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2016/06/03
友人が、こんな画像へのリンクをメールで送ってきました。



なあんだシラクの画像なんか送ってきて、見たくもないわ。
... と思ったら、これが去年あたりからフランスのツイッターで話題になっているらしいのでした。

シラク氏はパリ市長時代の汚職で、大統領の任期を終えてからもニュースで騒がれるなど、話題の多い人です。日本に大量の隠し金を持っていたと言われるのに、なぜか日本では全く報道されなかったのですが、Wikipediaでは記述が入りましたね:
☆ Wikipedia: ジャック・シラク ⇒ 疑惑


この画像をなぜフランス人が話題にしているのかと思ったら、これは日本で18世紀に作られた本物の能面なのでした。トゥールーズ市(Toulouse)のMusée Georges Labit(ジョルジュ・ラビ美術館)に展示されていて、この能面が余りにもシラク氏に似ているので入館者が増加したそうです。


実際のシラク氏からはそれほど連想させないでしょうが、この能面は人形で政治などを風刺するニュースで人気があるテレビ番組「Les Guignols(1990年から2015年までは「Les Guignols de l'info」)」に登場するシラク氏の人形に生き写しなのです。

Jacques Chirac, en septembre 2004.Guignols de l'info

「Les Guignols」は最近は風刺にパンチがなくなって全く面白くなくなったのですが、シラク氏が大統領の頃は優れた切り込み方をしているので毎日のように見ていました。

シラク氏が大統領選に出たときには、この番組でシラク氏には愛嬌があることを強調していて、そのために大統領に当選してしまったのではないかとさえ思ったほど。

シラク氏の人形が出ている番組を入れてみます。


La Sextape Des Guignols - Jacques Chirac et les banques



La Sextape des guignols - Chirac a t-il Alzheimer ?


こういうのを見ていたら、能面はシラク氏をモデルにしたように思ってしまうでしょう?


Quand un masque du XVIIIe siècle ressemble... à la marionnette de Jacques Chirac - 7 mars 2015 - L'Obs


並べてみると顎の張り方が違うのですが、全体としては特徴の捉え方が似すぎている!


Le masque d'un démon japonais, sosie de Jacques Chirac, cartonne sur la Toile



Un masque japonais du XVIIIe siècle ressemble à... par francetvinfo



フランス情報では日本の能で使われる「邪悪な悪魔の面」だと書かれていることが多いのですが、仏法に敵対する天狗の大将「大癋見(おおべしみ)」のようです。真一文字に結んだ口が大きくヘの字に「へしむ」様子から、癋見と名付けられたと言われるのだとのこと。
※ この能面は「大癋見」ではなくて、「武悪(ぶあく)」と呼ばれる面ではないか、というコメントをいただいたので、追記を書きました
 

この能面は、今年の6月21日から10月9日まではパリのMusée du quai Branly(ケ・ブランリ美術館)の特別展「Jacques Chirac ou le dialogue des cultures」で展示されることになっています。

この展示会では、もう1つの能面も展示されるそうですが、こちらは別の人を連想しますね。


Deux masques ressemblant à Chirac bientôt exposés au Quai Branly


このケ・ブランリ美術館の創設に尽力したジャック・シラク氏へのオマージュとして企画された開館10周年記念の展示会で、シラク氏に係わりがあるオブジェなどを通して彼の美術への関心を見せるのだそうで、150点の展示があるとのこと。もともと入館者の多いミュージアムですが、このお面のおかげで行く人も多いのではないでしょうか?

ポスターはシラク氏の顔にお面を重ねたものになっていたのですが、さすがに話題になっている能面は使っていないですね...。






追記(2016/06/13):

シラク氏にそっくりの面は、大癋見ではなくて、武悪?

この面は、「大癋見(おおべしみ)」の影響を受けた「武悪(ぶあく)」面ではないか、というご指摘をコメントでいただきました

「大癋見」は能で使う面で、「武悪」は狂言の面。両方とも鬼の面なのだけれど、「武悪」の方は、目尻の下がった大きな目、下唇をかみしめ、上歯を見せた口などを特徴とする、こっけいな相貌の面でした。

http://museum.city.fukuoka.jp/archives/leaflet/454/
たのしい狂言面入門| アーカイブズ | 福岡市博物館

ジョルジュ・ラビ美術館の学芸員が、能面のÔbeshimiだとしているという記事があったので「大癋見」と書いていたのですが、確かに、シラク氏に似た面は「武悪」の方に似ていますね。

美術館に教えてあげたくなったので念のために検索したら、能の幕間で演じられるBuakuの面だと書いているフランス語のニュースの記載もありました。

武悪はニタリとしたように歯を見せている口もと。シラク氏そっくりの面は、ここに入れた小さな画像では口が開いていないようにも見えてしまうのですが、よく見ると口を開いています。

口を閉じている武悪面もあって、それは「小武悪(こぶあく)」と呼ぶようです。「大癋見をおどけさせると、小武悪の表情になる」という説明もありました。でも、小武悪は子ども用の面で、普通の武悪より小型なのだそう。ちなみに、話題になっているシラク氏にそっくりの面は、20センチの大きさでした。

それに、口を閉じている「小武悪」の面は、シラク氏には全く似てこなくなってしまう!



面は誰かに似るもの?

シラク氏のマリオネットにそっくりの面があるジョルジュ・ラビ美術館は、東洋やエジプトの美術をコレクションしています。ここには、他にもフランスの有名人にそっくりのオブジェがあると話題になっていました。

下は、フランスとモロッコの国籍を持つコメディアンMohamed Benyamna(Booder)にそっくりと話題になった面。これも、やたらに雰囲気が似ていますね。


Musée Georges-Labitさんのツイート


下は、歌手のセルジュ・ゲンスブール(Serge Gainsbourg)にそっくりだと言われた仏陀の石像。


Ça nous rappelle quelqu'un - Le Parisien

何処の国の彫刻なのか分かりませんでしたが、この彫刻を見て私は仏陀を連想しないですけど...。




外部リンク:
Ce drôle de sosie de Jacques Chirac 12/03/2015
フランスのシラク元大統領が国民からいじられまくり!日本との意外な関係とは 2016/01/21
Le masque japonais sosie de Chirac arrive au musée du quai Branly ! 01/06/2016
☆ MMM: ジョルジュ・ラビ美術館
能面一覧表
☆ 工房柿其: 能面
☆ 東京国立博物館: 狂言の面と装束
不悪buaku
☆ 狂言の大和座: 面 武悪
EUジャパンフェスト日本委員会: “狂言” 最高の演目『武悪』がヨーロッパの観客の心を掴む


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コメント
この記事へのコメント
悪人 面 ♪
三白眼 で
瞼が垂れ下がる、、

この国にも、、、
A B C

ア~ベ~シ~では ありません
念のため ♪
2016/06/03 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 悪人 面 ♪
v-22 たかゆきさんへ

いつも日本語を教えていただいております(感謝)。この度も「三白眼」とは何ぞやと調べ、さらに私の目は何なのかと鏡を覗いたらビックリ。黒目ばかりなのでした。仰天モードで最大限に目を見開いても、黒目の下に白目の部分を作ることができませんでした。白目と黒目の黄金比率は1:2:1とあったのですが、私の場合は1:3:1かな...。この年になって自分の奇形を発見したわけですが、頭の後ろの方から「だから、鏡なんか見るもんじゃないんだ!」と叱られました。

でも、三白眼が悪人と言っていただけたので、まぁ、いいか... と思うことにします。

>この国にも、、、 A B C

シラク氏は高齢でボケているということで有罪判決は下りませんでした(2番目に入れた動画は、その風刺です)。大統領の任期中は裁判所への出廷をさせられないという変な法律があるのですが、2期も務めたのでその間に対策を講じたらしい。その次の大統領(顔は似てないけどABCのそっくりさん)も数十件の容疑で裁判にかけられていますが、次回の大統領選挙には出馬しようとしている感じ。世界中が腐っている...。
2016/06/03 | URL | Otium  [ 編集 ]
猿 ♪
>その次の大統領

Nicolas Paul Stéphane Sarközy de Nagy-Bocsa
かな??
お猿さんにしては 随分と大層な お名前
サルの略歴を調べました。。。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニコラ・サルコジ

ABCと そっくり!!

コンプレックスとルサンチマンの塊が
権力を握ると 国家がどのような惨状を呈するかは
洋の東西を 問わないのだ ♪

>黒目の下に白目の部分を作ることができませんでした。

ちなみに ぼくは 全白眼(ぼくの 造語です)
黒目の周囲全てが 白眼
しかも黒目の外周部分が グレイなので
これも 笑えます♫

2016/06/08 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 猿 ♪
v-22  たかゆきさんへ

>ABCと そっくり!!

Wikipedia日本語情報は詳しいことを書いていないのですが、それでも「そっくり」と見破られましたか。どなたか、こういう分野に詳しい方が分析してくれないかなと思っております。薄気味悪いほど類似点があるし、どちらが「大物」かと採点したら面白いと思うのですけど。

些細な類似点もあります。例えば、ABCの奥様は夫に批判的だと反対派も好意的な報道をしているのですが、猿孤児Cの方も、妻は社会党支持者となっていました。猿孤児Cの容疑にはカダフィー大佐から膨大な選挙資金を得ていたというのがありますが(打倒するとなったら先頭に立ったのは、白状されたら困るという思惑だったとしか思えません)、ABCも、なんだか知らないけれど、発展途上国にお金をばらまくのがお好きなのですよね...。

>コンプレックスとルサンチマンの塊が 権力を握ると 国家がどのような惨状を呈するかは 洋の東西を 問わないのだ ♪

私はコンプレックスがそうさせると思っていたのですが、ルサンチマンをプラスすると、さらに見えてきますね~。

猿孤児Cが大統領になって一番始めしたのはマスコミ操作で、大手メディアのトップを挿げ替えて、気に入らない記者はクビにするということでしたが、フランスの記者にはプライドがあって、そう簡単にはなびかない。でも、気に入らない記者には「お前のことは忘れないぞ」というドスのきいた捨て台詞を言い、本当に「忘れない」怖さがあったそうです。

猿孤児Cはマスコミ操作を成功できなかったのですが、次期の大統領選には出馬しそうな報道が多くなってきたので、長期戦では効果があったのか... とも思えてきているこの頃です。


>ぼくは 全白眼

あれから気になったものの、人間の目をマジマジと観察することはできないので、猫たちの目を眺めました。彼らにも白目と黒目の比率の違いがあって、全白眼と呼べる目を見て「すごいな~♪」と感心しておりました!
2016/06/08 | URL | Otium  [ 編集 ]
たしかに三白眼は 日本では
「いい性格の人の眼」とは 言われませんね〜
それにしても この古い能面は  シラクさんに
そっくり、、です〜
子供のときに 受験勉強で個人教授を受けてた先生のお宅に 鴨居に能面がずらりで
こわかったわ〜
ふるそうだったけど 今見れば 皆価値ある物
だったのでしょう〜

わたしの 「録画」ブログの
食べ物のコマーシャルについて
Otium sanの いぜんとられた アンケートのところ 拝見〜
日本でもNHKで 不定期にはいる
「キッチンが行く」という番組、、おもしろいですよ〜
その時々で 中華やフレンチ 日本料理等の
有名ジェフが 地方にキッチンカーで出掛け
畑等や海ではたらいているひとの現場から
そのとちならではの
食材を調達し  キッチンカーのなかで
料理をつくりあげ  食材を提供してくれた
方々を招き その地で 料理を食してもらう〜
というものです、、
もちろん 料理人は 同席して
感想をきくだけで 食べる事はなく
漁師の方や農家の方も 自分の生産しているものが 想像外の素晴らしい料理に 化けているのを驚き
 「眼からうろこ」と 新たな食材の生かし方に 感動している、、というもの

もひとつは やはりNHK の 「あさいち」にはいる
(何曜日かは おぼえてない)
中華、和食 イタリアンの シェフが
一つの食材を 自分の分野で生かす、、というので これは短時間でやってみせ
3人のシェフが おたがい食べあって
自分の料理にも 生かしてみよう、、などと
感想をいうもの、、

Otiumさんの リポーターが登場せずに
声のみで その土地の 美味しいお店や
裏とおりなど めぐるアノ番組もすきです〜
タイトル 出てこないワン〜  (* *)
2016/06/09 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
Re:
v-22 katananke 05さんへ

>たしかに三白眼は 日本では 「いい性格の人の眼」とは 言われませんね〜

でも、三白眼美人の写真を並べたページもあったのです:
http://matome.naver.jp/odai/2139021811164527401

日本の三白眼美人は、ちょっと怖い顔になるところに魅力が出ている感じなのですが、白人の方はそういう感じがない。オードリー・ヘップバーンの目は可愛いのですが、これは典型的な三白眼なのでした。とすると、ひょっとして欧米では三白眼に悪いイメージを与えていないのではないか? でも、三白眼に対応する単語は英語でもフランス語でも存在しないらしくて、「Sanpaku」という単語を使っていました。

三白眼というのは中国の人相学から来ているのかな。東洋系の人の目でないと分類しても特徴が出ないのかもしれない。

でも、当てはまる感じもしますね。三白眼といえば、サルコジ大統領が典型的にそうだと思いました:
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14129818834

>鴨居に能面がずらりで こわかったわ〜

高千穂に行ったとき、神社で近郊の人たちが演じる神楽を見ることができるので、毎晩通っていたのですが、古いお面の美しさに惚れぼれとしました。でも、ああいうのを家の中にたくさん飾っておいたら怖いですね…。フランスでは彫像を家に飾っている人も多いですが、あれも私は怖いので嫌いです。

>アンケートのところ 拝見〜
⇒ ありがとうございます。


>「キッチンが行く」という番組、、おもしろいですよ〜

テレビは余り見ないので、この番組も数えるほどしか見ていないはずですが、これは食材を作っている人たちも出てきて、まともにやっている番組だと思いました。ブログで書いたときには、この番組のことを知らなかった時期だったはず。調べてみたら、この番組は今年の2月でレギュラー放送は終了とか。残念ですね。

>もひとつは やはりNHK の 「あさいち」にはいる

これは知らなかったです。「夢の3シェフNEO」のことだろうと思いますので、今度見てみます。
2016/06/09 | URL | Otium  [ 編集 ]
ブログ本文、コメントのやりとり、楽しく拝見させていただきました。
これもたまたま偶然なのですが、最近友人と能舞台について話が盛り上がっていたところでした。能舞台の構造は「この世ならぬ場所」と「現世」を結ぶもの、ひいては子宮から産道を経てこの世に生まれてくる命の道行きそのものではないか、などなど、ずいぶん盛り上がったばかりか、ちゃっかり能を特集した芸術新潮まで頂いてまいりました。

シラク氏とそっくりな面は狂言で使われる「武悪」面ではないでしょうか。
Otiumさんが指摘していらっしゃいますように「大癋見」の影響が見られる面です。
全くの悪人というより、小心者の小悪人といった役どころが多いとか。
良く見れば三白眼の下がり目も、怖いというより情けない表情に見えてきます。

「大癋見」の面については、こちらhttp://www.tamagawa.ac.jp/museum/archive/2007/189.html

こんなサイトもありました。武悪と大癋見の表情の違いがわかります。、
http://www.osk.janis.or.jp/~koubou_kakizore/sak_1.html

武悪についてもっと詳しく知りたくなりました。
この顔の造作は日本人離れしているように思えます。
異国人をして「鬼」といっていた近世日本を考えても、この面のモデルは渡来人だったのではないかと、妄想が膨らんでいます。かつてはシルクロードを経た豊かな西方文化が日本にも及んでいたことを考えますと、あながち妄想ではないかもしれません(;^ω^)
2016/06/12 | URL | aosta  [ 編集 ]
Re:
v-22 aostaさんへ

>最近友人と能舞台について話が盛り上がっていたところでした。
⇒ 能舞台の構造は考察すると面白そうですね。

>シラク氏とそっくりな面は狂言で使われる「武悪」面ではないでしょうか。

この面を所有しているジョルジュ・ラビ美術館の学芸員が、能面のÔbeshimiだとしているという記事があったので「大癋見」と書いていたのですが、「武悪」を調べてみると、こちらの方に見えてきました。それで、本文の方に追記を入れました。

>異国人をして「鬼」といっていた近世日本を考えても、この面のモデルは渡来人だったのではないかと、妄想が膨らんでいます。

いつぞや、諏訪大社のことでコメントのやり取りしたとき、天狗が日本に渡ってきたユダヤ人という主張も出てきましたね。鬼も異国人がモデルかもしれない。でも、追記で入れたフランス人たちが言う「そっくりさん」を眺めてみると、能面というのは普遍的な人間の顔を作るので、人種を超えてしまうのかも知れないとも思えました。

シラク氏に似た面をフランス人はデーモンと表現しているのですが、鬼と、キリスト教世界のデーモンやサタンとの違いも興味深いですね。鬼は時には愛嬌のある悪者にもなりますが、悪魔は漫画でもないと愛嬌があるキャラクターにはならないのではないかな?… でも、鬼が異国人とだとした場合、鬼は忌み嫌うばかりではない、というところに日本人のおおらかさが現れているようにも思える。
2016/06/13 | URL | Otium  [ 編集 ]
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