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2016/01/21
前回の日記「ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた」で、ブルゴーニュのブドウ畑が売られるときには「ouvrée(ウーヴレ)」という面積の単位が使われるのだと書きました。

特級モンラッシェのワインがブドウ畑で、1ウーヴレの広さが100万ユーロという高値で取引された、と話題になっていたのです。計算してみたら、130坪の畑に対して1億5,000円くらい払って手にいれた、ということになりました。確かに、高い!

シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その14



ウーヴレouvréeとは?

1ウーヴレというのは昔の面積を測る単位で、ブドウ栽培者が1日で耕せる畑の面積を指しています。他の地方でも現在も使われているのは分からなかったのですが、ブルゴーニュではこう決められています。

1ウーヴレは4.28アール、つまり 428 m²
一般t的には、1ヘクタール = 24ウーヴルで計算するのが普通のようです。

イメージとしては、1ウーヴレにはブドウの木を500本植えるという感じ。そこからは228リットルのワインができて、ボトルに入れると300本。

まあ、ブドウ畑を1ウーヴレだけ持っていら、ワインづくりは趣味でやってます、という感じになるでしょうね。イベントでビオのワインを売っていた若者と話したら、ブドウ畑は2ヘクタールしかないとのこと。それで食べていけるのかなと思って遠まわしに聞いてみたら、醸造学を勉強したのでワインづくりのコンサルタントを主な仕事にしているとのことでした。

昔のフランスでは、1日で耕せる面積という単位が大事な基準になっていたそうです。ウーヴレouvrée)の他にも、journal(現在では日刊紙の意味でよく使われる単語)、fosserée(ブドウ畑をすき起こすfossererから)、fossoyée(鍬を使って耕すfossoyerから)などという名称も出てきました。

1日で耕せる面積と言ったって、働く人によって差があるでしょう? それよりも、土地が固くて耕しにくかったら、1日に耕せる面積はずっと少ないはずではないですか?

実際、昔のそういう単位は地方によってマチマチでした。ブルゴーニュ地方の中だけでも、地域によってウーヴレの面積は異なっていて、ボーヌ地域で使われていた面積をブルゴーニュワインの産地全体で採用したようです。


足で測る単位もフランスにあった

ウーヴレというのは昔に用いられていた単位です。この際なので調べてみたら、フランス革命期にフランスはメートル法にされたわけで、それ以前は全く違う単位が使われていたのでした。足の大きさをもとにした「フィート」というのはイギリス独特なのだろうと思っていたのですが、フランスでも、そのままに「pied」として存在していたのです。

王様の足の大きさを基準にしたわけでもないのでしょうが、「pied de roi」などという長さがありました。いわば、キングズ・フィート。時代によって変化していましたが、フランスの1フィートは32 cmちょっと、という感じでした。

18世紀に使われていたフィートを測る道具 ↓

Pieds de rois.jpg
Trois règles de pied de roi (XVIIIe siècle)


1日で耕せる面積と言ったって...

さて、畑の面積を示すには、1日でどれだけ耕せるかが基準になっていました。なぜ耕せる面積を基準にするのかというと、農作業の中で最も重労働だったからだようです。

もちろん、現代のようにトラクターに乗って畑を耕してしまうわけではありません。「中世の耕し方で」と書いてあるものもあったのですが、人間が鍬で耕していたら、1日で130坪も耕せるのかな?... 1ウーヴレの広さは、ほぼバスケットボールのコートと同じ広さなのです。

家畜に耕させていたのではないか?...

下は15世紀始めにつくられた『ベリー公のいとも豪華なる時祷書(Les Très Riches Heures du duc de Berry)』で、3月のカレンダーとして描かれている風景です。

Les Très Riches Heures du duc de Berry mars

ブドウ畑ではない畑ですが、牛で畑を耕しています。この時代でも家畜で畑を耕していたとしたら、ウーヴレの単位もこの作業を基準にして測っていたのかもしれない。

牛と馬を使いますが、馬で耕すのよりは牛の方がほんの少し早く仕事を終えるようでした。


最近のブルゴーニュの高級ワインを作っている畑では、さかんに馬で耕すようになってきたので、映像がありました。モレ・サン・ドニのブドウ畑です(コート・ド・ニュイ)地区。


Labour à cheval dans le Clos de la Roche à Morey-Saint-Denis

おっとっと..。耕している人は、余りお上手ではないですね。ご近所がみんな馬で耕すようになったので、ウチも始めようかとやっているのではないかと思ってしまいました。この感じでやって、1日で130坪くらい耕すかな?...

最近はブドウ畑に優しいように馬で耕すのが流行っているので、そういうことを請け負う業者の人たちがいます。彼らだったらもっとスイスイとやりますよ...。

他の動画を探したら、ロマネ・コンティを耕す馬の動画がでてきました。やはり、馬の動きが全然違いますね...。というか、畑が馬で耕し慣れているらしくて、土がホクホクして見えます。

もう少しブドウ畑で耕す馬の動画を探してみたら、解答が出てきました♪ ウーヴレは馬で耕すときの作業時間が1日なら1ウーヴレではないですね!

下の動画に登場する馬は、ブドウ畑1ヘクタールを1日で耕すと解説しています。24ウーヴレで1ヘクタールですから、1日で1ウーヴレというのは馬の力を借りて耕すという基準ではないのだろうと思いました。

ちなみに、馬で耕すと、トラクターが耕す面積の30%しか1日にできないのだそう。遅いけれど、トラクターのように地面を固めてしまわないのでブドウの成長には良いのです。


ANIMAUX : En Bourgogne, les chevaux labourent les vignes

こちらの舞台は、ブルゴーニュ南部のマコネ地域にあるソリュートレ・プュイイ村。私が好きなプイィ・フュイッセとサン・ヴェランを買うためによく行く場所です。本当に美しい景色が広がっているので、行くたびに、こんなところで働けたら幸せだろうなと思ってしまっています。


ロマネ・コンティの畑は42ウーヴレ

ブドウ畑を売るときだけではなくて、ブルゴーニュでブドウ栽培に携わっている人たちは「ウーヴレ」という単位をよく使うようです。畑で働いている人とおしゃべりしたときに、ウーヴレで答えられたことが何度かありましたので。

どのくらい作業のボリュームがあるかで表現するわけですから、働いている人たちにはメートル法よりもピンとくる単位なのだろうと思います。

ロマネ・コンティは世界的に有名なのですが、ブドウ畑はとても狭いのだと言われます。普通に言われるのは、1.8ヘクタールで、42ウーヴレという表現。信頼できるブルゴーニュワイン委員会(BIVB)の情報では1.77ヘクタールで、ブドウが植わっているところだけの面積だと1.63ヘクタールだ、と記載されていました。

ともかく、そのくらいの面積で、年間に45ヘクトリットル(ボトルで6,000本)のロマネ・コンティができるのだそう。

2ヘクタール足らずのロマネ・コンティの畑がどのくらいの広さかをお見せします。奥の方に広がっているのは別の畑で、手前の方の畑だけ。動画が動き始める前に少し先に見える門のあたりまでしかありません。


Promenade le long de la Romanée-Conti


日本でよく広さの例えに使われるものには東京ドームがあります。普通に何個分と言うときには建築面積で4.7ヘクタール。グランドの大きさなら1.3 haで、ロマネ・コンティの畑より一回り小さいという感じですね。

Tokyo Dome 東京ドーム

日本の人にヘクタールで言うと、どのくらいか聞かれることがあるので、どう説明したら良いかを探るために表を作って眺めてみました。

東京ドームの何個分という例えば、行ったことがない私にはピンとこないし、とっさの場で計算なんかできないからです。


面積の比較

面積の単位面積換算めやす
1.55 m²(江戸間)
1.82 m²(京間)
3.31 m²約畳2枚、人間の表面積
1歩(ぶ)は1坪(6尺平方)
(せ) - 日本99.17 m²30平方歩、1アール、約30坪
アール100 m² = 0.01 ha100アールで1ヘクタール
約30坪
バスケットボールコート420 m²15 m x 28 m
ouvrée(ウーヴレ)
* ブルゴーニュ基準
428 m² = 4.28アール
*他の地方では3~5アール
1人が1日に耕せるブドウ畑の面積
約129坪、約4畝
24ウーヴレで1ヘクタール
半反に欠ける
畝 - 中国666.67 m²100平方歩
15畝で1ヘクタール
991.7 m² = 10畝約600畳、約300坪
1年で1石の米が収穫できる
(ちょう)9,917 m² = 100畝 = 10反約1ヘクタール、約3,000坪
ヘクタール10,000 m² = 0.01 km² = 100アール100 m x 100 m
24ウーヴレとされている
約3,000坪
5ヘクタールで東京ドーム1個
ロマネ・コンティの畑1.8 ha約424ウーヴレ
東京ドーム建物面積: 4.7 ha
グランド面積: 1.3 ha
グランドは30ウーヴレ

1アールは1畝で、1ヘクタールは1町と言えば良いのですね。でも、畑を持っている農業者でないと、やはりピンとはこないでしょうね...。やはり日本は東京ドームの大きさで比較するしかないのかな?...

日本にも「歩(ぶ)」という単位がありましたね。ウーヴレは農作業で面積を表すのだから、それに相当するような広さの感覚が日本にもあることを期待したのですが、見つかりませんでした。

フランスにいてヘクタールで言われるのに慣れてしまいました。1ヘクタールと言われると、その大きさの友人の家の芝生を思い浮かべます。100ヘクタールとか400ヘクタールなら、農家に行ったときに示されるの広さが頭に浮かんできます。お城の所有地が何千ヘクタールというような話しになると、さすがに想像もつかなくなりますが。


数字アレルギー

日本人がヘクタールでピンとこないのは、山国で、広々とした平地を見慣れていないので土地の広がりは気にしないのかな、とも思いました。東京ドームの広さに例えられることが多いのですが、建物の敷地面積を指しているのか、グランドの広さと比較しているのかをはっきりさせないで持ち出していることも多いようです。

でも、1ヘクタールをメートルで言ったらどうなるかと聞かれて答えられなかったフランスの政治家がいたので、大変な話題になりました。

こともあろうに、テレビ出演してクイズを出された農林大臣だったのです!

そのことを書いているブログ:
農林大臣なのに、1ヘクタールがどの位の広さなのか知らない

大臣は算数は苦手なのだと言って、「1ヘクタールって狭いよね」という感じのことを言っていました。たぶん、広さは私のように想像できるけれど、それを平方メートルで言えなかっただけだろうと思います。

確かに、フランスで農家が1ヘクタールしか持っていなかったら農業者をやっていられないです。日本では、そのくらいでも立派に農家ですけど。

ずいぶん前、日本から来た農家の人とフランスの農家に行ったことがありました。互いにどんな農業をやっているかの話しになって、農地面積をご披露しあいました。フランスの農家の方は、200ヘクタールの土地で穀物を作っていると言います。穀物栽培農家としては、どうということのない広さです。

日本人の農地は1ヘクタール。フランス人は、「それでは生活が苦しいだろう」と、いたく同情しました。オレも農業が大変だなんて言っていたらバチが当たるとでも反省しているような表情。ところが日本人は、得意げに所得をご披露。フランス人の10倍以上の収入だったのでした。

高度成長期の時期で、日本人はお金持ちだとフランスでも言われていたのに、それを忘れていたらしい。ご主人は落ち込んでしまって、その後は農業の話しをやめてしまいました!

このシリーズの目次:
フランスのワイン産地

 【楽天市場】人気の銘醸ワインが勢揃い!ブルゴーニュ特集

ブログ内リンク:
恐ろしく贅沢なワインづくりに驚く! 2006/04/21
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
Ouvrée (unité de mesure de surface) vignes (Bourgogne)
☆ Les anciennes mesures locales du Centre-Est d'après les tables de conversion » Vignes 
tableau des mesures les plus courantes en usage ... - Beaune
☆ Les mots du vin : petits mensonges sur les rendements
Produire une bouteille de vin, combien ça coûte ?
Mesures de surface agraires
Journal (ancienne mesure agraire)
☆ Wikipedia: メートル法 
☆ Wikipedia: アルパン = Arpent / 面積の比較
☆ Wikipedia: Anciennes unités de mesure françaises » Perche (unité)
☆ 面積換算:土地面積計算機


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