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2015/09/22
前回の日記「クイズ: この人たちは何を食べているのでしょう?」で放屁合戦と呼ばれる絵巻物のことを書いたのですが、オナラを面白おかしく捉える文化は平安時代からあったのだそうです。

平賀源内も『放屁論』なるものを書いていたのでした。本編は1774年、後編は1777年。

放屁は絵に描かれただけではなく、江戸時代には、音の高さや長さ、強さを変えながら放屁する「曲屁(きょうべ)」と呼ばれる見世物も流行ったようです。

この芸なら、フランスにも「Le Pétomaneル・ペトマーヌ)」と呼ばれたJoseph Pujol(1857年~1945年)がいました。腹部の筋肉に加える力を調整することにより、意のままに放屁しているかのように見せる芸だそう。

昔のことなので無声の映像しかないようですが、レコードの録音はこちら


LE PETOMANE DU MOULIN ROUGE


何を食べていたのか?

前回の記事では、「屁合戦絵巻(へがっせんえまき)」にある登場人物たちは何を食べているのか教えてくださいというのをクイズにしていました。クイズにしながら私自身は全く解答を用意していません。「

フランスでオナラが出る食べ物といったら、第一に豆。それから、玉ねぎ、ピーナッツ、キャベツなどとなるのですが、日本では芋でしょうね。

お答えをコメントにいただいて、やはり芋を食べたのだろうと思いました。コメントでは、こんにゃく芋、里芋の2種類をいただきました。どちらなのか迷います。

絵巻物の画像では、食べている画面が2回出てきます。戦いを始める前と、一休みした場面。



こうやって運んでいたものを手に入れたようで、それを大鍋に入れて加熱して食べている場面が出てきます。

私はオナラが出る食べ物といったらサツマイモを連想したのですが、それとは全く形が違う...。



鍋に入っているものも、お椀に入っているものも、カゴに入れて運んでいたときと同じように横に線が入っているのが見えます。




つまり、芋だとしたら、皮をむかないで食べているということ? 箸では皮がむきにくいのではないかと思うのです。あるいは、熱々だとツルリと皮が取れる?

これを書きながら絵巻物を再び眺めたら、2番目に食べるときには全く違う食べ方をしているのに気がつきました。



2回目の食事では、ナイフを使って皮をむいているのです。

1番目に食べたときより時間がたっているわけで、鍋から出したものを椀に入れないで、冷めた芋を食べているという場面でしょうか? みな皮をむいているだけで、誰も食べてはいないのではありますが、この後には食べたのだろうと想像します。


コンニャク芋説

これはコンニャク芋だとするコメントでは、「こんにゃくの歴史」の情報リンクをいただきました。ここに入っている桶に入った芋の絵がそっくりに見えます。コンニャクに加工しなくても、灰汁を混ぜてエグみを取り除けば食べられていたのだそうです。

でも、コンニャク芋と聞いた私は、カゴに入れて運ばれていたものは、コンニャクに加工されているものだろうと思いました。丸いコンニャクは、絵巻物に描かれているものとそっくりなのです!


煮込んだときに出汁がしみこみやすいように切れ目を入れていたのだろうと思いました。でも、2番目の食事の場面でナイフを使って皮をむいているのですから、加工したコンニャクでないことは明らかですね...。

とすると、窯に入れていたのは、芋を灰汁で煮ていた場面ということになりますか。

芋が汁に浸っていないくらいにたくさん入れていますが、鍋をかき回している人がいるのでエグイは抜けるでしょうね。

でも、疑問が残ります。

こんにゃく芋を描くのに横線を入れるだろうか?...
こんにゃく芋の画像をGoogleで検索


サトイモ説

里芋の中でも親芋であれば大きさも絵巻の物とあっていること、横に線が入っていることによって見た目も似ている、というご推察のコメントでした。

私も、この横線が非常に気になったのです。



気が付けば、縞模様があるのは里芋の特徴ですね!

コメントでは、親芋ならば絵巻物のように丸い形をしていると教えていただきました。こちらの画像を見ると、本当にそう!

ただし、親芋の写真を見ると、絵巻物のように丸い形をしているのですが、柄はカタツムリのように渦巻きの線でした(画像へのリンク)。でも、昔の品種だと、こういう形をしていたのかも知れないという気もします。あるいは、立体感などは気にしないで、描いていたのかもしれない。


江戸時代の芋は、どんなだった?

絵だと想像するしかない。それで、文章で書かれた情報を探してみました。

この絵巻物は、菱川師信の古図(1680年)を増補して1846年に制作されたものなのだそう。ということで、江戸時代の料理を紹介するサイトに入っている芋に関する記事を読んでみました:

飢饉を救った「薩摩芋(さつまいも)」 江戸っ子のおやつに焼き芋が大ブーム
「蒟蒻」(こんにゃく)は江戸時代、“お腹の砂下ろし”と尊ばれた健康食材
昔はイモといえば「里芋」、薬としても重用された注目の滋養食

3番目に入れた里芋に関する記事で、おならが登場しています! 女性には大好物だが、おならには苦労したとのこと。あれ、あれ、サトイモですか?...

そこで、「屁 里芋 江戸時代」で検索してみると、ゾロゾロと出てきました。

花咲男の話(続)」では、金平という男が里芋をたくさん食べて屁を連発するという話しを紹介しています。

続続・〈屁〉が文化となる一瞬の歴史の光芒」では、恋川春町の『芋太郎屁日記咄(1779年)』を紹介しており、里芋ばかりを食べて成人し、曲屁をする芋太郎の話市が出てきています。

娯楽になり芸になる〈屁〉」では、坂本正夫「放屁の民俗」が紹介されています。明治、大正時代、さらに昭和二十年代頃までの日常食はガス(屁)の源泉となるカライモ(甘藷)やタイモ(里芋)、ジャガイモ、トウキビ(トウモロコシ)などの澱粉質の摂取量が極端に多かったので、その頃の人々は今日の我々よりはるかに放屁活動が活発であったといわれているのだそう。

屁の名人のタイプ」の記事では、明治時代に開かれた放屁大会での一等賞の商品が、草鞋十足、酒一升、里芋五升だったという記述があります。里芋が商品なのですね。ということは、これをもっと食べるようにというジョークでしょう。

「里芋」をキーワードにしたからこれだけ出てきたわけなのですが、「こんにゃく芋」ではこれに対抗するような記事が出てこなかったのでした。

答えを用意していなくてクイズにしてみたので、私自身では判断できません。さらなるコメントを期待します。

このシリーズブログ内リンク
フランス人にとっての日本人のイメージ 2015/09/16
  ⇒ クイズ: この人たちは何を食べているのでしょう? 2015/09/17
  ⇒ 絵巻物に描かれていた人たちが食べていたものの推察 2015/09/22

外部リンク:
中国食文化の研究 -コンニャクの歴史-
「清良記」にみる江戸時代のサトイモ



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コメント
この記事へのコメント
里芋ですね♪
最初のコメントで 里芋とありましたので
横線の具合からも 正解と 思いました。
でも
芋が扁平すぎるので 他の芋の可能性も考えたしだいです。

こんにゃく芋の ネックは 横線が無い。。。

>「こんにゃく芋」ではこれに対抗するような記事が出てこなかったのでした。

近代では コンニャクは 芋ではなくて
芋の加工品を食べますから、、
アリバイが弱い♪

里芋の親芋だとすると
鍋に入れたのは 親芋だけで
子芋や孫芋は どうしたのだろう?という
疑問は 残ります。

絵師が アバウトな方で
芋を描き分けるのが面倒なため
親芋で全て 代表させたとか。。。

>「屁 里芋 江戸時代」で検索してみると、ゾロゾロと出てきました

原作の絵は 平安時代の作品ですよね?
原作を江戸時代に 模写したのですよね?

原作を正確に模写したのではなく
絵師が 江戸時代の「屁」は 里芋以外には考えられず
鍋の芋を 里芋と意図して描いたとすれば
正解は 里芋以外には 考えられません。

模写は 他にも存在するようですし
それぞれ 全く違った絵ですから
絵師の 意匠がそれぞれの絵に反映されていると
思います。

2015/09/22 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 里芋ですね♪
v-22 たかゆきさんへ

>芋が扁平すぎるので 他の芋の可能性も考えたしだいです。
⇒ 扁平すぎますよね。お餅か饅頭に見えてしまう。でも、2番目に出てくる皮をむいている場面では、厚みがありそうに見えました。

>里芋の親芋だとすると 鍋に入れたのは 親芋だけで 子芋や孫芋は どうしたのだろう?という 疑問は 残ります。
⇒ これは私もひっかかりました。江戸時代の里芋は親芋の形しかない品種だったのかなとも思って調べてみたのですが、画像が出てきませんでした。

>絵師が アバウトな方で 芋を描き分けるのが面倒なため 親芋で全て 代表させたとか。。。
⇒ そうなのではないかな、と私も思いました。線をカーブさせて描けば、子芋に見えるはずですが、サッサと筆を動かしたので直線にしてしまったのかな、とも…。

>正解は 里芋以外には 考えられません。
⇒ たかゆきさんもお認めになるので、里芋と結論することにしました。何を食べているのかが分かって、すっきりしました♪ 放屁した後みたいに? 「Pête un coup, t’es tout pâle ! (1発オナラしなよ。君は青ざめた顔をしているから)」というフレーズがあったのを思い出しました!
2015/09/23 | URL | Otium  [ 編集 ]
おでんとおもち
こちらをとてもおもしろく拝見しました。
絵の見た目だけの第一印象は、おでんのさつま揚げやつみれに見えました。
しばらくすると、いももちに見えてきました。
じゃがもちや、さといももち、鍋に入れて煮るのはちょっと、でもいつしか餅にしか見えなくなりました(笑)。
サトイモ決定後にすみませんが、楽しくておじゃまいたしました。

2015/10/01 | URL | petit  [ 編集 ]
Re: おでんとおもち
v-22 petitさんへ

>いつしか餅にしか見えなくなりました(笑)。

⇒ 平べったいのですものね。私も始めは饅頭に見えたのですが、後で餅だろうとも思ったのでした。

でも、2番目に出てくる食べ物を前にした絵では、みんながナイフを持って皮をむいているのです。というわけで、やはり皮つきの芋かな、と思ったのでした。

この絵を描いた人に聞かないと、何なのかは決められないですね...。

あぁ、いももち、食べたくなった~!(笑) 皮をむく必要があるような餅があるかと画像検索したら、おいしそうなのがたくさん出てきたのです。

正解を持っていないで出してしまったクイズですが、楽しんでくださったと聞いて嬉しいです。
2015/10/01 | URL | Otium  [ 編集 ]
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