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2015/12/22

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その4


フランスには101の県があります。
海外県が5つあるので、本土にある県の数は96。



フランスに県区分ができたのはフランス革命のときで(1790年実施)、その時の県の数は83だったそうです。


フランスの行政区分... ややっこしい...

フランス本土の県には2桁の番号で示されます。海外県は、9で始まる3桁。

県コードは郵便番号の始めにある数字にもなっています。自動車のナンバープレートにも県番号が付いています(最近になって義務ではなくなりましたが、付けていない車は見たことがないような気がします)。それで、自分が関係している県の番号くらいは覚えます。パリは町ですが、県としても扱われていて、県番号は「75」。

中には、全県のコード番号を言える人もいます。「すごい」と称賛したら、県のナンバーはアルファベット順に振られているので、覚えるのはそう大変ではないのだと言われました。

なるほど、Ain県の「01」からナンバーが始まっています。
フランス本土の県は96なのだから、県の番号は「96」まである、と思いますよね?

ところが。フランス本土にある県の番号はVal-d'Oise県の「95」までしかありません。

コルシカ島が例外になっているからです。島は2つの県に分けられていて、南にあるCorse-du-Sud県のコードは「2A」、北にあるHaute-Corse県は「2B」。それ以外の県の番号は全て数字だけなのですけど。

新年は南フランスで迎えました
コルシカ島の風景

http://www.lefigaro.fr/automobile/2014/04/09/30002-20140409ARTFIG00321-pourquoi-les-plaques-d-immatriculation-corses-font-fureur-sur-nos-routes.php
↑ これについて書いた日記: フランスで人気のナンバープレートとは? 2014/04/12

フランス革命の時に定められた県区分では、コルシカ島は1つの県でした。間もなく2県に分かれたのですが、また1つになって、さらに1811年から1976年までは1つの県になっていた。そのせいかも知れませんが、コルシカ島は1つとして、「フランス本土の県の数は95だ」と謂う人もいます。

それで「フランスの県は100ある」と言われると、コルシカ島を1つと数えたのだろうと思ってしまうのですが、そうでもなかったりもします。アフリカに浮かぶマイヨット島(Mayotte)が海外県として認められたのがつい最近なので(2011年)、少し古い情報だとこの島を県の数に入れていないのです。

ややっこしい。パリは町でありながら県でもあるのですが、地域圏(州のようなもの)ではありません。ところが、海外にある県は、同時に地域圏になっています。

フランスの海外領土は。メチャメチャと言いたくなるくらいに複雑です。県番号のようなのがつていても県ではなくて共同体だったり、そのいずれかでもなかったり、海外領土とは呼んではいけなかったり...。



フランスの子どもたちは、そんなのを覚えるように教育されるのでしょうか? 地理が苦手な私などはお手上げです!

在日フランス大使館では上手く簡潔に表現しているのではないかと思ってサイトを見てみました(こちら)。海外領土として地名をずらりと並べているのですが、それらがどういう自治制度になっているかは次のようにしか書いてありませんでした:
海外に位置するフランス領土は、多様な地位を有します。グアドループ、マルティニック、ギアナ、レユニオン、マイヨットは県・地域圏の地位を有します。一方、海外自治体の地位を有する自治体は、権限も自治の度合いもさまざまです。

個別に説明しない限りは、「多様」とか「さまざま」とかしか言えないでしょうね...。


ところで、県コード番号の一覧を順番に眺めてみたら、全部がアルファベット順に並んでいるわけではないのでした。

コルシカ島(Corse)のHaute-Corse県は「C」の順番に入れてしまっているように、複数の単語からなる県では、基準になる方で順番を決めたようです。

例えば、Hautes-Alpes(05)は、Alpes-de-Haute-Provence(04)とAlpes-Maritimes(06)に挟まれて番号がついていました。

それだけではない。県コード番号が定められた後に県名が変更した後も依然の番号を残しているのか、新しくできて場所がなかったというのが理由なのか、納得できない順番に入っているものもあるのです。

例えばEssonne県。Eだから始めの方に入っているかと思うと「91」なのです。なぜなのだろう、なんて考えているときりがないのでやめます。県ではないのに県コード番号を持っていたりとか、他にもゾロゾロと例外もあるのですから、気にしないに限る!


地名になっている「ロワール」

前回の日記「フランスで一番長いロワール川の不思議」で、la Loire(ロワール)という名の河川は色々な地域を流れているので、地名でもあちこちで使われているので紛らわしいと書きました。

まず、地域圏(州)の名前に入っているのは Pays de la Loire

県の名前では、Loireの文字は6つの県が使っています。Indre-et-Loire(37)、Loire(42)、Haute-Loire(43)、Loire-Atlantique(44)、Maine-et-Loire(49)、Saône-et-Loire(71)。太字にしたのはコード番号に使われている単語です。Loireをキーワードにして並べて県コードを作ったわけでもないのですね。河川の名前が2つ入っている県では、どちらが県内で重要かということで決めているのかな?...

観光地域なのの呼び名ではVal de Loireがあって、この地域を指定した世界遺産の日本語での呼称は「ロワール渓谷」となっています。この地方にある古城めぐりは有名で、Châteaux de la Loire(ロワールのシャトー)と呼ばれます。

ワイン産地で使われるのはVignoble de la vallée de la Loireで、世界遺産よりずっと広いロワール河の流域を指しています。

市町村の名前では、おびただしいくらいの数で「Loire」の文字が入っているのだろうと思います。フランスの市町村の名前では、そこを流れている川の名前を最後に付けているものが非常に多いのです。でも、市町村の数は36,529もあるので(2015年1月現在)、Loireに関係した市町村がどのくらいあるかなどは調べてみる気になりません。

でも、Wikipediaにはロワール河が通っている市町村の一覧を載せたページがありました(Liste des communes traversées par la Loire)。ページ内ぺ検索で「sur-Loire」をかけるとハイライトしてくれるので、数えようと思えば数えられますね。でも、数えたってなんの意味もない! 川が流れていなくても「Loire」の文字が入っている市町村もあるでしょうから。

本当はその川が流れていないのに市町村の名前に付けているケースもあります。例えば、ブルゴーニュ地方にあるIs-sur-Tilleという名の町。地名に「sur」とあったら、その後が川の名前で、その川が流れているという目印なのですが、この町を流れているのはTille川ではなくて、その支流のIgnon川です。町の名前を付けるときに間違えてしまったらしい。



この町のあちこちに川が流れているので、違う川もあるのだろうと思ってGoogle Mapを眺めてみたら、ぜんぶIgnon川なのでした。

Is-sur-Tilleという名前は、Tille川が流れているIsという意味で、つまり町の名前としては「Is」と短い。それでクロスワードパズルではよく使われるのだそう。

この町に行ったときのことを書いた日記:
トリュフ祭りの巨大なオムレツ 2012/10/23

今年は雨が降らなかったので、トリュフの収穫量はとても少ない年になりました。それでもこの町ではトリュフをたくさん食べるお祭りをしたのかな?...


フランスの県の名前は、ほとんどが河川の名前を付けている

県はフランス革命期に作られました。それまでに存在していた地域区分を取り崩そうという意図はあったでしょう。当たり障りがないようにしたのか、現在のフランスの県の名前は河川の名称がそのまま使われているものが目立ちます。

フランス本土にある96の県のうち、67の県は県内を流れている河川の名前にちなんだ命名になっていました。つまり、河川には関係ない名前の県名になったいえうのは29県だけ。県の7割は、県内に流れている河川の名前を1つか2つ入れた命名になっているということになります。

ヴァンデ県(Vendée)は、フランス革命中におきた反乱で有名なヴァンデなので、そちらの方を連想してしまうのですが、これも県内を流れているヴァンデ川から来ていたのでした。

フランスの県名の由来

県名の由来県の名前(赤字は海外県DOM)
河川67Ain、Aisne、Allier、Ardèche、Ariège、Aube、Aude、Aveyron、Bouches-du-Rhône、Charente、Charente-Maritime、Cher、Corrèze、Creuse、Dordogne、Doube、Drôme、Eure、Eure-et-Loir、Gard、Haute-Garonne、Gers、Gironde、Hérault、Ille-et-Vilaine、Indre、Indre-et-Loire、Isère、Loir-et-Che、Loire、Haute-Loire、Loire-Atlantique、Loiret、Lot、Lot-et-Garonne、Maine-et-Loire、Marne、Haute-Marne、Mayenne、Meurthe-et-Moselle、Meuse、Moselle、Nièvre、Oise、Orne、Bas-Rhin、Haut-Rhin、Rhône、Haute-Saône、Saône-et-Loire、Sarthe、Seine-Maritime、Seine-et-Marne、Deux-Sèvres、Somme、Tarn、Tarn-et-Garonne、Var、Vendée、Vienne、Haute-Vienne、Yonne、Essonne、Hauts-de-Seine、Seine-Saint-Denis、Val-de-Marne、Val-d'Oise
13Alpes-de-Haute-Provence、Hautes-Alpes、Alpes-Maritimes、Ardennes、Cantal、Jura、Lozère、Puy-de-Dôme、Pyrénées-Atlantiques、Hautes-Pyrénées、Pyrénées-Orientales、Vaucluse、Vosges
6Corse-du-Sud、Haute-Corse、GuadeloupeMartiniqueMayotteLa Réunion
海岸など5Calvados(注1)、Côtes-d'Armor、Manche(海峡)、Morbihan(小さな海)、Pas-de-Calais(注2
植物的特徴2Landes(ヒースなど低木しか生えない荒地)、Yvelines(森の名前)
地理的位置2Finistère(地の果て)、Nord(北)
歴史的地名5
(3)
Alpes-de-Haute-Provence、Landes、Savoie、Haute-Savoie、Guyane
町の名前4(2)Paris、Territoire de Belfort、Seine-Saint-Denis、Vaucluse
風景、
詩的表現
1Côte-d'Or(黄金の丘 注3


は重複してリストに入っている県。2度目に出てくるときはの印にしました。

注1:   Calvados(カルヴァドス県)
リンゴで作ったブランデーのカルヴァドスを思い浮かべてしまうのですが、これは県の海岸線に10キロくらい続く白い岸壁「rochers du Calvados」から来ているのだそうです。「Basse-Orne」とか「Orne-infèrieure」と命名されそうになったのを、地元の議員の提案が採用されてカルヴァドスになったとのこと。

注2: Pas-de-Calais(パ・ド・カレ県)
この「Pas」はpassage(通り道)から来ているとのこと。イギリスとの国境になるドーバー海峡を結ぶところにあることからの命名。

注3:Côte-d'Or(コート・ドール県)
この命名を提案したのは、地元の議員で弁護士だったCharles-André-Rémy Arnoult。この地方のブドウ畑が秋に黄葉した風景をイメージしています。

こういうのが黄金の丘「コート・ドール」のイメージでしょうね。ボーヌのブドウ畑の秋の風景です。

Vignoble Beaune

コート・ドールの県名を決める議会では、ご多分に漏れずもれず県内を流れるセーヌ河からHaute-SeineとかSeine-et-Saôneという名前にしようという案があったそうです。セーヌ河はコート・ドール県から流れている川なのですが、セーヌと言われたらパリを思い浮かべてしまうので、それにならなくて良かったと思います。

日本では、南仏の観光地「コート・ダジュール(Côte d'Azur)」がよく知られているので、それにあやかった命名かと思われる方もあるかもしれませんが、フランス革命期に作られた「コート・ドール」の命名から百年もたってからのことです。

コート・ダジュールの名付け親は、コート・ドールの県庁所在地ディジョンで生まれた詩人・作家で、カンヌにある別荘で冬を過ごしていたStéphen Liégeardによるものです(1887年)。「or(黄金)」を「azur(紺碧)」に置き換えただけ。

昔の地方の名前は美しいものが多かったのに、県名は味気ない名前ばかりだと感じます。Haut(上)とかBas(下)を使っているのも考えがなさすぎる。Finistère(地の果て)というのはラテン語から来ているので美しいかなとは思うけれど、Nord(北)というのは可哀想。

地域圏の名前でも、上と下で分けた命名がありますが、「下」にされてしまった地域の人たちは変えて欲しいと言っているのだそう。地域圏の方は合併させる動きが出ているので、「下」というのはなくなるだろうな...。

フランス革命が勃発してすぐに県名を考えたので時間がなかっただろうし、動乱期なので考えたりなんかする余裕がなかったのかもしれない。コート・ドール県に住む人が、「フランスの県で美しい名前がついているのはコート・ドールだけだ」と言っていたのですが、本当なのですね。

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ブログ内リンク:
フランスの地域圏名 新旧対照表 2017/01/11
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外部リンク:
Wikipédia: Administration territoriale
Wikipédia: Département français | Liste des départements français
Wikipédia: Histoire des départements français
Wikipédia: Liste des départements français de 1790
18 juin 2014 - Régions ou départements
Carte des départements Français
☆ Culture générale: Le Nom des Départements
Origines du Calvados : le musée Baron Gérard lance un appel
よく出る分野をまとめて覚える 仏検イラスト単語集 準1~準2級レベル » 国土 


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