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2016/12/23
日本に定着しているらしい「昔はマロニエの実でマロングラッセを作っていた」というのは変だと思って、少し前からマロンについて書いています。

フランスでは、栗のことを「マロン」と呼びますが、セイヨウトチノキのマロニエの実も「マロン」なので、ややっこしい。前回の記事から、この2つをマーカーで識別できるようにしました。

フランスで栗の実マロンと呼ぶようになったのはいつなのか、ももそもマロニエと呼ばれる樹木はいつヨーロッパに入ったのかを調べていたら、またまた奇妙なことに出会いました。


シリーズ記事目次 【栗のマロンには不思議がいっぱい!目次へ
その10


セイヨウトチノキマロニエ)について調べていたら、フランス美術でよく登場していたと書いてありました。

特に、19世紀末から20世紀にかけて開花したアール・ヌーヴォーでは、ナンシー派が好んでマロニエをモチーフにしていたのだそう。

右に入れたのは、ナンシー派美術館で見られる作品。

ウージェーヌ・ヴァラン(Eugène Vallin)がエミール・ガレのために作ったドアで、彫り込まれているのはmarronnier(マロニエ)だという説明がありました。

栗の木マロニエなのかは、花が咲いていたり、実がなったりしていると簡単に見分けがつきます。

でも、このドアの画像を拡大してみると、花や実はないので、余りよく分からない。

でも、葉の形はマロニエに見えます。マロニエという言葉で真っ先に思い浮かべるセイヨウトチノキマロニエを連想するし、ナンシー派がマロニエのモチーフを好んだと聞いた先入観もあるので、マロニエなのだろうと思いました。


英語でもトチノキと栗の木は混乱する?

マロニエの花は、栗の花と違って華々しくて美しいです。

ヨーロッパグリ

シャテニエ
châtaignier
セイヨウトチノキ

マロニエ
marronnier
(marronnier d'Inde)
Feuilles de châtaignier


絵画でもマロニエが描かれているだろうと思って検索して出てきたのが、下のルノワールが描いた作品でした。

Pierre-Auguste Renoir - Chestnut Tree in Bloom.jpg

「Le marronnier en fleurs(花咲くマロニエ)」と題されていました。

検索を続けていると、同じルノワールの作品で「Châtaignier en fleurs(花咲く栗の木)」という文字が目に飛び込んできました。

面白い! 同じ1881年の作品になっているのです。ひょっとして、私のようにマロニエ栗の木の違いをルノワールも気にしていたのだろうか?

興味を持って画像を探してみたら...
同じ絵なのでした!!!

余り有名な作品ではないらしくて、この絵画に関する詳しい情報は出てきませんでした。これを栗の木にしているのは絵画の複製を売っているサイトなので、怪しげ。

Wikipediaに画像が入っているのを見つけたので眺めると(上に入れた画像をクリックすると拡大します)、私にはマロニエに見えます。

ちなみに、使わせていただいた画像のファイル名は「Chestnut Tree in Bloom.jpg」。英語では栗の木としているのかな?...

日本では、フランスの絵画でも英語の題名を訳していることが多いので、日本でも栗の木になっているのでは? やはり、売られているポスターでは「花咲く栗の木」になっていました


フランス語でmarronnier(マロニエ)と言われても、どちらの木なのか特定できないのですが、英語でもそうなのでしょうか? chestnutを使うなら、horse-chestnutと言わないとマロニエにならないと思うのですけど。

でも、絵画を見たら判断できると思うのですけど...。


探していたら、ゴッホは栗の木を何枚も描いていたと知りました。

画像を探すと、Blossoming Chestnut Branchesが出てきました。チェスナットとなっちますが、これもマロニエに見えますけど...。この画像はWikipediaで大きなものは見つけられませんでした。何処かで盗まれて行方不明になっていたけれど、見つかった作品のようです。

このゴッホの作品の正しい題名は「Branches de marronniers en fleurs(1890年)」のはずです。つまり、「花咲くマロニエの枝」。これはパリのルーブル美術館に所蔵されている作品なので、フランス政府のサイトJocondeの作品紹介ページで題名が確認できました。

ゴッホは、幾つもマロニエの絵を描いていたようです。
でも...。

下は、パソコンのマウスパットとして売られているアイテムです ↓

Vincent Van Gogh Tapis De Souris - Châtaignier En Fleurs II, 1890

フランス語で「花咲く栗の木」として売られているのですけど、ショップにある画像を拡大して眺めると、どう見たってマロニエの木なのです..。

こちらも、正式な絵画の題名は「Marronniers en fleurs blanches(白い花が咲いているマロニエ)」で、1890年の作品でした。


絵画は食べないから問題がない!

フランス情報で、栗のマロンとマロニエのマロンの違いを説明しているときには、100%と言えるほど、間違えないようにと書いてありました。毒があるマロンを誤って食べてしまったら問題だからでしょう。

でも、栗の木の絵だと思ってマロニエの木が描いてある絵画の複製を買った人が食べるはずはないのですから、全く問題はないわけです。どうでも良いわけですよね...。マロニエの実のマロンで作るのが本物のマロングラッセだから食べてみたい、と思わせてしまうよりは罪がないです。


このシリーズ記事は、2つか3つ書くつもりだったのに、次々と不思議なことにぶつかるので記事が増えています。このままではマロンを抱えたまた年を超してしまいそう...。

フランスには、落ちてきたばかりマロンを拾って2つか3つをポケットに入れておくと、リューマチや腎臓の痛みを回避できるという昔の迷信を未だに信じる人がいるようですが。マロンから出るエッセンスが効果を出すようで、固くなったら新しいのと取り換える必要があるとのこと。

マロンを紙幣で包んでおくとお金が増えるという迷信もあるのだそう。エキゾチックな樹木なので、何か不思議な力を持っているように思われたのでしょうね。


フランスでは、いつマロニエと呼ぶ樹木が入ったのか、栗をマロンと呼ぶようになったのはいつなのか、という本題を次回に書きます。


続き:
 栗のマロンが先か? マロニエのマロンが先か?

★ シリーズ記事目次: 栗のマロンには不思議がいっぱい!

ブログ内リンク:
★ 目次: 縁起物や迷信について書いた記事 (フランスを中心に)
★ 目次: 食材と料理に関して書いた日記のピックアップ

外部リンク:
☆ INRA: D'arbre en Art - Les feuillus
D'arbre en art: l'arboretum d'Amance
☆ Grand Paris: Caractéristiques du marronnier d'Inde
☆ Si l'art était conté...: VAN GOGH A AUVERS - 6. Les marronniers
☆ MMM: ナンシー派美術館
☆ Se connaître: Le marronnier d’Inde


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