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2015/07/12
ひところは、フランスの友人たちのために日本料理を作ったら、日本酒を出すことにしていました。

フランス人にとって馴染みがある「サケ(酒)」とは?

普通のフランス人が「Saké」と聞いて思い浮かべるのは、中華料理店を食べ終わったときにサービスで出してくるアルコール度の強いお酒です。

フランスにある中国系のレストランでは、必ずと言ってよいほど出てきます。頭が痛くなると言って、サービスを断る人もいます。

だいぶ前、「Sakéが大好き」というフランス人がいたので、日本で極上の清酒の小瓶を買ってプレゼントしたことがありました。すると、彼らが期待していた「あの酒」ではない、という反応。がっかりしたのだろうと思います。

話しを聞いたら、夫婦でパリの中華料理屋に行ったとき、サケをたくさん飲んで酔っ払った楽しい思い出があったのだそう。プレゼントは、私と一緒に味見をしただけで、残りは捨てられただろうと思いました。無駄な散財してしまって、口惜しかったです!...

フランスの中華料理店でサケが出てくるときには、液体を入れると、底に絵が浮かび上がるという盃を使っています。日本の中華料理店では、やらないのではないかと思うのですが...。



よく写っていない写真を選んだので、絵は見えないですよね? ネットにのせたら問題になるような絵が浮き出るのです。男性用と女性用の盃がある、という凝りよう!

中国を旅行したときには出てきた覚えはないので、外国でレストランを開いた人たちが考え出したパフォーマンスではないのかと疑っています。

サービスで出してもらって喜ぶアルコール飲料ではありません。お代わりを勧めてきたりもするので、安い酒なのだろうと思います。

それで、フランス人が「Saké」と聞くと、これを連想するのが気に入らない!


「酒」と書いて「サケ」と発音するのは、日本語ですよね?

最近でこそフランスは和食ブームですが、そんなのが全くない頃から、フランスの中華料理店では「サケ」と呼んでいたのです。

Google翻訳で「酒」と入れて中国語で発音させると(こちら)、「チオウ」と聞こえて、「サケ」という発音には全く聞こえません。「中国のお酒・中国名酒の中国語読み方」を見ると、やはり、酒の文字は「チュウ」と表記しています。

どうしてフランスにいる中国系の人たちが、自分たちの酒を「サケ」と呼んでいたのでしょう?! 謎です...。

最近はフランス人が日本料理に興味を持つようになったので、Sakéは日本酒のことで、中華料理屋で食後酒と出すのとは違うのだと分かる人たちが出てきたようです。フランス人の2割は知っている、という記述がありました。

それで、フランスのYahoo! 知恵袋に、私と同じ疑問をぶつけている人がいました。中華料理屋で食後酒として出すのはmei kuei luなのに、なぜsakéと呼ぶのか? 漢字で書けば「酒」だというのは意識しないでしょうから、疑問となるでしょうね。

ベストアンサーに選ばれていたのは、こういうものでした:
マーケティングだ。商売っ気がある中国人は覚えやすいようにSakéと呼んだのだ。

納得はできますが、なぜ酒を「チュウ」とはせずに、いきなり日本語の「サケ」にしたのかは疑問に思ってしまうではないですか?

仏仏辞典によると、「saké」は「saqué」という綴りでフランスの文献に登場したのは1667年。江戸時代ですね。その少し前にフランス人宣教師が琉球に上陸してから長崎に入っているので(キリシタン禁令により処刑された)、日本はフランスとの関係はあったわけです。

「サケ」という言葉がフランス語に入ったのが、日本の意味がある「Japon(1730年)」や「Nippon(1765年)」より早いのは意外ですが、当時は宣教師の人たちが記録していたからでしょうね。カトリックではミサで司祭がワインを飲むし、日本の神社仏閣には酒が付きものという共通点があります。

ということは、「サケ」という言葉は「チュウ」よりはフランス人に馴染みがあったということでしょうか?...

江戸時代まで遡らなくても、19世紀後半のフランスにはジャポニスムがありました。でも、その前には中国趣味のシノワズリがあったのですよね。中国語での「酒」の発音が定着していても良かったではないかと、しつこく思うのですが、美術上の流行とアルコール飲料は関係ないか...。つまらないことを気にするのは止めます。

でも、少し調べてみたおかげで、フランスの中華レストランで出てくる、あの得体のしれない酒が何だったのか分かりました。

メイグイルゥーチュウ玫瑰露酒)のようです。
フランス語表記でMeiguilujiu、ないしウェード式表記でmei kwei lu chew。

穀物からつくる蒸留酒である白酒(パイチュウ)に、玫瑰(メイグイ)(はまなす)の花を漬けこみ、砂糖を加えてつくる中国の薬酒で、健胃、整腸などの作用があるとされているのだそうです。

なるほど、それで食後酒として出してくるのでしたか。


日本酒を出すときのパフォーマンス

日本酒は、中華料理店でサービスされる安酒とは全く違って、ワインのように楽しめるのだ、とフランス人たちに分からせたい。そういう熱意が私にありました。

でも、日本酒の微妙さは、フランス人たちには評価できないのだ、と結論するようになりました。

特にブルゴーニュでは、ワインは色と香りを楽しむので、それが日本酒にはないのが物足りないらしい。少し飲ませてから、ワインに切り替えようかと提案すると、迷わずワインを所望してきます。

ボルドーや南仏のワインは、ブルゴーニュワインほどには香りを楽しむものではないので、違う地方で日本酒を飲ませたら、反応は違う可能性もあります。パリの人たちも、ブルゴーニュよりボルドーに親しんでいますね。

ただし、フランス人は日本酒を飲む機会がないので、珍しがってはくれます。和食を作った食事会で日本酒を出すと、中華料理店で出されるのとは全く違うので、発見として興味を持たれます。

お燗は、パフォーマンスとして非常に面白がられます。お燗にしないと面白がられない。良い日本酒だったら、冷で飲んで欲しいのですけれど...。

必ず喜ばれるのは金箔入りの日本酒です。

金箔入りの日本酒を楽天市場で検索

つまり、日本酒が美味しいとは思わないけれど、金箔が入っているのが面白いというだけでしょう?

そういうのも気に入らない...。


ともかく、私が付き合っているブルゴーニュの人たちは、日本酒は珍しいという程度にしか評価してくれない。それで、わざわざスーツケースの中で瓶が割れてしまう危険もあるボトルを持って来る気がしなくなりました。

日本料理を出すときには、それに合う白ワインを探すようになりました。絶妙に合うブルゴーニュ白ワインもあるのです。

探すと言っても、買ったワインを飲んだときに、これは日本料理と合うとマークしておくだけですが。

 



フランスで大ヒットした日本酒?

前回の記事「日本から持ってく和食用の食材」を書きながら、思い出した日本酒がありました。

東京で友人たちと会っていたとき、フランスには日本酒を持って行かなくなったと話したら、友人たちがフランスで大変な人気がある日本酒があると教えられました。

私は全く聞いたことがなかった銘柄...。

そのとき私たちがいたバーにあったので、友人が注文しました。

名前を忘れないように写真を撮っています ↓



獺祭」でしたか。「だっさい」と読むのでした。

写真の日付を見ると、2年前のことです。このお酒のことを思い出したので、インターネットで調べてみました。

山口県の旭酒造がメーカーですね。

サイトにはフランス語のページも入っているので、フランス市場にも力を入れている様子。

拡大しないと良く見えない「」は、フランス語ページではloutreだと説明がありました。そう言ってくれた方が私には分かりやすいです。

カワウソは、漢字で書くとそうなるのでしたか...。川獺と書いてくれた方がイメージがわきやすくなりますが。


検索してみたら、「Dassaï」ないし「Dassai」としてフランス語情報が出てきました。

友人たちが言っていたように、フランスで絶大な人気があるのかどうかは、検索結果では分かりませんでした。

ただし、日本酒の試飲などでは出てきているし、少なくともフランスでかなり宣伝しているらしいとは感じました。

飲んでみたら、とてもすっきりしている良いお酒でした。でも、グラスをかかげて色を眺めたり、匂いを嗅いだりするお酒ではない...。

私のブルゴーニュの友人たちが喜ぶ日本酒という風には思えない...。こんな高いお酒を出したらもったいない、と思ってしまいました。

同じ予算をかけるなら、コルトン・シャルルマーニュとかムルソーなどを出した方が、確実に感激してくれるはずですから。

でも、パリには、日本酒通のフランス人たちもいるだろうとは思います。

いつだったか、パリで日本人が経営している寿司屋さんに入ったら、そこにいた常連さんらしきフランス人男性が、私などは気恥ずかしくて口にできない寿司用語(あがり、お愛想、など)を使っているので驚いたことがありました。

知っていながら使うことはない言葉「スノッブ(snob)」とは、こういう不快感を抱かせる人に対して使うのだろうと思いました。フランスの田舎では、こんな風な気取り方をした人には出会わないので、珍しい経験としては価値があります。パリは外国! 間違っても、「日本語、お上手ですね~♪」などと話しかける気はおこりませんでした...。





ブログ内リンク:
★ 目次: フランスの日本食ブーム
★ 目次: フランスで北京ダックの食べ歩き
シャンティイと柿右衛門の関係 2011/11/16
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Paris va-t-il s’enflammer pour le saké avec Dassai ?
Le saké, nouvel alcool chouchou des Français
Saké Dassaï
最高の酒に杜氏はいらない 「獺祭」支えるITの技


シリーズ記事: 日本料理の夕食会を開いて(2015年夏)  目次


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コメント
この記事へのコメント
フランスでsakeといえば、
少し前ならキスオブファイヤーかな?
るい〇ぃとんのお酒です。
鹿野さんところで飲んだ記憶があったりなかったり(@_@)
2015/07/13 | URL | じゃむおじさん  [ 編集 ]
Re:
v-22 じゃむおじさんへ

なぜカクテルのお話し??? 全体を読んでも何のことか全く分からないので、私は日本語も理解できないんのだ... と、愕然...。

でも、検索してみたら、そんな日本酒があったのを発見。そういう宣伝方法というのもあるのですね...。

昔に仕事の関係で知っていた人の名前が出てきたので、そちらに検索をスイッチ。ずっとご健在だったのだと知って懐かしかったです。
2015/07/13 | URL | Otium  [ 編集 ]
獺祭、日本では手に入らないお酒として有名ですね。
百貨店で、毎月数量限定で販売する時には、
開店同時にダッシュしてる人がたくさんいます。
フランスにも出してるとしたら、それは日本では足りなくなりわけですね。
納得しました。
2015/07/13 | URL | 容子  [ 編集 ]
Re:
v-22 容子さんへ

>獺祭、日本では手に入らないお酒として有名ですね。
⇒ あぁ、そうなのですか~。教えてくださってありがとうございます!♪

口に入るものは、美味しいのは地元で消費して、余ったものを遠くに運んで売って欲しいと思っている私です。

日本では外国で評判が良いというのは大きな宣伝要素になるし、希少価値というのは行列を作らせるマーケティングですので、たとえフランスで売ることに収益が少なくても、やる価値があるのだろうな... と思いました。
2015/07/13 | URL | Otium  [ 編集 ]
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2015/07/23 | | -  [ 編集 ]
Re:
v-22
ああ、やっぱり、そうでしたか。どうもありがとうございます♪
2015/07/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
Otiumさん、ホントに料理がお上手ですよね!!  脱帽です!!
お刺身(お造り)など、絶対に作れません!!  😅

獺祭、日本で知名度がない頃、アメリカやパリに売り込みに行かれご苦労なさった様子。昔、角野恵子さんのサイトで紹介してありました。
日本酒もいろいろ飲みましたが、6千円ほどが購入の限度と思っていました。シャンパーニュの方が好きなので。。

夫は、日本酒も大好きなので、昨年、獺祭の二割三分を購入。甘いですが、美しいお酒でした。十四代も好きですが入手困難です。

で、二割三分の遠心分離というお酒があるのですが、これは辛口で美しく、本当に好きでした。1万5千円ほど。若干バカバカしい・・(笑)。
けれ ど、美味しい。 あ、やっぱりクリュッグかな〜、この価格だったら。。。(笑)

近くの酒店に、珍しい日本酒を置いてあるので定価で入手できますが、獺祭も入手困難品でプレミアがきます。知らずに飲んだ田酒も、それなりにとても美味しかったので調べたら、こちらも入手困難品でビックリ。

あと、獺祭のスパークリングを娘から。今のところ、遠心分離以外の獺祭は、購入しなくてもいいです。でも、遠心分離、お高すぎ!! 

素敵なテーブルを拝見して思ったのですが、樹脂製でいいので、黒色の半月盆をセッティングなさると、より、日本ぽくなりませんか〜。

お箸は、両細の杉の利休箸(長さは2種類ある)。または、スーパーで売っているお安い、祝い箸(スーパーは師走だけですが)はいかがでしょうか。お安くても、正式な祝い箸。私、長〜い間、お正月にだけ使うお箸だと勘違いしておりましたけれど。。。😅

失礼、いたしました。
2016/02/20 | URL | フォルナリーナ  [ 編集 ]
Re:
v-22 フォルナリーナさんへ

獺祭にも色々な種類があるのですね。

シャンパンがお好きだから覚えていらっしゃるのではないでしょうか? ヴーヴ・クリコが日本に進出したときの宣伝文句。

>素敵なテーブルを拝見して思ったのですが、樹脂製でいいので、黒色の半月盆をセッティングなさると、より、日本ぽくなりませんか〜。

私も、一時は、すごく欲しいと思ったのです。でも、和食器がやたらに増えてしまっているので、さらにお盆12枚を戸棚にしまうと場所をとると思って諦めることにしました。使うときに拭くのも面倒だし...。

>お箸は、両細の杉の利休箸(長さは2種類ある)。または、スーパーで売っているお安い、祝い箸(スーパーは師走だけですが)はいかがでしょうか。

利休箸は美しいですよね。一時は、折り紙の人形がついた使い捨てのお箸を日本から持っていったことがありました。使い終わったら捨てるのだと話したら、持ち帰った友人もいました。

失敗したのは、パリの中国系のお店で売っていた業務用パックの割りばしを買ったこと。袋が美しくないので出す気にならず、もう何年もたっているのに、たくさん残っています。フランスで割りばしを使ったら、暖炉やバーベキューの焚き付けに使えるので役には立つのですけど。
2016/02/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
はじめまして
在仏20年になる者です。偶然このブログを見つけました。魚と寿司の記事、偽日本食屋の話、もう何から何まで共感できる事ばかりです。
Otiumさんが見つけたパリの「本物の」日本食レストランはどこだったのでしょうか。気になります…私の知ってる所かな…?
2016/09/28 | URL | petitpiaf  [ 編集 ]
Re: はじめまして
v-22 petitpiafさんへ

>もう何から何まで共感できる事ばかりです。

偏った見方もして書いているのではないかと気にしたりもするのですが、同じように思われていると聞いて安心しました♪

>気になります…私の知ってる所かな…?

レストランは、オーナーが変わったりして不味くなってしまったところによく遭遇するため、ブログでは店の名前を出さないようにしています。わざわざいらしてしまって、がっかりされたら申し訳ないので。

ここは17区にあるレストランです。ご存知なのではないかしら?… このすぐ後に1回行ったのが最後なので(牛肉のたたきが美味しかった)、今でも美味しいかどうか分かりませんが、日本人観光客の評判は良いようでした。フランス人の食べ物ブログでは、このくらい高いお金を払うなら別の和食店を勧めるとか書いていましたけど。

ルーブル美術館の近くにあった大阪屋という店がコストパフォーマンスもよくて気に入っていたのですが、あるとき行ったら中華料理屋になってしまっていたのでがっかりしました。2001年に閉店したらしい。最近は良いところができているのだろうと思いますが、数年間からパリで和食屋さんを探すことは全くなくなりました。
2016/09/29 | URL | Otium  [ 編集 ]
お返事ありがとうございます
そうですね。パリは色々と新しい日本食屋もできているようですが、あんまり冒険せずに結局いつもの所(2-3軒ある)に行っちゃいます。

仕事でよくマルセイユに行くのですが、一軒だけ本物の日本家庭料理のお店があります。ハンバーグとか揚げ物とか、ちょっとB級グルメっぽい感じですがまさに日本の味で美味しいです。
あとの日本食屋は全部ほぼ偽者!まーったく、何でこんなにヘンテコリンな日本食が多いのでしょうかね~

ま、サーモンとアボガドの刺身/巻きだけはどこで食べてもあんまり外れがないので、中華系日本食屋ではそれのみを食べるつもりで最初から出かけます。日本料理ではなくて、そういう新しいジャンルの料理のつもりで、ですね。(マッシュルーム入りのみそ汁やなんちゃってコールスローサラダも含めて)

あ~、日本の美味しいお刺身が食べたい!
2016/09/29 | URL | petitpiaf  [ 編集 ]
Re: お返事ありがとうございます
v-22 petitpiafさんへ

>あとの日本食屋は全部ほぼ偽者!まーったく、何でこんなにヘンテコリンな日本食が多いのでしょうかね~

ほんとうに! 日本食ブームになってきたときには嬉しかったのですが、最近はフランス人のが味覚が狂ってきているからではないかと思うようになりました。

>サーモンとアボガドの刺身/巻きだけはどこで食べてもあんまり外れがないので、

マークしておきます。まだ食べたことがないので。

>あ~、日本の美味しいお刺身が食べたい!

あら~、そうですか。私は東京に帰ったときに近所で買う刺身は、フランスで入手するものより不味いと感じています。ラングスティーヌの刺身が大好き。ブルゴーニュにいると、50キロも百キロも離れた町に買いにいかなければならないし、やたらに高いのが難点ですけど。

マルセイユによくいらっしゃるとは羨ましい。あ~、地中海が見たい!
2016/09/30 | URL | Otium  [ 編集 ]
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