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2016/08/06
この冬に、たまたま通りかかった教会で珍しいものを見ていました。教会そのものは、よく田舎にある建物ですが、文句のつけようはない美しさ。




教会でミサをあげるときの料金

目に止まったのは、入り口にあった張り紙です。



めったに出会わないのですが、この教会ではミサのお値段が書いてあったのです。




ミサ:    17ユーロ   (約   2,000円)
結婚ミサ: 140ユーロ   (約 16,000円)
葬儀ミサ:  140ユーロ
※ 1ユーロ=115円で計算

140ユーロの内訳は、62ユーロが小教区へ、61ユーロが司教区へ、17ユーロがミサへの奉献。つまり、この教会で結婚式や葬儀のミサをした場合、教会そのものに入るのは78ユーロ(9,000円)しかないということですか。普通のミサと同じに、賽銭カゴのようなものにお金を入れる習慣はありますけれど。

でも、市町村にあるéglise(教会)は市町村が維持費を負担していますので(大聖堂cathédraleは国の管轄)、建物の修復費用や電気代などは教会がある市町村の住民税で賄われますので、教会自体がお金を集めなくても存続できます。

結婚は役場であげてくれるのが正式な儀式なので、教会で結婚する人はそう多くはないように思います。でも葬儀の方は信者でなくても教会でするのが普通で、ミサをあげずに埋葬だけする人は非常に少ないと思います。

住民が少ない村では教会の維持のためのお金がかかるわけで、美しくない教会などは閉鎖してしまえば良いのだと言っていた友人もありました。彼の村では、敬虔な信者の人が村長になったときに教会に暖房装置をつけたので、暖房費がかなりかかるのだそう。最近は司祭も足りないし、信者も多くないので、小さな村々では回り持ちで日曜ミサをするのですが、暖房が入ってからは冬には頻繁にミサが行われるようになりました。近郊の人たちのために住民税を使われるのはたまらない、というわけ。

普通のフランス人の場合、葬儀でお世話になるのですから、村に教会が1つあるのは悪くない、と私は思います。何しろ、公共施設なので、墓地も日本のように法外な費用がかかるわけではないのですから。

でも、イスラム教とかユダヤ教の人たちは教会がある恩恵は何もないのに住民税が使われるわけですよね。不満に思わないのだろうか? フランスは政教分離の国ですが、こういうところを見ると、カトリックの国ではないかと言いたくなる。もっとも、宗教が違っても墓地を利用したいと申し出たら、拒否されることはないはずですが。


ところで、以前にもミサの料金が書かれているのを教会で見かけたときにブログに記録していました:
教会でミサをあげてもらうお値段 2008/06/2

8年前のことでした。その間に15%くらい値上がりした、という感じ。円に換算すると、今は円高になっているのでで、かえって値下がりしていますね。


葬式にはお金がかかる?

フランス人たちは葬儀にはお金がかかると言います。そう言われると、私は日本はもっとずっと高いのだと答えたくなる。

少し前に近所に住んでいる親しい人の母親が亡くなったので、葬儀の費用について聞いていました。教会でのミサ、土葬の費用、花束、参列者にふるまうカクテルパーティーなど、全部の費用を含めて2,500ユーロという感じだったとのこと。兄弟で葬儀保険のようなものをかけていたので(毎月50ユーロくらい)、それで費用は全て賄われたので、葬儀での出費はゼロでした。墓地は、先に入っている父親の場所なので問題なし。


フランスでは平均どのくらい葬儀費用がかかっているかの統計がありました。
  • 火葬の場合: 地方で2,670~4,190ユーロ。パリ首都圏では2,340~6,270ユーロ
  • 土葬の場合: 地方で1,980~16,090ユーロ、パリ首都圏では4,950~7,530ユーロ

為替レートの変動がありますが、フランスと日本の物価を比較すると1ユーロ=130円と感じています。それで計算した場合、26万円から99万円ですね。

この費用には棺代も入っていますが、墓地や墓石の料金は含まれていません。墓地の委譲権を確保する料金は、期間と市町村によって差があります。最低限に2平方メートルのスペースを確保することが条件なのだそう。

例えば、人口5万人という中程度の規模の町ベルフォールの場合は、こうなっていました(2014年):
  • 30年の期限付き: 277.76ユーロ
  • 永久権:     3,785.28ユーロ

3万円か、44万円のチョイスというところですね。


パリには14カ所の墓地がありますが、飛びぬけて過密地域なので2㎡の墓地委譲権はもっとずっと高いのは当然かもしれない。ただし、200万円近くもするの?!  と驚く永久権を確保できる墓地は稀な存在なのだそうです。
  • 10年の期限付き:    785 ユーロ
  • 30年の期限付き: 2,663 ユーロ
  • 永久権:      14,682 ユーロ

地方なら永久権を確保して、パリなら30年の契約にしたとして、墓地の確保は50万円弱というところですね。高いといえば、高い?...

契約期限が切れると、役場から立ち退きを要求されます。それについて、以前にブログで書いていました:
クイズ解答: 画家ルノワールの墓地 2006/08/19


気取らない墓石が好き

もともと墓地は怖いので嫌いだったのですが、フランスでは教会を見学するのが趣味なの、お墓を歩き回るのには慣れました。教会の外観を見ようとしたら、墓地を歩くしかありませんから。たまには、教会の建物と墓地が分離しいるところもありますが。

大理石なのかどうか知りませんが、ピカピカの墓石が好きではありません。特に、立派なのを見せつけているような黒い石のが嫌い。

こういうのが好きだな、と思う墓石がありました。



ここはブルゴーニュ地方のコート・ドール県の北部。
森には侵食した石灰岩があるのですが、それを墓石にしていました。



社会人類学者クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss 1908~2009年)のお墓です。ここは彼が持っていた城がある、人口50人の静かなリニュロル村(Lignerolles)にある教会の墓地です。


墓地にある遺灰を撒くスペース

フランス人が葬儀にはお金がかかると話すときには、墓石が高いと言っていました。幾らくらいするのか調べてみたら、1,000~3,500ユーロという値段を目安にしている情報がありました。

今の為替レートだと、12万円から40万円。フランスと日本の物価の感覚で1ユーロ=130円として計算しても15~45万円。日本の場合は、墓石代の平均は142万円なのだそうです(東日本:152万円、西日本:132万円)。フランスの方がずっと安いですね。


フランスの場合は、火葬して墓地に遺灰を撒くだけという手もあります。墓地にJardin du souvenir (思い出の庭)というスペースがあるのです。この場合は、墓地の場所代は無料。

人口200人足らずの村にあった教会を見学したとき、墓地の一角にあった「思い出の庭」のスペースの写真を撮っていました ↓



味気ないといえば、味気ない。でも、無料で場所を提供していただければ満足ではないですか?

こういうスペースは最近になって目につくようになりました。上の写真は「思い出の庭」が珍しくて写真を撮ったもので、2010年に撮影していました。そのころから出来始めたのかなという気がします。

Wikipediaには「Jardin du souvenir」 の項目が出来ていなかったのですが、画像は幾つか入っていました。下は人口30万人の大都市ナントの墓地にある「思い出の庭」スペースなので、田舎の墓地で見るのよりずっと広いようです。

Nantes - Cimetière Parc - Jardin du souvenir

だいたいにおいてシンプルなスペースでしょうね。どんなのがあるかを知るために画像検索すると、こちら

私は墓石が嫌いなので、こういう埋葬の仕方が私には好ましいと思うのですが、日本だと無料というわけにはいかないのだろうな
と思って調べてみたら、日本では海に遺灰をまくというシステムがありました。

日にちは指定しないで、適当に海にばらまいてくださいという感じなら5万円程度なのだそう。遺族が船をチャーターしてやると25万円。そこまでやってくれなくて良いです。その予算があるなら、居酒屋さんで友人たちが集まる会を開いて、「フランスなんかに行ったりして、勝手なことをやっていたヤツだったよな...」とか話しながら楽しくやってもらいたい。


カトリック信者に火葬が認められたのは1963年

フランスでは、伝統的に土葬の国です。カトリックでは火葬が禁止されていましたが、1963年の第2バチカン公会議で、火葬は「復活」や「魂の不滅」などのカトリックの教義に違反しないと判断されて許可されたのだそう。

第2バチカン公会議という名前は、現在のフランスではラテン語でミサをあげないということを調べたときにも出てきていました。現代のカトリック教会では節目になる決まり事をつくった出来事だったのですね。

昔ながらにラテン語でミサが行われるパリの教会 2015/11/02

フランスの「生活条件調査研究センター(CREDOC)」のアンケート調査結果によると、1975年にはわずか1%だった火葬は年々増加して、1998年には15%、現在は26%となっていました。2030年には約半数の50%が火葬になると見込まれているとのこと。

フランスで現在4人に1人が火葬というのは信じられない。私がフランスで身近な人では火葬は例外的だと感じているのです。でも、パリでは3人に1人が火葬という高い比率なのだそう。地方部での火葬率は8%以下。パリ首都圏には、フランス人の2割くらいが集中して住んでいるので、全国平均にすればそうなるか...。

火葬がフランスで増加したのは、ローマ法王庁による解禁よりは、むしろ経済的な理由が大きいだろうと思います。火葬にすると3割から4割安上りだという記述もありました。そう言われると、田舎で火葬にするのは豊かでない人たちに多いとも感じます。

ブログ内リンク:
★ 目次: 宗教建築物に関する記事 » 墓地
★ 目次: フランスで感じるキリスト教文化

外部リンク:
Le budget à prévoir pour l’enterrement d’un proche
Mutac - Combien coûtent les obsèques
☆ Dossier Familial: Prévoir le coût des obsèques 
☆ Cimetières de France et d'ailleurs: LÉVI-STRAUSS Claude (1908-2009)
Qu’est-ce qu’un jardin du souvenir ?
Jardin du souvenir principe et coût du jardin du souvenir
Le jardin du souvenir un espace où disperser les cendres
☆ フランスニュースダイジェスト: フランスのお葬式&母国に眠るための豆知識
☆ AFP: カトリック国でも火葬が急増、フランスの法令では「骨つぼは暖炉の上へ」
☆ OVNI: フランスでも火葬が増えている。 2014/10/16
☆ All About: 死んだら遺骨は海にまいて……と言われたら
Mystère autour de Lévi-Strauss
アマゾン「お坊さん便」問題、お布施は寄付なのか対価なのか


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コメント
この記事へのコメント
日本でも 大昔?は土葬でしたが
病菌が 蔓延する関係からか
火葬になったようですが (宗教上に 釈迦もかそうされたというのもあり?)
ワタシの母方は カトリックでしたので
祖父の連れ合いは早くなくなり
土葬で カトリックの墓地にありました、、
が、、 回りが住宅街に成ってきて (神戸)
あちこちの墓が 土葬の為に 墓石が傾き
荒れてきたので 集団移転で モット山の中に移り、、
こどものときに そこにお墓参りに行くと
傾いた墓石を見ると その下に 遺体がある、、というのが 容易に想像され こわかったのを
覚えております〜
いまは 樹木葬とか 永久墓とか 選択の余地が
ふえました、、
いま 我が家は 息子が三人なので
一つお墓を購入すれば 子供達には
悩みがへるかな、、と 考え
公園墓地等を 希望しているのですが、、
なやましい 問題です〜
2016/08/06 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
追伸
わたしは 食べる事にも 興味いっぱいなので
otiumさんの いぜんの 和食のとkろを
みたら お友達をお招きするのに
とても 準備や 食材を 吟味して
丁寧になさっていますね〜
そとの和食レストランに行くよりも
お友達は感激なさるでしょうね〜
ごまがフランスの方はお好きのようですが
わたしは 九州オニザキの ごまを
愛用しています、、
とても 香りがよく すりごまは すぐに使え
それも かおりも なかなか失せず 
便利です〜
生を使うダビにいって するのには やはりかないませんけどね〜
それと わがやでは 最近は 肉じゃがに
木綿豆腐の水切りしたのを くわえるのが
好きになりましたが
中国豆腐でかたいのなら ちょっと ためしてごらんになれば?
これは 好きずきでしょうかしらね〜
わたしは手抜き料理ばかりだから
otiumさんに もうしあげるというのも
恥ずかしい事ですが、、
2016/08/06 | URL | katananke 05  [ 編集 ]
Re:
v-22 katananke 05さんへ

>あちこちの墓が 土葬の為に 墓石が傾き 荒れてきたので 集団移転で モット山の中に移り、、

そういうことがありますか。昔のお墓は、日本でもフランスでも風情があるな… と思うのですけど。

>公園墓地等を 希望しているのですが、、  なやましい 問題です〜

日本はなまじっか色々とチョイスがあるから悩むかも知れないですね。フランスにも庭園墓地というのができてきて、そういうのに入った友人がいますが、あえて教会の墓地にしないのには何か理由があるのかな… と気になりました。

>お友達をお招きするのに とても 準備や 食材を 吟味して 丁寧になさっていますね〜

美味しくできないと食べてくれないので、真剣になります。金曜日にはフランスで食べるマグロの刺身としては最高級の種類のクロマグロ、寿司ネタとした最も美味しいと感じている手長海老が手に入ったので、はりきって珍しくチラシお寿司にしたのですが失敗! せっかくのマグロも残ってしまったので、猫に食べてもらいました。普通に刺身にしておけば、そんなに食べるの? という量がはけてしまうのに。

>和食レストランに行くよりも お友達は感激なさるでしょうね〜

美味しいと喜ばれたときには、友人たちからフランスで日本料理店を開けば良いのにと言われますけれど、刺身の材料などは高額になるので、原価計算で料理を出したら、友人たちは絶対に来てくれないと思います。

>わたしは 九州オニザキの ごまを 愛用しています

そういうのがあるなら私も探して買いたいと思って調べたら、いつも買っているメーカーの1つでした。これでないときは、有機ゴマ。オニザキを私はパッケージのデザインで覚えていた! 香りが素晴らしく良いですよね。すりごまも香りが良いですが、なんとなく胡麻すり鉢でする方が好きです。

>木綿豆腐の水切りしたのを くわえるのが 好きになりましたが 中国豆腐でかたいのなら ちょっと ためしてごらんになれば?

その手がありましたか。いつか中国豆腐に出会ったら試してみたいです。以前は東京の空港の売店で豆腐のパッケージを買えたので持ってきていたのですが、最近はテロ対策の危険物として扱われるようになったせいか(スーツケースに入れないと没収される)売らなくなってしまったのです。
2016/08/07 | URL | Otium  [ 編集 ]
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