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2016/05/28
メンバーになっている郷土史研究会では、別の地域で作っている同じようなサークルと交流会をすることがあります。自分の地域にある文化遺産の見学をオーガナイズして迎えるという企画。

参加した4月末のヴィジットは、オータン市に近い農村地域にある教会1つと、城を3つ見学するというスケジュール。ところが、雨が降って、非常に寒い日になってしまいました。


シャズー城にまつわる人々

村にあるロマネスク教会を見学した後、始めに見学する城はChâteau de Chazeu。個人の所有で、普通は入れないところなので、見学できることに期待しました。

15世紀には、ブルゴーニュの歴史の中では有名なブルゴーニュ公国の宰相ニコラ・ローラン(Nicolas Rolin)が、この城を手に入れていました。


ヤン・ファン・エイク『宰相ロランの聖母

拡大鏡で見るのにも耐えるほど精密に描かれた「最後の審判(ファン・デル・ウェイデンの絵画)」の祭壇画があり、ブルゴーニュ地方の観光スポットになっているオスピス・ド・ボーヌ(Hospices de Beaune)も、このニコラ・ローランが貧しい人々のために建てたものです。

でも、この日の見学のテーマは、それとは別の城主。

17世紀半ば、この城はロジェ・ド・ビュッシー=ラビュタン伯爵(Roger de Bussy-Rabutin)のものとなりました。彼がこの日のテーマ。

書簡作家として知られるセヴィニエ侯爵夫人(Madame de Sévigné)は伯爵の従妹だったので、彼女はこの城を訪れたことも書き残しています。

セヴィニエ公爵夫人の父親、シャンタル男爵は、聖フランシスコ・サレジオの弟子であり友であった聖ジャンヌ・ド・シャンタル(Jeanne de Chantal)の息子。それで、この日は、夫を亡くしたジャンヌ・ド・シャンタルが失意の生活をした義理の父親の城も訪問しました。


びしょぬれになって見学したシャズー城

地図で丸い森になっている部分がシャズー城。



森の中に少し城の建物が残っているだけで、完全な廃虚でした。



この日のヴィジットをオーガナイズして案内してくれたのは高齢の女性。雨も降っているし、寒いという最悪の天気。「こんな感じの城です」ということで外観を見るだけだろうと思って、傘も持たずに車を降りました。

ところが元気いっぱいの人で、どんどん藪の中にも入って行く。それで、私たちも後を追う!



残っている建物の外壁を見て、かなり広い城の跡地を歩けば、昔は立派な城だったのだろうとは分かりました。でも、もう少し形を残していて欲しかった。


城主だったロジェ・ド・ビュッシー・ラビュタン伯爵(1618~93年)は、軍隊で中将として活躍していました。ところが、ルイ14世(在位:1643~1715年)の反発をかってしまいます。宮廷に出向くことは許されず、彼の故郷であるブルゴーニュに留まって、人生最後の16年間を過ごすことになりました。

冬の間はビュッシー・ラビュタン城に住みましたが、気候が良い時期にはシャズー城に住むという生活だったようです。

ビュッシー・ラビュタン城の方は、現在でもかなり良い状態で残っています(下の写真)。

Château de Bussy-Rabutin


シャズー城はみごとに廃虚になっていましたが、もう2度とは来られないはず。隅々まで歩きました。



かなり広い敷地だったのに、全部まわってしまった!

その後は、私たちを受け入れてくれたサークルの事務所になっている昔の水車小屋でレクチャー。大きな暖炉2つで薪を燃してくださっていたのが嬉しかったです。



プレゼンを聞いている間に、雨に濡れたコートや靴を暖炉のそばに置いて乾かすことができました。

この後には、かなり美味しい食事ができたレストランで昼食。体があったまったと思ったのですが、まだ雨が降っている中、別の城2つの見学が待っていました。


ジャンヌ・ド・シャンタルの城

ジャンヌ・ド・シャンタル(Jeanne de Chantal 1572~1641年)は、28歳のときに夫Christophe de Rabutin de Chantalが狩猟の事故でなくなり、彼女は4人の子どもを連れて義理の父親の家に住むようになりました(1601年)。

その城が近くにあるので訪問しました。聖ジャンヌ・ド・シャンタル城(Château de Sainte Jeanne de Chantal)と呼ばれており、その家に住むご主人が私たちを迎えてくださいました。



ここに行けば通りから見えるので、眺めていたことはありました。でも敷地の中に入れてもらったのは初めて。

入り口の上にある彫刻が見事でした。サン・ミッシェルの首輪に飾られたラビュタン家の紋章です。




その義理の父親というのは性格が悪かった人のようで、ジャンヌ・ド・シャンタルはほとんど召使いのような生活をしたようなのですが、子どもたちの教育や、近所の貧しい人たちを助けることに専念したとのこと。

夫婦仲が良かったせいか、ジャンヌ・ド・シャンタルは再婚しないで済むことを願っていたそうです。この城で恵まれない生活をおくりながら、彼女は宗教の道を歩むようになったのかもしれません。

1604年、四旬節の説教をするためにディジョンに来たジュネーブ司教だったフランシスコ・サレジオ(François de Sales 1567–1622年)にジャンヌは出会います。ディジョンはジャンヌが生まれた町。
Jeanne de Chantal
Sainte Jeanne-Françoise Frémyot de Chantal
François de Sales
Saint François de Sales


この二人は、後に女子修道会の「聖母訪問会(Ordre de la Visitation)」を設立することになります(1610年)。

城の周りを歩いて、内部の見学は建物の横につくられたチャペルだけ。後世になって城の持ち主が作ったので、ジャンヌ・ド・シャンタルがここで祈りを捧げたということはない。文化財としての価値はないチャペルのようでした。




城の廃虚

もう1つ、雨の中で城の廃虚を見学しました。持ち主が公園のように整備して、説明パネルまで設置していましたが、なにしろ何も残っていない。


Château d'Alone-Toulongeon

城が始めに建てられたのは12世紀。17世紀までは改築をしたりしていたのですが、今は少し建物の一部が残っている程度。城があった土地は複数の所有者のものになっているので、城跡として全体の姿にすることができないのだとのこと。

堀のこちら側では、ガロ・ロマンの時代と思われる彫刻も出てくるのだそう。ユーモラスな顔の彫刻が気に入りました。




雨の中を歩き回ったので、やはり風邪をひいてしまった。防水加工のある冬のコートを着ていたので寒くはなかったのですが、足がビショビショになってしまったのです。車の中でソックスを3回変えたのですけれど、そんなくらいでは足りなかった...。




今年は本当に嫌な天気。

雨の中を歩き回って風邪をひいた日から、ずっと雨が降って寒い日が続いていました。ようやく風邪は治ったし、時々は日中に半袖でいられるような日もあるようになったのですが、今度は夏でもないのに雷がなって夕立のような雨が降ったりもします。

地域によっては、ひどい大雨と雹に見舞われていたようです。今日のニュースでは、ワイン産地のコニャックとシャブリが雹の被害を受けたと報道していました。


Les orages et la grêle détruisent les vignobles de Cognac et chablis - 28/5

お年寄りでも見たことがないような凄まじさだったのだそう。

我がブルゴーニュのシャブリでは、この2週間に雹が降ったのは2度目なのだそう。雹が雪のように積もってしまっている映像もありました:
☆ YouTube: Météo : la grêle a frappé l’Yonne pour la 2e fois en l’espace de 15 jours

今年のワインの出来は、地域によっては壊滅的なのかな?...

ブログ内リンク:
ビュッシー・ラビュタン城にある17世紀の風刺画 2013/06/01
聖フランシスコ・サレジオの子孫が住む城 2012/10/21
★ 目次: 城について書いた記事ピックアップ
★ 目次: 今年のミレジムは? (ブルゴーニュ・ワイン)

外部リンク:
La vie de Sainte Jeanne de Chantal
Jeanne de Chantal est née à Dijon
Sur les pas de François de Sales et Jeanne de Chantal
Monthelon(saône-et-loire) - Le Pays d'Art et d'Histoire du Mont Beuvray
Château d'Alone-Toulongeon  Patrimoine du Morvan
Des orages de grêle ont endommagé les vignobles de cognac et de chablis 27/05/2016


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