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2016/04/28
前回の日記「モリーユ茸とヴァン・ジョーヌ入りチーズフォンデュのレシピ」を書きながら、Vin jaune(ヴァン・ジョーヌ)というワインについて調べてみたのですが、このワインはかなり特殊なのでした。

Vin jaune(ヴァン・ジョーヌ)とは、黄色いワインの意味。樽の中で長い年月熟成させるので、本当に濃い黄色になっています。

フランシュ・コンテ地方のジュラ地域で作られる辛口白ワイン。ボトル詰めしてからも長期間保存できる高級ワインです。50年でも保存できるのだそう。

何と説明したら良いのかな...。

どんな味があるのか私はうまく説明できないので、こちらのショップの説明をご覧ください。

作り方が独特なのです。


La fabrication du vin jaune


特徴1: セパージュはサヴァニャン

ヴァン・ジョーヌは、Savagnin(サヴァニャン)というブドウの品種を使って作られます。

Savagnin

貴腐ワインになるくらいに熟してから収穫。収穫期は、伝統的には10月後半なのだそう。

サヴァニャンは、ジュラ・ワインの典型的な品種です。

この地方のもう1つの有名なワイン「ヴァン・ド・パイユ」にも欠かせない品種です。

かなり個性が強いワインになるので、好きか嫌いかは大きく分かれるブドウの品種です。でも、特殊な醸造法が可能な品種なのかもしれない...。


ヴァン・ジョーヌで最も高い評価を受けているのは、Château-Chalon(シャトー・シャロン村)で作られたワインでしょうね。

小高い山の上にある村で、フランスの最も美しい村協会にも加盟していて、素晴らしく美しい村です。

そこのブドウ畑を見せながらヴァン・ジョーヌを紹介している動画がありました。


Vinification du Vin Jaune


特徴2: クラヴランと呼ばれるボトル

ヴァン・ジョーヌは、ボトルにも特徴があります。

普通のワインより小さいボトルで、620ml入り。この形のボトルをClavelin(クラヴラン)と呼びます。

ワインボトルの標準サイズは750ml入りですから、2割近く容量が少ないということになりますか。

小さめのボトルにしているのには理由があります。それが、ヴァン・ジョーヌの最大の特徴!


特徴3: 酵母に守られた長期熟成

最低6年をオーク材の樽の中で寝かせなければ、ヴァン・ジョーヌとして売ることができません。6年3カ月寝かせるのだ、と生産者たちは言っています。きっちりその期間というわけではなくて、それを過ぎれば良いということでしょうけれど。

ワインを樽に入れて熟成させていると、ワインは少しずつ蒸発していきます。これをpart des anges(天使の取り分)と呼ばれたりもするのですけれど、ワインを醸造する過程では減ってしまった分は足していきます。

この作業は、フランス語ではouillageと呼ぶ。

飛んで消えた分を補充しないと、ワインが空気に触れて酸化して、そのうちワイン・ビネガーになってしまうからです。

ところが、ヴァン・ジョーヌでは、その作業をしないのです。

それでも酢にはならずに熟成するのは、ワインの表面に薄い酵母の膜ができて、空気との接触を防ぐから。

樽を割って中を見せている画像ですが、この膜は自然にできるのだそう。なぜ出来るのかも、科学的に解明できてはいないようです。

Vin Jaune
Voile de levures à la surface d'un vin jaune

この膜をvoile(ベール)と呼ぶので、そういう製法で作ったワインを「Vin de voile」と呼びます。

日本語でも呼び名があるのでしょうか? 発音をカタカナにすれば、ヴァン・ド・ヴォワル。普通に訳せば、ベール・ワインなのですけど。Wikipediaの「Vin de voile」からは、何語にもリンクされていませんでした。

珍しい製法なのですが、スペインのワインシェリー(スペイン語でjerez、フランス語でXérès)も、ヴァン・ド・ヴォワルカテゴリーに入っています。味は全く違うのですけれど。

シェリーの場合は、表面にできる産膜酵母を「フロール」と呼ぶのだそう。

Wikipediaにはシェリーの樽の断面写真があったのですが、ヴァン・ジョーヌのと似ていますね。

シェリー酒には甘口もありますが、ヴァン・ジョーヌは白の辛口ワインだけです。


ヴァン・ジョーヌは長期間樽で熟成するのでワインが減っていきます。始めに樽の中に100リットルのワインを入れると、75カ月たったときには62リットルにまで減ってしまっている。

それで、ヴァン・ジョーヌのボトルは62ml入りのクラヴランと呼ばれるボトルに入れて商品化されるのだそうです。

ヴァン・ジョーヌではsoutirage(澱抜き)もしないのだそう。


ヴァン・ジョーヌを作っているときにできる酵母のを見せてくれている動画があったので入れます。


Le vin Jaune


ヴァン・ジョーヌの鏡開き?

樽に入れたまま、ワインが蒸発しても何もしないで、静かに寝かせた6年余りの年月。それを開けてボトルに移すのをお祭りにしようではないか、と考えた人がいたようです。

1997年、Percée du vin jaune(ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌ)というイベントができました。

樽を開けるといったら、日本酒でもやるではないですか?!



これを「鏡開き」というと覚えていたのですが、鏡割り、鏡抜きとも呼ぶのだそう。

でも、違いがありました。日本酒の場合は丸い樽の上を突き破る。でも、ワインの樽は寝かせて保存します。ヴァン・ジョーヌでは、「鏡」に例えることはできないですね...。

セレモニーは、こんな感じで行われます。


CérémoniePercée

日本と同じように木槌のようなものを使うのですが、ヴァン・ジョーヌの場合は、ワインを注ぎだすための蛇口を取り付けるのです。

上に入れたのは、20回目の開催、今年2016年2月6日と7日、ジュラ県の県庁所在地Lons-le-Saunier(ロンス・ル・ソーニエ町)で行われたイベントの映像のようです。

2017年はイベントはなくて、2018年にL'Etoile(レトワール村)で開催されるのだそう。レトワール村のワインもとても美味しいと思って好きになった村でした。名前も「星」なんて素敵ではありませんか?

久しぶりに行きたくなりました。樽から直接だされたワインが飲めるので、普通のワイン祭りと違う楽しさがあるのです。

ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌのお祭りが始まったばかりの頃は何回か通いましたったのですが、その後は行かなくなっていました。上に入れた動画を見て、フランシュ・コンテ地方は雨が多いのだものな... と思い出しました。

地元に友達がいることもあって、小澤征爾が指揮者コンクールで優勝したことでも知られるブザンソン国際音楽祭もよく行っていたのに、これにも行かなくなった...。コンサートが始まるのを待つためにカフェで時間をつぶしていたとき、道行く人たちを眺めて、みんな傘がくたびれているぞ~、なんて思ったのを思い出します。

ペルセ・ドュ・ヴァン・ジョーヌのコマーシャル・ビデオがあったので入れておきます。ワイン祭りは、どこでも楽しいです♪ イベントが有名になって人が多くなりすぎると、魅力は半減するのだけれど。


La Percée du Vin Jaune



ヴァン・ジョーヌに興味を持ったのは、少し前にシャトー・ディケムの貴腐ワインについて書いたからだと思います。特殊な作り方をするワインとして、どこか共通するところがあるように思えたのでした。

貴腐ワインは、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)という菌がブドウの果実につく。ヴァン・ジョーヌの方は、樽の中で酵母の膜がワインを守る。そういう普通のワインではありえないことによって独特の風味ができ、ともに長期保存ができるワインになり、オークションで破格の値段で落札されたりする...。

シャトー・ディケム 2000年が、どう作られたかを見せた映像 2016/03/16
甘口ワインのソーテルヌは、どのくらいの貴腐状態のブドウで作るの? 2016/03/20

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ブログ内リンク:
黄色いワイン「ヴァン・ジョーヌ(Vin jaune)」 2005/07/27
★ 目次: ブドウ畑の作業、ワイン醸造法など
★ 目次: フランスのワイン産地、アペラシオン、セパージュ
★ 目次: ワインなどアルコール飲料に関するテーマ

外部リンク:
☆ Wikipédia: Percée du vin jaune
冬本番!ヴァン・ジョーヌの季節です。
鏡開きの基本知識
「鏡開き」と「鏡抜き」どの表現でもよい?
鏡割りと鏡開きの違い


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