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2016/12/01
フランス語で栗の実は「シャテーニュ」で、栗がなる木は「シャテニエ」。並木などになっているマロニエの木の実は「マロン」で、この実は薬の原料に使われるものの、食べることはできません。

ところが、栗の実の中には高級品とされる「マロン」と呼ばれる栗の実もあります。マロングラッセは、これから作られると言われます。

紛らわしいマロンなのですが、日本でのマロンに関する情報が腑に落ちないものがあると知って、気になりました。
  1. フランス語でマロン(Marron)とは、イガの中に一つだけ入っている大きくて丸い栗のことである。
  2. フランスではマロニエの実を使ってマロン・グラッセを作っていたが、あく抜きの処理が大変なので、栗で代用するようになった。
フランスで売られている生栗のマロンは、イガの中に1つだけ入っていたというほどには大きく見えないので奇妙。

さらに、フランスでは昔はマロニエの実を食べていたというのは信じられません。飢饉のときに食べていたというのならともかく、マロン・グラッセなどという手のかかるお菓子を作るというのは不自然すぎるではないですか?!

めったに食べないし、全く気にとめたこともなかった栗なのですが、本当なのかを確かめようとして調べ始めたら、他にも不思議なことが色々出てきてしまいました。

シリーズとして書いている記事の一覧を作ってみましたが、調べて出てきた情報をバラバラに入れているので、各記事で書いたことのサマリーも入れておきます。


イントロ

フランス人が栗を嫌う理由
2012/11/06
  • 伝統的なクリスマス料理に「Dinde aux marrons(七面鳥のマロン詰め」があるが、今日のフランスでクリスマスに食べている家庭は少ないはずだ。
  • フランスには、栗はお腹をいっぱいにすると言って嫌う人が大勢いる。étouffe-chrétienという料理を貶す表現。
  • 栗をマロンと呼んだり、シャテーニュと呼んだりするのだが、区別はよく分からない。


食べられないマロンがなる木、マロニエ
2016/12/02
  • マロニエはセイヨウトチノキ。
  • マロニエの果実「マロン」は、食べることができない。
  • マロニエと栗の木(シャテニエ)は、咲く花が全く違うなどの特徴があるので見分けることができる。
  • フランスにマロニエが入ったのは1615年というのが定説。


マロンと呼ぶのは、どんな栗?

イガの中に実が1つだけの栗がマロンって、本当なの?
2016/12/03
  • 日本では、イガの中に栗が1つだけあるものを「マロン」だとする定義が定着している。
  • フランスでも、本来のマロンはイガの中に実が1つだけの栗だったらしい。この場合のマロンは、イガの中の外側にある胚珠が発育不全なために、中央の1つの実が残って大きくて丸い栗の実になったケース。
  • しかし、実際にフランスで売られているマロンが、イガの中に1つだけあるものというのは信じがたい。
  • フランス語のmarron(マロン)の語原はラテン語。
  • 16世紀のフランスでは、イタリア語から入った言葉の「マロン」と呼ぶ栗が美味しいとの評判があった。
  • 私の憶測: 小麦が収穫できない地域ではシャテーニュが小麦粉の代わりに庶民の栄養源となっていたために、悪いイメージがあるので、大きくて美味しい栗はマロンと呼んだのではないか。


辞書が頼りにできないと困る...
2016/12/09
  • フランス語では、栗の木はシャテニエ、食べられないマロンと呼ぶ実がなる木はマロニエ。
  • 辞書では、「マロニエ」に「栽培された栗の木」という記述がある。栗の木には、マロンと呼ばれる実がなる品種があり、その木のことを業界では「マロニエ」と呼んだりしているのだ。


フランスでは、どのような栗を「マロン」と呼ぶのか

2016/12/12
  • 栗の木には、マロンとされる実がなる品種と、シャテーニュとされる実がなる品種がある。
  • マロンは、接ぎ木などをして栽培される栗の木の実である。
  • フランスの栗の業界での定義:
    • マロン marron は、仕切られている果実(fruit cloisonné)が12%未満である栗の木の品種の果実である。
    • シャテーニュ châtaigne は、仕切られている果実の割合が12%以上できる品種の果実である。
  • 私の推測:  マロンかシャテーニュかに区別される基準となっている「仕切られている果実」とは、栗の実の中がタン皮で分けられていることを示す。つまり、イガの中に1個だけ実が入っているのがマロンというわけではない。


栗のマロンとシャテーニュ、言葉の使い分けは?
2016/12/15
  • 生栗のマロンは高い値段で売られているのに、加工食品には安いものがある。
  • フランスでよく知られている栗の加工食品や料理、栗の産地の郷土料理をリストアップし、マロンかシャテーニュの使い分けに法則のようなものがあるかを検討してみた。


昔はマロニエの実を食べていたって、ほんとう?
マロングラッセとは?

日本で言われるマロングラッセのお話しは、
フランス的な冗談では?

2016/12/19
  • 日本では、こういう説が広く知られているらしい: マロングラッセはマロニエの実(マロン)で作っていたが、後に栗の実で作られるようになった。そのために、栗はマロンと呼ばれるようになった。
  • どうにも信じがたい話しなので、フランス人が言った冗談が日本に流れたのではないかと思った。
  • 日本人の70%がマスコミ報道を鵜呑みにして信じるという調査結果がある(イギリス人は14%)。


マロングラッセを作るのには20日間もかかる
2016/12/21
  • マスコミ界では、季節をテーマにしたヒマダネ記事のことをフランスでは「マロニエ」と言う。
  • マロングラッセのメーカーの製造過程を見せる動画。
  • 栗をシロップ煮するときに、イガに入っていた状態のように2つを1組にしている。つまり、マロングラッセはイガの中に1つだけ入っている栗だけを使っているわけではないのが立証された。1つだけ入っている栗を使う場合があるのかもしれないが、画像としては見つけることができなかった。


マロングラッセとマロンの関係。
鶏が先か? 卵が先か?

2016/12/22
  • マロングラッセの「グラッセ」とは何か?(グラッセとコンフィの違いなど)
  • フランスで言われるマロングラッセ発祥の定説:
    • ルーツは16世紀か17世紀で、ヨーロッパで砂糖が簡単に入手できるようになった時期と重なる
    • マロングラッセの発祥地にはイタリア説とフランス説があるが(いずれも16世紀)、発祥地とされているのはイタリアとフランスに国境を跨いでいたサヴォワ公国とその周辺地域である
    • 産業革命後、砂糖はさらに安価で手に入るようになり、マロングラッセも工場生産されるようになった
    • 日本では、マロングラッセはマロニエ(セイヨウトチノキ)で作られていたという定説があるが、フランス情報では全く出てこない
  • マロングラッセの工場生産が初めて行ったのはクレマン・フォジェ社で、1882年。


フランス絵画の題名でも、栗の木とマロニエは混同されている
2016/12/23
  • ルノワールとゴッホが描いたマロニエの花が、栗の花だとされているものを発見
  • マロニエの実にまつわる迷信(リューマチに効く、お金が増える)


栗のマロンが先か? マロニエのマロンが先か?
2016/12/27
  • マロニエの木は、いつヨーロッパに入ったのか? フランスに入ったのは1615年というのが定説となっている。
  • フランスでは、いつから栗を「マロン」と呼んでいたのか?
  • マロニエが入る以前から、フランスでは「マロン」と呼ぶ栗があったことは確かであろう。
  • ロンの語原はイタリア語


割れてしまったマロングラッセを
どうするか?

マロン・クリームはマロングラッセから生まれた
2016/12/28
  • マロングラッセの工場生産に成功したクレマン・フォジェ社は、形が崩れて販売できないマロングラッセをマロン・クリームに使うことを考案し、1885年に「Crème de marrons de l'ardèche®」を発売した。
  • フランスで品質保証のAOC/AOPを獲得している栗は「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ栗)」。
  • マロン・クリームの目隠しテストなどが入ったフランスのドキュメンタリー番組。
  • アルデッシュの方言で語りながら手作りのマロン・クリームづくりを見せる動画。


出来損ないのマロングラッセが、
日本ではたくさん売られている謎

2016/12/29
  • マロングラッセの画像検索すると、日本では割れた「訳アリ」のマロングラッセがたくさんヒットしてくる。
  • フランスのネットショップで売られていた割れマロングラッセには日本語表示があり、日本の会社が輸出している商品のようであった。
  • なぜ日本ではこれほどたくさんの割れマロングラッセがあるのか不思議なので、理由を推察してみた。


栗色とは?
栗
栗色といったら、どんな色?
2017/01/03
  • 栗を連想させるフランス語の色の名前を3つ挙げたのだが、日本では「栗」が含まれる色の名前がたくさんある

シュジー・ソリドール

亜麻色の髪とは、淡い栗色ではなかった
2017/01/08
  • ドビュッシーの名曲『亜麻色の髪の乙女(La Fille aux cheveux de lin)』にある「亜麻色の髪」とは淡いシャタン色を想像していたのだが、淡い金髪であった。
  • 「亜麻色の髪」という表現はフランスではほとんど耳にしないのだが、英語圏ではよく使うらしい。「flaxen hair」で情報を探したら、どんな色なのかが特定できた。
  • フランスの金髪女性の歌手シュジー・ソリドールについても言及。




フランスの栗の木(シャテニエ)と、マロンがなる木のマロニエの違い

シャテニエ
Châtaignier
(Castanea)

ブナ科 クリ属

ヨーロッパグリ (Castanea_sativa)
マロニエ
Marronnier
marronnier d'Inde
Aesculus hippocastanum
トチノキ科 トチノキ属

セイヨウトチノキ
果実:
 ・シャテーニュ(châtaigne)
 ・マロン(marron)
果実:
 ・マロン(marron)
Feuilles de châtaignier
Graine de Marron




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