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2016/12/28
シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その12

このシリーズの6番目で「栗のマロンとシャテーニュ、言葉の使い分けは? 」を書きながら調べていたら、私には馴染みがなかったマロン・クリームについて面白いことを学びました。

http://www.marmiton.org/recettes/recette-photo_creme-de-marrons-facile_32606.aspx


クレーム・ド・マロンマロン・クリーム

フランス語では「crème de marronsクレーム・ド・マロン)」と呼ばれるものは、日本では「マロン・クリーム」として売られているようです。

クレームの代わりにコンフィチュール(ジャムのこと)、マロンの代わりにシャテーニュ(栗)という単語が使われていたりもしますが、みんな栗のジャムかペーストのようなものです。

ブルゴーニュ名産の「クレーム・ド・カシス」は、カシス(黒すぐり)のリキュールなのですから、紛らわしいではないですか?

普通にフランス語で「クレーム」と言われたら、生クリームのことかと思います。

クリーム色も「クレーム」。

日本では真っ白な生クリームしか買えないように思いますが、本物の生クリームは薄い黄色で、いわゆるクリーム色をしています。

化粧品にもクレーム(クリーム)がありますね。つまり、ドロっとした感じがクレーム?...


なぜ「クレーム・ド・マロン」と呼ぶのか気になりました。普通の果実から作ったものではクレームとは言わないと思うのです。

クレーム・ド・マロンという名の商品を初めて作った会社があったのでした。


クレーム・ド・マロンの元祖はクレマン・フォジェ社

19世紀のフランスで、マロングラッセを大量生産することに成功したのはクレマン・フォジエ(Clément Faugier)でした。

それを書いたのは、シリーズ記事の9番目で、こちら:
マロングラッセとマロンの関係。鶏が先か? 卵が先か?

マロングラッセを作ると、製造過程で栗が割れてしまって欠陥品になってしまいます。それで、クレマン・フォジェ社では、そういう欠陥品を利用するために「クレーム・ド・マロン」を考案して売り出したのでした。


logo de Clément Faugier (société)同社のマロングラッセが販売開始したのは1882年。

その3年後、「クレーム・ド・マロン」を1885年に売り出し、その商標登録をしたのは1924年。

右はクレマン・フォジェ社のロゴですが、クレーム・ド・マロンとマロングラッセの文字も入れていますね。

つまり、「クレーム・ド・マロン(マロン・クリーム)」は、単に栗のジャムではなくて、マロングラッセが入っていることを示すために「crème de marrons(クレーム・ド・マロン)」という名前にしたのではないでしょうか?

でも、フランスの法律では、商品をクレームと呼ぶものはコンフィチュール(ジャム)よりも濃厚でないといけないということのようです。クレーム・ド・マロンの場合は、出来上がり100グラムに対して、栗のピューレが38グラム以上ないといけない。confiture(ジャム)やgelée(ジュレ)の場合は35グラム以上ですが、果実によっては6~25グラムの場合もあるのだそう。


現在は色々な会社がクレーム・ド・マロンという名前で販売していますが、何処でもマロングラッセのかけらを入れているようには思えませんでした。

ともかく、このマロン・クリームが有名なので、それを使った料理などには、栗の品種の「マロン」とは関係なしに、名前に「マロン」と入れているようでした。

マロングラッセはバニラで風味を付けますが、マロン・クリームでもそうします。となると、口に入れたときの味覚としては、マロングラッセとマロン・クリームはかなり似たものになるでしょう。たとえマロングラッセのかけらが入っていなくても、それは味にはさほど響かないのでは?

違いが出るのは、渋皮をしっかり除いているかと、バニラの質によるでしょうね。

高い品質のマロングラッセを作っているメーカーではブルボン種のバニラビーンズを使っていました。マロン・クリームの方は、そう高くは売れない商品なので、本物のビーンズは使っていないのではないかな?...

マダガスカル産ブルボン種

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*バニラ・ビーンズ(2本入パック)
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フランスで最高の栗はアルデッシュ産

Châtaigne d'Ardèche AOCアルデッシュ県は、中央山岳地帯にあり、昔から栗の栽培が盛んだっった地域です。

フランスで最高級の栗が生産される地域で、「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ栗)」として原産地統制呼称のAOC/AOPも獲得しています。

AOCはフランス政府が優れた農産物とその加工食品に与える最高級の認証で、栗で獲得しているのは、少なくとも今のところはアルデッシュだけです。

クレマン・フォジェ社はアルデッシュ県プリヴァ市あります。

このクレマン・フォジエ社が売っているクレーム・ド・マロンは、「Crème de marrons de l'ardèche®」という名が付いており、「アルデッシュのマロン」の文字が入っています。

下が、発売当初から変わらないデザインのクレーム・ド・マロンです。
クレマン・フォジェのクレーム・ド・マロン誕生について詳しく書いているショップにリンクしておきます。 ↓

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クレマン・フォジェ マロンクリーム250g瓶
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フランス製のマロン・クリームが色々あるのを眺めながら、元祖クレマン・フォジェのにはアルデッシュのマロン栗を使っているのだから一番おいしいのだろう、と私は思ったのでした。

コルドン・ブルー

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マロン・クリームを楽天市場で検索


実を言って、マロン・クリームの食べ比べを私はしたことがありません。このシリーズ記事を書きながらインターネットで見れる色々な動画を眺めていたのですが、あれ? と思うことが出てきました。

マロンで作るクレームを取り上げた題されたテレビのドキュメンタリー番組の中で、クレマン・フォジェ社を訪問していたのですが、その工場の人が、同社のマロングラッセはアルデッシュ栗だけ使っているわけではない、と話していたのです。口ぶりからして、使っているにしても、かなり少なさそうな印象を受けました。

どこの栗を使っているかと国の名前を挙げていたのは、イタリア、スペイン、ポルトガル。... それに、フランス、という感じで話していました。

つまり、クレマン・フォジェ社のは「Crème de marrons de l'ardèche®(アルデッシュ・マロンのクリーム)」と付けて商標登録しているから、というだけのこと。なあんだ...。

考えてみれば、私が勘違いしていたのです。AOC/AOPを取っている栗は「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ・シャテ-ニュ)」であって、マロンではないのだ! シャテーニュは栗の実のことで、マロンは質の良い栗の実なわけなので、そっちの方が上に思ってしまっていた...。

でも、番組でそれを暴いていたのは、フランス人だって私のように勘違いするからではないかな...。


ドキュメンタリー番組での試食結果

このドキュメンタリーでは、シェフたちに栗で作ったクリームの試食をさせていました。メーカーがどこかは隠して、3種類の商品の味に得点を付けていました。

フランス式の採点は20点満点なのですが、日本式に100点満点に直すと、こういう結果でした。

第1位(70点): 地元の栗栽培農家が作っているクレーム・ド・シャテーニュ
第2位(45点): 元祖クレマン・フォジェのクレーム・ド・マロン
第3位(40点): 大手スーパーの大量生産のクレーム・ド・マロン

ダントツで1位になった農家はLa Ferme du Châtaignierで、テストされた商品はこちらですね。

小規模生産の手作り商品が有名ブランドのものより美味しいというのは、よくあることです。

日本で販売されているマロン・クリームでも、下ののようなのは美味しいのではないかという予感がします。オーガニックの品質保証マークも獲得しているし。


bio project マロンクリーム  ¥ 2,426


それにしても、クレーム・ド・マロンの元祖クレマン・フォジェが、これほど低い点数になってしまったのはお気の毒。

でも、シェフたちは試食しながら、これは栗の渋皮が少し入っていて美味しくないと言っていました。ドキュメンタリーでは、この会社がどう作っているかは最終工程のところしか見せてもらえていていませんでした。メーカー側は、渋皮のタンニンが美味しさを出しているのだなどと説明していたのですが。加熱した後に渋皮を取り除く方が簡単だからではないでしょうか?

第3位になった商品は、添加物も入れてしまっていて味を誤魔化しているし、甘すぎて美味しくないと酷評されていました。そのメーカーが何処であるか、番組では明かしていないのが面白い。フランスのテレビのコマーシャルを見ていると、フランスが美食の国だとは思えないような大量生産している食品ばかり出てくるのですが、そういう大事なスポンサーの会社だから名前を伏せたのだろうと思いました。


インターネットでは、マロン・クリームのランキングをしているサイトもありました:
Les Tests Produits de Gourmets&Co - Les Crèmes de Marrons

1位になっているのが、ディスカウント・スーパーの商品というのがなんだか怪しげなランキングに見えてしまう。でも、ここでもクレマン・フォジェのは、同じようによく知られているサバトンのより下にランクされていますね。


ちなみに、日本の情報ではこうなっていました:

日仏貿易情報: クレマン・フォジエのマロン・クリーム
マロングラッセを加えることにより、栗の味わいがより引き立てられた、口どけ滑らかなマロン・クリーム

日仏商事情報 サバトンのマロンクリーム
マロンを裏ごししたものとマロングラッセ、砂糖、バニラエキス加えたマロンの風味をいかした香り高い製品


アルデッシュ栗を使ったサバトン社の新製品

では、本当にアルデッシュ栗を使ったマロンの食品はないのかと探してみたら、ありました。最近になってからサバトン社が作ったようです。

Confiture de châtaigne d’Ardèche
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Purée de Châtaigne d'Ardèche

こちらは、AOC/AOPの名称「Châtaigne d'Ardèche(アルデッシュ・シャテ-ニュ)」の名称を入れているので、本当にそれを使っていますね。フランス情報にもありました。

私は食品の品質保証の中ではAOC/AOPはかなり信頼しているので、アルデッシュ栗というのに重きを置くのですが、日本で販売するときには、それほどPRに利用していないような印象を受けました。


クレーム・ド・マロンについてのドキュメンタリー

ここで書いたドキュメンタリー「La crème des marrons(マロンのクリーム)」を入れておきます。1時間近い番組で、この秋に放映され、なかなか視聴率も良かったようです。


Documentaire: La crème des marrons

アルデッシュの栗栽培から、パリでの製菓まで、色々なことを学べます。

生産者は、消費者が大きい栗を喜ぶからハイブリッドの栗が出回っているけれど、そういうのは美味しくないのだ、などと言っていますね。世界一の栗の生産国は中国。フランスにもかなり入っているのでしょうか?
  • サバトン社の訪問場面: 25分経過後のあたりから
  • マロン・クリームの試食場面: 27:44~31:10


ホームメイドで栗のジャムを作る方法

アルデッシュで栗のジャムづくりをしているのを見せる動画がありました。


La recette de confiture de Chataigne ardécoise en V.O. sous titrée

シャテーニュのことをカスターニャと言っている。イタリア語とかスペイン語を思わせるけれど、それとも違うなと思ってしまう言葉。何語を話しているのかと思ったら、この地方の方言なのだそうです。それで標準フランスの字幕がついています。

やはり自家製が一番おいしいだろうな...。



インターネットの動画では、できそこないのマロングラッセの破片をクレーム・ド・マロンに入れているかどうかを見れるものが探し出せなかったのが残念。

その崩れたマロングラッセについても、1つ気になることがあったので続きを書きます。


続き:
 出来損ないのマロングラッセが、日本ではたくさん売られている謎


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!



ブログ内リンク:
評判の良いクレーム・ド・カシスを買いに行く 2016/06/21
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ LES FILMS DE L'ODYSSÉE: LA CRÈME DES MARRONS
☆ France 5: La crème des marrons
☆ France Inter: La crème des marrons
☆ 9docu: La crème des marrons
Les Tests Produits de Gourmets&Co - Les Crèmes de Marrons
☆ 業界サイト: Sabaton lance une nouvelle gamme Premium à base de Châtaignes d’Ardèche AOC pour les pâtissiers et restaurateurs
☆ メーカーサイト: Bocal Confiture de châtaigne d’Ardèche
☆ 仏経済省: Confitures, gelées, marmelades de fruits et autres produits similaires
CLEMENT FAUGIER - L'entreprise  la Création


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