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2016/01/09
ブルゴーニュにいて普通に飲むワインは、赤ならピノ・ノワール種のブドウで作ったワイン、白ならシャルドネ種から作ったワイン。たまにアリゴテ種の白ワイン、ガメ種の赤ワインを飲む程度です。

それに慣れてしまっているものだから、ピノ・ノワールかシャルドネでないとワインでない感じがしてしまう。それについては以前に書いていました:

ブルゴーニュのワインバー
おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18

ここのところフランスのワイン産地について書きながら調べていたら、ブルゴーニュの赤ワインの中でピノ・ノワール種に追いやられているガメ種が気になってきました。

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その9


ブルゴーニュでは、ワインの個性を尊重します。ブドウ畑を小さく区切って作ったワインが好きだし、まして異なるブドウの品種をブレンドしてしまうのは非常に嫌います。でも、ブルゴーニュワインでも下のランクのものではブレンドが存在しているのですね。

実際には、最下位のランクのワインがブルゴーニュワインと呼ばれるものの半分を少し上回っているのだから無視できない。でも地元にいると生産者価格で買えるので、最下位のワインに落とす必要がないので、ほとんど私は無知なのでした。

この際、ピノ・ノワールとガメをブレンドしてしまうブルゴーニュワインのAOC/AOPアペラシオンについて少し調べてみることにしました。


AOC/AOPブルゴーニュ

マルセイユの友人夫妻がブルゴーニュに遊びに来たときには、面白いことを言っていました。それほどワインを飲まないので興味もなかったからなのでしょうが、彼らはボトルに「Bourgogne(ブルゴーニュ)」と書いてあるのが最高ランクだと思っていたというのです。

でも、「AOC ブルゴーニュ」というのは最下位のランクに入るワインなのです。ブルゴーニュの中で広い地域で作れてしまうワインですから。

ブルゴーニュワインは上質だというのは知れ渡っているので、それが書いてあると良いワインなんだ、と思ったのでしょう。そう言われると、村の名前がアペラシオンになっているブルゴーニュワインのラベルには、ブルゴーニュだとは書いていないかもしれない。

でもAOCブルゴーニュは、パストゥーグランよりは上のワインです。何しろ、ピノ・ノワールだけで作られていますから。最近は少なくなりましたが、昔はかなり本格的なワインがあって、長期間の保存もできました。

... と思っていたのですが、そうではないのでした!

AOC(今はヨーロッパ基準になってAOP)を統括しているのはフランス原産地呼称委員会(INAO: Institut national de l'origine et de la qualité)なのですが、2011年秋に、AOC/AOPブルゴーニュの規約を少し変えたのだそうです。

1937年に出されたデクレでは、AOCブルゴーニュの生産地にボージョレーで「クリュ」を持つ9つの地域も含めていたのです。ボージョレーのクリュは10カ所ありますが、当時はレニエ(Régnié)が入っていなかったので9カ所。

ところが、2011年に出されたAOCブルゴーニュの規制では、このボージョレー地域が外されたとのこと。ただの「ブルゴーニュ」ではいけなくなって、その後に「ガメ」と付けて「ブルゴーニュ・ガメ」としなければいけないと定めたのでした。つまり、それまでは、ピノ・ノワール100%と、ガメ種100%の「AOC/AOPブルゴーニュ」が存在していたということらしい。

ガメで作ったのはニセモノだとピノ・ノワールで作っている人たちは主張するので、両者の間は険悪な関係だったとのこと。ついに、ボージョレーのガメ種で作ったワインは外すということになったらしい。

私個人としては、ガメ種で作ったAOCブルゴーニュがなくなるのは良いことだと思います。ピノ・ノワールとガメとではワインの味がかなり違いますから、どちらかだとはっきり分かって飲まないとがっかりしてしまうこともあると思うからです。もっとも、ボージョレーワインでも、モルゴンなどは不思議とピノ・ノワールの風味を感じてしまうガメ種なのですけど。

※ 「AOC/AOPブルゴーニュ」に使えるセパージュについて追記を入れました

ガメ
gamay noir N
VSピノ・ノワール
Pinot noir
Gamay



AOC/AOPブルゴーニュ・ガメ

先日、「ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?」を書きながら調べていたら、売れ残って困っているボージョレーの生き残り作戦として、新しくできた「AOC/AOP コトー・ブルギニョン」にすることに期待が寄せられていると出てきました。

コトー・ブルギニョンとは何なのかを調べてみたら、同じ時期に、これまた聞いたことがなかったアペラシオンも誕生していたのでした。

「AOCブルゴーニュ」として売ることができる原産地から外されてしまったガメ種のワイン。それでは可哀想というわけなのか、「AOC/AOP Bourgogne Gamay(ブルゴーニュ・ガメ)」という新しいアペラシオンができていました。その名前で2011年から発売されているそうです。

生産地は、マコネー地区と、AOCブルゴーニュに使うことを許可されていたボージョレーの高級ワイン「クリュ」のランクに入っている10の産地に限られています(25の町村)。つまり、AOCブルゴーニュから外されたクリュの地域はこの名称を名乗れるけれど、AOCボージョレーとAOCボージョレー・ヴィラージュの産地は除外ということなのでした。

でも、もともとボージョレーのクリュとして売れるワインをブルゴーニュにしていたワインはどのくらいあったのでしょう? ただの「ブルゴーニュ」なら、別にワインのステータスが上がるということはないと思うのです。

例えば、ボージョレーのクリュの1つであるサンタムールを作っていたワイン農家が、ブルゴーニュの名前を付けてワインを売ろうと思うはずがないと思うのです。彼らはボージョレーであることに誇りを持っているのですから、プライドが傷つくはず。

そもそも、「ブルゴーニュ亀」なんて変な名前だと思う。本当にいるのかと調べたら、ありました。そうか、そうか、日本ではGamayを「ガメイ」と片仮名表記するから、「亀」にはならないのだ!

どんなワインなのか、小さなワイン農家も作っているのか知りたくて調べてみました。

ブルゴーニュ・ガメイを楽天市場で検索

フランスでも、このアペラシオンのワインは少ないと感じましたが、日本に輸出されているのも少ないようです。


ガメイ100%

ムーラン・ナ・ヴァン、モルゴン、シルーブル、フルーリー、レニエの5つの格付けクリュボジョレーをブレンド。

クリュ・ボジョレー100%のブレンド
・ムーラン・ナ・ヴァン
・モルゴン
・フルーリー
・シルーブル
・レーニエ

クリュ・ボージョレのガメイ種を主体に、ピノ・ノワール種をブレンド。

※ ピノ・ノワールも入っているとは驚きなのですが、ドメーヌのサイトにある情報でもそう書いてありました。
ボージョレーのクリュ(10ある)を挙げているので、特にどれを使うのかは決めていないもよう。2012年のミレジムは、ムーラン・ナ・ヴァンをメインにして、ピノ・ノワールが15%入っていると紹介しています。

ガメイ100%

ラベルには「ブルゴーニュ・ガメイ・ノワール(Bourgogne Gamay Noir)」と書いていて、AOC/AOPのアペラシオンになった「ブルゴーニュ・ガメイ」なのか、違うのかが分からないのです。でも、ボージョレーで使われているガメ種のgamay Nだと強調するために「ノワール」を付けたのかもしれないという気がします。

ドメーヌはボージョレーにあるDomaine de Gry-Sablon:
ドメーヌの商品情報  | PDF

1930年から「ブルゴーニュ」のブドウ畑として認められていたのに... と、なんとなく不服そうな感じを受けました。



ボージョレーのクリュとして売るときには、どのクリュかが特定されたアペラシオンになるのですが、ブルゴーニュ・ガメだと、色々なのをブレンドできるのですね。とすると、ネゴシアンには嬉しいアペラシオンかもしれない。

AOC/AOPブルゴーニュ・ガメはガメ100%なのだろうと思ったのですが、そうではなかったので驚きました。ガメが最低でも85%入っていれば、この名称を付けて売ることができるそうです。ブレンドすることが許されているのは、ピノ・ノワールの他、白ワイン用のシャルドネーもOKらしい。なんだか、いい加減...。


AOC/AOPパストゥーグラン

ガメとピノ・ノワールのブレンドなら、ブルゴーニュワインにはPasse-tout-grain(パストゥーグラン)というアペラシオンがあります。赤ワインとロゼしかありません。

ブレンドを嫌うブルゴーニュでありながら、昔からブレンドしているのはこれだけだと私は思っていました。なので、AOCブルゴーニュより下のワイン、ブルゴーニュワインの中で最低ランクだというのが私の認識。

ガメ種とピノ・ノワール種のブレンドで、ピノ・ノワールが最低で3分の1、ガメが最高でも3分の2であればOKというもの。
それだけかと思っていたら、こちらも、ほんの少しなら他のブドウ品種も加えて良いようなのでした。

ブルゴーニュにいるときは、ほとんど飲んだことがない気がします。村のイベントなどでは安い参加費にするために安いワインを選ぶことが多いのですが、ブルゴーニュ地方でもあまり出さないのではないかという気がします。ワイン産地から遠いところだと、変なワインを選んだりしているのですが、安いワインの代表というと、アルザスかコート・デュ・ローヌを出してくることが多いのです。

「なんだ、CDRか」なんて悪口を言う人がいるのですけど。コート・ドュ・ローヌ(Côtes-du-rhône)の頭文字!

日本にいるときにブルゴーニュワインを何本もストックしたいときには、涙をのんでパステゥーグランを買うことがあります。1本2,000円を切る予算しかないと、これしかない... とあきらめるので。

パストゥーグランを楽天市場で検索(安い順)

出てきたワインの中で、一番高かったのと、一番安かったのを並べてみます。

すごい差があるのですね。いくら美味しくても、パストゥーグランを5,000円を超す値段で売るなんて、やめて、止めて~ と叫びたくなりますけど...。

パストゥーグランが何であるか紹介しているショップ:
ブルゴーニュ・パストゥグラン [2012] ブシャール・ペール・エ・フィス【あす楽対応_関東】…

「とっても気軽に楽しめる赤ワインなので、軽く冷やして、気楽に楽しんでください」と書いてあります。そういうワインだと思いますね。

ブルゴーニュ・ガメでもピノ・ノワールを混ぜてもOKとなると、それではパストゥーグランとどこが違うの? という疑問が出てきます。ボージョレーの産地は、パストゥーグランの原産地としては認められていないのでした。ややっこしい...。


仲間はずれにされるガメちゃん

ボージョレーワインになる品種はgamay Nというガメ種で、皮は黒くて、中は白いというブドウです。植わっている畑はフランス各地に36,000ヘクタールあり、そのうちの6割(22,000ヘクタール)はボージョレー地域なのだそう。.

他の地域でガメ種を使っていてもブドウの品種の1つとして扱われるだけだろうと思うのですが、ボージョレーの場合は、なまじっかピノ・ノワール種が主流のブルゴーニュワインの範疇に入っているので不幸なのではないかと感じます。

ブルゴーニュの人の中には、「ボルドーはワインじゃない」と言うのと同じように、「ガメで作ったらワインじゃない」と言う人もいます。

それでなくても売り上げが減少し続けているボージョレー。それではイメージを変えて「AOC/AOPブルゴーニュ」として売ってしまうわけにもいかなくなったし、ガメ種は止めてピノ・ノワール種を植えようというのも容易にはできないらしい。

調べているときりがないのでやめたのですが、ボージョレーではピノ・ノワールを植えてはいけないということになっていたような感じもしました。特に、売れなくて困っているのはクリュの指定を受けていないボージョレーの地域です。

それでも、試験的という感じで、ボージョレーにピノ・ノワールのブドウの株を植えるということが始まったそうです。始めの年は50ヘクタール、その翌年は80ヘクタール..。

ところが、ボージョレーで栽培したピノ・ノワールで「AOC/AOP ブルゴーニュ」という銘柄のワインとしては売れない。ボージョレー地域でできるのは、crémants de Bourgogne(クレマン・ド・ブルゴーニュ)やCoteaux Bourguignons(コトー・ブルギニョン)として売ることなのだそう。

この「コトー・ブルギニョン」という新しくできたAOC/AOPアペラシオンは、ボージョレーの危機を救えるかもしれないと期待されているようです。こちらは、もっとフレキシブルで、ガメでもピノ・ノワールでもOK。それ以外にも、かなり自由。自由すぎるくらいに自由...。

次回は、この「コトー・ブルギニョン」とはどんなワインなのかについて書きます。


ここのところ、ブドウ品種のガメとボージョレーワインにこだわってブログを書いています:
ボージョレーワイン: ガメ種が苦労させる?

★ シリーズ記事目次: フランスのワイン産地


追記 (2016/01/14)

AOCブルゴーニュ」のブドウの品種についてコメントをいただいて「AOCブルゴーニュ」に関する2011年11月22日のデクレの中にあるブドウの品種に関する部分を読みなおしてみたのでメモしておきます。ボージョレーの10のクリュの産地で生産されるワインは、今後は「ブルゴーニュ」の後に「ガメ」と明記しなければいけないと明記した法令です。

白ワインメイン品種
  • シャルドネB(ヴェズレー地区は、これのみを使用することに規制)
  • ピノ・ブランB
付随的な品種
  • ピノ・グリGを30%以下で使用できる
ロゼ・ワインメイン品種
  • ピノ・ノワールN
  • ピノ・グリG
付随的な品種
  • ピノ・ブランB
  • シャルドネB
  • セザールN(ヨーヌ県のみ)
赤ワインメイン品種
  • ピノ・ノワールN
付随的な品種
  • セザールNを10%以下で使用できる(ヨーヌ県のみ)
  • ガメNを30%以下で使用できる
  • シャルドネB、ピノ・ブランB、ピノ・グリGをブドウ畑に混合して植えることができるが、各区画で15%未満に制限される


これを眺めると、次に書いた「AOC/AOPコトー・ブルゴニョン」というアペラシオンが色々な品種を混ぜてしまってもOKという差が見えてきました。少なくとも、「AOC/AOPブルゴーニュ」の赤ワインはピノ・ノワールが主体になっているのははっきりと見えるので。

それでも、ガメ種を30%以下ブレンドすることがOKというのは納得できません。ガメ種の赤ワインを飲み比べたら、やはりボージョレーのクリュの方がソーヌ・エ・ロワール県の何でもないワインよりは味が良いのですけど。しかも、サンタムール村などは行政区分ではブルゴーニュなのに、なまじっかボージョレーのクリュだから外されてしまっている。変なの...。

でも、ボージョレーのクリュはワインの質が高いのですから、他のなんかとはブレンドせずに、そのままのアペラシオンで売るべきだと思う。


 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
おいしいと感じるワインは、いつも飲んでいる味のとき? 2009/12/18
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法、生産地など
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Cahier des charges de l’appellation d’origine contrôlée « BOURGOGNE » homologué par le décret n° 2011-1615 du 22 novembre 2011, JORF du 24 novembre 2011
Grande Bourgogne viticole : les tensions persistent 2012年2月
Du Bourgogne Gamay? Le retour en grâce du cépage banni  27/12/2011
Beaujolais in major appellation shake-up
Les cépages et couleurs du vignoble de Bourgogne
AOC Bourgogne en Beaujolais : un contentieux naissant 17/10/2011
☆ Le Figaro Vin: Gamay (Guide des cépages)
Vin Bourgogne gamay rouge - AOC
Les appellations régionales - LA REGION BOURGOGNE
Passetoutgrain AOC (appellation Bourgogne-Passetoutgrain)


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