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2016/02/03
前回の日記で、ガンゲットと呼ぶ社交場だったムーラン・ド・ラ・ガレット(Moulin de la Galette)という名の店について書いたのですが、その「ガレット(galette)」が何を意味するかが気になりました。

パリとワインの関係 (1): パリのブドウ畑とガンゲット

ムーランとは、風か水の力を利用して小麦粉をひく施設。
ムーラン・ド・ラ・ガレットは、パリのモンマルトルにあります。

EugeneCiceriLeMoulinDeLaGalette
Le moulin de la Galette, Eugène Cicéri (1813~1890年), Musée Carnavalet

多くの画家たちは、建物や、そこの雰囲気にインスピレーションを与えられていたのですが、私は風車の名前に気を取られてしまったのでした。

Moulin de la Galette(ガレットの風車)という文字を見たとき、私はgalet(ガレ)と呼ぶ石を真っ先に思い浮かべました。水切りをして遊ぶのに適した平べったい石。ガレットはガレの女性形なので。
Galet du Verdon

Chateauneuf-du-Pape galets


フランスのブドウ畑には、この平べったい石ころがゴロゴロしている畑があるのです。初めて出会ったのはボルドーのブドウ畑でした。右に入れた写真はシャトーヌッフ・ド・パップのブドウ畑。

水はけが良いでしょうけれど、こんなところで植物が育つのかと不思議になる土壌...。

ここのところブログでずっとワインについて書いていて、モンマルトルのブドウ畑を眺めたところだったので、ガレットと聞いてブドウ畑の石を連想してしまったようです。

ひょっとしたら、モンマルトルの丘は、こんな河原のような地面だから付いた名前なのではないか?...

でも、調べてみたら、ガレット風車という名前は、石とは全く関係がないのでした。


なぜガレット?

ガレット・ド・ムーランはパリの歴史に残るくらい有名だったので、色々な記述がありました。でも、年号が合わなかったりして、どの話しが本当なのか分からない。このくらいの程度を書くだけなら、事実と違っていても、そう大した違いではないだろうという当たりだけメモしておきます。

モンマルトルがパリ市ではなくて、旧セーヌ県の村であった1810年の時点で、モンマルトル村には許可を持っているbal(ダンスホール)が16あったのだそう。1806年の人口は636人だったそうですから、お客さんの大半はパリからやって来たということになるでしょうね。

モンマルトルの丘には、昔はたくさんの風車が建っていたそうです。

モンマルトルに住んだ印象派の画家たちが「Moulin de la galette」を描いた時代、ここにはBlute-finとRadetと呼ばれる2つの風車(moulin)があり、その中間に、私が気にしている「ムーラン・ド・ガンゲット」があったのだそうです。

Moulin de la Galette
Moulin de la Galetteの写真(1885年)

ここに風車があったと記載されているのは1622年の文献で、風車の名前はMoulin du palaisとなっていました。その後、建て替えられたりしましたが、Debrayという人が2つの風車を買いました(1809年)。この農家では風車で小麦粉などをひいたのですが、近郊で収穫されたブドウの圧縮もしていたようです。

まだ田舎の長閑さがあったモンマルトル。休日にはパリから散歩にやって来る人たちがいました。そこで、農家ではサイドビジネスを始めることを考えたようです。ライ麦パンとミルクを出す。その後は、ミルクの代わりに地元のワインを出すようになり、ダンスも楽しめるガンゲットとなりました。パリからも登って行きやすい整備された道路に沿った場所にあったことも幸いして、ただちに人気を呼んだようです。

ここで出していたのは、小さく焼いたライ麦のパンで、それがガレット(galette)と呼ばれていました。それを店の名前にしていたでした。


また出てきました。ガレットと呼ぶパン!

1年前、私はやはりガレットが気になってブログで書いていました。赤ずきんちゃんがお婆さんの見舞いに持っていったのは、フランスではガレットと言われるのですが、どんな食べ物だったか調べたのです:

★ シリーズ日記: 赤ずきんちゃんのガレットとは?  2015/01/05

今のフランスで「ガレット」と聞いて思い浮かべる食べ物は色々あるので疑問を持ったわけなのでした。

結局、赤ずきんちゃんはガレットと呼ばれるパンを持っていったのだと結論したのですが、モンマルトルの歴史に残ったガンゲットの名前になった「ガレット」も、同じようなパンだったのかもしれません。

赤ずきんちゃんのガレットは抱えるくらいに大きかったようなのですが、モンマルトルのは「小さなパン」と書いてあるので、1人1個でおやつになるくらいの大きさだったのかな?...

赤ずきんちゃんのガレットはレシピを考えて紹介したりしていたのですが、ムーラン・ド・ラ・ガレットで出されていたガレットの方は誰も作ってみていないようでした。

そんなわけで、どんなパンなのか分からないのですが、「ガレット」と呼んでいるということは、丸くて平べったいパンなのだろうと想像します。例えば、こちらのレシピにあるパン。そば粉で作っていますが、「Galette de pain(パンのガレット)」という名がつけられています。


店のポスターが何枚もインターネットに載っていました。でも、この店のトレードマークはやはり風車のようで、名物だったはずのガレットの絵は見つかりませんでした。

 

左側のは、イラストレーターAuguste Roedel(1859~1900年)の手になる店の宣伝ポスター。1896年の作のようです。一番下に「素晴らしい見晴らし」というのは良いのですけど、店の名前Moulin de la galetteの下に「創立1295年」なんて書いてある!

この店がいつできたのかの記載がまちまちで分からないのですが、ガンゲットとしてオープンしたのは1934年に思えました。ただし、店の名前を正式に「Moulin de la galette(ムーラン・ド・ラ・ガレット)」としたのは1895年だという記述が多かったです。いずれにしても、そのちょうど600年前、ここには風車さえもなかったかもしれないと思うのですけどね...。

フランスでは古いポスターのコレクションをする人がたくさんいるそうで、とても高い値段で売買されるのだと聞いていました。この誇大広告ポスターはそれほど有名ではないからか、日本円にして2万円から5万円くらいでネットで売っていました。

右側のポスターについての情報はなかったのですが、誇大広告ポスターより後ではないかと思います。左のには、bal(ダンス)は日曜と祭日のマチネーがあると書いてあります。ダンスホールは、初めのうちは日曜と祭日のオープンだけ許可されていたようなのです。

右のには、木曜、土曜、日曜、祭日に昼の部と夜の部があると書いてあります。さらに、オーケストラも入って本格化している様子。

有名なキャバレーのムーラン・ルージュ(Moulin-Rouge)ができたのは1889年で、オープンしてすぐに人気をよんだようです。このあたりから、モンマルトルは歓楽街として栄えていったのでしょうね。


20世紀初頭のガンゲット

ジャン・ギャバンが主演した映画『 La Belle Équipe(我等の仲間)』は、宝くじで大金を当てた5人の仲間が、川のほとりにガンゲットをつくるというお話しでした。

白黒映画時代はフランスも良い作品を作っていた、と思われる秀作だと思います。

1936年の映画ですから、印象派の画家たちが描いたガンゲットよりは数十年後になりますね。

ルノワールの絵画はブルジョワ階級の人たちが踊っているガンゲットですが、映画の方は庶民階級のためのガンゲット。

今のフランスに伝わっているガンゲットのイメージは、映画の方の雰囲気なので、みんなで踊っているシーンを入れておきます。


Jean GABIN - La Belle Equipe (1936) - ''Quand On Se Promene Au Bord de l'Eau''


現代のガンゲット

フランスでは、18世紀半ばから人々が郊外に行って息抜きすることを楽しむようになりました。これがガンゲットの始まり。

1906年には、フランスは世界で最も早く週休2日制を確立しています。

ガンゲットの流行の最盛期は1880年から1938年と言われています。しかし、人々の楽しみ方も変化し、1960年ころにはガンゲットは忘れ去られるようになりました。

ところが、10年くらい前から各地にガンゲットが復活してきて、人気は徐々にあがってきているようです。

現代にガンゲットに行く人たちは、昔を懐かしむ高齢者が多いように感じます。田舎に住む知人が、ご近所の人たちとバスをチャーターしてパリの近くにあるガンゲットに行ったと話しをしていました。大規模なダンスホールだったらしい。

どんなところなのか映像を探してみたら、たくさんでてきました。昔にガンゲットがたくさんあったというマルヌ川沿いにある町のガンゲットの様子を見せる動画を入れます。


THÉ DANSANT PAR LA GUINGUETTE J. DE LA FONTAINE

この動画には「thé dansant」と書いてあります。ガンゲットの流行が復活してきたころからのように思うのですが、この耳慣れない言葉を見かけるようになりました。「ダンスパーティーがあります」という感じの張り紙があるのを目にするわけなのですが、どうも気になる言葉。

「thé dansant」とは、英語にすればdancing tea。紅茶とダンスが楽しめる集まりなのだろうと想像できます。たぶん、イギリスのアフタヌーン・ティーの風習のような感じで、早めに始めるというダンスパーティーなのかもしれません。

紅茶という文字を入れているということは、こういうお楽しみには付きもののお酒は飲まない、という決まりなの? こういう催し物に行くのは平均年齢70歳くらいだろうと思うので、早く始まって、早めに帰れるというのは好まれるのかもしれない。でも、お年寄りだってお酒は飲みますけどね...。

Wikipediaには項目ができていませんでした。英語ページでは「Tea dance」といいうのがあり、フランスのと同じもののようです。でも、フランスのがどんなのか知りたい。

検索してみたら、パリのお話しで、「土曜の午後、thé dansantに行ってテストしてきました」という感じで、女性が詳しく報告している記事がありました。下の「外部リンク」の最後にに入れておきますので、よろしかったらお読みください。面白いのです。でも、お忙しいのに読んでいただくほどの価値はないか...。

想像していた通りのダンスパーティーのようです。集まっているのは高齢者ばかり。女性たちは厚化粧してハイヒールを履いてドレスアップ。男性も蝶ネクタイ姿。女性が行くときは誰かがダンスに誘ってくれるのを長いこと待つことになるので、お相手を連れていった方が良いとアドバイスしていますね。女性4人に対して、男性1人という感じなのだそう。

私の関心事は飲み物でした。美味しいthé(紅茶)を飲みたい人にはお勧めしません、とある。「踊る紅茶」という名前にしておきながら、紅茶は全くなかったのだそうです。アルコール飲料もなし。従って、喉が渇いたら水かジュースを飲むしかない。変なの...。



シリーズ記事目次 【フランスのワイン産地】 目次へ
その19

ブログ内リンク:
パリとワインの関係 (1): パリのブドウ畑とガンゲット 2016/02/01
「ガンゲット」と呼ばれるレストラン 2005/09/07
パリ首都圏の町にある田舎風景とは? 2010/12/27
★ 目次: ワインの消費、ビジネス、飲酒規制、歴史など

外部リンク:
L'Histoire par l'image: Le Moulin de la Galette | Le bal, une pratique sociale
YouTube: Le Moulin de la Galette
YouTube: Montmartre - Le Moulin de la Galette.wmv
Montmartre. Moulin de la Galette. Histoire. peintres.
Les moulins de Montmartre
Sous les Toits de Paris: Le MOULIN de la GALETTE
La Belle Epoque.. Le moulin de la Galette
Waltz Around a Tea Table
J'ai testé la fièvre du samedi après-midi au thé dansant de l'Olympiade


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