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2016/07/24
宗教建築物の小さな郷土遺産を探すという計画があって、友人たちと道端などにある十字架をリストアップすることになりました。広い範囲でするときりがないので、テーマを持たせた道筋の100キロくらいの距離に限定。

カルヴェールとクロワ

北仏のブルターニュ地方には、calvaire(カルヴェール)と呼ばれる、驚くほど見事な十字架があります。キリストの十字架像を中心とした群像。主に教会の敷地にあるのですが、どうしてこんなに立派なものを作ったのかと思ってしまう。

ブルターニュ地方にある立派なカルヴェールの中で、最も古い建築だと言われるのは、こちら ↓


Calvaire et chapelle de Tronoën (Finistère)

チャペルと呼ばれる小さな教会に、立派なカルヴェールが付属しています。建築されたのは15世紀半ばとのこと。ブルターニュ地方は花崗岩の石材で雨風にも負けずに残るので屋外建築物を造るのに適しているのでしょうが、この地方のケルト文化が影響しているのかもしれません。

我がブルゴーニュ地方には、こんなに立派なカルヴェールはありません。道端や墓地などに普通にあるのは、croix(クロワ)と呼ばれる十字架です。

でも、探してみたら、素朴だけれど美しいものもあったのでした。


4本の菩提樹に囲まれた十字架

パリからやって来る友人たちのためにピクニックの昼食を用意して、私たち先発隊はピクニックの場所を探しました。

ここしかないと決めたのは、十字架が立っている木陰にあったピクニック用のテーブルとイスがある場所。



十字架そのものはシンプルで美しいわけではないのですが、菩提樹に4方を囲まれているのが気に入りました。昔に十字架を立てるときには、こうやって木で囲ったそうなのですが、今では4本とも残っているのは少ないのです。

教会はエルサレムの方向、つまり東側に祭壇を設置するという原則があります。十字架も何か決まりがあるのかと思って、方向を調べてみました。でも、この日いくつもの十字架で測定したところ、方向の法則などはないように思いました。



この写真で見えるでしょう? 十字架の台座がずれてしまっているのです。日本だったら地震かと思うところですが、ここでそういうことがあったはずはないのですよね...。

それにしても危なっかしい。こんな石材が倒れたら危険ではないですか?


修道院の十字架

見事な彫刻だと思ったのは、やはり立派な修道院の中に立っていた十字架でした。



12世紀初頭に建てられた修道院の入り口の広場にあります。この十字架が巡礼者を迎えていたのでしょうか。

でも、痛みが激しくて彫刻が良く見えない...。キリストは片足を失ってしまっています。よくあるタイプで、この十字架も裏側にはマリア像が彫られていましたが、これもよく見えない。

世界遺産に登録されている修道院なのだから修復して欲しいな...。そうしたら、さぞかし美しい姿が現れるだろうと思うのですけれど。


棺を置く台がある十字架

墓地の中にあった十字架です。



たまに見かけるのですが、墓地に埋める前に棺を置く台があります。ベンチではありません!

tables des morts(死者のテーブル)、pierre des mort(死者の石)などと呼ばれます。十字架なしに大きな石が地面に置いていたり、教会の壁の横にベンチのようなものがあったら、それが棺を置く台だとは分からないですね。

こういう台を使う風習は19世紀に消えたのだそう。

十字架の前に新しそうな石碑があるのが気になったのですが、書かれている文字を読むと、この教会の司祭さんの墓碑でした。こんな良い場所に建てられたということは、村人たちから好かれていた司祭さんなのだろうと思いました。


牧場に立っていた十字架

十字架は道の交差点などに立っていることが多いのですが、どうしてここに? というのもありました。誰も通りかかりそうもない牧場の前。



しかも、彫刻が見事です。このくらいになるとカルヴェールと呼ぶ人もいました。16世紀の建造物なのだそう。



キリストの両脇に聖人の像があります。始めはキリストの像だけあって、後でどこかにあった2つの彫像を添えたのではないかなという気もしました。台座のようなものが見えるので。

キリストの上には「INRI」の文字が刻まれていました。

Iesus Nazarenus Rex Iudaeorumの略で、「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」という意味。

イエスが十字架に架けられた時、ヘブライ語、ギリシア語、ラテン語での三つで罪状書きが併記されていた。このうちラテン語表記が「Iesvs Nazarenvs Rex Ieudaeorvm」で、その頭文字を示したものが「INRI」。


個人が立てた十字架



こちらは19世紀後半という新しい十字架。

台座のところに亡くなった女性の名前があり、彼女にために祈って欲しいと書いてありました。つまり、墓地にあるような十字架。ここに持ってきたのか、家の前に建てたかったのか?...


井戸の十字架

十字架は道端や墓地で見かけることが多いのですが、これは面白い場所に立っていました。



後ろの建物は井戸なのです。村の大切な井戸。それで感謝の意味で、あるいは水が途絶えないようにという祈りから十字架を立てたのかな?...


大きな手のマリア様

こちらは村の中心にある泉のところにあった十字架。



6体の彫刻があります。キリストと聖母マリアは分かる。1人はSainte Anne(マリアの母のアンナ)なのだそう。

石が侵食されていないので、そんなに古くはないのでしょうね。でも、幼子キリストを抱いたマリア様をよく見ると...



手が大きすぎるではないですか?!


この日眺めた十字架の中で、最も気に入ったのは古い橋のたもとにあった十字架でした。マリア様が素晴らしい。それについては、次回に写真をお見せします。

続き:
古い橋のたもとにあった十字架の彫刻

ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
☆ Wikipédia: Calvaire (édifice)
カルヴェール ブルターニュ地方の石造美術


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コメント
この記事へのコメント
十字架 ♪
さまざまな 十字架があるんですね。。。

>テーマを持たせた道筋の100キロくらいの距離に限定。

100キロですか、、かなりの距離ですね
ぼくなら 10キロで 音を上げそうです。

十字、、
仏教では 卍かな
弘前市の市章ですけど
http://blogs.yahoo.co.jp/sadisticyuki10/7819418.html

ナチスのハーケンクロイツと勘違いなさる方が
いらっしゃるとか、、、 ため息がでます。
2016/07/25 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 十字架 ♪
v-22 たかゆきさんへ

>ぼくなら 10キロで 音を上げそうです。

いやぁ~、歩いたわけではないですよ~。走行距離が1日500キロで長いな~と思う。1,000キロだと本当にキツイ、という目安でいます。でも、今までの経験で最もウンザリしたのは、東名高速道路の渋滞を味わったときでした。乗せてもらった車に冷房がなかったので最悪。こんなことなら電車にすればよかった、と後悔しました。

>十字、、 仏教では 卍かな 弘前市の市章ですけど

弘前市の市章は知りませんでした。こんなにアチコチにあると圧巻ですね。誰か外国人がブログで、弘前とナチスは関係が深かったのかなどと書いていたら面白いと思って探してみたのですが、出てきませんでした。英語のフォーラムでは、日本で見かける卍が何かという質問者がいて、あれはSwastikaだと教えている人がいました。知っている人は知っているのだ。

弘前の市章は津軽氏の旗印でしたか。卍が家紋だと、もっと迫力がありそう。黒い羽織に白い卍が抜き出ている。外国人向けの店で古着を売ったら高く売れるだろうな。もっとも、帰国したら税関で没収されてしまう恐れがある。ドイツやフランスではナチスグッズが禁止になっているのですが、逆さま模様だって引っかかりそうですもん。

東京オリンピックで使う外国人向け地図にある寺院のマークを、誤解を招かないように三重の塔の絵にする案があったのが不採用になったとか。どっちでも良いと思います。キリストの教会の祭壇に掲げられている大きなイエスの磔だって、意味が分からない人が見たら、なんと残酷な宗教なんだ、と思うでしょうから。
2016/07/25 | URL | Otium  [ 編集 ]
赤十字 ♪
イスラームの方は
赤新月とか さまざまですよね。。。
https://ja.wikipedia.org/wiki/赤十字社
http://www.venus.dti.ne.jp/~orthias/lifestyle_park/red_cross/emblem.htm

>ドイツやフランスではナチスグッズが禁止になっているのですが、逆さま模様だって引っかかりそうですもん。

たしかに 引っ掛かりそうです。。。
そこまで ヒステリックにならなくても、、と
思うんですけどね、、
ナチス憎けりゃ 卍まで 憎いってことでしょう。

無知ほど 恐いものは ないのだ ♪
2016/07/26 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 赤十字 ♪
v-22 たかゆきさんへ

>赤新月

赤い新月といえばトルコを思い浮かべるのですが、これを申請したのはトルコでしたか。

赤十字のお金の使い方についての疑惑が色々とニュースになりますが、日本では殆ど報道されないせいか全面的な信頼を得ている感じがします。上層部が膨大な金額を着服しているというスキャンダルで大騒ぎされた年の暮れに日本の家にいたら、出すのが当然という顔で赤十字の募金を集めに町内会の人が来たので驚きました。

>そこまで ヒステリックにならなくても、、と 思うんですけどね、、

世界的に崇拝している人たちがかなりいるからではないでしょうかね? 禁止するとかえって逆効果、というのもあるのだろうとも思いますけど。

日本ではヒトラーを悪者に仕立て上げることは余りなくて、肯定的に受け取っている人も多いのではないか、という気がします。戦争ばかりしていたナポレオンも、日本人が英雄として扱う必要はないと思うのだけれど悪くは言わない。日本人は独裁者が好きなのかな?…

出版禁止になっていた『Mein Kampf(我が闘争)』が70年の著作権が切れたので各国で再発行できるようになったと、今年の始めにフランスで大きなニュースになったのですが、日本ではずっと禁止なんかされていなかったのですよね。
http://lite-ra.com/2014/07/post-259.html

東京オリンピックを控えた日本ではイスラム過激派が入国してテロをするのを心配していますが、日本では過激思想を持つ人たちの活動が活発化しているので、そのうち日本人が日本国内で反対派を虐殺するテロをやるのではないかという気がしてきています。外国に足を突っ込んでいる日本人も「反日」とされて問答無用で攻撃されるようになっているので、私も標的にされるのだろうな…。
2016/07/26 | URL | Otium  [ 編集 ]
募金
>赤十字のお金の使い方についての疑惑が色々とニュースになりますが、

そうですよね、、、
ぼくは 赤い羽根募金に一度も
応じたことはありませんし
町内会費の使い方にも 疑問をもってますので
町内会にも入会しておりません。

真偽のほどは 存じませんが
ユニセフも こんな感じのようですし
募金で豪邸に住めたら 最高なのだ♪
http://matome.naver.jp/odai/2138439784053986001

それぞれ モノによると思いますけど  カルヴェールとか
地域の皆さんが 募金を募って建設したのかしら
それとも 教会に搾取されて 建設させられたの
かしら。。。

ちなみに 日本の墓石は 高いですね
見栄っ張りな 日本人の足下を
見透かされて いると 思うのだ♪

>外国に足を突っ込んでいる日本人も「反日」とされて問答無用で攻撃されるようになっているので、私も標的にされるのだろうな…。

フランスで暮らされてるOtium さんの場合は 
親米 親日 の 
十字軍の一員として
攻撃の対象にされる危険のほうが
多いのでは ないかしら。
2016/07/26 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
Re: 募金
v-22 たかゆきさんへ

ユニセフについてのリンクを眺めました。紛らわしい日本の組織ですか。こういう組織では、役員の報酬というのは大したことはないと思うのです。フランスのスキャンダルでよく問題にされているのは、役員たちが膨大な金額の個人的な支出を払わせているという点です。辞任に追い込まれた舛添さんか、それ以上のレベルのやり方。報酬をもらったら税金を払わなければならないのでから、贅沢な生活費を全て払ってもらった方がメリットは大きいわけです。

日本では内部告発が少ないですね。フランスでは広告費ゼロの新聞がやります。それでも、逃げ道はあるのだろうな。癌を直すための研究費に対する寄付を集めていて信頼されていた慈善団体のスキャンダルは大問題になったのですが、不正が発覚したあとに組織名を変えて続けているみたい。スポーツ関係の組織でも、不正なお金の運用がスキャンダルにされていますが、何となく忘れられていくのでしょうね。

>それぞれ モノによると思いますけど  カルヴェールとか 地域の皆さんが 募金を募って建設したのかしら それとも 教会に搾取されて 建設させられたの かしら。。。

ブルゴーニュにあるような素朴な十字架は、個人が何かの記念にたてたとか、ここに十字架が欲しいと村の人たちがたてたとかが多いのだろうと思います。ブルターニュの大きなカルヴェールは、教会の建築と同じように考えて作ったのではないかな。でも、私には分かりません。

昔は信仰心が強かったわけですから、教会の搾取という風には考えなかったはず。それでも、ローマのサン・ピエトロ大聖堂を初めて訪れたときには、宗教改革が起こったのも理解できるな… と感慨にふけりました。

>日本の墓石は 高いですね 見栄っ張りな 日本人の足下を 見透かされて いると 思うのだ♪

日本の場合、墓石だけではなくて、葬儀と墓地は完全なビジネスになっている。何とかして欲しいですけど…。フランス人も葬儀にはお金がかかると言うのですが、日本とは比較にならないほど安いと思います。最近立ち寄った教会が葬儀ミサの値段を掲示していたので、それをブログにメモしておきたいと思っていたところです。

>十字軍の一員として 攻撃の対象にされる危険のほうが 多いのでは ないかしら。

日本がそうなったのだから、これは仕方ないと受け止めます。日本人から「お前なんか日本人じゃない」と言われる方が辛いですよ~! ブログでは政治的なことは書かないように気をつけているのですが、ちょっとでもお気に召さないことを口走ってしまうと、必ず(!)そういうコメントが入ります。
2016/07/27 | URL | Otium  [ 編集 ]
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