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2015/08/31
最近、フランスで久しぶりに会った知人からされる挨拶は、たいていパターンがあります。

元気? それは普通なのですが、その次に決まっているかのように「日本はどう?」と聞いてくるのです。この週末のパーティーでもそうでした。

いつも、こんな風に答えます。
「暗いです。日本がどうなっちゃうのか分からない状態なので落ち込んでいます」

相手は何と返事して良いか分からないという困った表情になってしまう。この返事は止めた方が良いかなとは思うのですが、それ以外に何か言ったら嘘をつくことになるので避けたい...。

福島原発事故の問題は、フランスは日本以上に原発依存率が高いので、科学技術が発達した日本なら解決できるのを期待していると感じるので、それを聞きたいのだろうと思うのです。以前は、「日本はどう?」なんて聞かれたことはありませんでしたから。

新聞を読んでいないようなフランス人たちは、日本には福島原発が収拾できていないことのほかに、戦争をする国になりそうだとまでは知らないらしい。

こういう質問をされたとき、インテリが読む新聞ルモンド紙を購読している友人がそばにいると、「Otiumにそういう質問をしちゃいけない。落ち込んじゃうからね」と言って、私の代わりに日本の事情を説明してくれます。フランスの報道は、日本におべっかを使う必要がないらしくて、日本の情報よりストレートに真実と問題点を伝えているのです。


国会議事堂前に集まった人々

毎朝パソコンを開くと日本のニュースを見るようにしているのですが、こんな写真が入っていたのでびっくりしました。


国民にとって歴史上、最も有害な政権の100万人告別式 | カレイドスコープ

8月30日の「戦争法案反対」デモで国会議事堂の前に集まった人たちなのですって。この人数、警察発表は3万人くらいで、主催者発表では12万人だったようです。SEALDsは35万人と主張。東京新聞では20万人と計算したとか。

全国各地でもデモが行われたので、100万人が反対デモに参加したという記事もありました。


少し前に、パリで行われた革命記念日のイベント(クラシック音楽と花火大会)で、こんなに大勢の人が集まれる広場は東京にはないのではないかと思っていたので、ここがあったかと思いました。

書いた日記を読み直したら、エッフェル塔をバックにしたシャン・デ・マルス広場に集まった人たちは50万人でした:
パリの革命記念日イベントをテレビの生中継で見た 2015/07/15

戦争をする国になることに反対して機動隊に脅かされながら国会議事堂前に集まった人たちと、エッフェル塔の美しさに見とれながら高らかに歌われるフランス国歌を楽しんだ人たちとのコントラストが大きすぎる...。

そんな呑気な比較をしていてはいけない...。


日本人は、よほど切羽詰った気持ちにならないとデモはしないと思う

日本では、少なくとも高度成長期の後は、大規模なデモやストをしたりはしない平和な国になっていました。フランス人たちは何にでも文句をつけるし、文句をつける権利が保証されているので、デモやストは頻繁におこります。

パリでは日常茶飯事なのだ、とバスティーユ広場に近いマレー地区に住む友人が言っていました。あるとき、その地域の美味しいレストランで食事をしていたら、デモから引き揚げてきたらしい人たちが大勢入ってきました。

熱っぽく賑やかにおしゃべりをして、美味しい料理を食べている。そのときのデモは深刻な問題に対するものではなかっただろうとは想像しました。でも彼らを見ていて、フランス人にとってデモは、気持ちを一緒にする人たちと出会える機会として趣味になっているのではないか、とまで思ってしまいました。

ともかくフランス人はデモをするのが好きみたい。少なくとも、デモをする権利が認められている国なのですよね。政治家も国民がおこすときに参加してデモをすることもあります。



東京新聞:8・30デモ 海外でも詳報 「大規模抗議は珍しい」


日本人がデモをすると慣れしていないから下手らしい。SEALDsがツイッターで参加は35万人だと流したのは、素人っぽいやり口だと感じました。そんな人数が集まれる場所ではないというのは検証されてしまっています。東京オリンピックが嘘だらけで開催されようとしているので、それが伝染してしまったのでしょうか?...

ともかく、デモをする人たちの叩くには事欠かないようです。

SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動: シールズ)は、お金をもらってやっている学生アルバイトばかりだとか、これは怪しげな組織で共産党が組織しているのではないかとか、若者は平和ボケしているから「死にたくない」と言っているだけだとか、単に安保法案を誤解して行動をおこしているだけだとか...。

戦争が終わってから70年間。インターネットが普及したなど時代の変化に合わせてた憲法に改正する必要はあると思います。

でも、自国が攻撃されたときだけ防衛をするというのと、他国の関係ない戦争にも軍隊を送れるようにするというのは180度違うと思う。まして、日本が組むのが、イラク戦争のときのようにでっちあげで戦争をするアメリカでしょう? 危なっかしいこと極まりないではないですか? アメリカは軍事産業で国の経済が成り立っているので、無理にでも戦争をしたがっているのは理解できます。でも、なぜ、日本が一緒にやる必要があるの?...

今までは欧米の宗教紛争には無関係でいられた日本なのに、自らイスラム系のテロ組織を刺激して、テロの対象国になってしまったという後なのですから、若者や、子どもを育てる母親たちが立ち上がるのも無理はないと思います。

日本だって、戦争があれば儲かる企業がある。だからといって、関係のない若者を犠牲にする権利はないと思います。

最近の若者たちはとてもお行儀が良くて、年上の私などには丁寧なことを言ってくれても、私がいないところでは嘲笑っているのではないかと思ってしまうこともありました。でも、戦争反対に立ち上がった彼らを見て、ちゃんと気骨があるのだと思い、日本の将来に明るい希望を感じます。彼らの行動を権力でつぶされないと良いのですけど...。

フランスだと、若者たちがデモに参加しだすと、政府は非常に慎重になります。フランス人にとって子どもは神聖なものなので、1人でも若者の怪我人が出たり、死んだりすると、政府の責任は大いので大騒ぎになるからだそうです。


2015年8月30日 国会議事堂前デモ「鉄柵決壊」の瞬間!市民が歩道からあふれて警察を押し切って、車道を占拠するまで

デモには参加したことがないのですが、こんな風に、音頭を取る誰かが何かを言うと、それと同じことを繰り返して言う、という形式になっているのでしょうか? へそ曲がりの私にはできないと思う...。記憶に残る最も古い記憶は幼稚園でのときのことで、こうやれと言われて皆と一緒に繰り返すというのがバカらしくて耐えがたい、というものでした。

デモ隊は穏やかにやっていますね。そんなに鉄柵で押し込めようとしなくても良いと思うけれどな...。


フランス革命とは一緒にして欲しくない

もう1つ見た記事のタイトルで、目がテンになってしまいました。

最近のネットニュースでは、有名サイトでない限りは、どっち寄りなのかを見極めないと、書いてあことは真逆になっています。これは読んだことがないサイトなのですが、極右サイトなのだろうと想像しました。でも、書いてあることは、そんなに偏ってはいないので、全く判断できなかったです...。


「フランス革命に近いことが起ころうとしている」安保反対の市民が国会前を埋め尽くす (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース


今回の安保法案反対デモと、フランス革命は、全く性格が違います。

フランス革命は、貴族と聖職者から、彼らの権力と財産をブルジョワ階級の手に収めようという革命でした。

経済力を持った人たちが世界を支配する権力を貴族から奪って手中に収めようとしたのは時代の流れとして当然だったと思います。でも、今よりもはるかに信仰心が強かったはずの時代に聖職者を追い払い、キリスト教の施設を占拠して、石をバラバラにして売ってしまったというのは狂気の沙汰としか思えません。

無神論を唱えた啓蒙思想家たちだって、死んだら墓に入れてもらえないし、天国でないとしたらどこに行けるのかと、本心では死を恐れていたそうですから。


ヴァンデの反乱(フランスではヴァンデ戦争と呼ぶ)の舞台となったヴァンデ地方えを旅行したときには唖然としました。

歴史の授業でフクロウ党がいたというのは習っていましたが、その爪痕が今日でも残っていたのかと驚いたのです。ヴァンデ地方は、宗教心が格別に強い地方だったのだそうで、農民と貴族がフランス革命に対するレジスタンス運動をしたのですが惨敗。

フランスで歴史があった土地を観光すれば、フランス革命のときにキリストや聖人の彫刻などが削られていますが、破壊されなかった美しい建物は残っているのですが、この地方には古い宗教建築物が全然ない! 新しく建てられた、つまり歴史的価値がなくてつまらない教会ばかりなのでした。

地元では未だにキリスト教信仰が非常に深いと感じました。弾圧された歴史に思い入れがあるので、あちこちでヴァンデ地方の歴史を語る見学やイベントに出会いました。


« Massacre des Lucs-sur-Boulogne » par Fournier — Chapelle du Petit Luc



今回のデモは、誰かから富を没収したいという下心がある人たちがやっているのではないのではないのは明らかなので、フランス革命を持ち出して欲しくないです。

それに、フランス革命の恐怖政治、さらにナポレオンの登場によって戦争ばかりする国になったので、それまでの豊かな国が崩壊したわけですから。

私が読んで気に入った切り口をしていると思ったのは、ルネ・セディヨ著の 『フランス革命の代償』でした。


日本ではフランス革命やナポレオンを美化することになっているのかもしれないですね。特に、ナポレオンの扱い方が違うと感じます。

気になって仕方ないのは、フランスの食品を売る会社が「ナポレオンが愛した〇〇」と宣伝していること。

あんなに戦争ばかりしていた人がグルメだったら、やっていけないですよ~! フランス革命前の戦争では、貴族が戦陣を張ったとき、戦いが始まる前に互いに敵方の大将を招待してご馳走を振る舞い合うという風習がありましたが、ナポレオンの時代にはそんな優雅な戦争の仕方はできなくなっています。

例えば、こちらのワインはナポレオンが愛したとして宣伝しています ↓



シャンベルタンを出されたら大喜びするワインですが、地元ブルゴーニュでナポレオンが愛したワインだからシャンベルタンは凄いのだという人に出会ったことはありません。

フランス情報でもナポレオン1世が戦場に持っていったと書いてあったのですが、この高級ワインに、なんと同量の水を入れて飲んでいたのだそう。そういう人をワイン通と言えるのかな?..


日本人がナポレオンはヨーロッパ諸国を解放したみたいにも言うのを聞くと、日本がアジア諸国を解放したのと同じと言いたいからなのかなと思ってしまう...。ナポレオンは領土を広げたいと思って失敗しただけなのに。大量の死者を出してフランスの人口危機を引き起こし、農耕馬と若者を大量に調達したので農業も衰退させてしまった。

「フランス革命に近いことが起ころうとしている」と書いた記事が、フランス革命を民衆の蜂起だと受け取っている人が、ただ大きな運動になるかもしれない、と言いたかっただけなのなら問題なし。でも、よく分かっている人が書いたのなら、日本を破壊する危険性があるとして、デモに対する否定的な見かたを示していると思えてしまう...。.

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★ 目次: 戦争に触れて書いた日記

外部リンク
国会議事堂前に反安保デモ35万人! これでも官邸と安倍親衛隊は「大半がバイト」とデマをとばすのか
「SEALDs」が唱えるデモ参加者数「35万人」説に疑問
8月30日のデモの決壊と小熊英二としばき隊 - フローのSEALDsの誤算
「戦争法案反対」12万人の凄まじい熱気と安倍官邸の異常対応
民間企業の新人を戦地に投入 防衛省が画策する「隠れ徴兵制」
ヴァンデ戦争・語られざる惨劇
Le Chambertin le vin préféré de Napoléon 1er !
☆ 内田樹の研究室: 毎日新聞のインタビュー記事 2015.09.22


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2016/07/24 | | -  [ 編集 ]
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