録の名称「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(Les climats du vignoble de Bourgogne)」と聞くと、ブルゴーニュ地方のブドウ畑全部が対象かと思ったら、そうではない。

有名な高級ワインが作られるコート・ド・ニュイ地域とコート・ド・ボーヌ地域のクリマだけが対象、と思っていたのですが、そうでもなかった。意図的だったのかどうかは知りませんが、何が世界遺産になるのかは曖昧だったのです。

今日の地元新聞Bien Publicでは、ディジョン市中心部が世界遺産に入ったという記事がありました:
Le centre-ville de Dijon classé au patrimoine de l’Unesco

ディジョン市の中心部100ヘクタールが含まれていると書いてあります。この新聞、最近はケチになって、購読料を払わないと記事の本文は読めない。

それで、本当にブルゴーニュ地方で最も大きい街のディジョン市が「クリマ」として入ってしまったのかを確かめるために情報を探してみました。

本当なのですね。「クリマ」としてブドウ畑の地域が入っているのですが、そのほかに「カルチャー風景」という項目もあって、ボーヌ周辺の町や村、ディジョンの旧市街も入ってしまっていたのでした。

http://www.lejdd.fr/Culture/La-Bourgogne-et-la-Champagne-viticole-classee-a-l-Unesco-740780
EN IMAGES. La Bourgogne et la Champagne viticole classées à l'Unesco - leJDD.fr (2015/07/04)

世界遺産に登録させよう、とディジョン市が大々的にPRしていたのが理解できました。ディジョンの旧市街は非常に美しく、歴史的建造物が保存されている地域の広さとしては、パリ市、ボルドー市に続いて3番目なのに、世界遺産には入っていなかったのです。

「フランスの美食術」が2010年にユネスコの無形世界遺産に登録されたのをきっかけにして、フランスに「ガストロノミーの地(Cité de la gastronomie)」を認定しようということになって、ディジョン市は、ランジス市(パリ中央市場がある)、トゥール市、リヨン市(自腹を切って入ったという感じ)と共に選ばれたのでした(2013年)。

最近のディジョン市は地方都市としての活性化が目覚ましいです。むかしに初めて行ったときからしばらくの間は、10年1日のごとき変化のない街だったのに、最近は旧市街は美しくなって、驚くほど活気も出てきました。

工業は全く発展しなかったブルゴーニュ公国の古都ディジョン。知らないうちに紛れ込んじゃったという感じもしますが、世界遺産登録、おめでとう、と言いたいですね。




ブログ内リンク:
ブルゴーニュのブドウ畑を世界遺産にする運動 2012/01/28
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ
★ 目次: ブルゴーニュの古都ディジョンの観光スポットや特産品など

外部リンク:
☆ BIVB: ブルゴーニュ-Bourgogneのぶどう畑のクリマ-Climatsとリュー・ディ-lieux-dits
Les climats du vignoble de Bourgogne
Inscription au patrimoine mondial : quelles sont les chances des Climats de Bourgogne ? (2015年3月)
Les côteaux, maisons et caves de Champagne ainsi que les climats de Bourgogne, inscrits au patrimoine de l'humanité (2015/07/04)
Patrimoine mondial de l'Unesco : les Climats de Bourgogne ont obtenu leur inscription (2015/07/04)
☆ BIVB: Les Climats : une spécificité bourguignonne
Buzz : quand François Hollande apprend le ban bourguignon
Climatクリマとは、何か。- 2つの異なるClimatクリマの定義
Les coteaux, maisons et caves de Champagne inscrits au patrimoine mondial de l'UNESCO (2015年4月7日)
La Cité internationale de la Gastronomie - le Grand Dijon


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