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2016/01/28
前回の日記「ブルゴーニュとボルドーのワイン樽の違い 」でワイン樽のことを書いていたら、樽を作っているところを見せる動画がでてきました。

樽を作るのを見るのは、アトラクションとしても面白いと思います。燃した火の熱で樽をキュっとつぼめてしまうところが大好き。


tonnelier(樽職人)と言われる人たちの仕事

まず、ブルゴーニュの樽職人さんのお仕事。名前だけでも魅力的なムルソー村に工房があるそうです。


Art du tonneau, Frédéric Gillet Tonnelier

ずいぶん前、ブルゴーニュはワインの産地なのに樽職人が絶滅しようとしている、と心配されていたような気がします。需要があるのだから上手に商売すればやっていけるはず。ここはかなり成功している工房なのだろうと思いました。

サイトを見ると、樽の材料でインテリア小物なども作って売っていました。ワインイベントで、樽にドアが付いていて、中にボトルやグラスを入れられるものを売っていたのが気に入って買ったのですが、ここが作っていたかな?... 注文を受けてから作ってくれたのが、サイトのカタログにあるTBAR 225と全く同じなのです。

でも、機械化してしまっている樽づくりなので、見ても余り面白くない...。

昔に勤めていた会社のフランス本社で樽づくりを見学したときは、もっと人力に頼って作っていたと記憶しています。最近のワインイベントなどで見せてくれるデモンストレーションでも、機械などはない広場でやるので、人間が樽を作り上げてしまうのが見れて面白いのですけれど...。

それで、昔の樽職人の仕事ぶりを見せてくれる映像を探してみました。フランス国立視聴覚研究所(INA)が昔の映像のデータベースをインターネットでも提供しているので、探すのは簡単なのです。


20世紀初頭の樽づくり

1926年の映像が出てきました。百年近く前ですね。モノクロの無声映画です。


Ina: Fabrication des tonneaux (1926年)

作業工程の名前を文字で入れているので、勉強になってしまう:
  • la taille des douves
  • l'assemblage
  • le serrage
  • la pose des fonds
  • le cerclage
  • l'embarquement
フランス人の手作業を見ていると、日本人のように器用ではないと思ってしまうのですが、昔の樽職人は技で仕事をしていますね。底の円盤を四角くした板から作ってしまうのなどはお見事!


樽を作るのに必要な道具

樽を修理する仕事もあったようです。

「シャンパーニュ最後の樽職人」と題した映像がありました。もう彼しかいなくなったという意味でしょうか? 2003年のニュースです。

樽を直すには古い道具が必要なのですが、もうそれを作る人がいないので、アンティークショップやガレージセールで見つけて買うしかないのだそう。面白い道具を見せているので貴重な映像だと思います。


Ina: Le dernier tonnelier de Champagne(2003年のニュース)

今はワインの醸造所で使っていて古くなった樽は売りに出ているので、痛んだ板を取り換えて修復するというのはほとんどしないのではないでしょうか? シャンパンは新しいオークの樽に入れて寝かせたら、タンニンが付きすぎてしまうはずなので、使い古した樽が一番なのでしょうね。今のシャンパンメーカーはイノックスの樽を使うのが普通だと言っています。


パリ最後の樽職人

最近になって再開発されてきれいになってしまったのですが、ありし日にはヨーロッパ最大規模だった酒蔵がパリにありました。Entrepôt de Bercy(ベルシー倉庫)と呼ばれる場所。

セーヌ河畔にあるので輸送にも便利な場所。ここでワインなどのアルコール飲料の取引が行われたので、あらゆる関連の仕事が営まれていたそうです。

樽職人もいたのでした。ワイン倉庫があった地域が再開発でなくなる直前、1989年の映像です。


Ina: Le dernier tonnelier de Bercy(1989年のニュース)

樽を作ったり、修繕したりの仕事。少し前までは10人の仲間と一緒に働いていたのに、残っていたのは55歳の彼ひとり。それも、時代の波に押されて酒蔵はなくなる。

ここには独特の生活空間があったのだ、と消えゆくことが残念そう...。話しぶりからして、フランスの典型的な職人さんですね。伝統的な職業が消えていくのと同時に、こういう人も博物館入りの価値がでるのだろうな...。

ワインの醸造では木の樽を使わないところが多くなってきているので、樽職人は少なくなっているでしょうね。樽職人組合のサイトがあったので眺めたら、組合のメンバー数は51(従業員 1,917人)となっていました。2014年に製造された樽は524,500個。多いといえば、多いのかな?...


ベルシーの酒蔵跡は「ベルシー村」と呼ばれ、昔の面影を残しながら、隣には植物園を作ったりして、パリの田舎らしさを残している地域になっています。

Bercy Village Cour Saint-Émilion
La cour Saint-Émilion, Bercy Village

大都会パリにいると車も多くて疲れるのですが、ここには長閑な雰囲気があるので好きな界隈です。昔はアルコール飲料の倉庫だっただけあって、道の名前が酒の銘柄になっているのも楽しい。上に入れたのはサンテミリオンの庭。ここに地下鉄で行くにも、その名前の駅で降りますね。

ベルシー村には何回か行ったことがあるので、昔はどんなだったのか興味を持っていました。

このあたりに行ったときのことを書いた日記:
気に入ったパリの縁日博物館 (Musée des Arts forains) 2010/12/18

ベルシーの樽職人の関連で昔のベルシーの映像や写真などが出てきたので、次回はパリでワインビジネスの拠点だった2カ所の歴史について書こうと思います。


シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その17




ブログ内リンク:
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外部リンク:
Tonneliers de France
Art du Tonneau - Frédéric Gillet - Tonnelier


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コメント
この記事へのコメント
絶滅危惧種
フランスの樽職人も
絶滅の危機に瀕しているのかしら。

岩手県二戸市浄法寺地区の
漆産業も 絶滅の危機に瀕しております。

浄法寺地区の隣町
青森県三戸町に漆を掻くための
カンナ作りの職人が
一人だけ。
http://mainichi.jp/graph/2015/02/13/20150213dde041040027000c/001.html

しかも カンナは 全て
それぞれの漆掻き職人の要望を叶えた
オーダーメイド、、
機械で大量生産したカンナでは
モノにならないとのこと。

さらには
日本の重要文化財も 
支那の泥漆(ぼくの 造語です)に席巻されて
絶滅の危機
http://datazoo.jp/tv/所さん!大変ですよ/892403

これが
グローバリズムの 成れの果てなのだ♪
2016/02/01 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 絶滅危惧種
v-22 たかゆきさんへ

>フランスの樽職人も絶滅の危機に瀕しているのかしら。

⇒ ひところは言われていたのですが、最近は需要に間に合うくらいに工房ができているように感じています。ワイン樽の単価が高くても本物が必要な高級ワインの会社は買いますし、上手に機械化すれば昔と遜色のないものができるでしょうから、ビジネスとしてやっていけるはず。ただし、超高級でないワインを作っているところでは、それこそ中国や東欧などから輸入する安い樽を使っているのではないかな、と私は勘ぐっております。そもそもオーク材の樽で寝かさないところも益々多くなっていますけれど。

漆をどうやってとるのか、リンクしてあるところも含めて、とても興味深く見ました。カンナからして重要というのも驚きでした。幹を傷つけて、出てくる液を集めれば良いのだろうくらいに軽く考えておりましたので。

昔ながらの工芸品を作る人は日本ではかなり残っていると思いますが、それを影で支える地味な仕事をする人は少なくなっていくでしょうね...。

支那の泥漆も驚きです。国宝級のものを修復するのに、そんないい加減なことをするのを許してしまう体制自体が問題だと思います。あっちこっちに100億円単位で世界中にお金をばらまいているくせに、日本は国内のことにはお金をかけない...。

日本の伝統的な茅葺き屋根の技術は消滅しているのだ、と教えられたのを思い出しました。今やっているのは、それほど技術がいらないヨーロッパ式技法ばかりなのですって。「日本の技術が完全に途絶えたなんて聞いていないので信じられない」と言ったら、その人はその分野の専門家なので、分厚い報告書を送ってくださってしまいました。

食べ物でもなんでも、見た目だけが違わないものがはびこってきている世の中だと思います。ブルゴーニュワインも、昔は生産地独特の風味があったので素人でも目隠しテストで銘柄を当てることができましたが、今はそういう特徴が出ているワインに当たる方が稀です。せめて、本物を少しは垣間見ることができる時代に生きて幸運だった...。
2016/02/01 | URL | Otium  [ 編集 ]
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