| Login |
2016/05/30
旅行の帰り道、レストランで昼食をとることにしました。でも、疲れているので食欲もない。それでご馳走を食べるようなレストランは避ける。ともかく寒い。レストランの中に大きな暖炉があって、そこでステーキを焼いた料理が食べたい、ということになりました。

そんなレストランは見つからない。でも、とても面白いところで食事することになりました。


明るい時代だったフランスの雰囲気を感じさせるレストラン

入ってみてびっくり。だだっ広いにも驚いたのですが、昔のフランスにはよくあったような、気取らないカフェ・レストランかビストロのような内装なのです。

お給仕の女性は何回も来ている人に応対するように愛想よく迎えてくれて、どこのテーブルでも座って良いと言いました。お客さんたちは常連さんばかりなのか、お給仕の人たちとの会話が和気あいあいとしていて、こういうアットホームな雰囲気のレストランはめったにないなと思いました。

ここでは美味しい料理を食べられるのではないかという予感。



少し離れたところに置いてあった黒板に書いてある料理を私が眺めに行ったら、そばの席にいた男性が、もう自分たちには必要ないからと言って、黒板を動かして私たちの席に持ってきてくれました。

レストランにいる人たちは、ひと昔前のフランスを演じているみたい。お給仕の人と冗談を飛ばしあっているし、入ってくる人たちはこちらが知り合いであるかのように笑顔で挨拶してくるのです。

ずいぶん前にパリに行ったとき、この感じのレストランに連れて行ってもらったことがあったのを思い出しました。今ではもうほとんどなくなっているスタイルなのだ、とパリ観光の1つとして案内してくれたのです。お給仕の人は、さすがプロという感じで気がきいたジョークを連発する。お客も負けずに冗談を返す、という陽気な雰囲気。伝統的なフランス料理があって、その時に私が食べたのは野ウサギの赤ワイン煮。でも、しばらくしたら、なくなってしまっていました。


ここのレストランは、1930年代スタイルと呼ばれる内装なのだそう。年配のフランス人には懐かしい雰囲気のようです。このテーブルが、以前にシャンソンを読み込んでみたときに出てきていたフォルミカと呼ばれる合板製。

椅子も、昔のカフェで使われていたというもの(こういうイスです)。昔の田舎のカフェでは、瓶にロウソクを入れて燃やし、その熱を利用して椅子の下側から貼り付け、村に新しく住むようになった人に座らせて、アッチッチと飛び上がらせる悪戯をやったのだと聞いていました。今の椅子では、そういう悪ふざけはできません!

今のフランスはデモやストが多くて、みんな文句ばかり言っている感じなのですが、高度成長期の時代には、みんな世の中は良くなると信じていて、陽気だったのだろうな...。


最近の傾向に合わせて、手作りと無農薬の食べ物を提供するというコンセプト

とった料理の一つは、ブルゴーニュの郷土料理のOeufs en meurette(ウッフ・アン・ムーレット)という前菜。赤ワインのポーチドエッグ。シンプルなのですが、作るのはちょっと難しいのです。



お給仕の人が、この日にある料理の説明をしてくれたとき、私たちはブルゴーニュの人だとは思わなかったらしくて、「ウッフ・アン・ムーレットというのは...」と説明しだしたので、友達が「知っている。自分も作るから」と言葉をさえぎってました。

私たちが食べ始めたときに通りかかったお給仕の人が「あなたがお作りになるのに比べて、美味しいですか?」と聞いてくる。友達は、自分が作るのに比べると... と間を持たせて、「こっちの方が美味しい♪」なんて答えていました。

温かいスープ代わりになって体が温まったせいか、いつも食べるのより遥かに美味しいと私も感じました。やはり冬の料理なのだろうな...。ブルゴーニュの郷土料理は冬向きの料理が多いです。


ところで、少し前のフランスでは、レストランができたものを仕入れて加熱するだけという所が増えたことが問題になっていたのですが、ここでは全て手作りの料理だというのを売り物にしているようでした。

それから、BIO(無農薬)の食品も、できる限り使っている様子。

安心して食べられて、美味しくて、しかもリーズナブルプライスだったら、お客さんは来るでしょうね。最近のフランスは不況なので、こんなに良い料理を出すのになぜ客が少ししか入っていないのだろう、と不思議になる店にたくさん出会います。でも、ここは人口が少ない田舎とはいえ、大盛況のようでした。


ちょっとした工夫

一緒に食事していた仲間が、トイレが面白いというので見学に行きました。

レストランを出たところは、昔は中庭だったのかな。井戸があって、そこにストックしている根野菜が入っていました。



黄色い矢印を入れたものが面白い。

バゲットを入れるための道具なのですが、こんなことが書いてあるのです。



メンドリちゃんのための固くなったパン...。


書きながらインターネットで調べたら、このレストランの建物は1650年に建てられたと書いてありました。

ここにあったレストランが数年前に閉店したとき、有志の仲間3人で始めたとのこと。なかなか積極的に活動しているようす。広い部屋を使ってコンサートや演劇の会場に使ったり、映画会や展示会を開いているそうです。地元の生産物の販売もしていました。人口1,500人くらいの村で、それだけ文化活動ができれば良いですね。



もう1つ、レストランの中で面白いものを見つけました。

グルメバッグというものが登場していた



グルメバッグをどうぞ、と書いてあるのです。



食べ残したものを持ち帰れるようにしてくれるらしい。

パリあたりでは、残り物をペットで飼っている犬のために持ち帰るというのを「ドギーバッグ(doggy bag)」と言って、やる人が出てきたいると聞いていたのですが、それをしている人をフランスで見たことがありませんでした。

フランスでは、残り物を持ち帰るのは卑しいと受け取られるらしくて、それをやるのはかなり抵抗があるのです。ドギーバッグをする人は、裕福層で、ちょっと気取っていて、「アメリカでは、これがファッションなのよ」と言えるような人でないとやらないのだろうな、と思っていました。

ドギーバッグは、本来は犬に食べさせるために持って帰るというもの。

でも、このグルメバッグ(Gourmet bag)は、美味しかったのだから、食べ残したものを家で食べきるというために持ち帰るもののようなのです。

フランス政府も最近は食べ物を無駄に捨てるのを止めようというキャンパーんをしていますので、そういう中でグルメバッグが登場したようです。

グルメバッグはドギーバッグのフランス版と言っていますけれど、命名はフランスの方が良いですね。

フランスでどのくらい定着するのかな? 

グルメバッグをやるのは庶民的なレストランだけなのでしょうか?

3つ星レストランでやってくれたら、私は喜んで行きますけどね。ひところは3つ星レストランに色々行きたいと思った時期がありましたが、かなり苦しい思いをして食べても半分以上残すことになるので、もう行かないことにしました。


農水省が入れているグルメバッグ普及のための動画のようです:


Gaspillage alimentaire : le gourmet bag

動画の最後の方にグルメバッグが出てくるのですが、こんな風に無造作に詰め込んだら、やはり「残飯」にしか見えないですよ~! 違う料理を詰め合わせるなら、仕切りがある容器を使わなきゃ。

フランス人は、日本人のように美しい盛り付けやパッケージができないのですよね。

日本の田舎で葬式などに行くと、食べ残しを持ち帰りにしてくれますが(手は付けずに持ち帰るためらしい弁当も並べてあったりもする)、家に帰って食べようとしても不味くて食べないことも多いですが、少なくとも見た目はきれいにできている。

子どもの頃、お寿司屋さんで食事した父親がお土産の折箱を持って帰宅する習慣があったのを思い出しました。

あれは残りものではなくて、店で注文して作らせていたのだろうと思いますが、寿司屋の包装紙で包んであって、見た目も良いし、寿司は格別に美味しいし、本当に嬉しいお土産でした。あの習慣は、日本でもほとんどなくなったみたいですね。

ブログ内リンク:
★ シリーズ記事目次: フランスの外食事情とホームメイド認証 2015/04/21
見た目がなんとも味気ない、フランスの使い捨て弁当箱 2013/08/21
★ レストランで飲み残したワインを持ち帰る: シャブリの町で昼食 2005/03/11
感動を与えてくれたルーマニア女性 2005/08/04 持ち帰り袋を作ってくれたウエートレス
★ 目次: フランスで食べる郷土料理、地方特産食品、外国料理
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
Les œufs en meurette de Bernard Loiseau
Gourmet bag, le doggy bag à la française
☆ Wikipedia: 残飯
Gaspillage au resto : le «Gourmet bag», un «doggy bag à la française» 26/05/ 2015
【気になる】サザエさんの波平さんでお馴染み!酔っぱらいのおみやげの正体!


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
にほんブログ村


カテゴリー: レストラン | Comment (2) | Top
この記事のURL | Rédiger
コメント
この記事へのコメント
フランスではまだ ドギーバッグは 普及してないのですか、、ちょっと 見栄もあるのですね〜
イギリスでも アフタヌーンティーを
2人分頼んだら  とても量があり
ふう〜と 友達といってたら
向こうから お持ち帰りにしましょうか、、と
言ってくれましたよ〜
地球規模で考えて このような風潮が
ひろまると いいですね〜

 aostaさんのところで 書いてらした
お花交換の場、、
日本でも広まるといいな、、
我が家の狭い庭でも けっこう なじんでくれて
増える植物が おおいのですよ〜
2016/05/30 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
Re:
v-22 katananke 05さんへ

ドギーバッグはイギリスでも普及していましたか。

フランス人には見栄もあるというのもありますが、やたらに人目を気にするというのもあると思います。フランスに住む日本人は、フランス人は個人主義だと受け取って影響を受けてしまうことが多いのですが、自分勝手というのとはかなり違うと思います。むしろ自分がしたいように振る舞えるのはアングロサクソン系で、フランスではイギリス人によく出会いますが、決定的にメンタリティーが違うと感じます。日本人はイギリス人は礼儀正しいと受け取っていますが、フランス人は「sans-gêne(遠慮がない)」人たちだと表現し、見ているとイギリス人は他人がどう思うかを無視したり、自分たちが一番正しいのだと威張っていると感じます。

『クレーヴの奥方』に始まるフランスの小説も、19世紀になっても、まだじっと恋愛感情を抑えている女性が登場します。当時のフランス女性は、気持ちのままに振る舞えるイギリス人女性が羨ましかったのだと聞いて、なるほどと思いました。感情を抑えるのは日本人の十八番と思っていたのですが、日本人とフランス人の気質は妙に似たところがあると感心することがあります。

>地球規模で考えて このような風潮が ひろまると いいですね〜

本当にそうですね。フランスで普及するためには、もっと日本の弁当文化を知ってパッケージを魅力的にしたら良いのにと思いますけど、そうするとパッケージ代が高くなってしまうので難しいかな...。

>お花交換の場、、 日本でも広まるといいな、、

これも広まることを願います。園芸店からは、売り上げが減ってしまうと圧力がかかるかな?...
2016/05/30 | URL | Otium  [ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する