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2016/12/19
日本から友達が来たときには、フランスの友人に観光案内を手伝ってもらうことにしています。

私とだけ付き合っていないで、フランス人とおしゃべりする方がフランスという国がよく見えるだろうし、友達から何か聞かれたらフランス人に答えてもらえるので、私にとっても利点があるからです。

ところが、困ったときがありました。


日本人は冗談を真に受ける?

フランス人はジョークを連発するのですが、私の友達は冗談を言って笑わせようとしているとは思わない。自分が知らなかったことを教えてくれていると思って感心してしまうのです。

そのうち、フランス人の方は彼女が何でも信じてしまうことを面白がって、あること、ないこと、全部ジョークにして遊んでしまうようになったのでした。

英語は流暢ではない人だったので、洗練したジョークは言えない。それで、黒い馬がいるのを指さして、「あれはアフリカの馬です♪」なんてバカなことまで言い出すのでした...。

彼女が「ほうとうに?」と言いながら感心しているので、フランス人は「ほんとうに」という日本語まで覚えてしまった! イントネーションで少し疑っているというのが分かると、頷きながら語尾を下げて「おんとに~」と言葉を返して(Hを発音できないため)、「本当にそうなんですよ」という感じまで出してしまうのでした。知り合いにアントニーという名の男の子がいるので、ホントニーは覚えやすかったらしい。

フランスの友人には、私の友達は素直な人なのだから、そういう悪ふざけはしないで欲しい、ときつく叱りました。

日本の友達には、相手は冗談で言っているのだから真に受けないで、と言いました。

でも彼女は、何か言われると、まず信じてしまうのです。とても良い性格の人なので、相手が言ったことに感心してみせるのが礼儀だと思っていたのかもしれない...。

参りました! 彼女が日本に帰ってから、教えてもらったことを他の人達に話したらマズイではないですか?!

ジョークの分かる日本人もいらっしゃいます。フランス人から何か言われると、真っ先にアッハハと笑う。そういうタイプの人は、フランス人から一目置かれます。そもそも、フランスの政治家の場合でも、何か貶されたら、怒ったりりはせずに、機知のきいたジョークを言って相手をやり込める能力が評価されています。

でも、日本人でジョークが分かる人はかなり少ないと感じています。真面目な席で通訳するときには、フランス人が何か冗談を言った後には、「これは冗談でけど♪」と私は勝手に付け加えてしまうことがあります。

誰も笑わないと、フランス人は私が下手に訳したからだろうと思ってしまうわけなので、そういう濡れ衣をかぶされないためです。訳す前に「それは冗談で言っているのでしょう?」と、ちらっと相手に確認したりもできますので。


日本人の鵜呑み度は70%

マスコミ報道の「鵜呑度」を国際比較した数値がありました。

アンケート調査はやり方によってどうにでもなってしまうけれど、これはかなり当たっているのではないか、と私の個人的な経験から思いました。

イギリスが最も疑い深くて、14%の人しか信じていない。

その後にはアメリカ、ロシア、イタリアと続き、フランスは第5位で35%。

日本人は、先進国の中では飛びぬけて信じやすい国民で、70%となっているのです!


パーセンテージはともかく、言われたことを疑わずに信じる日本人が多いのは確かだと感じています。

それで、その特性に気がついたフランス人は面白がって遊んでしまう?



シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その7

栗の木シャテニエの果実
 ・シャテーニュ(châtaigne)
 ・マロン(marron)
マロニエの果実
 ・マロン(marron)


フランス的な冗談を真に受けてしまったのでは?

そう思ったのは、日本ではこう言われていると聞いたときでした。

かつてマロニエの実を使ってマロングラッセを作っていたが、
後にクリの実で代用するようになった。


こんな場面を思い描きました。

パリたくさんあるマロニエ並木を、フランス人男性と、日本人の女の子が歩いている。落ちているマロンを拾って、フランス人はこう言う。

- マロングラッセ、知っているでしょう? 昔は、このマロニエの実で作っていたんだよ。

- マロニエの実は食べられないって聞いたけど...。

- そうなんだ。マロニエの実はあく抜きが大変だから、栗で代用してマロングラッセが作られるようになったんだ。

- 本当に...。知らなかった~! わぁ~、みんなに教えてあげよう~♪

- 教えてあげなよ。フランスでも知っている人は少ないんだよ♪


パリっ子たちは偉そうな口をきくので、男性の口調と表情まで浮かんでしまいました。

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まず、毒があるマロニエの実を食べていたはずはないではないですか? 飢饉のときに食べていたというのならまだしも、手間がかかるマロングラッセを作っていたというのは信じられません。

マロングラッセは、フランスではクリスマスのときにしか食べないような高価なスイーツです。

大変な手間をかけて作らないから高い値段で売るのでしょうが、それを作るのにわざわざマロニエの実(マロン)を材料にするはずはないと思うのです。

本来は食べられないものを苦労して食品に仕上げるのは、日本の食文化ではないですか? 

致死性が高いフグの卵巣をぬか漬けにしたという珍味をお土産でいただいたことがありますが、美味しいわけでもないので持て余したことがあります。


日本では定着していた!

誰か、私の友達のようにナイーブな人が、パリで聞いたといってブログにでも書いていたのだろう、と思いました。

ところが、「マロニエの実を使ってマロングラッセを作っていた」をキーワードにして検索すると、たくさんヒットするのでした。今では消えているのですが、かってはWikipediaにそう書いてあったようです。

同じ文章を使っていると感じるものには、次のようなものがありました。これをコピーしてキーワード検索をすると、たくさんヒットします。
  • かつてマロニエの実を使ってマロングラッセを作っていたが、後にクリの実で代用するようになった。

  • マロングラッセに使うマロニエの実をクリで代用したことから、 クリのこともマロンと呼ぶようになった。

  • フランス語のマロン=marronは元来このマロニエの実に由来するが、食用においてはヨーロッパグリの方が適していたことから後者を指すのが一般的になった。


そういうのは奇妙だと思うのは私だけではなくて、間違っていると指摘なさっていらっしゃる方がありました:
マロングラッセはかつて本当にセイヨウトチノキ(マロニエ)の実が使用されていたのか

この記事を読んで分かったのですが、「平凡社 世界大百科事典」の「セイヨウトチノキ」のところに、こう記載されているのだそうです:
  • マロニエという名称はマロン(クリ)に由来し、マロングラッセも古くはマロニエの実が使われたという。
百科事典に書いてあれば、信じますよね。

まして、先日に書いたように(辞書が頼りにできないと困る...)、仏和辞典のシャテーニュ(栗の実)のところには、「ふつうは食用にしない」と書いてあるのですから、裏付けられてしまうではないですか?

Yahoo!知恵袋には、「本物のマロングラッセを食べてみたい」というのまで入っていました。本物のマロングラッセはマロニエの実で作ったものだと信じていらして、それを売っている店を教えて欲しいというのです。

マロングラッセは栗の実のマロンで作るのだと回答していらっしゃる方があったのですが、ベストアンサーには選ばれてはいませんでした。ちょっと怖いではないですか? 質問された方が諦めきれなくて、ご自分でレシピを探して、セイヨウトチノキの実でマロングラッセを作って食べてしまったら危ないですよ。

毒性を利用するのか、マロニエの実から薬は作られるそうですが、人によっては食べたらかなり危険なことにもなるそうです。

フランスの情報も探してみましたが、マロニエの実でマロングラッセを作っていたというのは1つも見つかりませんでした。冗談で言いたくなる人はいそうですが、それさえもない。そんなことを書いて真に受けた人がいたら、被害者から告訴されることだってあり得るので避けるのではないでしょうか?

ここのところ、栗とマロニエの実のマロンについて書きながらフランス情報をたくさん読んでいますが、マロニエの実は有毒だから、栗のマロンと間違えないようにと、必ずと言って良いほど強調していました。


マロニエはヨーロッパに昔からあったわけではなく、それが入る前から、どこの国でもしていたように、フランスでも栗を食べていました。マロニエの実を食べる必要はなかったと思うのです。

マロニエと呼ぶことにした樹木がフランスにが入ったとき、すでにマロングラッセなるお菓子が存在していたのだとしたら、昔はマロニエの実(マロン)でマロングラッセを作っていたというのは成り立たないことになります。

また、栗をマロンと呼ぶことが、マロニエが入る前からあったら、マロングラッセを栗で作るようになったから栗をマロンと呼ぶようになったわけではないのは立証できます。

それを調べたので書こうとしたのですが、前置きが長くなってしまったので別の記事にします。


少し寄り道をした続き:
マロングラッセを作るのには20日間もかかる


★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!
今回は、その7でした。




ブログ内リンク:
★ 目次: フランス人のジョークについて書いた記事
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
検証:世界で最も「情報民度」が低いのが日本人である!
☆ 国立健康・栄養研究所: セイヨウトチノキ(マロニエ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報
Centre Antipoison Animal et Environnemental de l'Ouest: Le marronnier


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カテゴリー: 日仏の比較 | Comment (4) | Top
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コメント
この記事へのコメント
マロンとシャテーニュのお話、興味深く読みました。
私たちが住んでいたブルターニュでは栗の木があちこちにあり、並木にもなっているようなところもありました。栗の実は道端にいくらでも落ちていて誰も拾おうとはしません。もちろん市場では商品として売っており、ルドンという町では栗祭りもありました。
なぜマロン・グラッセというのかわからないので、フランス人に聞くと、彼らもよくは知らないのです。矛盾したことを言うので、それをしつこく指摘すると、セパグハーブ、と逃げてしまうのです。
マロニエの木はのちに輸入されたと知って納得しました。
2016/12/20 | URL | 豊栄のぼる  [ 編集 ]
Re:
v-22 豊栄のぼるさんへ

マロンのことは紛らわしくて混乱するので、書き出すと頭の中が整理できるかとツラツラと書いているので、読んでくださったとは恐縮します。

私は花が咲いているか、実がなっていないと栗の木だと見分けられないので、ブルターニュを旅行したときは夏だったからたっくさんあるのが目に止まっていなかったのだろうと思いました。

>栗の実は道端にいくらでも落ちていて誰も拾おうとはしません。

接ぎ木で栽培した栗の方が美味しいのをご存知だからでしょうかね。

>ルドンという町では栗祭りもありました。

ブルゴーニュでも、栗の木が育つ地域では栗祭りをやっていますね。フランス人にとっては、「パンの木」というのに実感があって懐かしいからかな...。

>フランス人に聞くと、彼らもよくは知らないのです。

私も実感しました。しつこく聞くと、やはり、なんでそんなものを気にするのかと言われてしまったです!

2016/12/21 | URL | Otium  [ 編集 ]
子供の頃、イギリスやアメリカの番組をみて、素敵なジョークが言える大人になりたいと強く憧れたものですが、難しい〜。

栗とマロニエですが、葉っぱが全然違いますね。遠目では分かりにくいかもしれませんけれど・・。我が家に栗の木があったので覚えていて、マロニエの画像を見たときに、あれ〜??っと思いました。葉っぱも、似ているのかと思っていましたので。

マロニエは、葉がヤツデのように??(例えが良くないですが)なっていて、5枚ずつになっています。

栗の葉は、山羊のチーズを包んだりしますね。マロニエは、栗の葉ほど硬くもなさそうですがどうなのでしょう。よかったら、葉っぱの画像をご覧ください。


2016/12/21 | URL | フォルナリーナ  [ 編集 ]
Re:
v-22 フォルナリーナさんへ

>子供の頃、イギリスやアメリカの番組をみて、素敵なジョークが言える大人になりたいと強く憧れたものですが、難しい〜。

アメリカ人の講演を見ると、適度にジョークを出してきて、聞いているこちらを退屈させない演出をしているので感心します。そのあっけらかんとしたジョークとは違って、イギリスのは、何が面白いのだと言いたくなるようなジョークが多くて???です。

でも、アメリカのジョークは度をこしている感じもします。私が子どもの頃に見たアメリカのテレビ番組では、劇をやっている後ろで笑い声が出るのに嫌悪感を覚えました。

小学生の時だったか、NHKがやって来たときには、舞台の裾に立って手を回して、ここで拍手をしろとか、笑えと指示する人がいました。こういう風に設定しているのだと分かったのは面白かったけれど、私は指示に従いませんでした。一人で反発しても、大多数を前にしたら無に等しいのだという虚しさを感じた初体験だったかな…。

>栗の葉は、山羊のチーズを包んだりしますね。

banonというチーズでしょうか?

マロニエの葉は見分けられるものの、栗の葉の記憶は曖昧。チーズをくるめるほど大きな葉ではないのでは? と思って調べたら、葉を4~7枚使うのだそう。それで紐でがっちりとくくってあるのだ~。

http://www.suntory.co.jp/wine/series/cheese/055.html

和菓子には柏餅や桜餅のように葉を使ったものがあるのに、フランスのケーキは使わないな… と思っていました。フランスの飲食店では衛生基準がうるさいので、日本のようにススキの穂をお皿に添えるなんてことをレストランがするのは許可されないだろうと思います。

でも、気が付けば、チーズでは葉っぱを使いますね! ブルゴーニュが誇るチーズのエポワスも、昔は箱の中に葉が敷かれていたのですが(衛生上の理由から禁止されて何年もたっています)、何の葉だったか思い出さないので調べたら…

あれも栗の葉だったそうです!!!

エポワスが栗の葉で包んでいるからといって、そこから香りや風味が出ているという感じはしなかったように記憶しています。エポワスは匂いがきついチーズなので、ほんのりというのは消えてしまうはずですけど。でも、葉っぱの代わりに紙になったときは、気に入らなかったです!

>マロニエは、葉がヤツデのように??(例えが良くないですが)なっていて、5枚ずつになっています。


画像を眺めたら、葉が7枚の写真も出てきました。品種が違うのかな… と気になったのですが、それまで調べたらマロン・シリーズが年を越してしまいそうなので諦めます。

マロニエの葉も、バラバラにしたらバノン・チーズに使えますよね。このチーズも、昔はマロニエの葉を使っていたのです、なんてのをWikipediaに書き込みたい!(笑)
2016/12/21 | URL | Otium  [ 編集 ]
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