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2017/02/18
バターと一緒に食べる習慣があるフランス料理は、それほど多くないと思います。

想い浮かぶのは、ソーセージ、ラディッシュ。そういう食べ方をするのは、家庭で食べるときか、庶民的なレストランではないでしょうか? それから、シーフードの盛り合わせを食べるときも、必ずバターが付いてくる...。

でも、フォークとナイフでお上品に食べるフランス料理の中で、バターが欠かせないというのは思い浮かんできません。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その11

このシリーズを書き始めるまでの私は、レストランで出されるバターには殆ど注意をはらっていませんでした。

レストランで食事をしたときには、後で思い出せるように写真を撮っていますが、バターを被写体にするのは例外的です。

例えば、下の写真を撮ったのは、変わったバターナイフがあって、その横にライヨール・ナイフの宣伝とも思えるメッセージがあったからでした。



写真を眺めていて、このバターはとても美味しかったのを思い出しました。コース料理の終わりころになると、料理の向こうに写っている写真ではバターの量が半分くらいに減っていました。このときの食事についてはブログに書いていなかったのが残念...。

というのも、今回のシリーズに入れた写真をご覧になった方が、これはパリでも入手が難しいル・ポンクレのバターだと教えてくださったからです。


私には猫に小判...

レストランのテーブルの上にバターがあっても、私は全く手を付けない方が多いように思います。フランスのレストランで出される料理のボリュームはかなりあるので、パンにバターを付けて食べていると、それでお腹がいっぱいになってしまって、せっかくの料理を食べられなくなってしまうからです。

でも、美味しい料理を作るシェフたちは、テーブルに置くバターも選んでいるわけですし、自分が買わないバターに出会えることもあるわけなので、試食の意味でもバターを食べてみる価値があると思いました。

フランスの3つ星レストランでは、テーブルに何処のバターが置いてあるかを調べて書いている記事があったので、眺めてみました。

自分が3つ星レストランに行ったときに出されたバターに関する記憶は全く残っていません。どんなバターが出されていたか写真を眺めてみましたが、バターには全くカメラを向けていませんでした。それに私は3つ星レストランは4か所しか行ったことがないので、サンプルが少なすぎる...。

ブルゴーニュ地方にある3つ星のメゾン・ラムロワーズで食事したときに撮った写真には、料理の皿の向こうにバターが写っていたものがあったので、それを切り出して、向きを逆にして、写真をシャープにすると、メーカーの名前が見えました。



ボルディエですね。

3つ星レストランで出されるバターのに関する記事は2016年の情報で、このレストランはAOC/AOPブレスのバターを使っているとなっていました。私がレストランに行ったのは、ブレスのバターが2012年にAOCを獲得する前でしたので、AOCになってからはレストランではこの地元産のバターを使うようになったのだろうと思います。

ちなみに、チーズの時にもバターは手つかずのまま写真に写されていたので、テーブルを囲んでいた私たち4人は全く食べなかったということになります。せっかくシェフはバターを選んで置いていたのに...。

ひと昔前のフランスのレストランでは、バターと一緒に食べる料理がないときにはバターは出さなかったような気がするのですが、どうなのでしょう? お客が手をつけなかった厳選バターは捨てられるのかな...。もったいない...。


3つ星レストランで圧倒的に多く使われているのはボルディエのバター

ミシュランの星を持つレストランでは、ボルディエ(Bordier)のバターを使っているケースが多いのはよく知られているようです。3つ星レストランでは、4軒に1軒がボルディエのバターをテーブルに置いているとみられていました。

この絶大な人気は、同社が30年前から上質の手作りバターを安定して提供していること、レストランの要望に応えたバターをオーダーメードて作っていること(塩分の割合、香り、形状、重さ、マーク入れ)から来ているようです。

確かにボルディエ社のバターは、他と違う何かがあります。私がこのシリーズを書き始めたのも、お気に入りにしたレストランで味わったボルディエのバターが、他のとは違う個性的な風味があって、驚くほど美味しいと感じたからでした。

それに、ボルディエのバターは見た目も美しいでしょう?



こういうのを出されると、有名ブランドの名前が書いていなくても、ただの普通のバターではないという印象を受けるはず。これを見た私たちも、それで食べてみる気になって、格別に美味しいバターだと分かったのだろうと思います。


数年前からは、ル・ボンクレ (2009年創設)の人気が上昇していました。

早くから魅せられたのはYannick Alléno。そして、Alain Ducasse、 Arnaud Lallement、Michel Guérardが続いていました。

このシリーズ記事を書きながらバターの作り方を学んで、ル・ポンクレのバターは究極のバターを作ろうとしているのではないか、と感じました。

なにしろ、乳乳の品種にもこだわり、ビオ(有機)で飼育されている牛だけにしているようだし、バターの風味が如実に現れる加熱処理はしていないクリームからバターを製造しているという希少価値のあるバターなのですから。

ボルディエのバターから、ル・ポンクレに切り替えるシェフもいるようです。パリで一般の消費者が買えたのに、それが難しくなっているとコメントで教えていただいたのですが、そういう人気が影響しているのかもしれません。殺菌していないバターは、製造されてから1週間以内に食べきるきだと私は感じているので、生産者としては、レストランに出す方を好むのかもしれない。大成功だからといって、生産量を増やして質を落とすビジネスにしないことを祈ります。


その他、選ばれているバターでは、フランス政府が認定している高品質保証のAOC/AOPを持つバターが目立ちました。地方にあるレストランでは、地元の美味しいバターを発掘しているのだろうと思ったのですが、有名ブランドを採用しているところもあるので意外でした。AOC/AOPを持っているというのは安心感を与えて無難だとは思いますけれど、面白くはない...。


3つ星レストランのテーブルに乗っているバターは?

記事にあった情報を表にまとめてみました。アクセントを写真を入れましたが、私が別のレストランで出されたときの写真か、ネットショップの商品の画像です。

ミシュランの2017年版の3つ星が発表されたばかりですので、新たに加わったレストランも入れてみました。
 は、レストランで作っているか風味づけをしている(他にもあるが情報なし)。
バターのメーカー名3つ星レストラン名 (場所)
ボルディエ(Bordier)
ブルターニュ地方



Alain Passard
Arpège


※ 回答はなかったが、ボルディエであろうと推測。
Paris
Christian le Squer
Le Cinq

(Hôtel Four Seasons George V)

※ 回答はなかったが、2014年にはボルディエであった。
Paris
Eric Frechon
Epicure

(Hôtel Le Bristol)
Paris
Guy Savoy
Guy Savoy
Paris
Marc Haeberlin
Auberge de l’Ill
アルザス
Régis et Jacques Marcon (注②)
Régis et Jacques Marcon
オーヴェルニュ
Yannick Alléno
Alléno Paris au Pavillon Ledoyen /

Le 1947 (注①)
(Hôtel Cheval Blanc)

※ シェフはル・ポンクレのバターのファンなので切り替えているかもしれない。
Paris /

ローヌ=アルプ
ル・ポンクレ(Le Ponclet)
ブルターニュ地方

Alain Ducasse
Alain Ducasse au Plaza Athenée
Paris
Arnaud Lallement
Assiette Champenoise
シャンパーニュ
ベイユヴェール(Beillevaire)
ペイ・ド・ラ・ロワール地方

Michel Guérard
Les Près d’Eugénie


※ 2016年情報では、ル・ポンクレのバターを置く予定とのこと。
アキテーヌ
AOP
エシレ (Echiré)
ポワトゥー=シャラント地方


Bernard Pacaud
L'Ambroisie
Paris
AOP
Coopérative Laitière de La Sèvre
ポワトゥー=シャラント地方
Michel Troisgros
Troisgros
ローヌ=アルプ
AOP
イズニー (Isigny)
ノルマンディー地方

Paul Bocuse
Paul Bocuse
ローヌ=アルプ
Ferme de la Pellerie
ノルマンディー地方
Pierre Gagnaire
Pierre Gagnaire
Paris
AOP
エトレ (Etrez)
ブレス地区(2地域圏3県)


Georges Blanc
Georges Blanc
ローヌ=アルプ
Eric Pras
Maison Lameloise
ブルゴーニュ
地元の生産者Emmanuel Renaut
Flocons de Sel
ローヌ=アルプ
René et Maxime Meilleur
La Bouitte
ローヌ=アルプ
Michel et Sébastien Bras
Bras
ミディ=ピレネー
レストランでアレンジAnne-Sophie Pic
Pic
ローヌ=アルプ
自家製Gilles Goujon
Auberge du Vieux Puits
ラングドック=ルシヨン
Arnaud Donckele
Vague d’Or
コート・ダジュール
回答なしFrédéric Anton
Le Pré Catelan
Paris
Pascal Barbot
Astrance
Paris
テーブルにはバターを置かず、
オリーブオイルを置く
Gérald Passédat
Le Petit Nice
プロヴァンス
2016年4月情報2017年2月情報

注①:
3つ星シェフが使っているバターを挙げていた情報は2016年のもので、2017年には1つだけ3つ星レストランが増えていました。従って、この「Le 1947」についての情報はなかったのですが、同じシェフのレストランのところに入れておきました。


注②:
地元に良いビオ(有機)のバターがないため、テーブルにバターは置かない。ベターが欲しいと言われるのは1日に1テーブル程度である。リクエストされたときに出すのはボルディエのバター。


南仏では、バターの代わりにオリーブオイルを使う傾向があります。Le Petit Niceではオリーブオイルしか置かず、Vague d’Orではオリーブオイルとバターを置くのだそう。


個性を出すために、レストランでバターを作ったり、香り付けをしているところも多いようです。

記事の中で例として挙げていたレストランに 印を漬けましたが、どこでも特別な注文をしているのではないでしょうか。

女性シェフのPicでは、抹茶、ラングスティーヌ(手長エビ)、タスマニア・ペッパーなどのバターを作っているのだそう。

抹茶を入れて緑色のバター? 美味しいのかな...。

でも、変わったバターを喜ぶ人もいるかもしれない。確か1つ星レストランだったと思いますが、ハーブのラベージを練りこんだバターをとても喜んでいた友人がいたことを「パリが詰まったバターとは?」で書いていました。

何を入れるかはアイディアで、自分でもできるのですけどね...。


なお、フランス国内の3つ星レストランは、2017年には合計26軒。ミシュランガイドブック2017年には、アラン・デュカスのモナコのレストラン(Le Louis XV-Alain Ducasse)も入っているので、全部で27軒と言うべきかもしれません。そのうち10軒がパリにありました。

シリーズ記事 【バターの見分け方 】 その11




ブログ内リンク:
★ 目次: 乳製品(チーズ、バター、生クリーム) ⇒ フランスのバター
ライヨールのナイフ 2006/03/02

外部リンク:
フランスバター特集
☆ ATABULA: Le beurre à table dans les restaurants trois étoiles français
☆  MICHELIN Restaurants: Les restaurants étoilés du guide MICHELIN 2017 
☆ RTL: Guide Michelin 2017:  quels sont les 27 restaurants trois étoiles de France
Qui sont les fournisseurs des vrais restaurants?


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