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2016/03/01
先日、ブルゴーニュとボルドーの樽の大きさは違うと書いたのですが(その記事)、ボルドーでいうところのtonneau(900リットル)なるものを見たいと思って画像を探していたら、見たことがなかったものを見つけてしまいました。

ボルドー言葉で「シェ(chai)」と呼ぶ醸造所の建物なのですが、こんなのはブルゴーニュでは見たことがなかった...。存在すると想像だにしていませんでした...。

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その24


超近代的な「シェ」を持つボルドーのシャトー

たまたま開いたのはボルドーの観光サイト。訪問の価値があるというシャトーの名前が書いてありました。超近代的設備なので見学する価値があるのですって。

どんなところなのか見たいと思ったので映像を探したら... 出てきました。

きゃ~...!


Les reportages Millésima - Cheval Blanc dans le 21ème siècle

醸造樽のフォームは美しいですけどね...。

ワインを寝かせる場所が、コンクリートづくしというのに私は抵抗を感じてしまします。伝統的な石のワインセラーは、土の中に埋まっているから適度な湿度があって、適度な風通しがあって... ワインが寝るには心地良さがあるはずなのです。

超近代的というからには、建築のデザインだけではなくて、色々な工夫があるのでしょうけれど...。

もう少しシェの中を覗いてみたいですよね?


Cheval Blanc : le nouveau chai

湿気は最も大切だと思いますが、電気か何かで送り込むのかな?...

風通しは、壁に無数に開いた小さな隙間で調整するのだそうです。ただの壁ではなくて、こんな風にしたら大変な工事費なのでしょうね。

ワインセラーを作った友達が、大工さんが通気口を付けるのを忘れてしまっていたとパニックになった話しをしていたのを思い出しました。現代建築でもこんなセラーを作れるのだと知ったら、友達はショックを受けるかもしれない。

何事もスローモーションの友人夫婦 2010/10/12


コンクリートの中でワインを醸造するのは理想的なのだおっしゃって、銅の鍋でコトコト煮る料理が美味しくなるという例えをあげています。私はコンクリートと聞いたらワインが不味そうに感じてしまうのですけれど...。コンクリートという言葉も味気ないけれど、フランス語で「ベトン」と言っても、やはり良いイメージはないと思うのです。

ひょっとして、このシャトーでの食事のときに使うワインクーラーもコンクリートでできているのでは?...


クリスチャン・ド・ポルザンパルクChristian de Portzamparc)という建築課の作品なのだそう。美術館の建物なら、こういう建築物を評価なさる方も多いのではないかと思いますけど...。しつこく言っている私。スミマセン! 大変な費用をかけてまでコンクリートでワイナリーを作ることにショックを受けているのでお許しください...。

建築中の様子を見せる映像もありました。


chateau cheval blanc borne 1


ついでに、もう1つ映像を入れてしまいます。地元のテレビ局の制作したもので、シャトーの全景がよく見えますので。


Cap Sud-Ouest - Château Cheval Blanc


シュヴァル・ブランは白馬のこと

ここはシャトー・シュヴァル・ブランChâteau Cheval Blanc)というドメーヌでした。

シャトー・シュヴァル・ブランを楽天市場で検索

ブルゴーニュとボルドーの違いにはもう1つあるのですよね。ブルゴーニュでは生産者のことを「Domaine(ドメーヌ)」と呼ぶのですけれど、ボルドーは「Château(シャトー)」と呼ぶ。

ドメーヌとは所有地のことなので、普通に付けられた名前だと思います。

「シャトー」と聞いたら、私は美しい昔のお城を思い浮かべてしまうのですけど、ボルドーのシャトーは、ちょっとしたお家ならシャトーと呼んでしまって良いらしい。

このシュヴァル・ブラン(白馬)は、普通にあるようなブルジョワ的なお家でした。

Château Cheval-Blanc

フランスでは全く大きいとは言えないし、ほんの少しお城風と言えなくもない程度。歴史的価値は全くないでしょうね。「シャトー」と呼んでしまいますか?...

シャンパン・メーカーは、「Maison(メゾン)」という名を使います。英語にしたら「ハウス」。大手メーカーは、それに「大きな」という形容詞を付けますけれど、ボルドーよりは謙虚で良いな...。

ともかく、ここはシャトーの建物としてはインパクトがないから、ワイン醸造所はあっと驚かせるような建物にしたのは経済効果を呼び込むためには投資の価値があったのかな?...


シュヴァル・ブランは第1特別級A。ボルドーでは最高峰にランクされているということですよね?

icon
「シャトー・シュヴァル・ブラン」のワインをリストアップしているネットショップがあり、その紹介を読んだら、面白いことが書いてありました♪

1952年から同じ一族に所有されていますが、1980年からクオリティはさらに高まっており、最近のヴィンテージは、五大シャトーよりも高い金額で取引されています。


このドメーヌは1988年に、ベルギーで最も金持ちとされる実業家のAlbert Frèreと、フランスの高級ブランドを買い占めているBernard Arnaultに買収され、シャトー・イケムを経営しているPierre Lurtonによって運営されているのだそう。

※ インターネットに入っている動画で必ず登場しているのは、ディレクターのPierre Lurtonさんだそうです。ブログに入れる動画を探しながら彼の顔を見過ぎてしまったせいもあるけれど、一緒に食事したら楽しめない人だろうな,,, と私は感じる...。気がきいた冗談を言って笑わせてもくれなさそうだし。


フランスのブドウ畑が投資の対象になっていると聞いてブログに書いたところでした:
ブルゴーニュのブドウ畑の価格は、投資の対象になって急騰していた 2016/01/18

実業家が既に高い評価を得ているワイナリーを買収したら、もっと良いワインを作ろうとチャレンジするよりは、もっと収益を上げようと言うのが狙いのはずですよ...。値段を高くしてもワインを買う富裕層は世界のどこかにいるし、高いから人気が出るということもある...。

あのBernard Arnaultさんが入っているなら、この奇抜な醸造施設をつくったのも納得できると思いました。私が勤めていた在日フランス企業に入ってきた人なのです。穏やかで紳士的だった会長を押しのけたのを見て、こういうフランス人にしては異例な押し出しの強い実業家はフランスの経済界では長続きしないだろうと思ったのですが、私の予感はみどとに外れました! あれから20年余りたちますが、いたるところで彼の名前が出てくる...。


シュヴァル・ブランというシャトーを買ったからというわけでもないのか、あるいはそれが原因なのか、アルノーさんは「シュヴァル・ブラン」という名前で豪華ホテルのチェーンを作り出しているようです。

シュヴァル・ブラン(白馬)なんて、田舎によくありそうなホテルの名前に私には思えてしまいます。どんな豪華ホテルなのかなと思って調べてみたら、これが出てきました。

http://www.huffingtonpost.fr/2015/06/19/la-samaritaine-grand-magasin-paris_n_7620856.html 2015年6月の記事

パリのど真ん中にあるサマリテーヌという名のデパートだった建物をアルノーさんがお買いになって、何にするのか色々に言われていたのですが、最近は高級ホテルにすると発表されていました。それが豪華ホテルチェーン「シュヴァル・ブラン」に入るのだそう。

この記事のトップを見て、あれ、あれと思いました。

左手前にあるのは、アンリ4世の騎馬像(Statue équestre d'Henri IV)。
こんなアングルでサマリテーヌが見えるのですね。

アンリ4世といえば、白馬に乗っていたというので知られている王様です。「アンリ4世のシュヴァル・ブラン(白馬)は何色?」という有名なジョークがあるくらい。

なんだか、でき過ぎた話し...。

サマリテーヌがデパートだった頃には、屋上にあるカフェに行くのが好きでした。すぐそばにノートルダム寺院が見えたりして、パリでこれほど美しい眺めが見れる場所はないと思って気に入っていたのです。

高級ホテルになってしまったら、もうあの景色を見ることはできないのだろうな...。


サンテミリオン

ボルドーには1回しか行ったことがありません。ブルゴーニュと並ぶフランスのワイン産地なので、ブルゴーニュと同じ雰囲気があるのだろうと期待していたのですが、全然違うのでした。

そのボルドー旅行で、唯一気に入ったのはサンテミリオン(Saint-Émilion)の村でした。石造建築の佇まいが美しくて、ワインは美味しいので、この村だけはブルゴーニュと同じように魅力的だと思いました。私が訪問した後に世界遺産に登録されたと聞いたときは、当然だなと思いました。

Vue générale de la cité médiévale, dominée par le clocher de l'église monolithe.

ブルゴーニュにあってもおかしくない村...。ワインも美味しいし...。そうブルゴーニュの友達に話したら、ボルドーワインの中でも、サンテミリオンのワインはブルゴーニュワインにとても似た風味があるのだと言われました。


私のボルドー旅行は1週間くらいの短い旅行でしたが、サンテミリオンは強烈な印象を残して気に入った場所でした。それなのに、こんなコンクリートづくりのワイン醸造所ができていたと知って、かなりショック...。


奇をてらって話題になるようなシェを作ったのだろうと思ったのですが、そうではなかった! ボルドーでは、こういう風に超近代的なデザインのワイナリーがおびただしくできていたのでした。

幾つか拾ってみたので、それを次回にご紹介します:
ボルドーでは、有名建築家がデザインした超近代的ワイナリーが流行

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その24


 


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外部リンク:
☆ Figaro-vin: Château Cheval Blanc Saint-Émilion
☆ Christian de Portzamparc: Chai Château Cheval Blanc
Château Cheval Blanc 1er Grand Cru Classé de Saint-Emilion rouge
Lurton (Pierre) Cheval Blanc et Yquem
Pierre Lurton  Le vin se fait dans la vigne, avant tout
Pierre Lurton   Un Yquem jeune, c'est un plaisir immédiat
L'hôtel Cheval Blanc à la Samaritaine
LVMH étend sa chaîne d’hôtels Cheval Blanc
「アンリ4世の白馬は何色か」というジョーク


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コメント
この記事へのコメント
超近代的な「シェ」♪
実験室か 化学工場の 趣き。。。

試薬の臭いと アルコールの構造式が
脳裏に浮かびました。

ここで作られた製品は 瓶詰めではなく
四角い金属容器の一斗缶に封入されたら
ぼくの イメージにピッタリなのだ♪

ぼくの感性では
作品ではなくて製品
ワイン風味のアルコール飲料かしら

何につけ 作る人の個性が反映されますね。
2016/03/02 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 超近代的な「シェ」♪
v-22 たかゆきさんへ

>試薬の臭いと アルコールの構造式が 脳裏に浮かびました。
⇒ なるほど...♪

私は原子炉が浮かびました。ひょっとして、原発事故や核戦争のあと、ここのワインは放射能を生き抜きましたとか言って、法外な値段で取引されるのを計算に入れているのではないか... と。ボルドーには原発があるのです(ボルドー市から50Km)。

>何につけ 作る人の個性が反映されますね。

⇒ そうですね。ボルドーでこういう超近代的なシェを作っている人たちと、伝統を守っている人たちを動画で見ながら書いているのですが、顔つきから話し方から、全く違うので興味深いです。
2016/03/02 | URL | Otium  [ 編集 ]
まるで美術館。いずれにせよ、シュヴァル・ブロンなんて我々庶民には手の出ないワインですよね。
2016/03/14 | URL | 豊栄のぼる  [ 編集 ]
Re:
v-22 豊栄のぼるさんへ

>まるで美術館。

美術館だとしたら違和感はないですよね。でも、日本で学芸員をしている友達が、最近の建築家は奇をてらった設計の美術館を建てるので、展示しにくくて仕方ないのだとぼやいていました。

>シュヴァル・ブロンなんて我々庶民には手の出ないワインですよね。

どうしてこんなに派手にする必要があるのかと不思議だったのですが、そこにヒントがありそうですね。つまり、Bling-blingに喜ばれるワインとしての価値が高まる♪
2016/03/14 | URL | Otium  [ 編集 ]
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