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2015/10/02
しばらく会っていなかった友達にパリで会うことができました。一緒に夕食をとりながら、この前に会ったのはいつだっけ、と言われました。そういうことは覚えない私なのですが、このときは「2011年の春」と即座に答えることができました。

彼がブルゴーニュで講演した時に会ったのが最後だったのです。その日の講演テーマとは全く関係がないのに、会場から「日本は地震が多い国なのに、なぜ原発を持っているのでしょうか?」という質問が出たのです。

3.11から1カ月もたっていない時期。テレビでは毎日、福島原発事故の深刻さに関する特別番組が流れていました。科学技術が進んでいる日本で原発事故を収拾できないとしたら、同じく原発大国のフランスも危険がいっぱいなのだと思い知らされて国中が震撼していたのです。

「原発を推進する人たちがいるからです」と、彼は答えていました。日本に関することは専門分野でもないのに、どうして見抜けたのだろうと不思議だったので、このときのやり取りは記憶に残っていました。

食事も終わりのころ、翌日の日曜日に、環境保護の趣旨を持っ小さなNPOが100くらい結集するイベントを応援しに行くのだと話し、良かったら来ないかと誘ってきました。フランスにはエコロジーの政党もあるのですが、内部の権力争いがあって纏まらない。それで、こういう風にNPOが力を合わせて行動をおこすのは好ましいことなのだ、と話します。

そういうイベントには興味はないのですが、彼はスピーチをするそうなので、それを聞きに行くことにしました。

2015年秋 パリ首都圏旅行シリーズ
その2  
目次

共和国広場の日曜日

日曜日の午前中、会場だと教えられたPlace de la République(共和国広場)に行ってみました。地下鉄の駅から地上に出ると、もうイベント会場。

想像していた以上に大規模な集まり。パリ市内にある広場の中で最も大きな広場の1つで、3.4ヘクタールもあるのだそう。それが埋め尽くされていました。

イベント終了後の主催者発表によれば、この週末2日間の開催では、14のテーマでブースが設けられ、400の組織が参加し、参加者は11万人を超えたとのこと。



ここはバスティーユ広場と共に、デモ隊が結集するのにもよく使われる広場です。何しろ、名前が共和国広場なのですから!

それを示すように、広場にはフランスを象徴するMarianne(マリアンヌ) の彫像があります。彼女は自由の象徴するフリジア帽をかぶっており、右手は平和を意味するオリーブの枝をかかげています。像の台座には、自由・平等・博愛を象徴する像が刻み込まれています。



環境保護を訴える過激さは全くなくて、和気藹々とした雰囲気でした。フランス人なら「bon enfant」と表現するでしょうね。集まっている人たちも、多すぎず、少なすぎずという適当な人数。

様々な視点から今の世の中を良くしようと運動しているNPO組織が出展していました。

エコロジー、オーガニック農業、遺伝子組み換え反対、食べ物を廃棄する無駄の廃止、エコ住宅の普及、車による排気ガスを少なくするために自動車を走らせない日を作る運動、都市の緑化促進、原発反対、難民や移民者の救済などの組織がブースを構えていました。企業独占に反対する意味からでしょうが、オープンソースのLinuxやFirefoxのブースまである。


タンデム自転車によるフランス1周ツアー

趣旨もよく分からないで来てしまった私のような人間には、誰が中心になっているのか把握できない...。ボランティアたちが自費でイベントをやっているので、会場案内掲示板などがあるわけもないのでした。

イベント主催のポスターを見つけました。



イベントの主催をしたのは、2013年にBayonne(バイヨンヌ市)で創設されたAlternatibaという組織。こういう集まりをVillage des alternatives(オータナティブ・ヴィレッジ)と呼んで、各地で開催しているようです。

この日の開催の象徴として、4カ月前にタンデム自転車でバイヨンヌを出発し、隣接する5カ国も経由しながらフランス1周ツアーをし、5,637Kmを走行してパリに到着したのだそう。

タンデムは仲間と力を合わせることの象徴。でも、そんなに自転車で長距離を走るのは大変だろうと思ったら、交代しながらのツアーだったのでした。3人乗りタンデム2台と4人乗りタンデム1台を、1万人の人たちが参加して走らせながら、前日の土曜日に会場までやって来たのだそう。


Alternatiba: 5 600 km à vélo pour sensibiliser aux enjeux climatiques


Le #TourAlternatiba arrive à Paris


廃棄処分の食材で作った5,000人分のスープを無料提供

その日の朝に見たテレビでは、イベントのハイライトとして、無料で5,000人の食事を用意していると言っていました。食べ物の無駄を無くそうという主張で、市場には出さない状態の野菜を味わってもらおうと回収したのだそう。

見たことがないほど大きな鍋でスープを作る作業が行われていました。




手前に写っているのは、切ったナスを入れたビニール袋です。販売する時期を過ぎてしまったことを思わせるような種が見えました。

食べ物の無駄を無くそうという趣旨ですから、そこで不味いスープを出したら目的は達成できない。案外おいしいのではないかなとも思って味見してみたい気もする。フランス人は味にうるさいですから。でも、パリの人たちは粗食に慣れているので、うるさいことは言わずに食べるだろうな...。

やはりレストランで朝食をとることにして、会場を離れました。

しばらく食べていなかった北京ダックを、パリに来たのを利用して食べたいと思ったからです。これが大好きなのですが、フランスでは鴨肉が普通に売られているのに、北京ダックはパリ首都圏でしかお目にかかれないのです。

行ったことがない店を選びました。北京料理専門で、北京ダックはいつでも食べられるという中華料理店。でも、出来上がってから日がたっていたのかパサパサしていて、それほど美味しくはなかった。知っている店にすれば良かった...。あるいは、廃棄物スープを試食してみた方が面白かったはず...。


昼食後、近くの公園を散歩してから、再び共和国広場に戻りました。昼食の前に、広場の何処にいるのか分からなかった友達に電話で連絡をとると、彼が話すのは夕方らしいと言われたので。

仮設レストランは大盛況だったようです。大きな鍋は洗われていたし、テーブルにはまだ多くの人たちが残っていました。




盛り上がってきた夕方の共和国広場

午前中とはうって変わって、午後にはごったがえすほどの人たちが来ていました。

人が集まるときにはディスコ音楽をやらなければいけないという鉄則がフランスにはあるのか、何カ所かで音楽が演奏されています。大きなステージでは、ガンガンにボリュームを上げて歌っている人たちがいる。ま~、賑やかなことったら!

でも、この無料コンサートというのも、イベントの人集めをする目玉の1つだったようです。


夕方になると、広場にあるフランスの象徴マリアンヌの彫像の横にしつらえた大きなステージの前で、ブラジルのパーカッションというのかな、笛と太鼓のリズミカルなダンスが始まりました。底抜けに明るい♪

そこにはプラカードを掲げている人がいました。これが主催者のスローガンのようです。



金儲け主義の社会のシステムを変えよう。でも、自然環境は変えない、という主張のようです。つまりは、地球温暖化に反対するのが大きな主張のようですね。私は地球温暖化と聞くと、そのためには原発が必要だという主張に利用されていると感じるので、余り好きではないのですけど...。

この夕方に、一気に連帯感を持とうというのがプログラムだったようです。いつ尽きるともなく続いていたブラジル音楽の後、このイベントをオーガナイズした組織Alternatibaのメンバーがステージに登りました。



メンバーは若い人たちばかり。指示しているジャーナリストや学者さんたちはそうではありませんでしたけど。彼らは熱っぽく、地球の環境を守ろうと訴えています。聞いている人たちも声援を送って、熱気が盛り上がりました。

彼らの主張はユートピア的で、実現の可能性はゼロに等しいと思いました。でも、生きやすい社会を作ろうという主張は感動的ではありました。

こういう集会に参加したことはなかった私なのですが、主張できる場を確保できる国は正常ではないかと思いました。日本で、資金がない市民団体が何か訴えをおこしたいと思ったとき、こんな風に町の一等地を与えてもらえるのでしょうか? 日本では、国会議事堂前でデモするのは禁止、歩行者天国でデモするのも禁止なのだそう...。世の中には色々な考えを持った人たちがいる。それぞれが主張できる場を持てるのは自然な姿です。

ところで、このイベント行ったのは、友達が何か話すのを聞くのが目的でした。オーガナイズが悪いので、ご本人も、何時にどこで話すのかが分かっていなかったのですが、彼のスピーチは聞くことができました。

彼が主張していたこと:
私たちを統治している政府には思想がない。だから、私たちが団結して行動をおこし、社会を良い方向にもっていく必要がある。みんな、幸せに生きようではないか。

こんな風に社会を良くしていこうとする運動があるのは良いですね。エコロジー派というとヒステリックとさえも感じてしまっていた私だったのですが、この日に集まっていた人たちには和気藹々とした楽しい雰囲気があったので気に入りました。結局、大きな組織だと内部での足の引っ張り合いがあっておかしくなるけれど、市民の手作りの活動だと皆で仲良くやろうということになるのかも知れない...。

こういうパリにあるシンボル的な広場を、マイナーなNPO組織の人たちが主張をする場として提供するというのは、さすがフランスだなとも思いました。パリはエコロジーを積極的に進めている都市なので、許可をもらうのは難しくはなかっただろうとは思いましたけれど。

それにしても、ここはパリですね。フランスでも田舎にいると、こういう風にフランスは自由・平等・博愛の国だという熱気を感じさせる場面にはほとんど出会いません。私としては、かなり興味深い1日を過ごすことができました。



写真を何枚か入れただけでは、イベントの様子が見えないので、YouTubeに入っていた会場の様子を見せる動画を入れておきます。自転車ツアーの到着があるので、前日の土曜日に撮影したものようです。


Paris 'Alternatiba' Protest Festival 26 27 Sept 2015


主催者Alternatibaも、たくさんの動画をインターネットで公開していました。

パリでのイベント開催前のPR動画:

Alternatiba Paris - une aventure


今回のパリでのイベントの様子:

Alternatiba réussit son Paris pour le climat !


「バンザイ」と叫ぶのが人気を呼んでいるパロディー・ニュース番組Grolandでも、Alternatibaの活動には好意的に紹介していたのでした。


Banzai pour le climat

パリ首都圏旅行の続き:
パリの公園: (1) チュイルリー公園

ブログ外の情報リンク:
Wikipédia: Alternatiba, Village des alternatives
オフィシャルサイト: Alternatiba
Le Parisien: Alternatiba: 5 600 km à vélo pour sensibiliser aux enjeux climatiques
Le Monde: Après 5 637 km à vélo, les militants d’Alternatiba sont arrivés à Paris
フランス共和国の象徴的広場 Place de la République (2011年情報)
新装レピュブリック広場 Place de la République (2014年情報)
☆  Wikipédia: Place de la République (Paris)


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