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2015/07/09
ずっと、フランスの魚は美味しくないと思っていました。

勝手に考えた理由は、フランスに面した海には海流に動きがないからだ、ということでした。英仏海峡は泳いで渡れてしまう人もいる。地中海は穏やか。そんなところに住んでいる魚たちには筋肉が発達しないので味が薄いのだ。フランスの友人たちにも、そう言っていました。

日本の魚は美味しい。秋のサンマなどは、焼いて醤油をかけただけだって強い味がある。5月のカツオもある。そもそも、フランスでは魚の旬なんて気にしないではないか...。

そもそも、農業をやっている人たちは主張を通すために犯罪になるようなことをするデモをしても大目に見られているのに、漁業者たちは同じような大胆なデモはしないし、全国ニュースでも騒がれない。フランス人たちは、肉とパンを食べていれば生きていけると思っているのであって、魚がないと困るという意識が余り無いのではないか?...


ところが、パリの日本料理店で、フランスの魚も美味しいのだと知ったのでした。日本料理が好きというフランスの友人がボチボチ現れてきた頃でした。

コストパフォーマンスが良くて美味しいと、パリに住む日本人に人気がある店だと聞いて行ってみた店です。

今は中国系の日本料理店になってしまったのですが、安くて、日本では普通にある素朴な日本料理も美味しく食べられる店でした。フランス人に日本料理を食べさせたいときには必ず行く店になりました。

ある時、鮭のカマの煮込み料理をとったときが衝撃でした。

フランスの魚屋では捨ててしまう部分です。

それが、素晴らしく美味しかったのです!

フランスにだって、探せば、美味しい魚があるのではないか?

フランスで食べる魚料理が美味しく感じられないでいたのは、新鮮な魚を内陸部に運ぶのが難しかった昔にできた伝統的なフランス料理の調理法によるものであって、ソースの味しかないからではないか、と思いました。

その後、フランスで日本食ブームになり、私が日本料理を作るのを期待されるようになったので、刺身にもできるような質の良い魚を売っている店を探すようになりました。

それで出会ったのは、50キロほど先にあるこだわりの魚屋さん。パリの中央市場に行って仕入れをしていているそうで、仕入れをした魚介類を保存する施設を見学させてくれました。びっくり。ピチピチ跳ねているエビなどもいる。

その後も経験しましたが、良い魚をいれている魚屋では、魚を食べる国として知られる日本人が良い魚だと認めるのは名誉だと思うらしくて、非常に親切にしてくれるのです。実を言って、私は日本では余り魚を食べないで育ったので、魚のことは何も知らないのですが...。

でも、魚が新鮮かどうかくらいは、見ただけで判断できます。

ただ醤油とワサビで食べても美味しい魚があるのでした。魚をそれほど食べる国ではないので、養殖はそれほど発達していないから、天然の美味しい魚が日本より手に入りやすいかもしれない、とも思うようになりました。

ブルターニュの帆立貝には甘味もあって、こんなに美味しい帆立貝の刺身は日本では食べたことがないとも思いました。殻付きのウニも、身は少ないけれど美味しい。アワビに漁猟制限のために番号が付いているのを売っているのですが、ものすごく美味しい。

でも、フランスの内陸部にいると、新鮮な魚を買える店はかなり限られるのです。初めにフランスにも美味しい魚介類があると教えてくれた魚屋さんも、不況になってから余りにも高級魚を扱っていたのがあだになって客足が遠のき、ついに閉店してしまいました...。


魚は金曜日に買う

海から遠いブルゴーニュ地方では、魚介類は絶対に食べないという人たちがいます。頑なに食べない! 食べる習慣がなかったという理由だけではなくて、子どものときに食中毒した経験があるからではないか、と思ってしまっています。

ブルゴーニュで最大の都市ディジョンでさえも、魚屋は1軒もありません。1軒あったのですが、だいぶ前につぶれました。買いたかったら、大きなスーパーか、朝市が開かれる日を待って行くしかありません。

キリスト教の伝統として、金曜日には肉ではなくて魚を食べるという習慣が残っています。従って、金曜日の朝市では、他の日には比べられないくらい魚屋さんの陳列棚が充実しているます。

スーパーで魚を買うことはまずありませんが、やはり金曜日には魚屋さんの品ぞろえが良いのではないかと思います。金曜日にだけ魚コーナーが開く小さなスーパーもありますね。

魚は金曜日に買いに行くに限る!

フランスに日本食ブームがおこってから10年くらい。刺身にできる魚を売っているところを探してきましたが、現在のところ、3カ所しか見つけていません。50~100キロ、車を走らせて行く必要がある町です。フランスでも、漁港がある町や、パリでは、生で食べたくなる魚介類をたくさん売っているので羨ましい限り...。


パリの中央市場まで行ってみても...

食通の友人たちに寿司を振る舞う夕食会を開いたときには、行きつけの魚屋さんが仕入に行くのに同行する許可をもらって、パリ中央市場まで行ってしまいました。夜10時ころに出発して、朝に帰ってきたという強行軍。

世界最大の生鮮食品市場の1つと言われるランジス市場です。何か、みんなを驚かせるようなネタを見つけられるのを期待したのに、いつも見ているものしかなかったのでした。フランスに流通している魚介類の種類は少ないのですね...。



築地に行けば、どうやって食べるのかと思う奇怪な魚介類がたくさんあるのに...。それに、売っている人に調理法を教えてもらったり、売れ残りを安く売ってもらったりもできるので、築地は楽しいです。

魚屋さんの方は「すごいだろう~」と言って自慢していたので、東京の魚河岸の品数はもっとスゴイのだ、と言うのは遠慮しました。

その魚屋さんは、人口が少ない小さな町で高級魚を売っていたので、不況になったら客足が遠のき、ついに店じまいしてしまいました。あの時、中央市場に連れていってもらって良かった。

築地のように普通の人が簡単に入れる場所ではないので、1度見させていただいた価値はありました。会場に入るために必要な白衣まで用意してもらったのです。パリ中央市場は一般の人が見学できるツアーもありますが(PRの動画はこちら)、ここは完全にプロの人たちの市場なので、何回も行ってみたいという場所ではないですね...。

当時はフランスで日本食ブームになったばかりで、私も張り切っていました。パリの中央市場まで買い出しに行ってしまったというのも、そういう時だったからでした。



この時集まった仲間に数年後に会ったときにも、あの時の食事会は素晴らしくて生涯忘れられないなどと、お礼言葉を言ってくれています。まだフランスで和食を作るのに全く慣れていなかった時で、大した料理は出せなかっただろうと思うのですが。鍋で米を炊いて失敗して、炊きなおしたのを思い出します。

その後は、パリの中国系の店に行ったら炊飯器を売っていたので、3合炊きの電気釜を買いました。それ以来、フランスの友人たちのために和食を作るのはずっと楽になりました。

調べてみたら、今ではネットショップでも買えてしまえるのでした。それだけ、フランスで米を炊く人が増えたからなのかな?... でも、これでご飯が炊けるのかと思うようなタイプもある。

フランスのアマゾンで炊飯器を検索


フランス人には、日本料理といえば寿司なのだけれど...

日本では、刺身用でない素材を買って刺身を作ったことなどはありませんでした。それで、フランスで刺身を作るときには素材を仕入れることに最大の努力しています。中毒なんかをおこされるのが一番怖いですから。

生魚を硬水で洗うと台無しになると教えられて以来、水道水で洗うのは止めました。刺身を作るときには、冷蔵庫に入れて保管しているペットボトルで買った天然水で洗っています。


フランス人にとっての日本料理は何と言っても寿司。それで初めは、日本では握りなどを作ったことはないのに作りました。



でも、本物の寿司屋の寿司には遠く及ばない出来。これが寿司かとフランス人に思わせたら、日本人として申し訳ない。それに、たくさん作るのは大変なのですよ...。

それで、手巻き寿司にしてみました。



ところが、手巻き寿司はフランス人には余り人気がない。

自分で作業するのが面倒だからかな?... それと、手巻きにするとご飯をたくさん食べることになってしまうのが嫌われた理由かもしれない。たぶん、1回か2回でやめたように思います。

それで最近は、前菜として刺身、ということにしています。刺身で出すとたくさん食べられるので、私の交友関係では寿司よりも気に入られています。


刺身風カルパッチョも作る

フランスにいるときに醤油味というのは、なぜか私は食が進みません。フランス人には珍しくて良いらしいのですが。刺身には醤油をたっぷり付けて食べています。

刺身になる魚介類が手に入ったとき、私自身はカルパッチョにするのが好きです。大皿を皆で突っついて食べるのが余り好きでないせいもあります。

1人前ずつの皿で、刺身のように大きく切った魚で「カルパッチョだ」と言って出したときのもの ↓



カルパッチョという料理は、生の牛肉の薄切りを並べたもので、画家ヴィットーレ・カルパッチョの絵画にある独特の赤い色から来ています。



ですので、生の魚を並べて「カルパッチョ」と呼ぶのは私が勝手につけた名前だと思っていました。でも、最近は日本料理の影響か、生のサーモンやマグロの薄切りで作ったものを「カルパッチョ」と呼んでフランスのレストランで出るようになりました。イタリアでは、もっと以前からあったのではないかという気もしますが。


フランス人に日本料理を食べさせると言ったときには、生で魚を食べることを期待されます。

刺身にしている魚について調べてみたので次回に書きます。

続きへ:
フランスで刺身にできる海産物をリストアップしてみた

シリーズ記事: 日本料理の夕食会を開いて(2015年夏)  目次






ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム
築地の魚河岸が楽しい♪ 2008/02/28


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蛇足:

築地の魚市場のことに触れて、ここはどうなったのか調べてみました。

築地場外市場のサイトにある情報によれば、場内市場は豊洲の施設が完成する2016年に移転し、場外市場は残るのだそう。築地は行きやすくて、私は場内市場の雰囲気が好きだったので残念。

で、その跡地はどうなるの?

日本の友達から「築地はカジノになるのだ」と言われたときは冗談だと思いました。でも、「統合型リゾート(IR)の整備を促す法案」というのがあって、カジノを作るのが真面目に計画されていると知ってびっくり!

フランスにはカジノがありますが、保養地にしか作れないはずです。つまり、お金持ちが長期滞在して、時間を持て余しているような場所。パリ市内には間違っても建設が許されないはずです。賭博は麻薬中毒のようなものにもなりますから、庶民が気楽に行けてしまえるような場所に作るのは危険が大き過ぎるという見地からだろうと思います。

ただし、喜ぶ人たちもいるはずなのは確か。古代ローマでは、立派なコロッセウムを各地に作り、庶民を闘技の興奮に浮かれさせて、政治の問題なんか考えないようにして効果があったのを思い出してしまう...。

まさか、こんなに人口が密集している東京都内にカジノを作るなんてことは実現しないだろうと高をくくっていたのですが、推進派は実現させようとしているみたいですね。突っ走る日本...。怖いな...。

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