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2016/07/27
前回の日記「道端にある十字架を探す」の続きです。

ブルゴーニュ地方に残る十字架を探しているのですが、私が最も気に入ったのは橋のたもとにあった十字架でした。



石を積んでつくった古い橋。欄干もなくて細いので危なっかしいのですが、渡れました。すぐ近くに近代的な大きな橋が出来ています。

「ローマ人の橋」と呼ばれるのですが、そんなに古い時代に作られたわけではないそうです。せいぜい16世紀か18世紀の建築と見られています。

十字架の彫刻はかなり良い保存状態でした。



こういう風に彫刻がある十字架は2面のつくりになっていることが多いです。

磔にされているキリスト、そして反対側には聖母マリア。




右手にブドウの房を持っている

冠を被った聖母マリアが美しいと思いました。



右手に持っているのはブドウの房だと言われています。

ブルゴーニュ地方では、ブドウやエスカルゴのモチーフが教会の彫刻に施されているのはよく見かけます。

従って、聖母マリアがブドウを持っているというのもあるわけです。ブルゴーニュはワインの産地なので、そうするのが好きなのだろうと思っていました。

下は、ブルゴーニュワイン・ビジネスの中心地であるボーヌの市章です。

Blason de Beaune


ボーヌ市には第二次世界大戦期にドイツの占領下にあった町を開放した人々をたたえる聖母マリアの大きな銅像があります。


Une messe à la Montagne de Beaune avec la Vierge Marie

第二次世界大戦で国土の半分がドイツに占領されたフランス。解放されたことを聖母マリアに感謝する銅像を立てたところが数カ所はあり、「Vierge de la Libération(国土解放の聖母マリア)」と呼ばれています。

Wikipediaに入っている画像を見たら、こういう銅像の聖母マリアにブドウを持たせるということではなかったようです。ボーヌの記念碑が立派なブドウの枝を持っているというのは、ここがワインの産地だったからではないでしょうか?


下は、同じくブルゴーニュ地方のコート・ドール県にあるオーソンヌ町のノートルダム教会(Église Notre-Dame)にある美しい聖母マリア像。15世紀の作品で、右手にブドウの房を持っています。

 

ブドウを持った聖母マリアは「Vierge au raisin」と呼ばれていました。それが分かれば画像検索できます


La Vierge aux raisins, Pierre Mignard (パリ ルーブル美術館)


気にしたことがなかったのですが、聖母マリアの親子の図にブドウが登場している場面はかなりあるのですね。イエスがブドウを持っている場合もありました。

ブルゴーニュでは、ブドウを持っていない聖母マリアの銅像に、ブドウ収穫の時期には本物のブドウを持たせてしまう風習がある村もあります。これはブログで書いていました。


9月はブドウ収穫の月! 2006/09/09

でも、聖母子像にブドウがあるのは、ワインの地だからというわけでもないようなのでした。ブドウは生命と復活のシンボル、聖体のシンボルという説明がありました。考えてみれば、ミサでは司祭さんがワインを飲むし、ワインとキリスト教は切っても切れない関係にあるわけなのですね。

日本語情報では、ブドウは受難の象徴とありました。そう書いてあっただけなので、なぜなのかは分からなかった...。


左手には棒を持っている?

仲間たちと十字架を探したわけですが、私は写真撮影とその整理などの役割。十字架の歴史を調べたりするのは別の人たちがするのですが、見ていると気になってしまう。

聖母マリアは幼子を抱いている場合が多いのに、橋のたもとにあった十字架の女性像は赤ちゃんを抱いていないのです。これは聖母マリアなのだろうか?

左手には棒のようなものを持っているように見えます。



逆の側から撮影した写真でも、長い年月がたつうちに赤ちゃんの部分がなくなってしまったようには見えません。指の形も棒を持つ感じです。



としたら、持っている棒のようなものは何なのでしょう?


棒を持っている女性の聖人の画像を探したら、マグダラのマリアの像も出てきました。

左に入れるのは、先ほどのオーソンヌ町のノートルダム教会にある彫像で、マグダラのマリアであろうと書いてありました。右に同じ構図のマグダラのマリアのイコンを並べてみます。


Notre-Dame d'Auxonne
Maria Magdalene icon


両方とも壺を持っていますが、この壺がポイントで、イエスの遺体に塗るために香油を持って墓を訪れたという聖書の記述に由来しているのだそう。


聖母マリアが持つ王杖

マリア像の画像検索してみると、棒を持っているものもかなり出てきたのでした。この棒には何か意味があって、名前もあるのではないか?

ようやく、この棒のようなものが何であるかを説明しているサイトにぶつかりました。マリア像から無くなって右手だけになっていたところに棒を再び持たせる修復をした教会のページです。


Un sceptre pour Notre Dame

これはフランス語では「sceptre(王杖)」と呼ぶのでした。

もともとは、羊飼いが羊たちに対して権力を見せるために持っていた棒。時代を経て、国王の権力のシンボルとなった。そしてマリアもイエスの母親として女王という意味で持たせるアトリビュートとされる。

ところで、マリアが持つ王杖の先には、ユリの花、フランス王家のシンボルとなっている百合の花(Fleur de lys)、アヤメの実などの形が付いているものもありました。

アヤメの実というのが不思議なのですが、こういう形です。
Vierge.cathedrale.Paris


ユリの花とアヤメの花というのが気になったのは、以前にブログで書いたりもしているほど気になっていたからです。


フランス王家の紋章はユリの花 2012/06/11

ともかく、アヤメの花が付いた王杖を持ったマリアの杖の持ち方は、橋のたもとの彫刻と同じ。つまり、下から支えているだけなのです。

マリアが持つ杖がフランスでは王位を示す杖なのに、日本語では「錫杖(しゃくじょう)」と呼んでいるようです。仏像の持ち物に似ているからでしょう。

棒を持ったマリアの画像を探していたら、埼玉県幸手市にあるマリア地蔵が出てきました。隠れキリシタンの信仰の対象だったとみられているとのこと。なんだか不思議なお地蔵さん。


それに、みんな赤ちゃんを抱いているのに、あの橋のたもとの十字架ではなぜ赤ちゃんがいなかったのか気になる...。でも、十字架の裏面にあったのだから、やはり聖母マリア像だと思うことにします。

ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化
赤ちゃんは、どちら側に抱くのが自然? 2010/06/24

外部リンク:
Vierge à la grappe
☆ Wikipédia: Sceptre
☆ Wikisource: Dictionnaire raisonné de l’architecture française du XIe au XVIe siècle-Vierge (sainte)
Iconographie de la Vierge
Représentation artistique de la Vierge Marie
☆ Wikipedia: マリア像


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コメント
この記事へのコメント
>ブルゴーニュ地方に残る十字架を探しているのですが、私が最も気に入ったのは橋のたもとにあった十字架でした。

転ぶなよ! と 声を掛けたくなるのだ♪

地震のない地域だから これで OKなんでしょうが
日本なら 間違いなく 撤去か 修復ですね。

>埼玉県幸手市にあるマリア地蔵が出てきました。

カソリックの方々が どうして あんなに
マリア様に執着するのか 疑問でしたけれど
ぼくが お地蔵さんに抱く感覚と 
同じようなものだとすると、、
なんとなく 理解できます。
2016/07/28 | URL | たかゆき  [ 編集 ]
石橋のたもとのマリア様
素朴でうつくしい 石像ですね〜
もっと 近代にえがかれているマリア様は
もうちょっと足がながい スタイルが良い方
ですが わたしは こちらが好ましいです〜

あちこちにある キリストとマリアの
石柱は 日本で言えば
古い道筋にある お地蔵様や
馬頭観音、、これは 旅先で死んだ 馬を
まつった、、といわれていますが、、
のような物と とらえていいのかしらん、、
旅人の安全と  村の平和と 人々の暮らしを
お守り下さいという 祈りをこめて
建てたものと 思います〜
私の回りにも 古い道ばたの馬頭観音を
写真に撮って回っている方がいますよ〜

絵画でのってる葡萄を持ったマリア様は
「葡萄をもつマリア〕という日本題だったでしょうか、、それとも「青衣のマリア」だったかな?
2016/07/28 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
Re:
v-22 たかゆきさんへ

この十字架も少し傾いていますよね。

>カソリックの方々が どうして あんなに マリア様に執着するのか 疑問でしたけれど ぼくが お地蔵さんに抱く感覚と 同じようなものだとすると、、 なんとなく 理解できます。

私もそんな気がします。そして、カトリックの国ではママの権威が強い!
2016/07/28 | URL | Otium  [ 編集 ]
Re:
v-22 katananke 05さんへ

>あちこちにある キリストとマリアの 石柱は 日本で言えば 古い道筋にある お地蔵様や 馬頭観音
>のような物と とらえていいのかしらん、、


お地蔵様の感覚なのでしょうね。少し前のaostaさんとのやり取りでは、十字架を道祖神に例えていらっしゃって、それもぴったりだと思いました。

>絵画でのってる葡萄を持ったマリア様は

日本語では、フランス語の題名に沿って「ブドウを持つ聖母」、「葡萄の聖母」という題名が出てきました。
2016/07/28 | URL | Otium  [ 編集 ]
そうそう、、お地蔵様と 馬頭観音と
もひとつなにか 会ったなあ、、と思い浮かばなかったけど
[道祖神」だったです、、
2016/07/29 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
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