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2017/02/14
フランスで市販されているバターのうち、どれをを選ぶと良いかという消費者のための情報を読んでいたら、面白いことを知りました。オーガニックのバターに関してです。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その8
今まで書いてきたフランスで評判の良いバターのメーカーは、近郊の酪農家と契約して、有機農業で飼育しているか、減農薬をしているところと契約して牛乳を仕入れていました。環境が良いところで育った牛のミルクの質は良いはずなので、当然だと思います。

最近のフランスはオーガニック・ブームなので、普通にスーパーで買える大量生産のバターにもオーガニックのものがあるのでした。バターは主に農家の手作りのものを買っているので、ブランドものについては殆ど知識を持っていなかった私...。


BIOビオのバター

オーガニック食品は、フランスでは BIO(ビオ)と呼ばれます。有機農業で生産されているとフランス政府が認可している農産物や農産物加工品には、ロゴマークが付いているので簡単に見分けられます。

フランスの認可マーク
AB
ヨーロッパ連合(EU)の認可マーク

フランス政府認定の有機農産物認定が「AB」のラベル。「Agriculture biologique(有機農業)」の略語です。これを得るにはは厳しい制約があります。

フランスだけで使っているABマークを付けるかどうかは任意ですが、ヨーロッパの星で作った葉っぱマークを付けるのは義務なのだそう。

バターにも、オーガニックであることを歌っている商品があり、このマークが付いている商品がありました。牧場や乳牛に与える餌に至るまで、農薬や化学肥料を使っていないという保証になります。




BIOのバターとは何か?

厳格な規則に従って飼育された家畜の牛乳から作られていることを示すわけですから、BIOのバターはアトラクティブですよね?

ところが、バター選びのフランス情報では、BIOだからと美味しいとは限らない、と言っていたのです。確かに、それはそうだろう、と笑ってしまいました。私は未だに、BIOのパンで、うなるほど美味しいと思ったものには出会っていませんので。

BIOのバターとされているものは、バターの原料となる生クリームがABの規約に合っていることによる品質保証であって、製造法には規定がないのだそうです。

美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット」で書いたように、美味しいバターが作れるのは非効率的だけれど伝統的なチャーン製法です。でも、BIOと呼ばれるバターは、そんなとは無関係に与える品質保証なので、オートメーション化した連続式バター製造機で作っている場合もある。というか、その方が多いと言っているような感じも受けました。

いくら原料が良くても、どうやって作るかによってバターの味は変わります。

しかも、別の角度からの指摘もありました。


BIOのバターと言っても、遠くから運ばれた原料を使っている場合もある

このバターは、おかしいぞ~ 、と告発しているブログがありました。


Les Astuces Conso:
EXCLU - Beurre Bio Président, un beurre qui peut porter à confusion
EXCLU - Beurre Bio Président - (suite - droit de réponse)

バターのパッケージを見ると、おなじみのABマーク。そして中央に大きく「Bio」。

その文字の横にフランス地図があって、フランスのバター産地として名高いブルターニュ地方が赤く目立つようになっています。地名が書いてあるので、ブルターニュ地方のRetiersで作られていて、周辺の農場で生産された牛乳を使っているのだろう、と思いますよね?

ところが、パッケージをよく見れば、原料はEU連合の何処かの国から輸入された、と分かるのです。

またまた、やり玉に挙がっていたのは、乳製品では世界でナンバー2という巨大企業のラクタリスの商品、プレジデント。

このラクタリスが、酪農家からの買い付け価格を低くしている問題については、今回のシリーズ記事の中でも軽く書いていました:
上質バターと大量生産バターの違いを見せたフランスのテレビ番組


プレジデントのBIOバターについて書いていた人は、有機農業が盛んなドイツから原料を入れているのかと思ったのだそう。100%フランス製に見間違えるパッケージなのはおかしいと思って、メーカーに問い合わせたそうです。返事は、原料はフランスかベルギーから調達しているとのこと。生産された工場がブルターニュ地方にあるので、それを目立たせたのだという説明。


こだわりのバターを作っているメーカーのことを学んできたのですが、できるだけ早く搾乳した牛乳からバターを作り始めるというのが上質のバターを作る上でポイントになっていました。農協が牛乳を集めに来るのは1日おきなので、それでは遅すぎるというわけで、メーカーが契約農家を回って直接集荷して、即座にバター作りを始めたりもしていました。

外国で生産され牛乳を輸入したら、それほど新鮮な原料を使っているとは思えません。ひょっとしたら、冷凍した牛乳からバターを作っているのではないかとも疑ってしまいます。

冷凍の牛乳を使ったらBeurre extra-finと呼ぶバターにはならないわけですが、このバターのパッケージを眺めても、どのランクのバターなのかは私には分かりませんでした。

バターには3つのランク付けがあることを書いたのは、こちら:
無殺菌クリームで作ったバターが最高 2017/02/06


消費者にどのバターを買うと良いかをアドバイスしているサイトで、BIOだから美味しいとは限らない、と言っていた意味が、こちらからも分かりました。

フランスのオーガニック農業はまだ多くはないし、認定を受けるのは非常に厳しいので、需要に追い付いていないのですよね。BIOというと売れるので、大手メーカーは外国から牛乳を輸入して作ることが多いのかもしれない。


BIO認定食品には、原産地が表示されている

私は気にしたことがなかったのですが、ヨーロッパマークの下に書いてあることで、その食品がどこで生産されたのか見分けることができるのでした。

例えば、こうなっていればフランスの農業生産物 ↓



葉のマークの下の1行目には、認可を与えた機関のコード番号が記載されています。

その下にある「AGRICULTURE(農業)」の後に、生産された場所として「FRANCE」の文字が入っています。

表記方法には決まりはなくて、この2つが書かれていれば良いようです。手元にあるブルゴーニュ地方のBIO農家が売っているハチミツに付いているラベルをを見たら、認証機関のコード番号だけで、その下も「FRANCE」だけになっていました。


ともかく、緑の葉のマークの下に生産国が表示されているわけです。使われている原料の98%以上を占めている生産国を表示することが決まりなのだそう。

ヨーロッパ連合のEUは、フランス語では文字が逆転していてUE。その文字が見えたら、フランス産ではないことになるわけです。
表示
Agriculture France 農産物の98%以上の原産物となっている国の名前を入れる。Franceと入っていればフランス原産であることを示す。Franceの代わりに別の国の名前を入れることもできる。
Agriculture UEヨーロッパ連合(EU)の加盟国が農産物の原産地であることを示す。
Agriculture non-UEEU以外の国が農産物が生産地であることを示す。
Agriculture UE / non-UE EUと、それ以外の国の農産物が混ざっていることを示す。

例えば、こちらの表示例では4番目のもので、EU諸国と、それ以外の国で生産されたことが分かる。

先ほどのプレジデントのBIOバターの場合は、メーカーの商品紹介を見ても特定できませんが、パッケージの裏側をみると(こちらの画像)で「UE」と書いてあると分かるようになっていました。


BIOのバターには、フランスで搾乳された牛乳を使っているケースは少ない?

プレジデントのBIOバターについてブログで書いていた人は、BIOのバターの中で、フランス産の牛乳を使っているのは、Vrai(ヴレ)しか知らない、とおっしゃっていました。

信じられない。プレジデントが例外なのではないの?...

このブログは消費者が騙されることを指摘する目的があるらしくて、食品の専門家が書いているようには見えませんでした。

それで調べてみたら、パッケージにある表示からフランス産のミルクを使っているメーカーは、私にもヴレのバターしか見つけられなかったのでした!


アマゾンのサイトだと商品の画像を拡大できるので、生産国を確認できます。そのリンクを入れておきます。確認なさるのでしたら、画像をクリックして、開いた画像にマウスを近づけてください。

ヴレ【250g】 有機発酵 無塩バター ビオ認証グラスフェッドバター AB認証 バターコーヒーにも!/ Vrai Doux / 冷蔵空輸品 (1個)

原産地はフランスであると分かります。

「Beurre de baratte(チャーン製法バター)」だと表示されていますので、伝統的なバター作りをしているのだろうと想像できます。

バラットについて書いたのは、こちら:
美味しいバターを作るのに不可欠と言われるバラット 2017/02/10

AB認証取得 R-Bio ビオバター【250g】 Beurre R-Bio 250g /無塩バター フレッシュオーガニックバター・グラスフェッドバター/フランス産/冷蔵空輸品 (1個)

BIOであることを示すマークの始めにフランス地図の東部にマークを入れているので、そこで作られたバター、つまりメイド・イン・フランスのバターだと思ってしまいます。でも、よく見れば、EUで生産された原料を使っているのが分かります。

こちらのショップでは、この商品に「アルプス産グラスフェッドバター」という名称を付けていました。バターに加工したのはアルプス地方の工場なのでしょうから、そう言えてしまう...。

2個セット 有機バイオバター グラスフェッドバター 無塩バター

パッケージの表面にBIOのロゴマークを入れ、原料の原産地はEU圏内だとはっきり見えるし、フランスの地図などは入れていないところに、メーカーの誠実さを感じました。でも、裏側に書いているパッケージもあるのでした:
バイオバター(グラスフェッドバター) 無塩 250g

ヴレのようにBeurre de baratteのバターではないのですが、その次に魅力的な製法の「Beurre moulé 」という文字を入れています。人間が木型に入れてバターを成型していると想像させます。でも、この表示を入れたペイザン・ブルトン社のバター(こちら)の製造を見せるドキュメンタリーで、大量生産をする工場の機械がやっているのを見たので、この表示には魅力を感じなくなりました。

日本での販売では、グラスフェッドバターだとPRしていますね。

グラスフェッドが何であるかを書いたのは、こちら:
日本で言われる「グラスフェッド・バター」って、なに? 2017/02/01


ここに入れたアマゾンで販売しているBIOバターでは、始めの2つのバターを同じ1,380円で販売していました。3番目のはずっとお高めで、1個あたりにしたら2,450円。どこから値段の違いが出るのかな?...


他にも、画像を拡大してBIOのバターの表示を眺めたのですが、ブログに書いてあったように、EU圏内の原料ばかり出て来ました。巨大スーパーのカジノ・グループに入っているスーパーのFranprixのバターも、Leader Priceのバターも、EUの国産の原料。こちらのバターなどは、わざわざ読みづらくしているようにさえ見える...。

オーガニックを好きな人たちは、フランスでのAMAPの成功に見られるように、地産地消も大切にする人たちだろうと思うのです。それを、あたかもメイド・イン・フランスのようにしてオーガニック・バターを売るのって、罠にかけているのではないかと思ってしまう...。


でも、しつこく探してみたら、BIOのバターでフランスの原料を使っているのがヴレのバターだけ、というわけでもないのでした。

例えば、どこのメーカーなのか分からないけれど、こちらのBIOバターは、フランスが原産地だと表示されています ↓


他にも、こちらもこちらも、フランスの原料でバターを作っています。大手スーパーのカルフール(Carrefour)のバターでも、EU国の原料で作ったのもあるしフランス国内産のもある

それはそうですよね。フランスだってBIOの牛乳を生産しているのですから...。

フランス産の原料だとしていても、地元で集めた牛乳であるかどうかは分かりません。ヴレのサイトを見ると、工場はブルターニュ地方のNoyal-sur-Vilaineにあるけれど、原料はフランス各地から集めているようでした。そうしたら、ヨーロッパの隣国から原料を輸入しても同じくらいに時間がかかるかもしれないですよ...。


BIO食品には商売っ気がありすぎるのでは?...

そもそも、メイド・イン・フランスとして売る商品は、最終的に製造した国がフランスであれば良いのですよね。ハンドバックの高級ブランドでも、人件費が安い東欧で部品を作らせて、フランスで組み立てて売っていることが多い、と告発したフランスのテレビ番組がありました。

どの分野でもやっていることなのでしょうね...。

バターだって、外国から輸入した原料で作っても、オーガニック食品だという触れ込みにしておけば売れる、と分かったのは面白かったです。


私は、食べ物やワインは美味しければ良いと思っているので、オーガニックであることも、有名ブランドであることも気にしません。地方に住む特権ですが、私が最も重きを置いているのは、地元で誠実に作っていると知っている生産者たちが売っている食材です。

有機栽培の野菜は美味しいと思う。でも、それ以外は、ものによると感じています。ただし、変な添加物が入っていると微妙に舌が反応するので、オーガニックに対しては、ある程度の信頼感は持っていますけれど。

工場生産されたパッケージに入っているオーガニック食品は、なんとなく疑ってします...。オーガニックの食材を扱う専門店というのは、フランスでも日本でも、薬局のような雰囲気にしていて、私は商品を眺めても食欲が出て来ない...。

でも、オーガニックにこだわる人たちは、味の良しあしよりはオーガニックであることに価値を与えるのでしょうね。たとえ原料の牛乳かクリームが冷凍されていたとしても、やはりオーガニック♪ オーガニックだという安心感があるものを口にすると、美味しく感じられるのだろうと思います。

つまり、暴いてしまっても不快感は与えませんように!...

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その8





ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
憎っくき、菜の花畑 2013/05/14

外部リンク:
BIO(ビオ)について知ろう!フランスのオーガニック事情から学ぶナチュラルな暮らし
フランスで「ビオ」ラベルが踊る - フランスのオーガニック事情
Le grand guide des labels BIO en France
☆ notre-planete.info: Agriculture Biologique (AB) ou BIO 
Le grand guide des labels BIO en France
Comment reconnaître un produit bio ?
☆ Wikipédia: Label Agriculture biologique
La France est le 3ème plus gros consommateur de produits bio dans le monde
EXCLU - Beurre Bio Président, un beurre qui peut porter à confusion
☆ Que Choisir: Comment choisir un beurre
5 plaquettes de beurre bio en bas de chez vous
フランスのスーパーが展開する、オーガニック食品の光と影
有機野菜・オーガニック食品をリーズナブルに!フランスの流通システムAMAPとは


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コメント
この記事へのコメント
はじめまして。
大阪在住の者です。
フランスのバターのことを調べているうちに辿り着いて記事を読ませて頂き、たいへん参考になりました。
たまたまデパートのフランスフェアで出会ったボルディエバターの美味しさにはまりまして、いろいろ取り寄せ始めていました。
最近2700円も出して購入したABのバターがUE表記だったので、買う前にこちらのブログを知っていればと悔やみました。
次回ヴレもしくはセーブルにしようかと思いますが、通販では品切れでしたので、現在ボルディエとベイユヴェールを取り寄せ中です。
詳細なブログを書いていらして素晴らしいです。これからも楽しみに読ませて頂きます。
2017/04/08 | URL | ミルクティー  [ 編集 ]
Re:
v-22 ミルクティーさんへ

ご訪問ありがとうございます♪

バターについて色々調べたら面白いことを発見できたので自分で喜んでいたのですが、お役に立てばとても嬉しいです。

>フランスフェアで出会ったボルディエバターの美味しさにはまりまして

ボルディエのバターはインパクトがありますよね。ヘラで叩くと味が良くなるのなら、普通に買った農家の自家製バターを自分で叩いて見ようと思ったものの、まだやっていません。まず、木製のまな板を買わないといけないので。

>現在ボルディエとベイユヴェールを取り寄せ中です。

わぁ~、羨ましい!
2017/04/08 | URL | Otium  [ 編集 ]
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